瀬戸大也、世界選手権事後インタビュー!

競泳

 スペイン・バルセロナで開催された第15回世界選手権。400メートル個人メドレーで日本競泳界史上初となる金メダルを獲得した瀬戸大也選手(スポ1=埼玉栄)。世界の大舞台で歴史的偉業を達成した瀬戸選手に、世界選手権の振り返り、そして激闘の末に見えた新たな挑戦と目標を伺った。

※この取材は8月29日に行ったものです。

世界選手権を振り返って

世界選手権を笑顔で振り返る瀬戸

――世界選手権後、生活に変化はありましたか
 世界選手権に行く前と帰ってきてからでは全然違いますね。帰ってきてからは取材やメディア関係からオファーが凄く入ってきて、テレビ出演の話とか頂いたりと、凄く変わったなーって思います。あとは、町を歩いていて声をかけられるようになりました。

――今後はメディアで活躍する機会も増えますか
 あまり出ないようにしています。(笑)バラエティーとかのオファーもありました。ちょっとだけ受けて、あとはもう・・・。(笑)

――地元では凄い歓迎を受けていらっしゃいましたが
 そうですね。この前、町のサマーフェスティバルに呼ばれてイベントに参加してきました。そしたら、こんなに人がいるのかってくらい人が来てくれて。歓声も凄かったんで、嬉しかったです。幼稚園のころから育ってきた町なので。

――6月の早慶戦ではあまり調子がよくなかったようですが、世界選手権本番までにどのような調整を
 早慶戦のときは、ほんとうに4泳法とも調子が良くなくて…。全然切れもなかったし、正直ヤバいなと思っていました。でも、本番までに1か月あったので、体調もコンディションも変わってくることを信じて練習をしていましたね。早慶戦が終わってからも、ちょっと感覚が悪いのが続いていたんですけど、バルセロナ大会の事前合宿でカレージャに行ってから気持ちを一回切り替えることができました。現地に来たからということで一発目の練習から気合を入れて、そこから調子を戻していった感じです。カレージャのプールは設備もよくて、気候も凄くリラックスできる環境だったので一回、一回の練習でどんどん感覚が上がっていきました。レース形式のブロークンという練習でも、大幅ベストが出ていたんで良い感覚で調整できました。凄くいい練習ができていたので自信を持って、バルセロナを乗り越えることができました。

――遠征期間中はご飯に気を使うのですか
 ご飯は、バイキングみたいな感じで、米がパサパサで、食べづらいです。だけど、今回はチーム荷物でカップラーメンのお米版見たいなのを持って行ったので、酢飯とか、牛飯とか、わかめご飯とか色々なお米があったのでそれらを食べていました。やっぱり、炭水化物を多く摂ってエネルギーにしていました。

――宿舎での生活はどうでしたか
 自分は、Wi-Fiがあれば生きていけるので(笑)。 Wi-Fiさえあれば大丈夫です(笑)。

――何か不便に感じる事とかはなかったのですか
 いや、なかったですね。寝られればいいので。あとは、湯船があれば大丈夫です。

――4泳法の各泳ぎで意識した点はなんですか
 一番は、ネックになる背泳ぎで入水した後すぐに水をキャッチできるように気を付けたことです。背泳ぎではしっかり手が入水したときから水を捕えて、少しでも体を浮かせられるように意識しました。カレージャのプールは塩分が入っていて、体が浮いて感覚がよくて。バルセロナのプールでは塩分がなくなっていたので、あれっ浮かないってなりましたね。(笑)でも、調子は全然悪くなくてタイムも早かったので、カレージャで感覚をしっかり研ぎ澄ますことができました。

――得意種目であるバタフライ、平泳ぎはどんな調整を
バタフライに関しては試合が近づけばキレが出てくると思っていたので、いつも通りやっていました。平泳ぎはぜんぜん足の引っ掛かり悪くて。正直、200メートル個人メドレーの試合でも引っ掛かったり、引っ掛からなかったりしていて。400メートル個人メドレー当日の朝のアップのときに足が引っかかり始めて、よくなった感覚がありました。予選でも大きく泳げていたので、決勝も大きく泳ごうと思っていました。決勝に向けたアップをしたら凄く足の引っ掛かりがよかったので、これは大丈夫だと思えました。平泳ぎはカレージャでの合宿中でもそこまで調子を取り戻せなくて不安材料だったんですけど、試合当日に感覚を取り戻せてよかったです。

――自由形の練習は
 自由形は最後に競ると思っていたので、持久力を落とさないように基礎的な持久力を保つ練習はしていました。

――初戦の200メートル個人メドレーは緊張しましたか
 世界選手権での初レースだったので、予選は物凄く緊張しました。力んでしまい前半から突っ込んでしまって、後半はうまく泳げませんでしたね。準決勝では、予選の泳ぎを修正して前半を抑えて、後半に力を出したらベストタイムを出すことができました。余力もあったので決勝もまだまだ上がるなと思えました。決勝戦がすごく楽しみで、有名な選手と泳げると思うと舞い上がっちゃって。(笑)決勝の舞台はやっぱり緊張しましたね。200メートル個人メドレーに関しては前半から積極的に行こうと思っていて、前半から力をぶち込んで泳いだら、予選のときのように後半でばてちゃいました。ゴールにタッチしたときに完全燃焼できなかった感じがあったので、悔いが残るレースになりました。準決勝からタイムも落としてしまっていたので…。400メートル個人メドレーでは前半を少し抑えて泳ぐことを考えるようになりました。

――400メートル個人メドレーまでの調整は
 200メートル個人メドレー決勝の次の日に800メートルリレーの予選に出てほしいと言われて出場しました。自己ベストくらいのタイムで次の選手に引き継ぐことができたんですけど、俺が出て決勝に残らなかったらどうするんだ!っていう不安があって凄く緊張しました。(笑)でも、いい結果で終えることができたのでよかったです。その次の日は休みをとって、400メートル個人メドレーの予選に挑みました。

――400メートル個人メドレーを戦った感想は
 予選タイムで4分12秒台を出せば決勝に残るのは確実かなと思っていました。予選を目標タイムにむけて前半から気持ちよく入っていくことができて。掲示板のタイムをみると前半を2分1秒くらいの速いタイムでターンすることができたので、後半は少し流して大きく泳ぐことを意識しました。予選を4分12秒台と、イメージ通りに泳ぐことができて凄く手ごたえがありましたね。予選のレースで200メートルのターンまでのタイムに自信が持てたので、決勝では積極的な泳ぎをしながらも前半は抑え気味に入っていこうと思いました。決勝戦直前の招集所では今まで以上に凄く落ち着いていて。でも、体の芯から燃え上がるものがあって楽しみで仕方なかったです。密かに燃えていました。(笑)自分のレースをして、いい泳ぎができればメダルを絶対に獲ることができると思っていました。本当に不思議な感じ。落ち着いているけれど、わくわくしていて。同じ日本代表の萩野公介選手(東洋大)といい勝負をしようと思ってプールに向かいました。レースが始まると公介が前半から突っ込んできていたので、自分は焦らないように泳ぐことを意識しました。背泳ぎではバサロキックの回数を増すことをコーチと計画していたので、しっかりと潜ることができました。ターン直前に公介がターンしていくのが見えて、あんまり離されていないことがわかったので、そこからは自分の得意な平泳ぎを落ち着いて大きく泳ぎました。平泳ぎの折り返し地点で、先頭の公介に追いつくことができて。中学生の時に初めて公介に勝ったレース展開に凄く似ていましたね。自由形に公介が力を溜めていることがわかっていたので、このまま頑張って泳げば二人でメダルが取れると確信しました。自由形の50メートルは公介を意識しませんでしたが、ラストのターンをしたときには自分が抜いていて、これは頑張ったらいけるんじゃないかって思いましたね。(笑)そっからはもうがむしゃらで頑張りました。タッチしたら電光掲示板に1位って表示されていて、よっしゃーってなりましたね(笑)。あれはヤバかったです。

――いつもはバタフライでリードを奪う展開が多いと思いますが、今大会はバタフライを落ち着いて入っていましたが
 そうですね。今回の世界選手権はそっちの方が記録は出ましたね。だから、正直身体のキレはなかったんだと思います。200メートル個人メドレーは全然戦えなかったし、スピードもあまり出ていなかったように感じます。身体が持久的になっていてスピードが出づらくなっているので、インカレではもう少し身体に刺激を入れてスピードを出していきたいです。また、インカレが終わったらことしの冬はがっつりウエイト系のトレーニングをするつもりなので、そこでパワーをつけてスピードも出していきたいと思います。

――背泳ぎでキャッチの部分を意識して練習してきたと言っていましたが、萩野選手から背泳ぎで思ったよりも離されなかったのは練習の成果が出たからですか
 今大会は公介の背泳ぎの調子がそれほど良くなかった印象なので、それも自分にとってはプラスで、潜ったところでちょっと追いついたところもあったので、背泳ぎでうまく泳げたのが今回の勝因だと思います。

――200メートル個人メドレー決勝の舞台ではロクテ選手など有名な選手と泳がれて、何か感じるものはありましたか
 すごくわくわくしましたし、やっぱり先頭で勝負したいと思いましたね。200メートル個人メドレーで自分のパワーのなさに気づけたので、次はパワーもつけて200でも勝負できる身体にしていきたいと思います。

――日本選手権の時に世界選手権では最高のパフォーマンスをすると言っていましたが普段から有言実行するタイプなのですか
 たまには大きなことを言ってできないこともあるのですが、目標はしっかりと立てて口に出した方が、自分ではその通りになると信じているので、良いことは口にしていこうと思っています。無理とは思わないようにしていつもやっています。400メートル個人メドレーの前日は寝る前にずっと予選からのレースのイメージをしていて、なんかできる気がしたんですよね。今回そのイメージ通りになったので、やっぱりイメージは大切だと思いました。

――試合の前日は眠れましたか
 普通に眠れました。楽しみだし早く来てほしいと思って。予選が本当にイメージ通りだったので、これはすごくいいと思って。でも、周りには言わなかったんですよ。これは絶対すごいことが起きる、メダルは絶対に取れるって。メダルを取る自信はあったのですが、周りには言わずに、しっかりやればメダルは取れるんじゃないですかね、という感じで言っていました。予選終わってホテルに帰ってからも、ずっとイメージしていて、わくわくして身体が熱くなってきて、必死で抑えていましたね。(笑)だから眠れていたのかはよくわからないんですけど、ちゃんと休めました。

――最後の自由形では、どのあたりでこれは行けると思いましたか
 最後50メートルのターンをして浮き上がったときですかね。

――他の外国人選手が来ているかもしれないとは思いませんでしたか
 呼吸が右呼吸で、3位に入ったペレイラ選手が見えて、上がってきていると思っていたんですけど自分もまだ余力があるから大丈夫だと思って。呼吸を入れたときに2位のチェイスも見えたんですけど、もうがむしゃらに泳ぎました。余力が残っていたので、このまま頑張れば大丈夫だとは思っていました。

――タッチして、掲示板に1位と出たときの率直な思いというのは
 不思議でしたね。やっと長水路でも戦えたという感じでした。

――泳ぐ度にベストタイムを出していました
 世界水泳で最高のパフォーマンスをすると言っていたので、その通りに身体が動いてくれたんだと思います。

――優勝したときに、誰と一番この喜びを共有したいと思いましたか
 やっぱり日本チーム、あと家族とか親戚とか応援してくださった人たちと分かち合いたいと思いました。また、やっぱり君が代はどの国歌よりも響きますね。

――日本代表のチームは金メダルをとった瀬戸選手にどんな言葉をかけてくれましたか
 いやもう、みんなあっぱれっていう感じでした。

――入江陵介(イトマン)選手は泣いていらっしゃいましたよね
 そうですね!入江さんも個人でメダルをとれなくて悔しい思いもあって。最終日いっしょに頑張りましょうってずっと言っていて。それで、自分が金メダルをとって君が代を流せたので多分嬉しかったんだと思います。

――友達からの反応は
 あまり会ってないので分からないんですけど、でもすごく沢山のおめでとうのメールがきて、みんな祝ってくれてあすごく嬉しかったです。

――表彰台に上ってメダルをかけてもらったときの感情は
 会場が全部見えるので、ところどころに日の丸が見えて、応援しに来てくれている人たちにやっと君が代が流せると思って。メダルはどんなのだろうとか思って。公介は銀をもらっていたんですけど、あえて見せてもらわなかったんですよ。自分が絶対取ってから見るんだって。かけてもらった瞬間ずしっときて、うわ、重い!って。(笑)結構薄いんですけど、ずっしりきましたね。

激闘の末に見えた新たな課題

世界選手権でのパフォーマンスで自信がついた

――今大会唯一の金メダルですが
 日本勢としては世界選手権4年ぶりですね。4年前がワセダの先輩の古賀淳也選手(平22スポ卒)だったので、すごくうれしいです。ワセダだし、埼玉出身だし。400メートル個人メドレーで日本史上初というのはあまり意識していなかったのですが、短水路も長水路も取ったのも初みたいなので、結構『初』が多かったですね。でも自分的には、今回はうまく泳げて、運が良くて取れた金メダルだと思っているし、まだまだこれから続くので、もう次に向かっていて。本番はオリンピックなので、いかに今回金メダルを取れたような気持ちで臨めるか、メンタル面でのコントロールをしていきたいです。1年1年経験を積んで、オリンピックでは確実にメダルが取れるように。一番のライバルは公介だと思うので、二人で一緒に頑張っていけたらと思います。

――萩野選手もそうですが、2位だったチェイス・カリシュ選手(アメリカ)も19歳。同世代のライバルが多いですね
 チェイスは高3のときのジュニアパンパシフィック選手権という太平洋付近の国の選手が集まる大会で、あいつに負けたんですよね。(笑)だから借りもあったので、絶対負けねえぞと思って頑張れました。これもまた面白い話なんですが、高1の頃から遠征に選ばれるようになって、金メダルが獲れなかった大会がそのジュニアパンパシフィックだけなんですよ。高1と高3のときのどちらも獲れなくて。ベストなら金メダルを獲れるはずなのに、毎回そのジュニパンでは悔しい思いをして、何か気付かされる大会でしたね。それできょねんのジュニパンでチェイスに負けたのでことしは負けないぞと思っていました。

――外国人選手とは体格差もありますが
 めっちゃでかいですね。でも速ければ勝てるので。日本人はいろいろなところのテクニックがうまいです。自分もそこまで器用ではないですが、ターンとかスタートとかドルフィンキックとかもロクテ選手とかと比べると違いますが、自分では中の上くらいだと思っているのでそういう部分と、あと持久力はこれからも武器にしていきたいところだし、一番はポジティブなところは誰にも負けないと思います。

――大会前は同世代として萩野選手と比べられることが多かったと思いますが、そのことについてどのように思っていましたか
 メディアが公介をすごく推していて公介フィーバーみたいになっていたので、インタビューでも言っていましたが、一発かましてやろうと思っていて。(笑)公介だけじゃねーぞってところを見せたいと思っていましたね。

――レース後には萩野選手と声を掛け合っていましたが
 試合が終わったらノーサイドなので、公介もたたえてくれてすごく嬉しかったです。正直一緒に表彰台に登りたかったです。勝つイメージはしてましたが、公介はもっと記録伸ばしてくるんじゃないかなというのもあったので、絶対にふたりでは表彰台に登れると思っていました。映像を観たら公介はラスト25メートルくらいからキックが入ってなくて止まっちゃうんじゃないかってくらい体がきつそうだったので。ふたりで日の丸をあげるのは次だなと思っています。

――ライバル萩野選手との関係は
 公介がいるのがすごく大きいです、今の自分の成績があるのは。だから、感謝してるし、これからもずっとライバルでやっていけたら良いと思います。ずっと多分俺は追いかける立場だと思っているので、自分では、ずっと追いかけていって、そしてポイントのところで勝っていけたらいいなと思います。

――今大会、メダルへの意識は強かったですか
 それよりはベストパフォーマンスというのが一番ありました。いま出せる力を出し切ろうという。それを出せれば絶対にメダルはついてくると考えていたので、そこまで意識はしていなかったです。だから今後もあまりメダルとかを意識せずに「いま出せるパフォーマンスを」と思った方が頑張れるし、気負わないと思います。

――今回の世界水泳に関して自分で点数をつけるなら何点ですか
 うーん(笑)。200メートル個人メドレーは50点くらいですかね。400メートル個人メドレーは目標としているタイムを上回ることができたので100点だと思います!

――世界一になってこれからは追われる立場になると思いますが
 そういう風に言われることがありますが、正直あんまりそういうことを考えていないし、タイム的には公介の方がベストは速いし、日本新記録、世界新記録を出したわけでもないです。追われる立場というよりはまだまだ自分も上を目指すチャレンジャーなのでもっともっと上を目指してやっていきたいです。

――世界選手権のあとはそのままワールドカップ2戦(オランダ・アイントホーヴェン大会、ドイツ・ベルリン大会)に出場されていましたが
 あれはちょっときつかったですね(笑)。

――予選と決勝を合わせると2戦で全15レースくらいされていますよね
 それくらいはしてますね。1日に2バタ(200メートルバタフライ)、2ブレ(200メートル平泳ぎ)、4コメ(個人メドレー)…。4コメはタイム決勝なので2バタ、2ブレの予選を泳いで。でも今回は平泳ぎとかで予選落ちとかしちゃったんですよ。世界水泳から選手が流れてきたのでめちゃくちゃレベルが高くて、きょねんの優勝タイムがまあメダルかなくらいのタイムの試合で、世界新記録もバンバン出ている大会だったので、今回すごくレベルが高かったですね。自分の種目はしっかり戦えたので良かったですが、あんまり戦えなかったですね。世界水泳が終わってからのオランダの試合は本当に体がきつくて帰りたいって思いました。(笑)なんで選んじゃったんだろうって。(笑)でも次のドイツではラストだから頑張ろうという気持ちで日本新記録を4コメで出しておこうと思っていました。しっかり出たので調子はいいのかなと思いました。

――ドイツ・ベルリン大会ではバタフライと平泳ぎでも自己ベストが出ていましたね
そうですね。ドイツは良かったです。疲れているわりにタイムが良かったのですごく良い試合でした。

――短水路の方が得意というお話もありましたが、長水路で勝つために練習してきたことは
 やっぱりスタートからの25メートルとターンしてからの25メートルのタイム差がすごくあるんです。長水路が得意な人はその落ち幅が滑らかなので、後半もスーっと進んでいる気がします。そういうところを意識して50メートルでも上げていけるような練習をしています。ことしの4月からワセダに来てずっと長水路でやっていて、オランダのときも短水路が久しぶりだったので泳ぎ方を忘れていた部分がありました。なのでドイツでは(オランダで)少し短水路のレースをしてレース感覚も分かったのでタイムが出たんじゃないかなと思いますね。いまは長水路向きの泳ぎを目指しています。

――短水路と長水路ではやっぱり全然泳ぎ方が異なりますか
 そうですね、短水路はターンが多いし、25メートルプールでは減速がないので、スピードもあがって、あがって、あがって、あがってって感じで!25メートルの方が得意だと思いますけど、ここ最近長水路でやっていたので長水路でも慣れてきて。実際練習でも長水路で練習した方が練習になるなっていう感じですね。最近、短水路だとターンがすぐきてしまうので逆に疲れちゃうなっていう感じがします。

――世界選手権で見えてきた課題は
 そうですね、スピードとパワーが全然足りなかったので、今度は200メートル個人メドレーでも戦っていきたいので、それらが必要ですね。バタフライでも楽にもっと速くスピードが出せるようにしたいので。今後の課題はやっぱりスピードとパワーですね。あとは、持久力はやっぱり必要ですね。持久力があれば後はどうにかなると思うので。持久力、パワー、スピード。

――背泳ぎも得意種目になりそうですか
 背泳ぎはレースをめちゃくちゃしてみたいですね!背泳ぎだけのレース、ちょっと良いタイムが出るんじゃないかなって思います(笑)天秤みたいな感じで、スピードを上げると持久力が落ちて、持久力を上げるとスピードが落ちてくるんですよ。だから、ちょうど良いところで泳げたら最強だと思います。

飽くなき『挑戦心』

瀬戸の『挑戦』は尽きない

――直近の試合として日本学生選手権(インカレ)がありますがインカレではどういう気持ちで臨みますか
 インカレでは、ワセダに貢献するために少しでも良い順位になるように、また、萩野公介選手が絶対にリベンジしてくると思うので、頑張ります。世界のトップレベルのレースをして会場を盛り上げたいな、という思いもあります。やっぱりやるからには勝ちに行きたいです!世界選手権が終わってから少し気持ちが切れた部分もあるので、もう一回気持ちを入れなおしてチームのために頑張りたいです。インカレでできる最高のパフォーマンスをして、少しでも良い順位をとりたいです。

――インカレにむけての練習について、先週まで合宿に行っていましたが、そこではどのような練習を
 世界選手権でタイムがでているので、疲れを取る練習をしていました。だけど、疲れました。(笑)合宿では持久力を落とさないような練習をしていました。

――冬はウェイトがメインになりそうですか
 そうですね、がっつりウェイトをする予定です。来年のアジア大会とパンパシフィックに向けて。次は次の目標のタイムがあるのでそれに向けてトレーニングしていくつもりです。

――来年はアジア大会とパンパシフィック、そして4年生時にリオ五輪を目指されると言うことで、今後の目標は
 リオに向けて長水路をずっと練習できるというのはすごくアドバンテージになるので、一回一回しっかり頑張って練習して、一年に一番大きな試合でしっかり目標タイムを出せるようにしていきたいです。来年だったらアジア大会かパンパシフィック、どちらに合わせるかまだ分からないですけれどその2つをどちらかに絞って、再来年の世界選手権では2大会連続金メダルを目指して頑張りたいです。また、そこで金メダルを獲ればすごく勢いがつくと思うので、その次のオリンピックでもメダルを。まあ、代表に入らないとっていう話なんですけれど。(笑)一年一年大切にしていきたいなと思います。

――ありがとうございました。

(取材・編集 佐々木啓介、戸澤美穂、荒巻美奈、種村春歩)

◆世界選手権結果
▽男子200メートル個人メドレー
決勝  1分58秒45 【7位】
準決勝 1分58秒03 【6位】
予選  1分59秒25 【12位】

▽男子400メートル個人メドレー
決勝  4分08秒69 【優勝】
予選  4分12秒96 【2位】

◆瀬戸大也

1994年(平6)5月24日生まれのA型。174センチ、70キロ。埼玉栄高出身。スポーツ科学部1年。専門種目は個人メドレー。遠征中には入江陵介選手ととても仲良くなったそうです。