大会三日目のきょうは渡部香生子(スポ2=東京・武蔵野)が女子100メートル平泳ぎでリオデジャネイロ五輪の代表権を獲得。また渡部は順当に女子200メートル個人メドレーでも決勝進出も決め、あすも見逃せない一日となりそうだ。
★渡部、リオ五輪内定!
レース後、笑顔で歓声に応える渡部
女子100メートル平泳ぎ決勝の注目選手・渡部。直前に行われた女子200メートル個人メドレー準決勝の疲労が残る中での挑戦となった。序盤から大歓声が会場を包み込む。前半を4位で折り返すと、勝負の後半は伸びのある泳ぎで追い上げた。最後はタッチ勝負を制し、この瞬間にリオ五輪内定が確定。渡部は晴れやかな表情で渾身のガッツポーズを見せ、観衆に向かって手を振った。きょねんの世界選手権では僅差で4位に沈んだこの種目。同じく紙一重の戦いとなるリオ五輪に向けては「しっかりとスピードも強化していきたい」と意気込み、もちろん表彰台を狙いに行く。
(記事、写真 寺脇知佳)
★志賀、山口共にタイムを伸ばせず
バタフライを泳ぐ志賀
女子200メートルバタフライには志賀珠理奈(スポ2=埼玉・武南)が出場した。大会一日目に行われた女子100メートルバタフライでは思ったようなタイムを出せなかった志賀。予選を10位で通過し、挑んだ準決勝。予選よりも良い記録で泳ぐことを目標としていたが、後半伸び悩んでしまった。「悔いが残るレースになってしまいました」とレースを振り返った。一方、山口真旺(スポ3=兵庫・須磨学園)は女子100メートル背泳ぎに登場。準決勝のレースでは志賀と同様、タイムを上げることができず決勝に進むことはできなかった。「いつもとは違う独特な緊張感もありました」と振り返った山口。志賀、山口共に今大会で課題が見えたようだ。
(記事 大森葵、写真 寺脇知佳)
★田村女子主将は準決勝敗退、渡部はあすの決勝へ
平泳ぎを泳ぐ田村女子主将
女子200メートル個人メドレーには早大から二名の選手が出場。田村美紅女子主将(スポ4=埼玉栄)はこの種目は専門ではないものの、「必ず2回泳ぎたい」と意気込み臨んだ。言葉通り予選を14位で通過し、準決勝に駒を進める。「自己ベストまであと少しだったのでもう少しいきたかった」。予選よりもタイムを上げたが、決して納得することはなかった。次週開催される東京六大学春季対抗戦では8種目に出場するという田村女子主将。泳ぎでチームを引っ張る覚悟だ。一方の渡部は、すぐ後に女子100メートル平泳ぎの決勝が控えていることもあり、準決勝は11秒台を狙うプランで臨んだ。すると得意の平泳ぎで伸びのある泳ぎを見せ、狙い通りのタイムでフィニッシュ。全体の1位で決勝進出を決めた。この種目でもリオ五輪の内定を獲得できるか。あすも渡部の活躍から目が離せない。
(記事 大森葵、写真 寺脇知佳)
結果
◇決勝
女子100メートル平泳ぎ
渡部 1分6秒57【1位】
◇準決勝
女子100メートル背泳ぎ
山口 1分2秒26【14位】
女子200メートルバタフライ
志賀 2分13秒71【14位】
女子200メートル個人メドレー
渡部 2分11秒58【1位】
田村 2分15秒94【13位】
◇予選
女子100メートル背泳ぎ
山口 1分2秒37【15位】
女子200メートルバタフライ
志賀 2分12秒79【10位】
女子200メートル個人メドレー
渡部 2分13秒61【3位】
田村 2分16秒20【14位】
コメント
決勝進出者
渡部香生子(スポ2=東京・武蔵野) ※囲み取材より抜粋
――率直な感想は
正直(世界選手権で)金メダルを取ってから辛いことの方が多かったのですが、諦めないで頑張ってきてよかったなと素直に思っています。
――ここまで間に合った要因は
自分の得意なところでもある気持ちの切り替えがこういう結果につながったのだと思います。
――レースは納得のいく泳ぎはできましたか
そうですね。後半が勝負だと自分でも思っていたので、想像通りのようなレースをすることができてよかったと思いますし、残りの種目にもつながるレースができたと思います。
――リオでのこの種目での目標は
きょねんの世界選手権ではタッチ勝負に負けて4位だったので、リオではそういうことがないようにしっかりとスピードも強化していきたいと思います。
――女子200メートル個人メドレー準決勝の内容はいかがでしたか
準決勝では11秒台でいきたいと思っていました。前半も予選よりは良い泳ぎができたかなと思うので、あすの決勝ではしっかりと前半から上げていきたいなと思います。
――好調な選手も多い中で代表権を勝ち取る自信はどのくらいありますか
やはり勝とれるかどうかという不安も少しはあるのですが、しっかりと自分を信じて諦めないでやりたいなと思います。
準決勝進出者
田村美紅女子主将(スポ4=埼玉栄)
――レースを振り返ってみていかがですか
タイムは予選よりも上がったのですが自己ベストまでもう少しということで、そこはもう少しいきたかったですね。
――予選ではバタフライからきつかったとおっしゃっていましたが今回はいかがでしたか
予選よりもだいぶ落ち着いていけていて、自分の専門種目ではないということで気持ちは楽にいけていたのですが、平泳ぎの泳いだ感じが少しよくなかったです。
――予選で感じた重さというのはとれましたか
そうですね。それも気負いがないというのもそうですし、きょうはワセダで出たのが私だけだったのでサポートの方やスタッフの方の心遣いが糧になったなと感じています。
――今大会で得た収穫や課題を教えてください
特にバタフライの方で感じたのは、予選が終わって次の課題はどうしようかと考える時に自分で最初に思ったことと違うことを課題としてしまって、それがすごく悔やまれます。準決勝では最初からつっこむと決めていたのですが、もう少し冷静に考えて準備をする必要があるなと感じました。次への課題としては予選よりも準決勝のタイムを上げることですね。六大学のレースもすぐ控えているので、こなすのではなくてしっかりとタイムを出していきたいなと思います。
――春六への意気込みをお願いします
今回はエースの渡部香生子選手もいないのですが、チームとしてどうするかを戦略として話し合ってもいるので、まずはチームとして目標を達成したいと思います。個人としては8種目というとてもタフな試合になると思うのですが、引っ張っていけるような泳ぎをしたいなと思います。
山口真旺(スポ3=兵庫・須磨学園)
――いまのレースはいかがでしたか
タイムも上がらず、残念でした。
――準決勝に向けてどのような点を意識していましたか
後半あまり体が動いていなかったので、そこを動かせるように練習をしたのですが、あまりタイムが上がらなかったので残念でした。
――緊張感などはありましたか
そうですね。いつもと違う独特な雰囲気だったので緊張しました。
――今大会で得た収穫や課題を教えてください
朝の予選が弱いので、またやり方などを変えてタイムを上げられるようにしっかりやっていきたいと思います。
志賀珠理奈(スポ2=埼玉・武南)
――レースを振り返っていかがですか
予選よりもタイムを落としてしまったので悔いが残るレースになってしまいました。
――準決勝に向けて修正してきたポイントなどはありますか
できるだけフラットな泳ぎができるようにアップの時点で泳いでいました。
――次に向けての課題は見つかりましたか
2本目でタイムを落としてしまって大幅にタイムを上げて決勝につなげることごできなかったので、それが今後の課題になってくると思います。
予選後
田村美紅女子主将(スポ4=埼玉栄)
――レースを振り返ってみていかがですか
正直すごくバタフライからきつかったかなという感じはしますね。
――タイム的にはもう少しでベストというところでしたが
そうですね。ですが、15秒台を狙っていたのでもう少し欲しかったです。
――女子100メートルバタフライの疲れなどは残っていましたか
それは特にはなかったですね。それよりもバタフライばかりを練習してきたので、それ以外の泳ぎをどう詰めていくかというところを考えていました。
――準決勝に向けての修正点などあれば教えてください
まずはビデオを見たいと思うのですが、バタフライが一掻き多かったことが気になるのと、全体的に重かったなと思ったので最後の自由形ももう少し頑張れるかなと思います。
山口真旺(スポ3=兵庫・須磨学園)
――レースを振り返っていかがですか
予選からもう少し早いタイムでいきたかったので少し残念ですね。
――この日本選手権に向けて強化してきたポイントは
グアム合宿に行ってそこで泳ぎこんで、その分一週間はスピードがなくなったので二部練習をしていました。今回前半は伸びたので、その成果かなと思います。
――準決勝への意気込みをお願いします
準決勝の残ることができたら決勝を目指したいです。1秒前半を出さないといけないと思うので、ベストを目指して頑張ります。
志賀珠理奈(スポ2=埼玉・武南) ※囲み取材より抜粋
――どのような意気込みで臨みましたか
100メートルのバタフライでベストを更新できなかったのですが、それまでの練習はすごくよかったので、とりあえず予選は自信を持って気持ちよく泳いで準決勝に進めるようにしたいなと思っていました。
――準決勝ではどのくらいのタイムを目標にしていますか
この試合では8秒台を出すつもりでいるので、2分9秒台くらいであすの決勝に進めるように泳ぎたいと思っています。
――前半はどれくらいで入りたいですか
2秒0が目標なので、2秒前半くらいでいきたいです。
――この試合に向けてどのような点を鍛えてきましたか
1か月間中国に高地合宿に行って持久力の向上やスピードを今まで以上に鍛えてきました。
――日本選手権の雰囲気というのはどう感じていますか
五輪選考会ということもあって、周りの緊張感も全く違いますね。雰囲気にのまれやすいので、そこで自分のレースがしっかりとできれば今後につながると思います。
――準決勝に向けて
決勝に残ることが目標ではないので、予選から切り替えてしっかりとタイムの目標を達成できるように頑張りたいと思います。
渡部香生子(スポ2=東京・武蔵野) ※囲み取材より抜粋
――感触の方はいかがでしたか
朝のアップでは少し重いなと感じることがあったのですが、これくらいのタイムで泳ぎたいなというタイムでは泳ぐことができたのでまあまあ良かったのではないかなと思います。
――4種目の中で良かった種目はありますか
前半の2種目は積極的に泳ぐことができたのではないかなと思います。
――忙しい一日となりますが午後に向けて
準決勝ではできるだけ余裕を持って決勝に進むことを意識して、平泳ぎに関してはしっかりと出せる力を出したいなと思っています。