団結力を深め、納得のかたちで2015年を締めくくる

競泳

 『PRIDE』。スローガンにこの言葉を掲げ、新たなスタートを切った早大水泳部。この日は関東学生ウインターカップ公認記録会に臨んだ。今大会はチーム全体としては初のレース。自己ベストを更新する選手もいるなど、充実の内容となった。

 自己ベストの更新、春の主要大会の参加標準突破などそれぞれが目標を持って出場した今大会。上野聖人主将(社3=神奈川・法政二)、田村美紅女子主将(スポ3=埼玉栄)の新キャプテン2選手は泳ぎでも部をけん引した。上野は男子200メートル平泳ぎで自己ベストを更新。田村は出場2種目共に学生トップのタイムをたたき出し、「いまの時期にしては上出来」と手応えを口にした。「みんなが自分の目標に向かって日々努力できて切磋琢磨(せっさたくま)できるような仲の良いチーム」(上野)。理想のチームづくりに向け、態度や泳ぎで仲間を鼓舞する男女主将の姿に注目だ。成長株の髙木遼司(スポ2=大阪・生田)も男子100メートル自由形で自己ベストを大きく更新。絶対的エース中村克(スポ4=東京・武蔵野)が抜ける短距離自由形勢の中で存在感を示した。

背中で部をけん引した上野主将

 最終種目の400メートルフリーリレー。男子は3チーム12名が出場し、熱い早大対決を繰り広げた。専門種目が自由形ではない選手も多く参加し、抜きつ抜かれつの勝負を展開。第3泳者の時点では7コースの早大チームが渡辺一平(スポ1=大分・佐伯鶴城)の活躍でトップに立つ。しかしアンカー勝負で6コースの髙木が早大内3番手から一気に順位を上げ、対決を制した。一方女子は、3選手が3年生というチーム編成。なかでも田村は個人種目に出場した直後にアンカーを務めるというタフなレースに。それでも順位を1つ上げるなど妥協することなく泳ぎ切り、主将の意地を示した。普段はクラブチームで練習する選手が多い女子部だが、全体で集まる貴重な機会で団結力を深めることができただろう。レース後は互いに健闘をたたえ合うなど男女共に大いに盛り上がりを見せ、2015年最後の大会を締めくくった。

タフなレースをこなした田村女子主将

 「滑り出しとしては良かった」(安田純輝、スポ3=千葉商大付)と新チーム初戦を納得のかたちで終えた早大。今回それぞれ得た課題を練習に落とし込み、さらなるレベルアップを図る。次に待つのは東京六大学冬季対抗戦。数少ない大学対抗戦で鍛錬の成果を発揮し、2016年シーズンを好発進したい。

(記事 谷田部友香、写真 八木美織)

結果

女子50メートル自由形

勝山晴海(国教3=静岡・浜松北) 26秒18【5位】

男子50メートル自由形

髙木 22秒88【4位】

古川慎一郎(スポ1=長野・佐久長聖) 23秒36【15位】

男子50メートル平泳ぎ

加納雅也(スポ4=県岐阜商) 27秒61【1位】

女子50メートル背泳ぎ

赤木彩乃(スポ3=岡山・勝山) 28秒68【2位】

女子400メートル個人メドレー

志賀珠理奈(スポ1=埼玉・武南) 4分50秒71【4位】

滝本純子(社3=東京・早実) 4分53秒01【5位】

男子400メートル個人メドレー

野田飛雄馬(スポ1=茨城・古河一) 4分20秒11【11位】

八木隼平(スポ3=京都外大西) 4分21秒09【14位】

女子400メートル自由形

伊藤愛実(社1=東京・早実) 4分17秒39【7位】

友行由子(教3=東京・早実) 4分26秒29【22位】

男子400メートル自由形

井上奨真(スポ1=県岐阜商) 3分48秒58【2位】

阿久津直希(スポ2=埼玉栄) 3分56秒90【21位】

寺崎拓海(スポ2=茨城・並木中教校) 4分02秒04【40位】

男子100メートル平泳ぎ

加納 59秒19【2位】

上野 1分00秒56【11位】

坂田匠(スポ2=新潟一) 1分01秒77【24位】

女子100メートルバタフライ

田村 59秒20【1位】

男子100メートルバタフライ

竹田昌嗣(スポ2=東京・早実) 57秒85【69位】

男子100メートル背泳ぎ

安田純輝(スポ3=千葉商大付) 53秒74【2位】

大沼健(スポ3=宮城・東北) 56秒89【28位】

征矢宗大(人2=埼玉・立教新座) 1分01秒63【62位】

女子100メートル自由形

勝山 57秒81【26位】

山口真旺(スポ2=兵庫・須磨学園) 58秒76【33位】

男子100メートル自由形

髙木 49秒85【5位】

古川 50秒82【23位】

男子1500メートル自由形

寺崎 15秒44秒97【14位】

男子200メートル平泳ぎ

渡辺 2分06秒23【1位】

上野 2分10秒31【9位】

坂田 2分10秒78【15位】

女子200メートル背泳ぎ

志賀 2分12秒18【8位】

山口 2分14秒69【9位】

男子200メートル背泳ぎ

安田 1分58秒02【3位】

大沼 2分07秒65【34位】

征矢 2分13秒56【45位】

女子200メートル自由形

伊藤 2分01秒13【11位】

石川真由(社2=東京・早実) 2分05秒29【27位】

男子200メートル自由形

井上 1分48秒83【9位】

阿久津 1分49秒25【12位】

八木 1分50秒49【17位】

女子200メートル個人メドレー

田村 2分11秒12【1位】

男子200メートル個人メドレー

渡辺 1分59秒08【2位】

野田 2分00秒88【9位】

女子400メートルフリーリレー

勝山―志賀―赤木―田村 3分50秒06【4位】

男子400メートルフリーリレー

安田―大沼―竹田―髙木 3分24秒18【8位】

野田―阿久津―渡辺―征矢 3分26秒19【10位】

古川―井上―上野―坂田 3分26秒23【11位】

コメント

上野聖人主将(社3=神奈川・法政二)

――新体制として初の大会となったと思いますがどのような目標を持って臨みましたか

チームとして初の大会だったので、前のチームが終わってインカレ(日本学生選手権)から約2カ月が経って、その中で年末にかけて強化の一環としての出場という意味合いもありました。もちろんいいタイムが出たら良いのですが、来年へのステップや強化できているなという実感を得ることができたらな、という目標を持ってやってきました。結果としてはベストも出た選手もいたので良かったかなと思っています。

――上野選手自身の目標というのはありましたか

僕は強化の一環だったので、ベストが出ればいいなと思っていました。淡い期待を抱きつつ、リラックスした状態で出場しました。

――レースを振り返ってみていかがですか

やはり結果がすべてなので、ベストが出た種目も一つあって出なかった種目も一つあったので50パーセントくらいの出来だと思います。実際の泳ぎを見てみると、まだ体力不足であったり技術不足の面も見られたので、まだ不十分かなと思います。

――今季のテーマが『PRIDE』ということで、この言葉にはどのような意味があるのでしょうか

文字通り誇りなのですが、早稲田大学というのは名門校でことし110周年の祝賀会も行われたくらい歴史のあるチームなので、歴史あるチームの伝統や誇りをしっかりと受け継いで守っていきたいという意味がこもっています。また、最後僕らも早稲田大学水泳部として誇ってもらえるような存在になりたいという意味もこめられています。

――今後どのようなチームをつくっていきたいですか

簡単に言えば、和気あいあいとしたチームをつくりたいですね。世界レベルのオリンピックが決まっている選手もいますし、まだまだもっと速くなりたいと思っている選手もいるので、そういう選手全員が男子も女子も先輩も後輩も含めてみんなが自分の目標に向かって日々努力できて切磋琢磨(せっさたくま)できるような仲の良いチームになったら良いな、と思っています。

――次の東京六大学冬期対抗戦に向けて

ことしの試合はすべて終わって、年末追い込みの時期で一番きつい時期になってくると思います。そこをしっかりとお互いを鼓舞しつつみんなで乗り越えて鍛錬して、ジャパンオープンや日本選手権などの記録突破を目指している選手も多いので、一人でも多く記録突破をしたり目標を達成したりして、チームとして良い雰囲気で戦えることができればなと思います。

――個人としてはどのような目標を持って臨みますか

正直毎年あまり貢献できていなくて、力がない主将というのがいまの現状なので、1点でも多く取ってチームに少しでも貢献して勢いをつけられるようにしていきたいです。

田村美紅女子主将(スポ3=埼玉栄)

――新体制になって初めてのレースとなりましたが、チームとしての目標は

私は学内に所属しているのですが、男子を含め、学内は目標を定めていました。きょうは年内最後の試合で年始になると大きな大会があるので、その標準記録を早めに突破することを目標としていました。学外女子に関しては、チームとして出るという貴重な機会だったのでリレーを組んで結束力を深めるのと、最後に一本やるのできつくなるのですが強化を目標にしていました。

――学外でやっている選手も多いとのことですが、主将としてどのように統率を図っていきますか

いままで女子主将は月に1回か2回合同練習をしていて、それだけだとコミュニケーションはとれないと思うので、月1回各キャンパスでご飯を食べたり、きょうの試合も初めてリレーを組ませていただいたので、できる限りコミュニケーションをとっていきたいなとは思っています。あとは、年に2回行われる六大学でも話し合いを積極的に行って、女子は会う機会が少ない分、少しでも情報を共有していきたいと思っています。

――きょうのご自身の泳ぎはいかがでしたか

100のバタフライと200の個人メドレーに出ていて、本命はいつもは1バタ(100メートルバタフライ)なのですが、きょうは来年の日本選手権を見据えて早めに標準を突破することが目標だったので個メ(個人メドレー)に絞って頑張りました。結果として、1バタは58秒を目標としていたのですが、0.2秒及ばず、でも1位だったので良かったのかなと思います。個人メドレーに関しては高3の春ぶりにベストが出たのでいまの時期にしては上出来だと思っています。

――個人メドレーのすぐ後にリレーを泳がれていてハードだったと思いますがそれについては

エントリーをする時点でもう少しタイムを落としていればなとは思ったのですが、強化の一環ということで悔いはないです。また、リレーに出るということで女子主将という立場であまり悪いタイムで泳ぐということもできないので、アンカーだったのですが、みんなが泳いでくる姿をきちんと見て、自分が責任を持って飛び込むという意識で泳ぎました。

――1月に行われる東京六大学冬季対抗戦への意気込みをお願いします

一言で言うとVS法政です。最近ワセダは2位という順位が多くて、(ワセダは)ことし抜けてしまった選手が1人で、法政は3、4人くらい抜けているので勝つならここしかないと思っています。お互い人数が少なく、ワセダの方が少ないのですが、1年生、2年生に協力してもらって1人につき多くの種目に出てもらうことにはなりますが、私を含め、チームとして優勝したいと思っています。

安田純輝(スポ3=千葉商大付)

――新体制全体としては初の大会となりましたが、今大会にはどのような目標を持って臨みましたか

全体的に学内で調整をして臨んだ試合でした。前半少し滑ってしまった点はあったと思うのですが、全体的に後半から勢いがついていってベストを出す人もいたり応援に力が入った人もいたので滑り出しとしては良かったと思いました。

――ご自身のタイムとしてはいかがですか

ベストを狙っていた中でギリギリ両方とも届かないという状況だったのですが、最後のリレーでは久々に泳いだフリー(自由形)で高校生の時のベストですがベストを出せたので、ギリギリ及第点かなといったところです。

――フリーリレーに出場することはなかなかないと思いますが、泳いでいかがでしたか

元々フリーの選手だったので、少し懐かしみつつ泳ぎました。ワセダの選手はほとんど出場していたので、ワセダ内での競争という点で疲れてはいましたが楽しんで泳ぐことができました。

――新しいチームの雰囲気はいかがですか

かつて進んでいたチームにも負けないくらい楽しい感じで、縦の関係にしても良好な関係が築けていっているなと思ったのでこのまま今度の強化期間、冬六(東京六大学冬季対抗戦)と迎えていく中でどんどんとチーム力が向上していけばいいかなと思っています。

――ご自身としても最上級生となりましたが、どのようなことを心掛けていますか

最上級生らしい立ち振る舞いや結果も出していって、後輩たちに少しでもまともな背中を見せられるようにということを目標にしてこれから先頑張っていきたいと思います。

――これから鍛錬の時期に入っていきますが、どんな点を強化していきますか

泳ぎ全体についても直さなければいけない点がたくさん見つかった試合だったので、そこの修正と基礎体力などの向上を心掛けていきたいと思います。あとは自分のことだけではなく、周りの下級生や同じチームで練習しているメンバーをどんどんと盛り上げていって一緒に強くなっていこうという協力や協調性を磨いていっていきたいと思います。

――冬六に向けての目標と意気込みをお願いします

男子は全体目標として2位というのを掲げたので、自分の得意種目ではない種目に出場する選手も多いのですがその中でもしっかりとした結果を出していって、僕自身としても4種目泳ぐのでバック(背泳ぎ)以外の種目に関してもしっかりとタイムを出してチームに勢いをつけられるようにしっかりと鍛錬をしていきたいと思います。