【連載】秋季早慶戦直前特集『結実』【第8回】熊田任洋

野球

 今回登場するのは今季からセカンドに移り、ここまでキャリアハイのパフォーマンスを見せている熊田任洋(スポ3=愛知・東邦)が登場。打撃でも守備でも絶好調なリードオフマンに何があったのか。好調の理由に迫った。

※この取材は10月28日に行われたものです。

「本当にワクワクしています」

ここまで好調を維持している熊田

――早慶戦まで後1週間と少しになりましたが、今の心境を教えてください

 そうですね。他力ではあるのですが、優勝決定戦が控えているので本当にワクワクしています。

――今まではあまりワクワクという単語は出てきませんでしたが、優勝がかかっているからワクワクしているのでしょうか

 逆転優勝になると本当にないことだと思うので、そういった意味でワクワクしているのかなと思います。

――立大戦が終わってからはどういった練習に取り組んできたのでしょうか

 バッティングでは基本に立ち返ってセンターから逆方向にということを意識して取り組んでいます。守備ではとにかく足を使うことを意識してやっています。

――今季の自身のパフォーマンスについてはどのように感じていますか

 今季は今までと比べて本当に目の前のことに集中できているなと感じていて、結果は後からついてくるものだと割り切ってプレーすることができているので、それが今の数字に出ているのかなと思います。

――メンタル面が変化したきっかけなどは何かありますか

 特にこれといったことはないのですが。やることはやってきたので、それを神宮で出すしかないなと。そういう考えになっているのかなと思います。

――打撃面だと2本の本塁打が出ていますが、好調の要因はどういったところにあるのでしょうか

 打撃面でも本当に言った通り、シンプルに目の前のことに集中できていると思うので、それが結果としてでているのかと思います。

――春からスイングなどの技術的な部分は何か変えたのでしょうか

 悪い時は胸がピッチャーに向いてしまうというか、開きやすいというか、開いてバットが出てこないというときが一番悪いときなのでとにかく胸をピッチャーに見せないようにということを意識してやっています。

――打点もチームトップになっていますが、その辺りもやはりメンタル面によるものなのでしょうか

 そこもチャンスだからという様にはあまり考えていなく、とにかく自分がやれることをしっかりとできるように意識して打席に立っています。

「上の世界でやっていくためにはセカンドもできた方がいい」

勝負強さも見せている

――守備では今季からセカンドに移っていますが、セカンドからの景色にはもう慣れましたか

 そうですね。まぁ、だいぶ慣れました。

――ショートからセカンドに移った理由というのは

 チーム事情ということもあると思うですが、自分は監督(小宮山悟監督、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)から直接これから上の世界でやっていくためにはセカンドもできた方がいい、今季はセカンドをやってくれと言われてセカンドをやっています。

――今季からショートに入っている山県選手(秀、商2=早大学院)との連携面はいかがでしょうか

 自分がショートだった時に山県は二枚目でずっとやってきたので、経験を積めばある程度やってくれると思っていました。そこはうまくできているのかなと思います。

――他のチームに比べてセカンドのポジションニングが深い様に思いますが、その要因は

 ショートに比べて投げる距離がセカンドは近いので、バッターの足にもよりますが、守備範囲を広く守った方がアウトにもできると思うので、もしかしたらそれで他のチームよりも深いのかなと思います。

――ポジショニングは打者ごとに変えているところも特徴的ですが、それはデータによるものなのか、試合中の感覚的なものどちらなのでしょうか

 データももちろんそうですけど、その日によって打者の調子もピッチャーの球種も変わってくるので、そこはスイングの感じを見たりとか、バッテリーの配球をみたりして守備位置を変えています。

――先発の中心となっているのは同期二人ですが、加藤投手(孝太郎、人3=茨城・下妻一)はどのように見ていますか

 加藤は本当にコントロールよくストライク先行で投げてくれるので、非常に守りやすいかなと思います。

――清水大成投手(スポ3=大阪・履正社)はどうですかね

 大成もテンポ良く打たせて取るピッチャーなので守備からリズムが作りやすいのかなと思っています。

――テンポの良い投手だと守っている方としてはやはり守りやすいですか

 そうですね。全然違います。

「なんとか勝って4年生に恩返しできるように頑張りたい」

早慶戦でもチームをけん引できるか

――今季の慶大への印象は

 直近だと明治の試合になってしまうのですが、先制点をとれても土壇場での粘りであったりとか、春だと強打のイメージがあるので本当に難しい試合になるのかなと思います。

――1戦目は今季6勝を挙げている増居投手(翔太、4年)が先発すると思われますが、何か対策などはしていますか

 増居投手は本当にコントロールよくテンポよく投げてくるピッチャーなので、そのリズムに合わせてしまうと自分たちの打撃ができないと思うので、自分たちから仕掛けるということを意識してやっていこうかなと思っています。

――余談なのですが、熊田選手は左ピッチャーと右ピッチャーどちらの方が得意とかありますか

 特には感じないですけど、見やすさ的に言えば右の方が見やすいかなと思います。

――渡部淳一選手(4年)が左の中継ぎで出てくると思いますが、渡部選手への印象は

 増居投手に比べてコースビタビタに投げてくるという感じではないですけれど、小さい変化で打者を打ち取っているので本当にやっかいな投手だなと感じています。

――ドラフトで指名された橋本達弥投手(4年)が最後にどっしりと構えていますが、橋本投手への印象は

 ピンチの時に出てくることが多いと思うですが、どんな場面でも力強い真っ直ぐとキレのある変化球で抑えてくると思うので、これも難しい投手だなと感じています。

――今季慶大はチーム防御率がリーグ1位ですけど、そんな慶大投手陣打つビジョンは見えていますか

 そうですね。大体こうして行こうかなという風には考えています。

――1点がものをいう早慶戦ですが、チームとして1点をもぎ取るために意識していることはありますか

 チームとしては「誰がでてもおかしくない」とミーティングで言われているのでバントだったり、走塁など細かいところを徹底してやっています。

――守備だと強い打球が飛んでくることが予想されますが、そのあたりの対策などはなにか考えていますか

 ハンドリングの練習だとか、少し近い距離からテニスボールを打ってもらったりとか、そういったことをやっています。

――熊田選手が特に注意している打者はだれかいますか

 自分は結構山本さん(晃大、4年)が嫌だなと感じていて春もそうですけど、流れがいきそうだなという時に打っているイメージがあったので警戒していきたいなと思っています。

――4年生への思いはなにかありますか

 4年生は出ているメンバーは少ないですけど、全員でチームを勝たせたいという思いが強くて、練習でも盛り上げてくれたり、下級生中心のチームなんですけど、下級生が思いっきりできる環境を作ってくれているので、本当に4年生に最後恩返しをしたいなと思っています。

――早慶戦でのキーマンは誰になりそうですか

 中川さん(中川卓也主将、スポ4=大阪桐蔭)だと思います。蛭間さん(蛭間拓哉副将、スポ4=埼玉・浦和学院)は早慶戦になれば打ってくれると思うので心配はしていないですけど、中川さんはこの1年間やっぱり人一倍背負うものが違ったと思うので、早慶戦でやってくれれば早稲田に流れがくると思います。

――最後に早慶戦への意気込みをお願いします

 なんとか勝って4年生に恩返しできるように頑張りたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 山本泰新)

◆熊田任洋(くまだ・とうよう)
2001(平13)年4月15日生まれ。174センチ、76キロ。愛知・東邦高出身。スポーツ科学部3年。内野手。右投左打。蛭間拓哉副将(スポ4=埼玉・浦和学院)のドラフト指名から刺激を受けたと語る熊田選手。インタビューの中では「やってやろう」という気持ちが強くなったと早慶戦に向けて気合十分な姿を見せてくれました。