激闘が繰り広げられた日本選手権から早1か月半。リオデジャネイロ五輪前の国内最後の大きな大会であるジャパンオープン2016(50メートル)が開幕した。今回は海外の選手も出場するレベルの高い大会となっている。リオ五輪出場組はチームJAPANとして出場。初日から多くの選手が躍動した。
★Wワタナベ活躍!渡辺は大幅に自己ベストを更新!
表彰台で笑顔を見せる渡部
女子100メートル平泳ぎ決勝では、渡部香生子(スポ2=東京・武蔵野)が前半から積極的なレースを展開。入りの50メートルを31秒59とまずまずのタイムで折り返した。しかし後半では思うように伸びず、レース終了後には首をかしげた渡部。「物足りない結果だった」と、優勝したものの記録には満足せず。リオ五輪に向けて現状を把握するレースとなった。一方、男子100メート平泳ぎでは渡辺一平(スポ2=大分・佐伯鶴城)が好調ぶりをうかがわせる結果に。渡辺は予選から1分0秒65と好記録をマーク。決勝でも前半の50メートルを1位と0.04秒差の28秒31で折り返すと、そのまま1分0秒14と2位でフィニッシュし、ガッツポーズを見せる。「まさかこんなにも(タイム)が出るとは思わなかった」と本人も驚く自己ベスト更新となった。
(記事 杉野利恵、写真 大森葵)
★オリンピックに向け課題を見つけるレースに
この日2種目の出場となった瀬戸
男子200メートルバタフライには瀬戸大也(スポ4=埼玉栄)と坂井聖人(スポ3=福岡・柳川)の代表組が出場した。2人とも予選を通過すると、決勝では隣のレーンでレースを進めることに。序盤から瀬戸がレースを引っ張り、坂井との差は徐々に離れていく。瀬戸は「自分のなかでもハイレベルなペースで試合ができた」と語るように150メートルを日本記録よりも早くターン。ラスト50メートルで疲れが出てきた瀬戸の背中を坂井がとらえるが、そのまま瀬戸が逃げ切り優勝。坂井は2位に終わった。共にオリンピックの舞台で目指すのは1分52秒台。瀬戸はラスト50メートルでペースを上げられるだけの体力、坂井は前半からのスピードに課題を見つけるレースとなった。また、瀬戸は男子200メートルバタフライの約15分後に男子200メートル自由形決勝に登場。「飛び込んだ瞬間にやばいと思った」(瀬戸)。前のレースでの疲れから、終始自分の泳ぎをすることはできずに1分51秒19の7位に終わった。
(記事 杉野利恵、写真 大森葵)
結果
◇決勝
男子100メートル平泳ぎ
渡辺 1分0秒14【2位】
女子100メートル平泳ぎ
渡部 1分6秒75【1位】
男子200メートルバタフライ
瀬戸 1分54秒14【1位】
坂井 1分54秒30【2位】
男子200メートル自由形
瀬戸 1分51秒19【7位】
◇B決勝
男子100メートル平泳ぎ
上野聖人主将(社4=神奈川・法政二) 1分1秒61【2位】
女子200メートルバタフライ
田村美紅女子主将(スポ4=埼玉栄) 2分13秒40【4位】
志賀珠理奈(スポ2=埼玉・武南) 2分13秒63【7位】
◇予選
男子100メートル平泳ぎ
渡辺 1分0秒65【2位】
上野 1分2秒25【17位】
女子100メートル平泳ぎ
渡部 1分7秒69【1位】
男子200メートルバタフライ
瀬戸 1分57秒00【1位】
坂井 1分57秒39【2位】
女子200メートルバタフライ
志賀 2分13秒03【11位】
田村 2分13秒22【14位】
男子200メートル自由形
瀬戸 1分48秒27【5位】
井上奨真(スポ2=県岐阜商) 1分51秒77【28位】
八木隼平(スポ4=京都外大西) 1分53秒70【50位】
女子200メートル自由形
伊藤愛実(社2=東京・早実) 2分2秒81【21位】
男子100メートル背泳ぎ
大芦知央(スポ1=大阪・関大北陽) 57秒89【44位】
女子100メートル背泳ぎ
山口真旺(スポ3=兵庫・須磨学園) 1分3秒51【29位】
男子1500メートル自由形
寺崎拓海(スポ3=茨城・並木中教校) 16分1秒65【36位】
コメント
決勝進出者
瀬戸大也(スポ4=埼玉栄)※囲み取材より抜粋
――男子200メートル自由形はさすがにバテましたか
やばかったです。飛び込んだ瞬間、これはやばいなと思いました。浮き上がったらやはり、公介(萩野、東洋大)に体半分くらい差をつけられていて。でもきょうの目標の男子200メートルバタフライで積極的にいくということができましたし、150メートルまでは1分22秒3と自分のなかではハイレベルなペースで泳げていていました。最後のラスト50メートルはすごくきつかったのですが、体のキレや調子が絶好調であれば(150メートルを1分)19秒半ばでいけると思いましたし、それでいけたら絶対に(1分)52秒台が見えるので。きょうの200メートルバタフライは、ベストは出なかったもののすごく手応えのあるレースができたなと思います。
――200メートルバタフライに関して、今後どのような点を強化していきたいですか
ラスト50メートルで上げていくという体力をつけていきたいと思うので、練習あるのみだと思います。あとは試合が近づいていくにつれてキレや気持ちも最高潮に高ぶってくると思うので、200メートルバタフライの方でもいい感じだと思います。
坂井聖人(スポ3=福岡・柳川)※囲み取材より抜粋
――試合を振り返っていかがですか
調整していないなかで(1分)53秒台を出せばオリンピックでは必ず(1分)52秒が見えるので、(1分)53秒台を狙っていました。決勝ではそのタイムを出そうと思い気合いをいれて行きましたが、(1分)54秒前半というタイムはやはりうれしいというよりも悔しいし、瀬戸さん(大也、スポ4=埼玉栄)にも負けてしまったので、まだまだ足りないなと思います。
――これからどのような点を強化していきたいですか
今回泳いでみて前半から(瀬戸に)置いていかれてしまって、最後にちょっとつめたのですが、瀬戸さんが少しバテてしまっただけなので。前半のスピードが上がらないと世界では戦えないので、スピードの強化が必要かなと思います。
渡辺一平(スポ2=大分・佐伯鶴城)
――決勝のレースを振り返ってみていかがですか
予選でいい泳ぎができたので、自己ベスト更新を目標に臨みました。まさかこんなタイムが出るとは思っていなかったので、59秒まで出したかったなという気持ちはあります。
――納得のタイムですか
まさかこんなにも出るとは思っていなかったので。
――要因はどのように考えられていますか
今まで練習も積んでいましたし、レースの入場のときにチームジャパンの人が応援してくれたので、気持ちよくレースに臨めたからではないかなと思います。
渡部香生子(スポ2=東京・武蔵野)※囲み取材より抜粋
――決勝のレースを振り返っていただいていかがですか
前半のわりにはもう少しタイムが欲しかったなと思ったのですが、オリンピックに向けての課題はしっかりと見えたと思うので、詰めが甘かったところを強化していきたいと思います。
――タッチした瞬間に首を振っていましたね
(1分)6秒前半くらいは出るかなと思っていたので、物足りない結果だったかなと思います。
――前半についてなのですが、積極的に行こうというのがありましたか
積極的なレースをしようと元から思っていました。今回は落ち着いて速くというのができたかなと思いますが、その分後半が伸びなかったかなと思います。
B決勝進出者
上野聖人主将(社4=神奈川・法政二)
――B決勝を振り返っていかがですか
予選よりタイムが上がったので、素直にうれしいです。
――予選と比べて前半の入りはいかがでしたか
予選に比べて前半のタイムは落ちてしまいましたが、楽な感じで入れたと泳いでいて思いますし、後半上げられたので、そこにつながる泳ぎができたと思います。
――ジャパンオープンの残りの種目への意気込みをお願いします。
あしたの50メートル平泳ぎは1番得意な種目なので、絶対に決勝に残って結果を出したいなと思います。200メートル平泳ぎでは、日本学生対校選手権につながるようにしっかりタイムを切りたいと思います。
志賀珠理奈(スポ2=埼玉・武南)
――200メートルバタフライにどのような目標をもって挑まれましたか
日本選手権が終わって、あまり良い練習は積めていなかったなかで今どのぐらいのタイムで泳げるのかというので望みました。
――結果についてはいかがですか
予選が良くはなかったのですが、日本選手権のタイムとはあまり変わりませんでした。B決勝では0,01秒でもいいからあげようと思っていましたが、タイムを落としてしまったので課題の残るレースでした。
――夏に向けてどのように調子を上げていきたいですか
100メートルバタフライでは少しでもベストタイム近くで泳げるように、あしたと明後日があるのでその二日間で調子を上げてレースに臨みたいです。
予選後
上野聖人主将(社4=神奈川・法政二)
――レースを振り返ってみていかがですか
泳ぐ前のプランとしては、今までは後半がもっていなかったので持たせたいと思って、前半は少し楽に入ったのですが、それが逆に裏目に出てスピードに乗り切ることができなかったなと思います。
――どのような意気込みでこの大会に臨んでいますか
インカレの基準にタイムを切らなければいけない試合で、100メートルは切れているのですが、200メートルは切れていないので、200メートルにシフトをしていくつもりだったのですが、物足りない感じになりました。
――調子的にはいかがでしょうか
あまりよくないというのが正直なところです。
――何か次への課題などは見つかりましたか
あしたは50メートルなので、勢いだけでどうにかいきたいと思いますが、手の掻きや足でどれだけ水を掻けられるかということが今できる最大の調整だと思うので、しっかりと意識して50メートルは200メートルにつながるようなレースにしたいと思います。
田村美紅女子主将(スポ4=埼玉栄)
――今のレースを振り返って
アップの時に正直体が動かなくてやばいかなと思ったのですが、タイム的にはまあまあかなという感じはします。ですが、泳ぎがつまっていたところがあったので、もしもう一回泳げるのであればちゃんとドリルで修正をして11秒、12秒を狙っていきたいと思います。
――今大会はどのような意気込みで臨んでいますか
日本選手権が終わってすぐまた泳ぎだして、ゴールデンウィークも泳ぎこみをしていました。今回は日本選手権と違って5種目にエントリーをしていて、9月のインカレに向けて何本泳いでも体力が持つようにという意識で臨んでいます。
――調子の方はいかがですか
日本選手権のように1週間前からバシっと決めているわけではなくて、ちょっと合わせてきているかなという感じはあるのですが、それでもメンタルの部分で気持ちが楽なのでそれなりのタイムを出したいと思っていますし、1バタ(女子100メートルバタフライ)に関しては選手権よりも早く泳ぎたいなと思っています。
八木隼平(スポ4=京都外大西)
――今のレースを振り返っていかがですか
久しぶりの200メートルだったのでわからなかったのですが、今の持っている力は出せたかなと思います。
――タイム的にはいかがでしょうか
狙っていたタイムよりはだいぶ遅いので、課題をコーチと話し合って見つけて、インカレでは上位を狙えるようにしたいと思います。
――この大会はどのような意気込みで臨んでいますか
インカレ選考がかかっていたので、自分の中では重要視をしていた試合でした。ですが、このような結果で終わってしまったので、また一から努力したいと思います。
寺崎拓海(スポ3=茨城・並木中教校)
――レースを振り返ってみていかがですか
遅いのはわかっていたのですが、それでも思ったよりも遅かったですね。
――この大会はどのような意気込みで臨んでいますか
ゴールデンウィークで結構泳いだのでその成果が出ればいいなと思っていたのですが、調整の期間の1週間があまりにもおそかったので、こんなものかなと思います。
――次は早慶戦となってくると思います。そこに向けてどのように修正していきますか
とりあえず一回一回の練習を集中してやっていけば、良い結果が出るのではないかなと思います。
伊藤愛実(社2=東京・早実)
――レースを振り返ってみていかがですか
これでは遅すぎてたぶん午後にも残れないと思うので、どうしようもないレースをしてしまったなと思います。
――今大会はどのような意気込みで臨んでいますか
選手権では準決勝で終わってしまったので、決勝に残ってもう一本レースをしたいなと思っていました。
――調子はいかがですか
選手権の時からは劣るかもしれないのですが、しっかりとこの試合に向けて調整をしてきました。
――次につながる課題などは
ラップをまだ見ていないのでわかりませんが、前半がとても遅かったと思うので楽に早く前半から入ることができるようにしたいと思います。
井上奨真(スポ2=県岐阜商)
――レースを振り返って
タイムをあまり確認していませんが、後半が課題かなと思います。
――1分51秒77というタイムでした。この記録についてはいかがでしょうか
最低限早稲田基準であるインカレに出る基準を切るのが目標だったので、それは切れてよかったのですが、タイムはベストを出したかったので悔しいですね。
――この大会はどのような意気込みで臨んでいますか
日本選手権があまり良くなかったので、その悔しさを晴らそうと思っていたのですが、いまひとつという感じでしたね。
――何か次への課題などは見つかりましたか
後半の強化かなと思います。
大芦知央(スポ1=大阪・関大北陽)
――今のレースを振り返っていかがですか
タイムが良くないので、納得できないかなという感じです。
――調子はいかがでしたか
悪くないと思っていたので、そこそこのタイムを出せるかなとは思っていたのですが、タイムが出なかったですね。
――この大会はどのような意気込みで臨んでいますか
僕自身3回目のジャパンオープンで、大学生にもなりましたし、B決勝に残れるようなタイムは持っているので、残りたかったですね。
――今の段階で何か課題がわかっていたら教えてください
調子が悪くないにも関わらずこんな情けないタイムなので、色々なところに問題があると思います。なので、見直して頑張りたいなと思います。