渡部がいきなり優勝!いざ4冠へ

競泳

 日本で最もハイレベルなレースが繰り広げられる日本選手権が開幕した。6日間にわたって行われる今大会は世界選手権代表選考会を兼ねており、トップスイマーたちにとってまさに決戦の舞台となる。初日から優勝者を輩出するなど、新生ワセダは好スタートを切った。

★大学初レースで堂々の優勝

表彰台の頂点で笑顔を浮かべる渡部

 期待のルーキー渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)の大学初レースとなったのは、女子50メートル平泳ぎ。危なげなく4位で予選を通過すると、迎えた決勝ではスタートをしっかりと決め、スピードを維持したまま1位でフィニッシュ。得意な種目ではなかったにもかかわらず日本新記録にあと0.03秒まで迫る好タイムを記録し、「優勝できると思っていなかった」と笑顔を見せた。また、「あすの100メートルにつながる本当にいいレース」と振り返り、次のレースへの気合いも充分。昨年の3冠を越え、4冠へ――。伝説への挑戦はまだ、始まったばかりだ。

(記事 吉田麻柚、写真 谷田部友香)

★自己ベスト更新!初の決勝へ

チームに勢いを与えた加納主将

 加納雅也主将(スポ4=県岐阜商)は男子100メートル平泳ぎに出場した。予選24位に終わった昨年の悔しさを晴らすかのように、きょうの予選では力強い泳ぎを披露。自己ベストを更新し、4位で準決勝へ駒を進めた。準決勝では今種目日本記録保持者・北島康介(アクエリアス)が隣のレーンを泳ぐなどハイレベルな戦いを展開。見事7位に入り、決勝への切符を獲得した。「ラストの方で力んでしまった」とタイムが伸び悩んだ反省を生かし、あすこそは日本のトップスイマーを相手に最高の泳ぎを見せてくれるだろう。

(記事 吉田麻柚、写真 谷田部友香)

★安田、エースに向けての成長を示す

惜しくも準決勝敗退となった安田

 背泳ぎの絶対的エースだった多田邦徳(平27スポ卒)が抜け、早大にはその穴を埋める後継者が必要とされている。このような状況下、安田純輝(スポ3=千葉商大付)が男子100メートル背泳ぎで成長を見せた。予選で自己ベストを更新し、12位で自身初となる日本選手権での準決勝へ。続く準決勝では予選のタイムを上回れず、決勝への切符を逃した。しかし昨年から順位を大きく上げ、今後のさらなる躍進に期待が膨らむ結果に。偉大な先輩の背中はまだ遠いかもしれないが、確実に一歩近づいたはずだ。上級生として臨む今季、安田が早大のキーマンとなるだろう。

(記事、写真 谷田部友香)

★悔しさ残る準決勝敗退

競り合う田村(手前)と志賀

 志賀珠理奈(スポ1=埼玉・武南)にとって大学初レースとなった今大会。まずは予選。志賀は12位、そして田村美紅(スポ3=埼玉栄)は8位で予選を通過した。迎えた準決勝では二人が隣のコースで泳ぐことに。二選手とも思うようにタイムを伸ばすことができず、惜しくも決勝へと駒を進めることはできなかった。非常に悔しい結果となった今レース。しかし互いに良きライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)していけば、必ず成長していけるだろう。他の種目でも活躍する輝かしい未来から目が離せない。

(記事 網代祐希、写真 谷田部友香)

★期待の自由形中距離ルーキーたち、大学デビュー戦へ

今後の活躍が楽しみな井上

 男子400メートル自由形に、今種目高校総体王者の井上奨真(スポ1=県岐阜商)が挑んだ。「前半から飛ばしていくのが僕の得意なレース」と言うように序盤は快調に進んでいくが、後半失速。予選17位と目標としていた決勝進出に届かず、「情けない」と悔しさをあらわにした。しかし井上の大学競技生活は幕を開けたばかり。この経験を力に変え、ワセダの自由形中距離を支える柱となってほしい。一方女子400メートル自由形には伊藤愛実(社1=東京・早実)が出場。「200(メートル)の選手としての400(メートル)のレースをしたかった」とあす行われる女子200メートル自由形を見据えて臨んだ。予選13位となり納得のいくタイムを出すことはできなかったが、課題はつかんだ様子。あすの得意種目では会心の泳ぎを期待したい。

(記事 谷田部友香、写真 角田望)

結果

◇決勝

女子50メートル平泳ぎ

渡部 31秒07【優勝】

◇準決勝

女子100メートルバタフライ

志賀 1分00秒54【11位】

田村 1分00秒65【13位】

男子100メートル背泳ぎ

安田 56秒40【12位】

男子100メートル平泳ぎ

加納 1分01秒08【7位】

◇予選

100メートルバタフライ

田村 1分00秒55【8位】

志賀 1分00秒85【12位】

男子400メートル自由形

井上 3分55秒42【17位】

八木隼平(スポ3=京都外大西) 3分57秒49【24位】

男子100メートル背泳ぎ

安田 56秒11【12位】

女子400メートル自由形

伊藤 4分18秒30【13位】

男子100メートル平泳ぎ

加納 1分00秒98【4位】

上野聖人(社3=神奈川・法政二) 1分02秒12【25位】

渡辺一平(スポ1=大分・佐伯鶴城) 1分02秒29【27位】

雨谷拓矢(スポ4=神奈川・桐蔭学園) 1分03秒36【41位】

女子50メートル背泳ぎ

山口真旺(スポ2=兵庫・須磨学園)28秒90【9位】

赤木彩乃(スポ3=岡山・勝山) 29秒88【31位】

女子50メートル平泳ぎ

渡部 31秒44【4位】 

コメント
決勝進出者

渡部香生子(スポ1=東京・武蔵野)※囲み取材より抜粋

――あと0.03秒で日本記録でしたが

もう少しで日本記録だったのはちょっと悔しいのですが、50メートルで優勝できると思っていなかったですし、こんなタイムが出るとは思っていなかったのでとてもうれしいです。

――100メートル平泳ぎへつながる泳ぎになったかと思いますがいかがですか

スタートがしっかり決まり、スピードもついてきているので、あすの100メートルにつながる本当にいいレースだったと思います。

――スピードが出るようになったきっかけは

ウエイトトレーニングをし始めて、筋肉がついたところだと思います。

――手ごたえを感じることも多かったですか

そうですね。練習でもいいタイムで泳ぐことができていたので、練習の成果が出たのだと思います。

――今後日本選手権4冠も見えてきますがいかがですか

きょねん3冠することができているので、ことしこうして50メートルで勝つことができたのであと3種目、全部で4冠できればいいなと思います。

準決勝進出者

加納雅也主将(スポ4=県岐阜商)

――予選での自己新記録更新おめでとうございます。感想をお願いします

ありがとうございます。ひとまずベストが出て良かったなという感じですね。

――準決勝についてはいかがですか

ラストの方で力んでしまったのかなと思います。思いのほかタイムが伸びなかったので、悔しいです。

――隣のレーンは日本記録保持者の北島康介選手(アクエリアス)でしたが

最初はどうなのかなと思ったのですが、泳いでいる時は楽しかったという表現は良くないかもしれませんが、良い経験になりました。

――主将として初のレースでしたがいかがでしたか

良い流れがつくれたので主将に関わらずよかったかなと思います。

――ラストイヤーの意気込みをお願いします

最後のインカレ(日本学生選手権)で、自分の目標はもちろんですけど、チームの目標も達成できたらと思います。

予選後

八木隼平(スポ3=京都外大西)

――この日本選手権にどのような意気込みで臨まれましたか

2年間ベストに近いタイムが出ていなかったのですが、今回それに近いタイムが出ていたので2年間と時間は掛かっていますが自分としては成長していると実感ができたレースだったので良かったかなと思っています。

――どのようなレース展開を思い描いていましたか

周りが速いということは分かっていたので、それとどう駆け引きしてラスト粘れるのか、というレースをしたかったのですが横の人が早めに出てそれに対応できなかったので、初速の速さというのをこれから頑張っていきたいと思います。

――日本学生選手権(インカレ)に出ていなかったのはケガのためですか

そうですね。インカレは出れたのですがケガで棄権というかたちで悔しい思いをしたので、この4月は結構やる気があったのですが、あまり納得できないというか悔しいです。

――タイムとしては悔しさの残る結果だったということですか

そうですね。次また頑張ります。

伊藤愛実(社1=東京・早実)

――大学入学後の初レースでしたが、振り返っていかがですか

長水で400メートルを泳ぐのは8月のJO(全国JOCジュニアオリンピックカップ)ぶりだったので、どういうレースになるのか全く自分でも想像できなかったのですが、タイム的にはあまり良くなかったです。

――目標タイムはどれくらいだったのですか

決勝ラインが(4分)15秒ぐらいになると思っていたので、15では泳ぎたいと思いました。

――レースプランはどのようなことを考えていましたか

夏以降、400(メートル)のレースに出ていなくて、200(メートル)を中心とした練習をしていたので、400の選手としての400ではなく、200の選手としての400のレースをしたかったので、最初の200は入っていきたいなと思っていました。

――200メートルにつながるレースはできましたか

後半の200はやっぱりきつかったのですが、最初の200は気持ち良く泳げたので、あしたはこういうふうにならないようにしっかり頑張っていきたいと思います。

――ワセダの自由形の中距離はあまりいませんが、そこを支えていく存在としてどのような4年間にしていきたいですか

大学生になって新しい環境になって、いろいろ大変なこともあると思うのですが、文武両道で勉強も練習もしっかりやっていきたいです。いままで高校はインターハイ(高校総体)など個人でのレースが中心だったのですが、大学で戦うということでしっかり先輩方の応援もしてサポート面も頑張っていきたいと思います。

井上奨真(スポ1=県岐阜商)

――ワセダの一員としての初レースでしたが、振り返っていかがですか

決勝に残るのが一番の目標で、最低でもベストを出したかったのですが、ベストも出なかったので情けないかなと思います。

――タイムとしては

タイムもベストプラス2秒ぐらい掛かっているので悔しいですね。

――レース展開はどのように考えていましたか

前半から飛ばしていくのが僕の得意なレースで、(前半から)飛ばしていた気はしたのですが後半持たなかったです。

――高校総体王者として、ワセダの中距離を支える存在となることが期待されますが、今後どのようになっていきたいですか

ここで悔しい思いをしたので、これからジャパンオープンやインカレ(日本学生選手権)とかで決勝に残ってインカレでは特にもっと頑張りたいなと思います。

――ワセダでの4年間をどのようなものにしていきたいですか

いまはまだ寮生活にも慣れていなくてよく分かっていないのですが、水泳がメインになると思いますが、水泳だけではなくて普通の学校生活も楽しみたいなと思います。

渡辺一平(スポ1=大分・佐伯鶴城)

――ワセダの一員としての初レースでしたが、振り返っていかがですか

先週のジュニアオリンピックという短水路の大会に出て、1週間後のこの大会だったのですが、短水路の大会から長水路の大会に合わせるのが難しくて、前半はいい感じの泳ぎができたと思うのですが、後半バテてしまったり力んだ部分もあったので、これからのレースにつなげていければいいなと思います。

――専門は200メートル平泳ぎだと思いますが、そこに向けて課題の見つかるレースになりましたか

そうですね。短水路と長水路では全く違うというのを実感させられたので、短水路の練習をしてきた中で長水路の大会に臨むのは絶対に無理だと分かったので、少しでも200(メートル)につなげられればいいなと思います。

――今大会には5種目出場されますが、その狙いはなんですか

僕は平泳ぎだけじゃなくて自由形だったり、瀬戸さん(大也、スポ3=埼玉栄)のような色んな種目を泳げる選手になりたいと思ったので、複数種目にもエントリーしています。