競泳の日本一を決める日本選手権が開幕した。リオデジャネイロ五輪選考を兼ねている今大会は、独特な緊張感に包まれている。その中で早大勢は初日から活躍。きょうから7日間、目の離せない熱き戦いが続く。
★瀬戸、萩野に敗れ2位に
レース後、萩野と握手をする瀬戸
この種目ではリオ五輪の内定をすでに手にしている瀬戸大也(スポ4=埼玉栄)。予選を2位で通過し、決勝に臨んだ。レースは得意のバタフライで先手を取れず、苦しい展開に。すると背泳ぎを得意とする萩野公介(東洋大)に大きくリードされてしまう。その後の平泳ぎでも勢いに乗ることができなかった。「五輪選考会は独特な雰囲気があると思いました」。大会一日目ということもあり、緊張感のある雰囲気を強く感じたようだ。調子自体は良いと語っている瀬戸。男子200メートル個人メドレーと男子200メートルバタフライでの完全燃焼するレースを期待したい。
(記事 大森葵、写真 井口裕太)
★上野主将、自己ベスト更新であすの決勝へ
決勝進出をきめた上野主将
上野聖人主将(社4=神奈川・法政二)が会心の泳ぎを見せた。男子100メートル平泳ぎに出場した上野主将は予選を13位で終える。迎えた準決勝。前半の50メートルを、北島康介(日本コカ・コーラ)らを抑え1位で折り返す。課題としていた後半も「予選よりは体が動いた」と振り返るように、粘り強く食らいついた。タイムは1分0秒86と、自己ベストを大きく塗り替え7位で決勝進出。あすの決勝レースではさらなる記録更新を狙う。
(記事 大森葵、写真 井口裕太)
★田村女子主将、惜しくも準決勝敗退
バタフライを泳ぐ田村女子主将
田村美紅女子主将(スポ4=埼玉栄)は女子100メートルバタフライに出場した。「予選は前半があまり良くなかったので突っ込んでいこうと思った」。予選のレースをこう振り返った田村女子主将は、その言葉通り準決勝では予選よりも早いタイムで50メートルを折り返す。しかし後半にあげていくことができなかった。「最近は予選よりも準決勝、決勝でタイムが落ちてしまう」と課題を口にした田村女子主将。このレースで見つかった改善点を修正し、女子200メートル個人メドレーに挑む。
(記事 大森葵、写真 井口裕太)
★自由形中距離勢、力を出し切れず
レース後、タイムを確認する阿久津
男子400メートル自由形には早大から3名の選手が出場した。「すごく緊張していた」と振り返ったのは、初の日本選手権に挑んだ阿久津直希(スポ3=埼玉栄)。タイムは3分55秒62で目標としていた54秒台には届かなかったが、「相応のタイムが出た」と語るように次につながるレースとなった。メキシコでの高地トレーニングを行いこの大会に臨んだ井上奨真(スポ2=県岐阜商)は、隣のレーンを泳ぐ江原騎士(自衛隊)を意識せずに臨んだが、逆に慎重に入ってしまい波に乗れず。また体調面も万全ではなく、「次はコンディショニングにも気を遣いたい」とレース後に課題を口にした。八木隼平(スポ4=京都外大西)も力を発揮できず、3名とも決勝に駒を進めることはできなかった。今大会で得た課題と収穫を生かし、層が厚い早大自由形中距離陣の中で切磋琢磨(せっさたくま)しながら上を目指してほしい。
(記事 大森葵、写真 井口裕太)
結果
◇決勝
男子400メートル個人メドレー
瀬戸 4分13秒52【2位】
◇準決勝
男子100メートル平泳ぎ
上野 1分0秒86【7位】
女子100メートルバタフライ
田村 1分0秒42【10位】
◇予選
男子400メートル個人メドレー
瀬戸 4分15秒96【2位】
女子100メートルバタフライ
田村 1分0秒21【9位】
志賀珠理奈(スポ2=埼玉・武南) 1分1秒60【29位】
男子400メートル自由形
阿久津 3分55秒62【20位】
井上 3分56秒20【23位】
八木 3分59秒47【32位】
男子100メートル平泳ぎ
上野 1分1秒44【13位】
渡辺一平(スポ2=大分・佐伯鶴城) 1分1秒73【19位】
コメント
決勝進出者
瀬戸大也(スポ4=埼玉栄)※囲み取材より抜粋
――レースを振り返って
まず代表に内定していてよかったなと思います。派遣標準を切れていないので、やはり五輪選考会は独特な雰囲気があって、五輪はさらに独特な雰囲気があると思いました。公介(萩野、東洋大)とも雰囲気違うよね、という話をしました。気合いを入れて臨んだのですが、なかなか体が動いていかなかったです。不完全燃焼な部分があったのですが、一回この雰囲気を感じることができたので残りの二種目はしっかりと確実に代表を決めていきたいなと思います。
――タイムが伸びなかった原因として雰囲気以外で考えられる部分はありますか
アップしているときでも調子はいいので、やはり雰囲気ですかね。でもスタート台に立ってみたらすごく燃えていて、4年前を思い出しました。泳いでいて楽しかったです。
――途中萩野選手にどんどん離されてしまいましたがどのようなお気持ちでしたか
バタフライで同時だったので、やはり自分は突っ込めていないなと感じましたし、背泳ぎの段階でもかなり差をつけられてしまって、平泳ぎは結構きつくて離されていくかなと思ったら公介も疲れていたみたいでしたね。まずはジャパンオープンでベストを出して、本番で二人とも良いパフォーマンスをしてどっちが勝つか決着をつけたいと思います。
――残り2つの種目に向けて
今回は派遣標準を切ることができなかったので、残り2つでは何としても派遣標準を切って2位以内に入りたいです。男子200メートルバタフライの方では三連覇もかかっているので、しっかりとやっていきたいと思います。
準決勝進出者
上野聖人主将(社4=神奈川・法政二)
――レースを振り返って
予選同様、すごく疲れましたね。
――タイムも予選よりも大きく上げましたが改善した点などはありましたか
もう一回一からフォームを確認して、一掻き一掻き水のかかりを意識していました。
――予選では後半体が動かなかったということでしたが準決勝のレースはいかがでしたか
予選よりは良かったと思います。
――前半は1位で折り返しましたね
そうですね。僕の取り柄は前半しかないので、前半は飛ばして後半はなるようになれという感じで動かしていました。
――今回は北島康介選手(日本コカ・コーラ)と一緒のレースでしたが緊張感などはありましたか
そうですね。雲の上の存在というか、憧れの人なので一緒に泳げたのが幸せでした。
――決勝に向けての意気込みをお願いします
もうあと一本だけなので、やるだけやってまたベストを更新して良い結果を出せればいいなと思います。
田村美紅女子主将(スポ4=埼玉栄)
―レースを振り返ってみていかがですか
前半はわからないのですが、力んで後半は浮いてしまった感じがします。
――予選から修正した点などはありましたか
予選は前半があまりよくなかったので突っ込んでいこうとしていました。また足も空振りだったので入れていくというところを修正しようと思っていました。
――タイムを予選よりも落としてしまいましたがその点いかがでしょうか
そうですね。すごく悔しい気持ちです。ここ最近予選よりも決勝の方がタイムが落ちてしまうことが多くて、どうにかここでその癖を直したかったのですが、やはりまだ何かが必要なのかなと思います。
――ゲートからの入場となりましたが緊張感はありましたか
そうですね。何回やっても緊張はあるのですが、やはり今回は最後ということでやってやろうという気持ちがあったので、緊張というよりは今泳いでみてもうちょっと出せたかなという悔しさの方が大きいです。
――次のレースに向けて
気持ちを切り替えて、2個メ(女子200メートル個人メドレー)は専門種目ではないのですが必ず2回泳げるようにしたいです。また、課題として挙げた予選より決勝のタイムをあげるというところをやっていきたいです。
予選後
上野聖人主将(社4=神奈川・法政二)
――今のレースを振り返ってみていかがですか
非常に疲れたというのが率直な感想で、前半は良い感じに入ることができたのですが、後半は体が全然言うことをきかなかったのですごく疲れました。
――日本選手権はどのような意気込みで臨んでいますか
インカレ(全日本学生選手権)など最後の夏の大会を戦っていく上で大事な大会だと思っていて、ここでレギュラー獲得などの重要な位置づけの試合になるので、絶対に獲得してやろうという思いがあります。また、ワセダはすごくレベルの高い選手もいるので、少しでも良いタイムを出して周りを盛り上げていけたらなという気持ちで泳ぎました。
――早大チームの雰囲気としてはいかがですか
まだ始まったばかりなので何とも言えないのですが、これからという感じですかね。
――ことしの日本選手権の雰囲気はどのように感じていますか
五輪選考会ということもあって、トップレベルの選手もかなり気合いが入っていたり集中をしたりしている雰囲気も感じられましたし、独特な雰囲気だなと思いますね。
――課題などは
後半の体力不足を改善していきたいです
田村美紅女子主将(スポ4=埼玉栄)
――レースを振り返ってみていかがですか
朝でまだ体が動いていないにしては、まあまあのタイムかなと思っています。でも東京都選手権では0秒1だったので、ちょっと動かなかった部分もあったかなと思います。
――ことしの日本選手権の雰囲気はいかがですか
4年前も味わっていて、その時は自分を見失っていたのですが、今回はもうラストイヤーということですごく楽しいなというのがあります。緊張もあるのですが、戦えるという自信もあります。
――この大会の目標を教えてください
まずは1バタで午後しっかりと泳いで決勝に残ること、2個メに関しては2回泳ぐことですね。とりあえず二種目ともにベストを出したいなと思っています。
阿久津直希(スポ3=埼玉栄)
――いまのレースを振り返ってみていかがですか
結構緊張をしていたのですが、アップから思うようなタイムが出ていたので、いまのタイムもそれ相応のタイムが出たかなと感じています。
――日本選手権はどのような意気込みで臨んでいますか
初めてで、すごく緊張をしていてどうなるかわかんなかったのですが、とりあえずベストということで54秒台を目標にしていました。今回の課題をまた直していきたいなと思いました。
――具体的にはどのような課題が見つかりましたか
後半キックがきつくて力が入らなかったことと、もう少し前半の100メートルをもう少し早く入れるようにするという課題が見つかりました。
井上奨真(スポ2=県岐阜商)
――レースを振り返っていかがですか
メキシコに合宿に行って高地トレーニングをして肺活量なども鍛えていたので自信はあったのですが、体調があまり良くなかったのが出てしまったなと思います。
――レースプランなどはどのように考えていましたか
となりの江原さん(騎士、自衛隊)が速いのでそれに惑わされないように意識していたのですが、逆に慎重にいきすぎたかなと思います。
――反対のとなりのレーンは八木隼平選手(スポ4=京都外大西)でしたが何か意識はしていましたか
八木さんはいつも練習も一緒なので、八木さんには負けないように頑張って泳ぎました。
――今後の目標を教えてください
次からはきちんとコンディショニングにきちんと気を遣って、次の大きな大会はジャパンオープン2016だと思うので、そこでは結果を残してインカレ(全日本学生選手権)につながるように頑張ります。
渡辺一平(スポ2=大分・佐伯鶴城)
――今のレースを振り返ってみて
ちょっと思うようにレースができなかったですね。
――ご自身のコンディションなどはいかがですか
コンディション的には悪くないと思ったのですが、タイムにつながらなかったですね。
――男子100メートル平泳ぎの目標はどのようなものでしたか
決勝に残ることだったのですが、ちょっとこれでは厳しいのではないかなと思います。
――男子200メートル平泳ぎに向けて
2ブレ(男子200メートル平泳ぎ)の練習をしてきているので、良いタイムが出るのではないかなとは思っているのですが、今回100メートルはあまり良くなかったので立て直したいなと思っています。
――ことしの日本選手権の雰囲気はどう感じていますか
4年前の選考会は出られていなかったので、今回は楽しめればいいかなと思っています。
――日本選手権での目標を教えてください
リオデジャネイロ五輪の代表権を勝ち取ることです。