0.01秒の激闘が繰り広げられる

競泳

 折り返し地点を迎えた日本学生選手権(インカレ)。大会2日目は多くの接戦が繰り広げられた。400メートルメドレーリレーでは、優勝は逃したが男女共に表彰台に。2日目を終え、早大の総合順位は男子5位、女子7位。1つでも上の順位を目指し、最終日へと挑む。

★4年生の意地で表彰台を死守

表彰台で笑顔を見せる女子メンバー

 少しでも良い色のメダル獲得を目標に挑んだ女子400メートルメドレーリレー。赤尾愉歩(社4=東京・早実)にとっては早大の一員として臨む最後のリレーだった。決勝では、第1泳者の山口真旺(スポ2=兵庫・須磨学園)が予選よりもタイムを上げ、5位で第2泳者の渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)につなぐ。渡部は先頭と約1秒あった差を徐々につめ、後半でトップに躍り出る。第3泳者の田村美紅(スポ3=埼玉栄)は後続の猛追を受けながらもメダル圏内を守りきり、2位でアンカーの赤尾へ。メダル争いが白熱する中、泳ぎ終わった3選手は手を握り合って応援。「最後は死ぬ気で泳ぎました」(赤尾)。接戦の中、4年生としての意地を見せ3位でフィニッシュ。田村が「赤尾さんのために頑張ろうと思った」と語るように、先輩思いの後輩の躍進と赤尾のラストリレーに懸ける思いが結びついた。この流れに続き最終日も選手たちはシード権奪還に向け、持っている力を出し尽くす。

(記事 杉野利恵、写真 笹澤桜)

★わずか0.01秒及ばず3連覇を逃す

悔しい表情を浮かべるリレーメンバー

 昨年大会新記録での連覇を果たした男子400メートルメドレーリレー。この花形種目で狙うのは、もちろん3連覇。会場の盛り上がりが最高潮に達し、スタートの合図が響く。第1泳者は瀬戸大也(スポ3=埼玉栄)。チームのために、4泳法で最も苦手とする背泳ぎを務めた。今種目を本職とする各大学のエースが集う中、瀬戸は2位という好位置で後を託す。第2泳者の上野聖人(社3=神奈川・法政二)はメドレーリレー初出場。多くの重圧が掛かる場面で、順位を1つ下げ3位で坂井聖人(スポ2=福岡・柳川)につないだ。思うように差を詰められないまま、アンカーの中村克副将(スポ4=東京・武蔵野)へ。過去2年間、中村の逆転劇で優勝を決めてきた早大。先頭の中京大との差は1.5秒ほどあったが、望みを捨てるはずがなかった。中村は驚異の追い上げで一掻きごとに距離を詰めていく。最後はタッチ勝負まで持ち込んだが、わずか0.01秒及ばず2位に。「かなり悔しい」(瀬戸)。ゴール後選手の顔に広がるのは無念の表情。目標まであと一歩だっただけに悔いは残るが、全員が仲間のために死力を尽くした。気持ちを切り替え、最終日には笑顔でチームの集大成を飾りたい。

(記事 谷田部友香、写真 笹澤桜)

★瀬戸、個人種目で初優勝!

瀬戸は余力を残してのレースとなった

 瀬戸は過去2年2位に終わっていた200メートル個人メドレーに挑んだ。「公介(萩野、東洋大)が出ないので優勝しなくてはならない立場」と前日に語っていた瀬戸。決勝では「しっかりと優勝を(目指す)、ということで泳いだ」と、後に控える男子400メドレーリレーを考慮したレースプランに。余力を残して泳ぎ、バタフライでは先行を許す展開となる。しかしこのままでは終われない。150メートル手前で追いつくと、そのまま逃げ切りゴール。インカレの個人種目で初めての栄冠を手にした。あすは世界選手権で金メダルに輝いた男子400メートル個人メドレーに出場する。「決勝ではオリンピックを見据えたようなレースができたらいいなと思う」。個人メドレー2冠に大きな期待がかかる。

(記事 大森葵、写真 吉田麻柚)

★0.01秒差で優勝を逃すも、成長を見せる

順位を確認し、がっかりした表情の坂井

 初日の男子200メートルバタフライで2連覇を達成した坂井は男子100メートルバタフライに登場した。予選では自己ベスト更新し見事1位通過。迎えた決勝は三つどもえの戦いとなった。両隣のレーンを泳ぐのは世界選手権代表の川本武史(中京大)と、ユニバーシアード代表の梅本雅之(慶大)。共に今種目を得意とする選手だ。両選手を相手に50メートルのターン時は4位と出遅れたものの、ここから追い上げを見せタッチ勝負に。最後のストロークで捉えたかに見えたが、惜しくも2位。1位から3位が0.02秒差にひしめく大接戦のレースだった。優勝とはならなかったが、決勝では予選の自己ベストをさらに更新。昨年の6位から大きく順位を上げ、200メートルだけでなく100メートルでも力をつけていることを証明した。

(記事 大森葵、写真 吉田麻柚)

結果

◇決勝

男子100メートルバタフライ

坂井 52秒52【2位】

男子200メートル個人メドレー

瀬戸 1分57秒72【優勝】

女子400メートルメドレーリレー

山口-渡部-田村-赤尾 4分05秒21【3位】

男子400メートルメドレーリレー

瀬戸-上野-坂井-中村 3分36秒51【2位】

◇B決勝

女子200メートル自由形

伊藤愛実(社1=東京・早実) 2分02秒78【2位】

女子200メートル個人メドレー

滝本純子(社3=東京・早実) 2分18秒07【5位】

◇予選

女子200メートル自由形

伊藤 2分03秒81【15位】

男子200メートル自由形

井上奨真(スポ1=県岐阜商) 1秒51秒74【21位】

阿久津直希(スポ2=埼玉栄) 1秒52秒52【30位】

女子100メートルバタフライ

田村 1分01秒37【17位】

志賀珠理奈(スポ1=埼玉・武南) 1分01秒63【21位】

男子100メートルバタフライ

坂井 52秒90【1位】

女子200メートル個人メドレー

滝本 2分18秒16【16位】

男子200メートル個人メドレー

瀬戸 2分02秒45【5位】

野田飛雄馬(スポ1=茨城・古河一) 2分04秒63【20位】

女子800メートル自由形

友行由子(教3=東京・早実) 9分04秒90【22位】

男子1500メートル自由形

寺崎拓海(スポ2=茨城・並木中教校) 分秒【位】

女子400メートルメドレーリレー

山口-渡部-田村-赤尾 4分08秒68【4位】

男子400メートルメドレーリレー

瀬戸-渡辺-坂井-中村 3分39秒73【1位】

コメント
決勝進出者

赤尾愉歩(社4=東京・早実)

――女子400メートルメドレーリレーで3位になっていまのお気持ちはいかがですか

目標は優勝だったので、正直言って3位という結果には満足していないのですが、後輩が頑張ってくれた分、実際に3位に上がれたことはすごくうれしいです。

――4年生ということもあり就活など忙しい中でインカレに向けて調整されてきたと思いますが、実際にどうでしたか

就活が3月から始まり思うような練習が積めず、正直不安なところがたくさんありました。8月に関カレ(関東学生選手権)があって、そこでは就活と試合の両方が入り、試合を抜けることもあり後輩に迷惑をかけてしまいました。自分自身も集中できておらず、ふがいない結果でした。そこで就活が終わり、インカレまでの約1カ月、やれることは少なかったですが、気持ちを奮い立たせてモチベーションを上げることから始めました。どうしても(インカレの)メドレーリレーでメダルをまた取りたいと思いという目標が1年前からずっとあったので、インカレに向けて練習を頑張ってきました。

――昨年もメドレーリレーで3位に入られましたが、昨年とことしで違うところはどんなところですか

昨年は4年生の杉山沙侑南さん(平27スポ卒)がいらして、先輩がいたので沙侑南さんのために頑張ろうという気持ちで、挑戦者というかたちで少し気持ちは楽でした。今回は、4年生という立場でみんなを引っ張っていかなくてはならない、その上渡部は1年生ですしインカレ初出場だったので、みんなの雰囲気を良くしていこうとチームのことも考えなければいけなかったので、余裕が無かったです。自分の中ではいっぱいいっぱいになっている上に就活もあり、申し訳ない気持ちと頑張らなければいけない気持ちで複雑な気持ちでした。後輩がすごくやる気があって、「絶対に頑張りましょう」というふうに言ってくれていたのでここはやるしかないなと思って、みんなを引っ張っていこうとことしのメドレーリレーは臨みました。

――ご自身としては最後のリレー種目となりましたが、どうでしたか

後輩と一緒に泳げるのがこれで最後だったので、銅メダルというかたちでしたがメダル獲得というかたちを残せたので良かったと思います。あしたの800メートルフリーリレーでは後輩が泳ぐので、応援で盛り上げていきたいと思います。

――アンカーとして接戦のなか泳がれていましたが、どういう心境でしたが

ワセダのチームは他大学に比べてフリーが弱くて、最初の1、2番手でどれだけ差をつけられるかという勝負だったのですが、思った以上に差がなく、少し焦りました。ここは意地で上げるしかないなと思い、最後は死ぬ気で泳ぎました。

瀬戸大也(スポ3=埼玉栄)※囲み取材より抜粋

――メドレーリレーに関してはいかがでしたか

メドレーリレーに関しては100分の1秒差なので、自分が54秒代で泳いでいれば勝てたのでかなり悔しいです。やっぱりリレーは4人はまったチームが勝つので、来年みんなで力を合わせなければいけないなということが分かりました。

――男子200メートル個人メドレーではリレーに向けて抑えたのでしょうか

個人種目というよりはことしを頑張りたいと思っていたので、しっかり優勝をということで泳いで優勝できたので良かったと思います。メドレーリレーで優勝できれば言うことはなかったのですが、結果は結果なので。

――インカレ個人種目初優勝となりました

そうですね。世界水泳では優勝していたのですが、このインカレで優勝したことはなかったので日本学生選手権を獲得できて良かったです。

――あすには男子400メートル個人メドレーがありますが、調子はいかがですか

全体的に良くもなく、悪くもなくという感じなので、あしたの4個メ(400メートル個人メドレー)もしっかり泳げたらと思います。あしたは3日間の中で距離が長いので、予選は落ちないように泳いで、決勝ではオリンピックを見据えたようなレースができたらいいなと思います。

田村美紅(スポ3=埼玉栄)、山口真旺(スポ2=兵庫・須磨学園)

――レースを振り返っていかがですか

山口私はあまり調子が良くなくてみんなの足を引っ張ってしまったかたちになったのですが、予選よりは上げることができたので良かったなと思っています。

田村個人の目標としては59秒を狙っていたのであと0.1秒足りなかったことが悔しいですが、チームとして表彰台にのぼることができたので良かったと思います。1年の渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)もすごく速い選手ですし、2年の山口も一泳で泳いでくれたので、その思いを引き継いで4年の赤尾愉歩さん(社4=東京・早実)のために頑張るという思いで泳ぎました。

――お二人はきょねんこの種目に出場されていましたが、ことしに懸ける思いなどはありましたか

山口そうですね。きょねんも表彰台にのぼっていたので、ことしものぼりたいという気持ちが強かったです。

田村きょねんも4年の杉山沙侑南さん(平27年卒=静岡・日大三島)がいて、ことしも4年の愉歩さんがいて、きょねんのぼったからにはことしものぼりたいと思っていました。

――最後は接戦となりましたがどのようなお気持ちで応援していましたか

山口みんなで表彰台にのぼりたかったので必死に応援するしかなかったですけど、楽しかったです。

――あすに向けての意気込みをお願いします

山口きちんと決勝に残って、最終日頑張りたいと思います。

田村あしたは1年三人と私一人なので、3年が雰囲気を明るくしてみんなで盛り上げていこうと思っています。決心進出できるように頑張ります。

渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)※囲み取材より抜粋

――決勝のメドレーリレーを泳いでみていかがでしたか

リレーの引き継ぎだからということもあるのですが、久しぶりに1分5秒台を出すことができたので、今後につながる良いレースができたのではないかなと思います。

――前半も30秒台を出すことができましたが

やはりチームで戦うということで持っている以上の力をかなり出せる気がするので、スピードがついてきたということもあるとは思うのですが、チームで戦う大変さというのもよく分かるかなと思います。

――リレーの楽しさというものはありますか

はい。私はけっこう追い掛けることが好きなので、きょうのレースはかなり楽しめたと思います。

――改めて早稲田大学に貢献できたということについてはいかがですか

先輩方と「良い色のメダルを取ろうね」という話をしていたので、こうして銅メダルですけれども表彰台に乗れたことはとてもうれしいですし、あしたへの良い勢いになったのではないかなと思います。

――コンスタントに良いタイムを出されていることについて、ご自身の中で気持ち的にも良い部分があるのでは

世界選手権が終わって短い間ですが、こうしてインカレでも良いタイムを出せているということは、確実に力がついてきているということが分かると思うので、このままここで油断せずにしっかりとこのあともトレーニングを続けていきたいと思います。

B決勝進出者

伊藤愛実(社1=東京・早実)

――レースを振り返っていかがですか

タイム的には全然納得がいくタイムではないですし狙っていたタイムとは遠いですが、予選よりも順位を上げることができたことは良かったと思います。

――狙っていたタイムはどれくらいでしたか

ベストが2分1秒なので、ベスト更新をしたいなと思って練習してきました。

――予選の泳ぎはいかがでしたか

最初の50メートルでストロークテンポが速くなってしまって焦ってしまったので、B決勝では落ち着いて泳ごうと思いました。

――B決勝のレース前はどのようなことを考えていましたか

こういう団体戦というのは初めてで、本当はA決勝に残りたかったのですが、2回泳ぐチャンスをいただけたと思って1点でも多くワセダのために取りたいと思って泳ぎました。

――あすの800メートルフリーリレーはどのようなレースにしたいですか

最後のリレーなので、残りの力を全部振り絞って死ぬ気で泳ぎたいと思います。

滝本純子(社3=東京・早実)

――初めてインカレでB決勝に残った感想はいかがですか

一言でいうとすごく楽しかったです。

――B決勝でも自己記録を更新されていましたが、タイムについてはどう思われますか

(2分)17秒台前半を狙っていたので、満足していないです。

――予選のあとのインタビューではいつも背泳ぎの時には置いていかれてしまうと話されていましたが、レースでは背泳ぎで順位を上げられていました。それについてどう思われますか

この夏は背泳ぎを課題にやってきたので、その成果が出たと思います。

――明日の400メートル個人メドレーに向けて意気込みをお願いします

朝一番のレースなので、体が動いた人が勝ちだと思うので、しっかりと準備をして頑張ります。

予選後

友行由子(教3=東京・早実)

――レースを終えて率直なお気持ちは

この日のために練習をしてきて、9分5秒を切ることを目標にしてきました。一応ベストを出すことができました。

――レースを振り返っていかがですか

前半遅れてしまうことが課題で、今回もやはり前半に遅れてしまったので、そこは改善していかなければいけないなと思います。

――インカレでは初めての出場となりましたが

やはり泳ぐ前はすごく緊張しました。

――予選を泳いで収穫などはありますか

すごくワセダの方が応援してくださるので、そういう場面で泳ぐことができたことは良い経験になりました。

阿久津直希(スポ2=埼玉栄)

――きのうの400メートル自由形からきょうの200メートル自由形に向けて、どのように気持ちを切り替えられましたか

きのうは400メートルフリーが17番でB決勝に行けなかったので、悔しかったです。200メートルフリーもベストタイムならいい位置に行けると思っていたので、気持ち切り替えて泳ぎました。

――初めてインカレで200メートルフリーに出場して、どうでしたか

どういう感じになるのか分かりませんでした。端の9コースで泳ぐとあたうこともあり、少し焦りや不安がありました。

――リレーのメンバーに入るかどうかがかかっているレースでしたが、その点はどう思いますか

まだ分かりませんが、もしチャンスがあれば最後まで諦めないで頑張りたいと思います。

――きょうの泳ぎを今後どのように生かしていきたいですか

200メートルが速くなれば、400メートルも速くなってくるので200メートルはスピードを中心に速くしていきたいと思います。

寺崎拓海(スポ2=茨城・並木中教校)

――唯一の出場種目でしたがどのような泳ぎをしようと思っていましたか

最低限ベストを更新して、決勝進出を狙っていました。

――レースプランはどのように考えていましたか

レースプランはあまり考えていませんでした。

――タイムとしては奮わなかったと思いますが、どのように捉えていますか

結構遅いですね。

――このレースをどのように今後に活かしていきたいですか

悔しさを糧に頑張りたいと思います。

野田飛雄馬(スポ1=茨城・古河一)

――泳ぎ終わって率直な感想は

頑張りましたね。

――この種目が唯一の出場だと思いますが、懸ける思いはありましたか

大也さん(瀬戸、スポ3=埼玉栄)しか上にはいないので、大也さんが優勝してくれると信じていて。ですが、来年大也さんが抜けたら(個人メドレーが)いないと思われたら嫌なので、自分がしっかりとB決勝に残ろうと思っていました。

――目標タイムなどはありましたか

2分3秒台は出したかったですね。

――奥野景介監督(昭63教卒=広島・瀬戸内)とレース前にお話されていましたがどのような内容でしたか

調子は良いので楽しんでいきますと言いました。

――初めてのインカレの雰囲気などはいかがでしたか

やはり先輩は慣れているからかわかりませんが、すごく力強いですね。1年生は気持ちもチームワークも良かったのですがなかなかうまく結果が出ていなくて、僕はこれが一発目だったので、流れを切り替えたいと思ったのですが、良くも悪くもないという中途半端な感じになってしまいました。

――今後の目標などは

B決勝、決勝に残ることができなかったら、練習不足しかないので、大也さんがいる間にもう一年大也さんの代わりになれるように頑張りたいです。