【連載】春季早慶戦直前特集『慎始敬終』【第9回】加藤孝太郎

野球

 東大戦、立大戦、法大戦と、開幕3連勝を挙げたエースの加藤孝太郎(人4=茨城・下妻一)。しかし明大戦では4回7失点で負け投手となり、5大学からの白星奪取とはならなかった。加藤は今、リーグ戦前からの取り組みの成果や、早慶戦において何を思うのか。

※この取材は5月20日にオンラインで行われたものです。

(背番号11を着けることは)「今まで以上にしっかりやらなければいけないというような、責任感を強く感じる」

法大1回戦で登板した加藤

――今季の調子を振り返っていかがですか

 東大戦、立大戦はあまり状態も良くなくて、自分の中でモヤモヤ感がありました。ですが立大戦後に空き週があったので、そこでもう一度しっかりトレーニングして、 法大戦は状態良く投げられたかなと思います。

――東大戦、立大戦で感じたモヤモヤ感というのは、どのようなところで感じていましたか

 制球が全然定まっていないというのと、ボールのキレも全然なかったので、その辺りがすごく気になっていました。

――法大戦前のトレーニングというのは

 しっかり負荷をかけて、リーグ戦前に行っていたようなトレーニングも一度しっかりやるっていうところです。

――東大戦、立大戦、法大戦と3連勝されましたが、その点についてはいかがですか

 打線の援護がすごくあったというだけだと思います。野手に感謝という感じですね。

――法大戦では1回戦だけでなく、3回戦でも先発されました。3回戦についてはいかがですか

 3回戦に登板すること自体が、昨年の春に一度東大戦であったくらいでほとんどないので、少し不安でした。試合の最初はあまり良くなかったのですが、中盤以降体が動き始めてからは、しっかりゲームを作れたなと思います。

――1回戦に続き3回戦も先発ということで、疲労面は

 あの日は確か雨が降って、中2日になって。もちろん疲労はありましたが、中1日よりはマシかなって感じです。

――法大戦の後の、明大戦を振り返ってみていかがでしょうか

 全くピッチングになってなかったなという感じで、もう散々でしたね。

――その理由についてはどういった点が挙げられますか

 法大戦で中2日で投げて、そこから中3日(で明大戦)という形だったので、疲労が取れることは絶対ないと分かっていて、疲労がある中での投球になるという風に感じていたのですが、その中でもうまくまとめられなかったなと思います。

――イニングの途中には小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)とお話する場面もありましたが、どのような声掛けをされましたか

 監督からはボールというよりは、その高さをとにかく(低めに)意識しろという風に言われました。

――リーグ戦の前には、ボールの強さを出すことと、体力作りが課題とおっしゃっていました。取り組みの成果は感じられていますか

 法大戦では、少しは感じられたかなと思います。ボールの強さで言えば、打者を差し込めていました。真っ直ぐにしろ変化球にしろ、ファウルや空振りを取れていたので、その辺りが収穫かなと思います。体力に関しては、1回戦3回戦というところで、しっかり8イニングずつ投げられたことは成果だと思います。

――また、同じくリーグ戦前に、フォームを変えたというお話がありました。右ひざが落ちないように粘るというお話でしたが、これは腕を振り上げた時ということでしょうか

 足を上げて、体重を前に移動する時の段階で右膝が落ちてしまうと、上から叩くような投げ方ができないので、その時です。

――フォーム変更の成果についてはいかがですか

 やっぱり法大戦のように球が行く時は、右足でしっかり押し込めて投げられているように感じました。ただ、やっぱり対打者となった時に、どうしてもまだ直っていないなという風に思います。

――まだ直っていないということですが、粘れないのはどういった要因からですか

 トレーニングとかで普段入れている刺激を、実際にピッチングの動作の時に同じように入れられてないということだと思います。

――リーグ戦前もそうですが、1年時の対談でも3球で追い込む意識を持っているとおっしゃっていました。この3球意識というのは、大学でずっと持ち続けているのでしょうか

 そうですね。監督が常にストライク先行で、3球で追い込めと風に言われているので、それは常に意識しています。

――今季からエースナンバーの「11」を着けられています。実際にリーグ戦に登板してみて、そのプレッシャーは感じていらっしゃいますか

 プレッシャーはあまり感じていません。ただその代わり、11番を着けている身として、今まで以上にしっかりやらなければいけないというような、責任感を強く感じます。

――責任感というお話がありましたが、エースとして求められている投球はどのようなものだと思いますか

 1回戦で必ず自分で勝ち星を取ることです。もし1回戦で負けても、3回戦でもう一度登板して、しっかり抑えるというところですかね。

――現在、加藤選手の理想のエース像には、どれぐらい近づけていると思いますか

 明大戦のあの投球もあったので、まだまだですね。

――以前、直球に関しては岸孝之選手(東北楽天ゴールデンイーグルス)、投球スタイル的には東浜巨選手(福岡ソフトバンクホークス)に憧れているというお話がありました。具体的にどういった点を参考にしているのでしょうか

 岸選手は、綺麗な縦回転で伸びるストレートが魅力だと思うので、その点をすごく参考にしています。東浜選手は内外へ丁寧にコントロールして投げられるのがすごくいいなと思っていて、その点をすごく意識しています。

――現在のご自身の投球をお二人と比べて、どれぐらいの距離感だと感じていますか

 いや、もう遥か上ですね。

――二人を参考にし始めたのはいつ頃ですか

 高校生ぐらいの時から岸選手のストレートはすごいなと思っていました。ただ、投球スタイル的にああいう形では勝負できないなと思って、それからは東浜選手、涌井選手(涌井秀章、中日ドラゴンズ)とかの投球スタイルがいいなと思うようになりました。

――普段からプロ野球選手の研究はされていますか

 そうですね、結構動画とかは見る方だと思います。自分の映像とプロ野球選手の映像を見比べて、どのくらいギャップがあるのかを確認しています。

「早慶戦で勝ち点を獲得できるように」

法大3回戦で登板した加藤

――ここからは早慶戦について伺っていきたいと思います。早大の優勝はなくなってしまいましたが、今現在のモチベーションはいかがですか

 優勝はなくなったのですが、自分含め(部全体で)しっかり切り替えて、早慶戦で勝ち点を獲得できるようにという思いで今は取り組んでいます。

――切り替えはすぐにできるものでしたか

 自分は結構すぐにできました。明大戦終わってからは、すぐに切り替えられました。

――現在の加藤選手の調子はいかがですか

 可もなく不可もなく、いつも通りです。体のコンディションさえ整えばという感じです。

――早慶戦に向けて、練習で意識している点はありますか

 特に早慶戦だからというよりは、普段と変わらずいつも通りのことをしようと思っています。

――加藤選手から見たチームの調子はいかがですか

 明大戦あたりはみんな、特に野手に疲労があったと思います。今週の空き週も挟んで、徐々に疲労は抜けてくると思います。疲労さえ抜ければ、そこまで気にすることはないかなと思います。

――今季の慶応に対しては、どのようなイメージをお持ちですか

 しぶといというか、粘り強いようなイメージがありますね。

――特に粘り強いと感じる選手はいらっしゃいますか

 打者では吉川選手(吉川海斗、4年)と栗林選手(栗林泰三、4年)あたりが少し嫌な感じと言いますか、気になっていますね。

――事前のアンケートでは、廣瀬隆太主将(4年)に「必ず抑えます」とありました

 廣瀬選手は慶応打線の中で一番いい選手ですし、今年の大学生の中でもトップクラスの選手だと思います。やっぱりそういう選手は抑えたいので、そういう感じになりました。

――慶応に勝つために、チームとして必要なことは何だと思われますか

 早慶戦独特のあの雰囲気に飲まれずに、入りを大切にしていくことが必要だと思います。

――それでは最後に、早慶戦での目標をお願いします

 優勝はなくなりましたが、切り替えて早慶戦2連勝で勝ち点を取ることが、今何よりも必要だと思います。そこを目標に、チーム一丸となって戦っていきます。

――ありがとうございました!

(取材・編集 荒井結月、写真 田中駿祐)

質問に答える加藤

◆加藤孝太郎(かとう・こうたろう)

2001(平13)年11月20日生まれ。179センチ。茨城・下妻一高出身。人間科学部4年。野球部の1年生は、練習の2時間ほど前から準備をするとのこと。加藤選手が1年生の時は、一番初めの集合に、4時前にアラームをかけて臨んだそうです!