ジャパンオープン2016(50メートル)2日目。今季のワセダを率いる上野聖人主将(社4=神奈川・法政二)が快挙を成し遂げた。得意とする男子50メートル平泳ぎで、自己ベストを更新して優勝。チームを勢いづけるような泳ぎとなった。また、リオ五輪代表組は専門種目外のレースにも多く出場。それぞれが収穫と課題を手にする一日となった。
★上野主将、得意種目で初優勝!
観客席からの声援に応える上野主将
「まさか勝てるとは思っていなかったです」。上野主将はレース後、そう笑顔を見せた。もともと得意としている男子50メートル平泳ぎ。「絶対に決勝に残って結果を出したい」と意気込みこの種目に臨んだ。予選を4位で通過し、迎えた決勝。小関也朱篤(ミキハウス)ら実力者が肩を並べる中、持ち前のスピードを生かしトップに躍り出る。フィニッシュ後、自己ベストのタイムと共に電光掲示板に表示されたのは、優勝を意味する『1』の数字。ワセダを率いるキャプテンが、ジャパンオープンで自身初となる優勝を決めた瞬間だった。日本選手権では男子100メートル平泳ぎで6位入賞を果たすなど、大車輪の活躍を見せている上野主将。「五輪組には刺激をもらっているので、インカレ(全日本学生選手権)に向けて一丸となって戦っていきたい」。集大成となるインカレに向け、主将の活躍がチームにさらなる勢いをもたらす。
(記事 大森葵、写真 平川さつき)
★渡部、惜しくも100分の3秒及ばず
惜しくもタッチ勝負に敗れた
リオ五輪内定選手4人が集結し、ハイレベルな争いとなった女子50メートル平泳ぎ決勝。予選を1位で通過した渡部香生子(スポ2=東京・武蔵野)であったが、「スタート修正することを気にしてしまい、起き上がりまでがあまりうまくいかなかった」と振り返るように、渡部含む3選手がほとんど差のない状態で、レースを引っ張り、そのままフィニッシュ。タッチの差でわずか100分の3秒及ばず、31秒38で惜しくも3位となった。「あしたは200メートルを全部で4本泳ぐことになると思うので、しっかり目的をもって最後まで諦めずに泳げたらなと思います」。あしたの個人メドレー、平泳ぎでも活躍してくれることだろう。
(記事 石田耕大、写真 平川さつき)
★瀬戸、萩野に敗れるも自信につながるレースに
表彰台で笑顔を見せる瀬戸(左)
瀬戸大也(スポ4=埼玉栄)はきのうに続き、この日も2種目に出場。男子400メートル個人メドレーは、ライバル萩野公介(東洋大)とのリオ五輪前最後の直接対決ということもあり、注目を集めるレースとなった。日本選手権では大差で負けているだけに、なんとか一矢報いたいと臨んだ瀬戸。「前半は遅かった」と振り返るように、得意のバタフライで抜け出すことができない。続く背泳ぎでは、萩野に体一つ分以上の差をつけられてしまう。しかし、ここから今までの練習の成果が見え始めた。後半の平泳ぎと自由形で挽回し、200メートル終了時にあった約4秒の差を、フィニッシュ時には1秒68まで詰めた。「負けましたが自信になりました」と語った瀬戸。本番に向け、確実に調子を上げてきている。また、瀬戸は専門種目ではない男子200メートル背泳ぎにも出場。強化の一環として臨み、4位という結果でレースを終えた。
(記事 大森葵、写真 平川さつき)
★次につながる泳ぎ
B決勝で力泳を見せる伊藤
女子400メートル自由形のB決勝に、伊藤愛実(社2=東京・早実)が出場した。きのうの女子200メートル自由形では不本意な結果で終わり、今大会最後の出場となるこの種目への思いは人一倍だ。「いいところがひとつもなくだらだら終わってしまうのは嫌だなと思っていたので、最初だけでも名前が呼ばれるようにしたいなと思っていた」と語るように積極的な泳ぎで、250メートルまでトップで折り返す。その後は他の選手に抜かれ、順位を落とすも、予選から1秒縮めた自己ベストに迫るタイムを出し、5位でフィニッシュ。次につながる泳ぎとなった。一方、男子100メートル自由形では、荒木優介副将(人4=三重・暁)が外国人選手の棄権などでB決勝に出場。序盤の出遅れが響き、6位に終わった。あすの男子50メートル自由形に期待したい。
(記事 石田耕大、写真 平川さつき)
結果
◇決勝
男子50メートル平泳ぎ
上野 27秒52【1位】
女子50メートル平泳ぎ
渡部 31秒38【3位】
男子400メートル個人メドレー
瀬戸 4分10秒53【2位】
男子400メートル自由形
坂井 3分51秒51【4位】
男子200メートル背泳ぎ
瀬戸 1分59秒50【4位】
女子100メートル自由形
渡部 55秒64【6位】
◇B決勝
女子400メートル自由形
伊藤 4分17秒75【5位】
男子100メートル自由形
荒木 50秒90【6位】
◇予選
男子400メートル個人メドレー
瀬戸 4分20秒29【3位】
女子50メートルバタフライ
田村美紅女子主将(スポ4=埼玉栄) 27秒97【22位】
男子50メートルバタフライ
池江毅隼(スポ1=東京・日大豊山) 24秒86【30位】
女子50メートル平泳ぎ
渡部 31秒58【1位】
田村 33秒59【46位】
男子50メートル平泳ぎ
上野 27秒90【4位】
女子200メートル背泳ぎ
山口真旺(スポ3=兵庫・須磨学園) 2分18秒78【42位】
志賀珠理奈(スポ2=埼玉・武南) 2分20秒76【48位】
男子200メートル背泳ぎ
大芦知央(スポ1=大阪・関大北陽) 2分6秒80【44位】
女子100メートル自由形
渡部 55秒96【10位】
男子100メートル自由形
荒木 50秒98【25位】
渡辺 51秒06【29位】
高木遼司(スポ3=大阪・生田) 51秒72【52位】
女子400メートル自由形
伊藤 4分18秒73【17位】
男子400メートル自由形
坂井 3分54秒45【9位】
阿久津直希(スポ3=埼玉栄) 3分56秒76【22位】
井上奨真(スポ2=県岐阜商) 4分1秒43【54位】
八木隼平(スポ4=京都外大西) 4分3秒74【63位】
コメント
決勝進出者
上野聖人主将(社4=神奈川・法政二)
――レース後、まずなにが目に入ってきましたか
最初はぱっと見分からなかったのですが、少ししたら自分が一番だということがわかりました。そしたら少し笑ってしまいましたね(笑)。まさか勝てるとは思わなかったです。
――タイム的にもすごくよかったですね
そうですね。自己ベストを更新することができたのですごく嬉しいです。
――入場の時のポーズは決めていたのですか
そうですね。あれはOBの方がいつもやっていて、やれって言われたので(笑)。やらせていただきました。
――入場の際は渡辺一平選手が応援席にいたと思いますが何か声をかけられましたか
そうですね。言葉をかけてくれて冗談も言ってくれたので、緊張がほぐれました。
――リラックスして臨めたのですね
はい。応援もたくさんあったのでリラックスしてできました。
――予選後は焦りがあったということですが、決勝では修正できましたか
感覚的にはたぶん修正できたと思います。ビデオを見て確認しないとわかりませんが、感覚的にはできていたと思います。
――あすの男子200メートル平泳ぎに向けての意気込みをお願いします
早稲田基準を切ってインカレにつなげていきたいです。ベストとは結構離れているのですが、もう一人坂田(匠、スポ3=新潟一)もいるので一緒に頑張ってインカレにつなげていきたいです。
瀬戸大也(スポ4=埼玉栄)※囲み取材より抜粋
――背泳ぎを振り返って
58秒台を出したかったですね。予選のときよりも、出し方がわからない感じで最後バテだという感じではなかったのですが、やはり得意種目の選手は速いなと思いました。
――男子400メートル個人メドレーに関しては
前半の200メートルは2分を切って入りたかったのですが、なぜかそこから体がきつい中で動き始めて、最後の自由形はベストラップで泳ぐことができたので後半は良かったですね。前半は疲れがなかったらもう少しいけますし、今の段階では練習の成果が出せているなと感じています。負けたのですが自信になりました。タイムと優勝は欲しかったですが、五輪に向けては自分にとってすごく充実した一日となりました。
――萩野選手は気になりましたか
公介は一本だったので、公介のことは気にせずに自分のペースでいこうと思いました。ですが、前半は遅かったです。
――萩野選手との直接対決はこの種目では最後になりますね
自分的には良い感じではないかなと思います。まだまだこれだけのタイム差があるということが記録として見えていますし、またさらに気が引き締まります。日本選手権よりも差は縮まってきていることもわかったので、もっと頑張ろうと素直に思いました。
坂井聖人(スポ3=福岡・柳川)※囲み取材より抜粋
――きょうのレースを振り返っていかがでしたか
400のフリー(男子400メートル自由形)は男子200メートルバタフライの後半も兼ねて取り組んだ種目だったので、できれば49秒あたりを狙っていきたかったので、あまり納得のいかない結果に終わってしまった。
――あしたに向けての意気込みをお願いします
あしたは男子100メートルバタフライなので、この状態で自己ベストの52秒5を超えられたらいいなと思います。
渡部香生子(スポ2=東京・武蔵野)※囲み取材より抜粋
――きょうの女子50メートル平泳ぎについていかがでしたか
スタートを修正することを気にしてしまい、起き上がりまでがあまりうまくいかなかったと思ったので、それをあしたの200メートルにつなげられるようにしたいと思います。
――あしたの2種目について意気込みをお願いします
あしたは200メートルを全部で4本泳ぐことになると思うので、すごく体もきついと思いますが、しっかり目的をもって最後まで諦めずに泳げたらなと思います。
――目標タイムなどはありますか
日本選手権のタイムをどちらの種目でも上回ることが今大会での目標でもあるので、しっかりそれを達成できたらいいなと思います。
B決勝進出者
荒木優介副将(人4=三重・暁)
――レースを振り返っていかがですか
力が足りないなという感じですね。
――予選では25位でしたがどのような経緯でB決勝に進まれたのでしょうか
外国選手が結構抜けて、棄権者が1人出たので出場することになりました。
――予選の泳ぎからどのようなところを修正してきましたか
予選はレースの中で泳ぎを探っている感じだったので、今回はある程度どうやって泳ごうか決めて泳ぎました。
――B決勝ではどれくらいのタイムを目指していましたか
遅くても50秒6くらいは出したかったですね。
――今大会はどのような意気込みで臨んでいますか
今回は代表権などは懸かっていませんが、国内で2番目に大きい大会だと思うので、その舞台に恥じないような結果を出したかったです。
――あすの男子50メートル自由形への意気込みをお願いします
全力でやるだけです。
伊藤愛実(社2=東京・早実)
――予選のレースについてはいかがでしたか
予選では、400メートルよりも200メートルの練習を中心的にやってきていたので、少し不安な部分もありましたが、とりあえず泳いでみようという気持ちで泳ぎました。
――B決勝でのタイムについてはいかがですか
予選でラップ的にも全体のタイムでもいいところが一つもありませんでした。また、いつも決勝でタイムを落としてしまうので、予選よりはタイムを上げようと思って泳ぎました。
――決勝のタイムについてはどうお考えですか
最近18秒から抜け出すことができなかったので、ベストと比べると遅いですが、17秒台にのせることができてまあまあよかったかなと思います。
――レースプランはありましたか
普段400メートルの練習をしていないので特になかったのですが、良いところがひとつもなくだらだら終わってしまうのは嫌だなと思っていたので、最初だけでも名前が呼ばれるようにしたいなと思って泳ぎました。
――今後の目標についてお願いします。
今回目標にしていた女子200メートル自由形でB決勝にも残れなかったので、しっかり夏までにもう一度鍛え直して、夏に戦えるようにしたいです。
予選後
上野聖人主将(社4=神奈川・法政二)
――昨日は男子50メートル平泳ぎで結果を残したいと話されていましたが、レースはいかがでしたか
タイムもベストに近いのでよかったですし、とりあえず次決勝に行けるので、それはすごくよかったと思います
――小関選手と隣でしたが、その点で何か感じたことはありますか
やはり浮き上がりとか細かい技術がすごくあって、後半離されてしまったので、とてもレベルの高い選手だなと感じました
――午後はどれくらいのタイムを狙っていきたいですか
ベストが確か27秒8くらいなので、それを更新して27秒台5くらい狙っていけたらと思います
――何か改善点はありますか
泳ぎが、まだ焦ったりして崩れた部分があったので落ち着いて調整して水のかかりだったりを確認したいです
瀬戸大也(スポ4=埼玉栄) ※囲み取材より抜粋
――まずは予選1本目を泳いでみて感触はいかがでしたか
きのうの疲れもあるのですごく重たかった感じで、泳ぎながら重いなというのを感じながら泳いで、きょうはしっかりと決勝に残ればいいかなと思ったので、しっかりとこの2種目の背泳ぎで、決勝に残れるように頑張りたいなと思います。
――背泳ぎを泳ぐのはいつ以来ですか
きょねん、大学のローカルな試合で1回出たことがあるので、こういう大きな会場で泳ぐのは初めてなので、スタートとか失敗せずに泳げたらなと思います。
――昨日の夜は萩野選手とどのようなお話とかされましたか
普通の話をして寝ました。
――バチバチは
していないですね。
――まずは400メートル個人メドレーの決勝でどんな泳ぎをしたいか教えて下さい
きのうもバタフライでは日本選手権と同タイムで、自分の納得いくようなタイムは出ていないですが、昨日はレース展開的にはかなり収穫のあるレースができたので、きょうも何かしら収穫のあるレースがしたいなと思うので、前半の200メートルから意識して入っていけたらなと思います。
阿久津直希(スポ3=埼玉栄)
――後半は速くなってきたと思いますが、レースはいかがでしたか
自分の中でレース展開は考えていたのですが、泳いでいてそれ通りにいかなくて、力が入りづらかったですね。
――本当はどのように考えていたのですか
本当は前半100メートルは楽にいって、そこからラップを刻んでラスト上げようと考えていたんですけれど、最初の200メートルくらいから身体がいっぱいいっぱいで、後半が思ったほどはあげられなかったです
――今回のジャパンオープンにはどんな気持ちで臨みましたか
まだ終わっていないのでわからないですけど、きょねんのB決勝のタイムだと、ベストを出せばB決勝に残れる予定だったので、ベストを最低限でも更新してB決勝に残りたいなと思っていました。ですが、いまのタイムだと厳しいですね。
――日本選手権では緊張されたそうですが、今回はいかがでしたか
今回も選手権から1か月くらいなので、またタイム出るかなとか緊張していましたね。あとは招集所で水着が破れちゃって走って戻って、新しいものに着替えて、となってしまって、それが初めてだったので余計に焦ってあまり集中できなかったです。
――次の早慶戦の意気込みを教えてください
早慶戦は男子200メートル自由形でまだインカレのレギュラーがまだとれていないので、それの基準をまず切ることと、男子400メートル自由形のベストをまた更新したいと思っています
山口真旺(スポ3=兵庫・須磨学園)
――今大会、どんな気持ちで臨みましたか
日本選手権が終わってなかなか気合いが入りにくいのですが、レギュラーに入って自分が泳げるかというのを確認するという感じの試合なので、頑張りました。
――レースを振り返っていかがでしたか
すごく最悪な状態なのですが、たくさん課題が見つかったなという感じです。
――目標としていたタイムはどれくらいだったのですか
女子200メートル背泳ぎは久々だったので、ベストはきついと思ったのですが、15秒台くらいでいきたかったです。なので、もう全然だめだなという感じです。
――夏に向けてそういった課題はどうやって改善していきたいですか
100メートルは選手権より速くタイムが出るように、ターンが失速してしまうのでそこが一番の課題かなという感じです。200メートルは苦手で波があるので、そこをなくすようにして、決勝に残れるようにベストを目指して頑張っていきたいなと思います
髙木遼司(スポ3=大阪・生田)
――レースを振り返っていかがでしたか
横が荒木さんだったので、ちょっと前半突っ込むのが怖くて、前半抑え過ぎました。
――目標としていたタイムはどれくらいでしたか
51秒台3を目標にしていたのですが、全然及ばなかったです。
――男子50メートル自由形も残っていますが、改善点はありますか
改善点はスピードがなかったので、あすまでにスタートなどのスキルを上げたいと思っています。
井上奨真(スポ2=県岐阜商)
――今のレースを振り返って
タイムがひどいので、何とも言えないというか、情けないです。
――タイムはどのあたりを狙っていましたか
ベストを狙っていたのですが、55秒台は最低でも出したかったです。
――タイムが伸びなかった原因などは
練習はきちんと取り組めていたのですが、最近ずっと体調が悪いのでコンディショニングの問題だったかなと思います。
――次は早慶戦となると思いますが、これから夏に向けて強化していきたいことを教えてください
早慶戦はインカレに向けてのレースとなると思います。早慶戦ではとりあえずベストを出して、今回は前半も後半も全部だめだったと思うので、一からまた強化をしていきたいと思います。
池江毅隼(スポ1=東京・日大豊山)
――レースを振り返っていかがでしたか
全然だめでした。
――どんなところが課題だったのでしょうか
大学に入ってから思うようにレースができないというのがずっと続いていたので、そんな感じの結果でしたね。
――どのような意気込みで臨みましたか
3位だったら決勝とか狙えたので、残念です。
――やはり調子はあまり上がってきていないのでしょうか
そうですね。