3日間にわたるジャパンオープン(50メートル)もついに最終日を迎えた。連日メダルラッシュが続く中、この日もワセダの勢いは止まらない。男子200メートル個人メドレーでは瀬戸大也(スポ3=埼玉栄)が見事優勝。日本選手権で大健闘を見せた渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)も安定した泳ぎで金メダルをつかみ取った。期待のルーキー渡辺一平(スポ1=大分・佐伯鶴城)は男子200メートル平泳ぎで2位という結果を残し、さらなる活躍を予感させた。
最も今後の可能性を感じさせたのが男子200メートル平泳ぎに出場した渡辺。ラスト50メートルでの粘りのある泳ぎを得意とするが、このレースでは序盤から攻めの姿勢で臨んだ。150メートルまでをいままでで一番速いラップで泳ぎ、最後まで好タイムをマーク。2位でフィニッシュし、世界ジュニア記録を更新した。しかし優勝を目標としていた渡辺は「悔しい思いの方が大きいですね」と振り返る。「自己ベストを更新して、来年の(リオデジャネイロ五輪)選考会で(2分)8秒台で代表権を取ることが目標」。冷静に自分を分析し、向上心をのぞかせた。新人ながら早大を引っ張る存在となっていくに違いない。
渡辺は追い上げるもあと一歩優勝に及ばなかった
ひときわ観客の関心が集まったのは男子200メートル個人メドレー。前日はライバルの萩野公介(東洋大)に大差で勝利した瀬戸だったが、油断はできない。バタフライではほとんど差をつけられず、苦手の背泳ぎで萩野に追い越された。それでも持ち味の平泳ぎで再び抜き返すとそのまま首位を保ち、後続に1秒以上の差を付け優勝。萩野が体調不良だったとはいえ、「優勝というのはやはり気持ちがいい」とうれしそうに語った。目指していた自己ベストを更新することはできなかったが、自信につながるレースとなった。女子200メートル平泳ぎに出場した渡部からももちろん目が離せない。予選を2位で通過し、迎えた決勝。終始先頭をキープし、女王の泳ぎを見せつけた。
レース後笑顔を見せる瀬戸
ワセダの底力を発揮する結果となった今大会。新入生のWワタナベは早大の今後に明るい光を照らした。また日本代表組もハードスケジュールにも関わらず、多くのメダルを獲得。勢いそのままに世界選手権でも大きな成果を残してくれることだろう。
(記事 平川さつき、写真 谷田部友香)
今大会3冠の瀬戸(中央)
50メートル自由形で2位となった中村克副将(スポ4=東京・武蔵野)
得意種目で強さを示した渡部
大学入学後、初の表彰台に上がった渡辺
結果
◇決勝
男子200メートル個人メドレー予選
瀬戸 1分57秒63【優勝】
男子50メートル自由形
中村 22秒27【2位】
男子100メートルバタフライ
坂井聖人(スポ2=福岡・柳川) 52秒98【4位】
女子200メートル平泳ぎ
渡部 2分22秒13【優勝】
男子200メートル平泳ぎ
渡辺 2分09秒75【2位】※世界ジュニア新記録
◇B決勝
女子50メートル背泳ぎ
山口真旺(スポ2=兵庫・須磨学園) 29秒33【3位】
男子50メートル自由形
荒木優介(人3=三重・暁) 23秒27【3位】
◇予選
女子200メートル個人メドレー予選
滝本純子(社3=東京・早実) 2分19秒05【27位】
男子200メートル個人メドレー予選
瀬戸 1分59秒68【1位】
野田飛雄馬(スポ1=茨城・古河一) 2分05秒97【30位】
女子50メートル背泳ぎ
山口 29秒23【12位】
赤木彩乃(スポ3=岡山・勝山) 30秒12【36位】
男子50メートル背泳ぎ
大沼健(スポ3=宮城・東北) 27秒44【36位】
女子50メートル自由形
赤尾愉歩(社4=東京・早実) 26秒67【23位】
男子50メートル自由形
中村 22秒44【2位】
荒木 23秒24【13位】
古川慎一郎(スポ1=長野・佐久長聖) 23秒70【37位】
高木遼司(スポ2=大阪・生田) 23秒76【41位】
雨谷拓矢(スポ4=神奈川・桐蔭学園) 23秒83【47位】
女子100メートルバタフライ
田村美紅(スポ3=埼玉栄) 1分00秒97【17位】
志賀珠理奈(スポ1=埼玉・武南) 1分01秒63【30位】
男子100メートルバタフライ
坂井 53秒31【6位】
女子200メートル平泳ぎ
渡部 2分24秒98【2位】
男子200メートル平泳ぎ
渡辺 2分11秒76【2位】
加納雅也主将(スポ4=県岐阜商) 2分14秒74【25位】
コメント
決勝進出者
中村克副将(スポ4=東京・武蔵野)※囲み取材より抜粋
――レースを振り返ってみて
予選の感じがすごく良かったのですごく記録を意識してしまったせいかちょっと力んでしまって、終盤ばたついてしまったので、タイムが伸びなかったかなと思います。
――原因は気持ち的な部分ですかね
そうですね、やはりベストを大幅に更新しようという気持ちが強かったので、そこがちょっと空回りしてしまったのかなと思います。
――この大会であがった課題や収穫は
細かい技術でスタートの動作というのが、やはりきのうの100メートル自由形決勝でも失敗してしまっていたので、そういうところを一つ一つ直していかないと世界水泳ではいい記録が出せないと思うので、細かいところをしっかり毎日の練習で気を付けていきたいなと思います。
――いずれはこの種目でも日本記録更新を狙っていますか
そうですね、やはり100メートルだけでなく50メートルでもしっかり21秒台に突入して、いつかは日本記録を出したいなと思います。
――世界選手権でどのような結果を求めてやっていきたいか意気込みをお願いします
まずは400メートルフリーリレーでオリンピック出場権を獲得しなきゃいけないので、400メートルのリレーでしっかりとした泳ぎをして12番以内に入ってオリンピック出場権を獲得して、100メートル(自由形)に関してはさっき挙げた細かい点を直して、47秒台を目指して頑張りたいと思います。
瀬戸大也(スポ3=埼玉栄)※囲み取材より抜粋
――レースを振り返って感想はいかがでしょうか
(1分)56秒台を目指していたのですが57秒止まりでした。でも4月に自己ベストを更新してから7秒台は普通に出せるようになってきているので力はついてきているんじゃないかなと思います。
――優勝しましたが、足りないところはありますか
今大会はすごく厳しい大会だったのですが、やはり強いて言うと背泳ぎが一番しっくりきていないかなと思っています。
――それは課題に挙げられたキックの部分ですか
キックよりもどちらかというとキャッチの方が気になるところが多いので7月までにキャッチなどの課題をもう一度洗い直して、しっかり克服して世界選手権に臨めればもっともっと記録が伸びるかなと思います。
――誕生日に優勝でしたが、その点はいかがですか
タイムは置いておいて、優勝というのはやはり気持ちが良いものなので、誕生日に試合があるというのも珍しいので、そういった時に優勝できてすごく良い21歳のスタートだなと思います。
――この種目で萩野公介選手(東洋大)に勝つのはかなり久々のことなのではないでしょうか
全然公介に勝てていない距離だったので、今回公介はすごく調子が悪いですが、勝ったというのは気分的には良いです。その中でも自分は200メートルの練習でもすごく良い練習ができているので7月の世界水泳本番で勝てるように、もう一度トレーニングし直して7月は良い勝負ができたらなと思います。
――世界選手権、リオデジャネイロ五輪と続いていく中でどういう泳ぎを見せていきたいですか
自分のベストパフォーマンスをして、少しでも良い色のメダルを少しでも多く取って帰ってきたいなと思います。
坂井聖人(スポ2=福岡・柳川)
――今回の泳ぎを振り返っていかがでしたか
予選が終わって決勝までで、予選が3秒3(53秒3)かかってあまり良くなかったのでしっかり泳ぎを修正して52秒を狙って泳ぐのを目標にしていたのでぎりぎり52秒台には乗って、満足というわけではないのですが良い感じに仕上がってきているなと思います。
――決勝でのテーマは何でしたか
1バタ(100メートルバタフライ)でファイナリストになったので、メダルを取ることを意識して決勝を泳ぎました。
――200メートルバタフライにつながる泳ぎにはなりましたか
もうちょっとできれば2秒5あたりを出してメダルに食い込んでいきたかったのですが、まだ努力が足りないということを実感しました。
――世界選手権へ向けての意気込みは
世界選手権では200メートルバタフライでメダルを取ることです。
――今大会の総括をお願いします
今回は4フリ(400メートル自由形)にも挑戦したのですが、思っていたより泳げていたのでこれからも4フリを2バタ(200メートルバタフライ)の練習の一環として取り入れてやっていけたらいいなと思っています。
渡辺一平(スポ1=大分・佐伯鶴城)※囲み取材より抜粋
――ジュニア世界新記録おめでとうございます。まずはそのお気持ちをお聞かせください
小関さん(也朱篤、ミキハウス)がいなかったので優勝したいという気持ちでレースに臨んで、タイムは良かったのですが準優勝という悔しい結果なので悔しい思いの方が大きいですね。
――悔しいということでしたが今後に向けてどのような課題が上がりましたか
前半から突っ込むというレースをやってみたいなと思っています。
――ラスト50メートルでの追い上げがご自身の強みとおっしゃっていましたが今回のレースではいかがでしたか
150メートルまでいままでで一番速いラップだったのでラスト50メートルはあまり速くなかったのですが、でもその150まで速いタイムが出てラスト50も粘れたというのは良かったかなと思います。
――日本選手権から何か修正した点はありましたか
修正した点はありませんが、体力向上だったりといった向上ですね。
――今後に向けて思いを
来年のリオ五輪の選考会では確実に代表権を取りに行きますし、まずはことし世界ジュニア記録をどんどん大幅に更新して、インカレ(日本学生選手権)などいろいろあるので少しずつでも更新できればと思います。
――この一年で具体的に記録をどこまで伸ばしていきたいですか
来年の選考会ではこのタイムでは全く話にもならないですし、確実に(2分)8秒台というタイムが必要になるので、ことしどんどん自己ベストを更新して、来年の選考会で8秒台で代表権を取るというのを目標にしています。
――早慶対抗戦、日本学生選手権と続きますが意気込みをお願いします
早慶戦は僕はまだ何に出るか決まっていないのですが、伝統ある大事な大会なのでそこでみっともないタイムを出さないようにして、インカレでは厳しい戦いにはなると思いますがワセダのために少しでもいいタイム、いい順位を狙いたいと思います。
B決勝進出者
荒木優介(人3=三重・暁)
――今回の泳ぎはいかがでしたか
予選もベストから0.3秒くらい遅くて、その時は呼吸してしまったことが原因かなと思っていたのですが、さっきのB決勝で50メートル通して呼吸しなくても23秒27でタイムが予選より遅いということなので、何が悪いのかよくわからないです。
――そんな中でも収穫はありましたか
きょうに関してはいいところは何もないですし、残念なレースだったという感じです。
――今大会の総括をお願いします
ジャパンオープンの位置づけとしては、インカレと同じ3日間ということで3日通していい結果を出す、戦い抜くということが大事だと思っていたので、この3日目であまりいい結果が出ていないというのは残念です。
――早慶対抗戦への意気込みは
早慶戦はチーム戦でもありますし、色々な種目に出るかもしれないので確実に克さん(中村副将、スポ4=東京・武蔵野)の次になれるようにしたいと思います。
予選後
大沼健(スポ3=宮城・東北)
――きょうの泳ぎを振り返ってみていかがですか
追いこんでいた中でのレースだったのですが、やはりもう少しタイムが欲しかったかなという感じです。
――具体的な目標タイムはありましたか
最低でも26秒台を目指していました。そんなに泳ぎは悪くはなかったとは思うのですが…。
――上級生になって何か役割など変わったことはありますか
1、2年生の時とあまり変わらないですね(笑)。
――エースだった多田邦徳選手(平27スポ卒)が抜けてこの種目は穴になってくるかなと思いますが
多田さんの存在は本当に大きくて、僕がその穴を埋められる存在になりたいのですが、やはりいまのタイムではその穴を埋められる存在にはなれないので、これからまた頑張っていきたいなと思います。
――次に向けての課題は
いまはいい感じに追い込めているので、このまま順調に追い込んで行って7月に早慶戦があるので、そのときにタイムが出たらなと思います。
高木遼司(スポ2=大阪・生田)
――泳ぎを振り返っていかがですか
ちょっとアップが足りなくて最後の15がバテちゃったかなと思いました。
――アリーナ杯東京六大学春季対抗戦で標準タイムを切っての今大会出場でしたが、どんな気持ちで臨みましたか
インカレのレギュラーまであと1枠で、とても追い込まれた中でこのジャパンオープンを迎えてプレッシャーとの戦いでした。
――タイムについてはどうでしょうか
練習よりも遅かったので緊張にやられた感があります。
――今大会の目標は
目標は早稲田基準を切ることと、雨谷さん(拓矢、スポ4=神奈川・桐蔭学園)と古川(慎一郎、スポ1=長野・佐久長聖)に勝つことでした。
――短距離は部内に選手が多くいますが、その点についてはいかがですか
人が多い方が盛り上がるというか切磋琢磨(せっさたくま)していけると思うので、その点はうれしいです。
――次の早慶対抗戦への意気込みを教えてください
早慶は人数が少ないので、緊張せずリラックスして自分のレースができたらいいなと思います。
山口真旺(スポ2=兵庫・須磨学園)
――予選後、目標としていたA決勝には惜しくも進出できませんでしたが、どのように気持ちを切り替えましたか
調子は良くなかったのですが、最後くらいは笑顔で泳ぎたくて、28秒目指したかったなというのはあります。
――調子が悪い中でのレースを振り返ってみて
日本選手権での課題もあってそこを直していきたかったのですが、ジャパンオープンは調子が悪くて、その中でどうやって3日間戦っていくかコーチと話したのですが、思ったようにはいかなかったかなと思います。
――3日連続での出場となりましたが今大会を総括するとあまり良くなかったという感じですか
はい、そうですね。
――次の早慶対抗戦に向けての目標を
早慶戦までまだ日にちもあるのでそこまでに課題を直して、インカレ(日本学生選手権)に向けての間くらいになるので、インカレは自信を持って泳げるように頑張りたいなと思います。
野田飛雄馬(スポ1=茨城・古河一)
――大学に入ってから初の大きな大会でしたが、いかがでしたか
ワセダの基準のタイムまであと少しだったので、(基準タイムを切るのを)狙っていたのが切れなかったので悔しいです。
――大学の水泳部の雰囲気はどのような感じですか
練習環境は日本一の人がたくさんいて、お手本になる人がいっぱいいるのでかなり充実した練習はできているので、インカレ(日本学生選手権)に向けてしっかりレギュラーを取りたいと思います。
――同じ種目には瀬戸選手がいますが、どのような存在ですか
水泳面では本当に何も敵わなくて努力家ですごい先輩で、それなのに他の面でも優しくてすごい存在です。
――得意な泳法は
特に得意なのも不得意なのもないですね。
――次は早慶対抗戦ですが意気込みをお願いします
きょう(基準タイムを)切れなかったのもあるし、きょねんの夏のベストが更新できていないので、練習は進めているのであともう少し練習も頑張って、好タイムを出せるように頑張りたいです。
古川慎一郎(スポ1=長野・佐久長聖)
――大きな大会では大学に入って初めてだったと思いますが、戦ってみていかがですか
タイムはシーズンベストではあるのですが、いまいち自分の力が発揮できていないなと思うので、ちょっと悔しいですね。
――ジャパンオープンにはどのような意気込みで臨まれましたか
早稲田基準(タイム)をとりあえず切るというのが目標だったので、それが切れなかったので悔しさをバネにして今後の練習に生かしていきたいと思います。
――短距離自由形はワセダからも選手が多くいますが、その中でどういうふうに戦っていきたいですか
僕は練習が弱い方なので少しでも練習で強くなって、他の先輩たちに負けないような泳ぎをしたいと思います。
――大学生活には慣れてきましたか
はい。仕事とか多いのですが、とりあえず慣れてきました。
――ワセダにはどのような目標を持って進学してきましたか
高校でのインターハイ(総体)2位という優勝できなかった悔しさがあったので、大学こそは全国で優勝というのを目標としてやりたいと思って入学しました。
――ルーキーイヤーの目標をお願いします
絶対にインカレ(日本学生選手権)に出て、インカレでA決勝に残ります