渡辺が200メートル平泳ぎで世界新樹立、総長へ報告

競泳

 

 エンジのスイマーが世界の扉をこじ開けた。1月30日に行われた第10回東京都選手権200メートル平泳ぎ決勝において世界新記録となる2分06秒67をたたき出した渡辺一平(スポ2=大分・佐伯鶴城)が鎌田薫総長(昭45法卒=東京教育大付駒場)に報告を行った。

 「リオオリンピックでは人生で一番悔しい思いをした」。リオオリンピック男子200メートル平泳ぎでは、準決勝で五輪新をマークしながらも決勝では惜しくもメダルには届かなかった。その記憶は渡辺にとって原動力となっていた。「オリンピックの借りはオリンピックでしか返せない。3年後のオリンピックではぶっちぎりの世界新記録で優勝したい」。さらなる高みへ――。まずは、4月に控える日本選手権だ。これからの渡辺から目が離せない。

笑顔で写真撮影に臨む渡辺

(記事、写真 石田耕大)

渡辺一平(スポ2=大分・佐伯鶴城)*囲み取材より抜粋

――オリンピックと比べてどこが良かったですか

オリンピックの準決勝の時と比べて1番良かった点は、50メートルから100メートルをタッチしたときすごく良い感じで、疲労もそこまでたまっていなかったです。

――お腹を壊していた、というのは

食べ過ぎですね。お腹をくだしてしまって、それであまりコンディションはよくなかったですね。体がだるいというかすごく熱っぽかったです。

――当日はどのように過ごされていましたか

予選終わってもめちゃめちゃ苦しくて、仰向けになっているとすごくのびていて苦しいから、横になって寝ていろと言われたりだとか、昼御飯もあまり脂っこいものを食べないようにだとか、それでそばを食べていました。

――タイムが出て、どのような気持ちでしたか

なんで出たのかわからないんですけど、泳ぎながらすごく気持ちいいなと思っていたので、僕が1番驚いていると思います。

――修正点はどのようなところにありましたか

50メートルと150メートルのターンがすごく伸びてしまったというのもありますし、100メートルで浮き上がったときの1かき目ですごく体が立ってしまって抵抗を受けたなと思った部分です。

――大学で学んでいて競技に生きたものは何ですか

栄養学とか心理学とか。心理学はもちろんレースに対する気持ちとか、これからの僕の課題はそこだと思うんですけど、準決勝では良い泳ぎができるのに決勝ではなかなかそうはいかないというところがあるので、そこが課題だと思います。

――自分で何か新たな取り組みなどしていますか

4月の選考会(日本選手権)で僕はオリンピックの目標を設定したんですよ。そのときに2分7秒台を出してメダルを獲得するというものだったのですが。準決勝で2分7秒2という自分自身が驚くようなタイムを出してしまって、なんでオリンピックの決勝でタイムが出せなかったのかということを考えてみると、たぶん目標を準決勝で達成してしまって次すぐに目標を設定できなかったことだと思います。こうやって世界新記録を出しましたけど、僕はもう2分6秒前半という目標を立てているので、今100メートル平泳ぎではアダム・ピーティ選手(イギリス)がぶっちぎりの世界記録を持っているので、そういう選手になりたいです。この世界新記録を出せたことには満足はしているんですけど、まだまだやれるという気持ちがあります。

――クッションが好きとのことでしたが

パチャポはけっこう好きだったんですよ。12月のウインターカップで最優秀選手賞を取ると、枕ぐらいのパチャポをもらえるんですよ。だけどあげちゃって(笑)。ウインターカップではとれなくて、悔しくて。でももらえたんでうれしいです。

――自分の泳ぎの良さは

僕はすごく肩甲骨が柔らかいので普通の人がかけないようなところまで水をかけるというところですかね。キックを戻すときに

――北島康介選手(日本コカ・コーラ)の映像を見て、勉強されたというお話も出ましたが

コーチに言われてとかではなくて、僕自身北島さんの映像を見て、なぜこんなにも北島さんは速いのかと考えました。

――大きな体で競技上不利に思うことはありますか

身長が高いというのはすごい有利に見えて、例えばストリームラインを組むのに時間がかかったりだとかストリームラインを保持するのに力がいったりだとか難しいこともあるんですけど、だからといって抵抗をなくすことをやめれば他の選手に抜かれてしまうと思います。

――水の抵抗を減らすことを重要視されているのでしょうか

他の選手に勝てる部分はそこしかないと思っていますし、力では絶対に勝てないので。水の抵抗を減らすというのが重要になってくると思います。

――100メートル平泳ぎではスピードが重要視されます

100メートル平泳ぎではテンポをあげていかないといけないので、長身というのは不利になってしまうんですけど、それはアダム・ピティー選手が体が大きくても抵抗を減らせば勝てるというのを証明しているので、抵抗を減らしながらパワーをつけて頑張りたいと思います。

――抱負をお願いします

リオオリンピックでは人生で一番悔しい思いをして、オリンピックの借りはオリンピックでしか返せないと言いますけど、3年後のオリンピックではぶっちぎりの世界新記録で優勝したいと思ってますし、まず今年の世界水泳で世界新記録を更新して優勝したいと思ってます。