連日熱戦が繰り広げられているアジア選手権。大会三日目は男子200メートルバタフライで、坂井聖人(スポ3=福岡・柳川)と瀬戸大也(スポ4=埼玉栄)のデッドヒートが繰り広げられた。さらに、男子200メートル平泳ぎでは渡辺一平(スポ2=大分・佐伯鶴城)が圧倒的な強さを見せつけ優勝。この日はワセダのメダルラッシュとなった。あすは早くも大会最終日。なんといっても注目は、男子100メートル背泳ぎにもエントリーしている瀬戸だろう。あすも見逃せない一日となりそうだ。
★ワセダ対決は坂井に軍配!
表彰式での坂井と瀬戸
「国内で一度も勝ったことがないというイメージが頭にあったので、優勝できてほっとしています」(坂井)。注目が集まった男子200メートルバタフライの同門対決を制したのは坂井だった。この種目、昨夏の世界選手権やリオデジャネイロ五輪では坂井が瀬戸を下しているが、国内で泳ぐ大会では一度も瀬戸に勝ったことがない。予選後に「ガチバトルをしたい」と語るほど、坂井は勝ちにこだわってレースに臨んだ。決勝レースは序盤から坂井と瀬戸が抜け出すと、150メートルまでは互いに競る展開に。「瀬戸さんはラストが強いので怖かった」と語った坂井だったが、見事にラスト50メートルで瀬戸を振り切り1位でフィニッシュ。国内のレースで初の先輩超えを成し遂げた坂井は、「正直にうれしいです」と笑顔を見せた。一方、「普通に悔しいです」と悔しさを強くにじませた瀬戸。予選から思ったようなタイムを出せず、決勝でも得意のラストスパートがかけられなかった。「冬の追い込み期間にバタフライを見直したい」と語り、来春の日本選手権に向けてレベルアップを誓った。世界でもトップを争う坂井と瀬戸。瀬戸が早大を卒業してからも、このライバル関係はずっと続いていくだろう。
(記事 大森葵、写真 佐藤慎太郎)
★渡辺、好タイムで優勝!
力泳を見せる渡辺
圧巻の泳ぎを見せてくれた。男子200メートル平泳ぎ、この種目を制したのは渡辺だった。「僕にとってすごくいいレースだったと思います」と満足そうな表情を浮かべてレースを振り返った渡辺。前半からハイペースで泳ぎ、100メートル地点で2位の選手とは体一つ分の差をつける。その後も大きなストロークで安定感のある泳ぎを見せた渡辺は、2分8秒19でフィニッシュ。また、この優勝により男子100メートル平泳ぎとの二冠も達成した。ワールドカップを除くと五輪後初の国際大会となったアジア選手権は、渡辺にとって収穫の多い試合になった。そんな渡辺だが、レース後に「出せることならすぐにでも世界新記録を出して、それをどんどん僕が更新していきたいです」と大記録への挑戦を宣言した。次なる目標は、来年4月の日本選手権、さらには7月の世界選手権で最高のパフォーマンスをすること。進化を続ける19歳の若き戦士からこれからも目が離せない。
(記事 大島悠輔、写真 佐藤慎太郎)
結果
◇決勝
男子200メートルバタフライ
坂井 1分54秒53【1位】
瀬戸 1分55秒45【2位】
男子200メートル平泳ぎ
渡辺 2分8秒19【1位】
◇予選
男子200メートルバタフライ
瀬戸 1分57秒03【1位】
坂井 1分57秒29【2位】
男子200メートル平泳ぎ
渡辺 2分14秒90【1位】
コメント
決勝進出者
瀬戸大也(スポ4=埼玉栄)※囲み取材より抜粋
――今のレースを終えて心境はいかがですか
やっぱり何かおかしいですね。タイムがでないです。
――泳いでいて感覚が合わない感じでしょうか
ラストの50メートルもバテていますし、何かな、という感じです。イライラしています。
――疲れや体調が影響しているのでしょうか
バタフライの調子が思ったように泳げていなかったこともあると思うので、もう一度冬の追い込みの時期にバタフライを見直して、来年の4月泳ぎたいと思います。
――坂井選手とのデットヒートでしたが、後半は歯がゆい部分もありましたか
そうですね。最後の得意なラストスパートも最近はかけられていないので、普通に悔しいですね。
――明日に向けて
あすもレベルの高いレースになると思います。(男子)200メートル個人メドレーも銅メダリストがいますし、それに勝てるように頑張りたいと思います。
坂井聖人(スポ3=福岡・柳川)※囲み取材より抜粋
――優勝おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください
ほっとしました。優勝できてほっとした、しかないですね。
――瀬戸選手との対決となりました
そうですね。150メートルまでずっと隣でずっと競っていて、正直ラストは怖かったです。瀬戸選手はいつもラストが強くて、僕もラストが強い方ですが、毎回日本ではラストで抜かれていたので怖かったです。瀬戸選手がバテていたのか僕があげたつもりはなかったのですが、優勝ができてほっとしています。
――五輪に続いて瀬戸選手に勝てたという点に関しては
五輪が終わって肩をケガしてしまって何日か泳げない期間もあったのですが、こうやって(1分)54秒5で泳ぐことができて、タイムもそんなに悪くないのでこのまま世界選手権に向けてやっていこうと思います。
――肩の痛みというのはいかがですか
アップしている時に痛みが出ていて、結構泳いで温まってくると痛みは引いてくるのですが、それまでは痛いですね。先ほどもやっぱりストリームラインの時にまだ痛かったので、これから少しずつ治していって今後につなげていきたいです。
――改めて今後の目標を教えてください
最終的には2020年に金メダルを取って、2021年の世界選手権は福岡で開催されるので、地元の人たちに恩返しができるようにしたいなと思っています。
――瀬戸選手に国内で初めて勝ちましたが率直な感想は
正直にうれしいです。ここで勝てたので、今後も勝ち続けられるように日々精進しながら頑張っていこうと思います。
渡辺一平(スポ2=大分・佐伯鶴城)※囲み取材より抜粋
―― 二冠達成おめでとうございます。今の気持ちを聞かせてください
このアジア選手権の目標としてずっと二冠を掲げていたので、目標達成はすごくうれしいです。
――タイム的にはいかがですか
きのう100メートルで自己ベストが出て、泳いでいる感覚がすごくよくて、きょうの予選もよかったので、決勝は少しタイムを狙いたいなと思っていました。(2分)8秒1ということで、オリンピックの時が(2分)7秒2と(2分)7秒8で、それを抜いたら(2分)8秒8がベストなので、今回のタイムは僕にとってすごくいいレースだったと思います。次につながるレースだったのではないかと思います。
――調子のよさの要因はなんですか
JISSで合宿を行ったのですが、その時のブレストの練習タイムがすごく良くて、この大会には自信を持って臨めました。体がきつい中でこのタイムというのは自信につながりますね。世界短水路(選手権)は出ないのですが、来年の4月に(世界選手権の)選考会もありますし、世界水泳などもあるので、そこに向けてしっかりと課題を見つめ直して、克服して、世界でも戦える選手になりたいなと思っています。
――地力がついてきたとは感じていますか
そうですね、(2分)8秒1というのはすごくいいタイムなのではないかなと思います。欲を言えば2分7秒台が欲しかったですけど、それはやはり疲れもありますし、その中ではすごく頑張れたのではないかと思いました。あす僕は(レースが)無いので、日本チームに貢献できるようにしっかり応援して、レースがある人が気持ち良く臨めるくらいの行動をしていきたいなと思ってます。
――今回は五輪後初の国際大会でしたが、大会を振り返ってみていかがでしたか
中国の選手はやっぱり速いですし、平泳ぎのマオ選手(中国)とかもいたんですけど、マオ選手もベストは(2分)9秒2くらいを持っているので、あまり調子がよくないのかもしれないですけど、そんないろんな有名選手がいる中で勝てたのはよかったのではないかと思いますし、うれしいです。欲を言えば、小関さん(也朱篤、ミキハウス)と表彰台に登りたかったという気持ちはあるのですが、それは来年の世界選手権の目標として、また頑張っていきたいと思います。
――レース後、奥野先生とはどんな話をされましたか
ラップ的に後半キツかったと言われて、泳ぎながらも100から150メートルはちょっとバテたなと思いましたし、その中でラスト50メートルはバタつかず、しっかり水をキャッチして蹴るという冷静な行動ができたのではないかなと思っています。ほめてくれたのかなと思います(笑)。
――改めて今後の目標タイムを教えてください
オリンピックはすごく悔しい結果になって、今僕が一番目標として掲げているのが200メートルでの世界新記録です。それをいち早く出したいと思っていますし、その中で100メートルのベストタイムを更新していかないと絶対200メートルにつながらないので、その中でこの大会は100メートルで59秒台というベストタイムが出せて、200メートルでも僕としては納得のいくレースができたと思います。出せることならすぐにでも世界新記録を出して、それをどんどん僕が更新していきたいです。リオでも200メートル平泳ぎでメダルが取れていないので、やっぱり日本の平泳ぎが強いんだというのを僕が証明して、来年の世界選手権で良い結果を出したいなと思ってます。
予選後
坂井聖人(スポ3=福岡・柳川)※囲み取材より抜粋
――泳いだ感覚は
50メートルをターンしてから腕が結構パンパンでまずいかなと思ったので、腕はできるだけ使わずに足だけで泳いでいました。150(メートル)までは良かったので、ラスト50(メートル)は流していました。
――パンパンになった原因などは
きのうもあまり泳いでいないので、パンパンになるわけがないのですが、なってしまいましたね(笑)。
――決勝は瀬戸選手との対決となりそうですね
あえてコースを外そうかなとも思ったのですが、周りが予選で速くいっていなかったですね。周りに合わせていたら決勝でタイムが上がらないと思っていたので、ある程度いきました。(瀬戸選手と)隣同士でもいいので、ガチバトルしようと思います。
――左肩の状態もあると思いますがどれくらいのタイムを目指しますか
できれば(1分)54秒に乗せたいなとは思っていますね。ですが、今のまま決勝にいくと確実に(1分)55秒かかってしまうと思うので、アップやケアをしっかりとやって、午後のレースに備えたいと思います。