早大野球部に欠かすことのできない学生コーチ。澤田健太朗学生コーチ(文4=福井・高志)、清水大翔学生コーチ(スポ4=大阪・早稲田摂陵)の2人は、選手と近い目線での指導を心がけている。学生コーチの仕事や就任した経緯、そして東京六大学秋季リーグ戦開幕を目前に控えた現在の思いを語ってくれた。
※この取材は9月4日にオンラインで行われたものです。
学生コーチの仕事とは・・・
安部球場にて、澤田学生コーチ(左)と清水大翔学生コーチ
――まず初めに、学生コーチのそれぞれの仕事内容を教えてください
清水 自分は元々外野手だったので、コーチとして外野の練習を考えるというのが主な役割です。また、新人監督の占部(晃太朗、教4=早稲田佐賀)と一緒に練習を回していく中で、選手一人一人に悩んでいることがあると思うので、そういった選手の心の面をサポートしています。
澤田 占部と清水が練習を回してくれるので、自分は2人のサポートを中心にやっていています。手が空いていれば他の選手の自主練習や課題練習に付き合ったり、データの整理などをやっています。
――お二人はチームの中でどういった立ち位置にいると考えてますか
清水 自分は、どんな選手であってもこの野球部で野球ができて良かったなとか、清水さんに対話をしたことでいまの自分がある、と選手に思ってもらえれば一番うれしいです。そういう感じで選手と接しているつもりなので、選手を前向きにさせるような、縁の下の力持ちみたいなイメージなのかなと思っています。
澤田 占部と清水が学生コーチという立場にいて、それを自分が補佐しているのですが、学生コーチにも言いにくいことがたまにあると思うので、そういったことを選手よりの立場として通すことが自分の仕事だと考えています。選手の一人ではないですけど、そういったかたちで気軽に話してくれる存在にはなりたいと常に思っています。
――清水学生コーチは占部新人監督と練習メニューを考えているということでしたが、練習メニューを決めるときに重視しているのはどんなことですか
清水 外野手のメニューを基本的には決めていて、全体のことは占部と丸山(壮史主将、スポ4=広島・広陵)が中心に決めています。その中で重視していることとしては、絶対にこれだけはやらせなければいけないことに加えて、選手から見てこういう課題があってやりたいことなどがあれば、極力取り入れています。自分の絶対にやらせたいことさえ行えば、選手のしたいように自由に課題を克服できるような練習をしてもらうことを意識していますね。
――普段の練習の際、ティーチングやコーチングを行うことがあるかと思いますが、その中で特に意識していることはありますか
澤田 教えるというと自分が上の立場に立ってしまう感じがあるので、どちらかというと選手を同じ目線で意見を出し合い、自分の価値観を押し付けすぎないことを意識しています。
清水 学生コーチはコーチという名前なので、一般の人から見たらティーチングやコーチングをしているように感じると思うのですが、自分たちは全然技術とかを学んでいる訳ではないので、あくまで自分たちが野球を行ってきた中で伝えられることを伝えるように意識しています。その中で常に最高の状態で練習に取り組めるように選手の気持ちを持っていきつつ、助言があればできる程度にという感じなので、そこまでティーチングやコーチングというのをやろうとしているつもりはないですね。
――アドバイスを行う際はただ指摘するだけでなく、選手の自主性に任せることもあるかと存じます。そういった塩梅はどう決めていますか
澤田 指摘しないとまずいなということはその場で指摘するのですが、自分が気になるくらいであれば少し様子を見ています。しばらく経って自分で直してくれるのであればそれでいいですし、続くようであればプレーや練習が終わった後にどういう意図を持っていたか聞くことが多いと思います。
清水 自分もほとんど一緒なのですが、チーム全体で練習をしている中で良くないと思うところは指摘しないと練習の士気が下がるので、そういう時は指摘をしています。個人的にどう考えているのか気になることがあれば、個別に時間を取ってあれはどういう意図でやったかを聞いています。
――試合中はどういった仕事を行っていますか
清水 試合中と練習中はほとんど同じなのですが、試合ではメンバー交代があるので、監督さんがどういう野球観を持っていて、こういう場面であったらこの選手を使うというのを先読みして、先に選手に心と体の両方の準備をさせておくというの役割です。
澤田 試合中にベンチに入るのは占部と清水なので、外から試合を見て試合全体での細かいところや、占部と清水が気付かないところを指摘できるように意識してやっています。
――コロナ禍における練習の中で、工夫しているところがあれば教えてください
清水 自主練習ができないので、もっと全体練習の中での質を高めようという声かけをしています。
澤田 アルコール消毒を徹底させることやクラブハウスの窓を自分で開けるなど、自分にできることをしています。選手にも消毒するよう常に声をかけるようにして、感染対策を続けていこうと思います。
――冬の期間では、チーム全体としてスイングの量を増やしているとお聞きしました。その際には清水学生コーチであればどういったアドバイスを、澤田学生コーチであればどういった意識で振り込みをしてしていますか
清水 振り込みは辛い練習なので、前向きに取り組んでもらえるように声かけを行なっています。やはりその中でいろいろと得ていくものがあると思うので、前向きな声かけとどういう意図で練習を行っているかということをフィードバックじゃないですけど、そういった2つは意識してやっていたと思います。
澤田 自分は振り込みの期間は振り込んでいる側だったので、自分は一球一球どういった球を打とうだとか、体が疲れているなら疲れているなりにこういうスイングをしてみようだとか意図を持ってやっていました。また、振り込みは体力的にも精神的にも厳しいメニューだと思うので、自分の中で元気を出しながら率先して振り込んだり、声を出すことは意識してやっていました。
――役職を就くことになった経緯を教えてください
清水 経緯としては2つあります。まず1つ目が3年の秋のシーズンで、ちょうど立教戦の頃から毎年学生コーチが占部新人監督のサポート役を任すというのはチームで決まっていたので、学生コーチに誰がなるかを考えた時に多分自分が向いているのではないかと思いました。人に対して熱くなれるというのが自分の性格であったので、それがチームにとってプラスになるのではないかと思ったのが一つです。もう一つがなかなか自分からやりたいと言う勇気はなかったのですが、その中で占部の方から「日本一になるためにやってほしい」という言葉をもらったこともあって、この思いを無駄にしたくないと思ったのが理由です。
澤田 今春の東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)に出させてもらい、チームの一員としてすごくいい経験をさせてもらいました。ですが、そのリーグ戦の中で自分の力不足をすごく実感して、一塁手でいうと4年の今井(脩斗、スポ4=埼玉・早大本庄)や2年の生沼(弥真人、教2=東京・早実)であったり力を付けている選手がいる中で、自分が今何ができるかと考えた時に、選手としてではなく、学生コーチとして裏方で動くという方がチームの現状を考えた時にチームのためになるのではないかと考えました。結果的に、8月の頭から学生コーチをさせてほしいというのを主将の丸山と占部、小宮山監督(悟監督、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)と相談して結果的に学生コーチになって、チームであったり占部や清水のサポートをしたいなと思ったのがきっかけです。
――学生コーチになる決断をする際には後悔や葛藤などがあったと思うのですが、そういった感情はどう処理しましたか
清水 自分もすごく選手として3年生の1年間で自分の野球人生の中で一番上手くなったと自負できるぐらい頑張っていたので、あと1年間頑張ったらもしかしたらベンチに入る可能性があると少し出てきたところだったので、すごい正直悔しいと言い方が正しいかは分からないのですが、名残り惜しいという部分はありました。自分のことと占部から頼まれたことをどちらか捨てなければならない、どちらかを選択しなければいけないという時にどっちを選んでも後悔はしないと思ったのですが、でもその中で自分だけの問題ではなく占部の思いも背負っている分そっちを取らないと後々、後悔するなと思ったので選手としてやりたかった思いよりそちらを優先しました。
――学生コーチになった際、周りの人たちからはどういった言葉をかけられましたか
清水 ありがとうとか頑張ってくれとか頼むぞという言葉をかけられたのはあったのですが、特に「一年間付き合ってもらうからな」という言葉を鈴木萌斗(スポ4=栃木・作新学院)から言われたことはすごく印象に残っています。
澤田 自分がなる時は最初は丸山と占部にしか言ってなかったので、いきなり自分がなりますと言った時は驚かせてしまいました。ですが、同期のみんなはありがとうとかお前のために頑張るよとか言ってくれてすごくうれしかったです。個人的にすごくうれしかったのが、2年の生沼が自分たちは春のリーグ戦で2人で一塁手に一緒にいる時間が長くて、いろいろなことを話し合ったりした中で、生沼が面と向かって「自分、サワさんのために頑張ります」と言ってくれたことがすごくうれしくて「お前に全部を託した」と言ったことはすごく覚えていますね。
――ここまでの学生コーチとしての活動を振り返っていかがですか
清水 すごく感じているのは、大変だったということです。シンプルに大変だったなと思うことはすごくあります。やはりこの十何年間自分が選手として何か目標があって努力してきたわけじゃないですか、でも言ってしまえば自分のために努力するわけじゃないんですけど、自分たちが歩みを止めてしまったら、選手たちは立ち止まってしまうじゃないですか。その責任、プレッシャーというか自分が落ち込んでしまったらチーム全体が落ち込んでしまう。自分は落ち込みやすい性格なので、そこは今もダメなところでもあるんですが、自分のことだけで済んでいたことが、自分のことでは済まなくなるというのがすごい一番違うことです。そこでのメンタルの保ち方というか責任感はすごくあったので、それはまだまだすごく未熟で占部や須永(賢也投手コーチ、スポ4=群馬・前橋)がカバーしてくれていた部分があったので、こんなことは言えないんですけど、責任感がある中で活動してきたことはすごく大変でした。
澤田 自分は清水がこんなに責任感を感じている話をしてくれて申し訳ないのですが、まだまだ占部や清水、須永の補佐をしたいと申し出たくせにまだその3人に助けられてる部分がたくさんあります。学生コーチの補佐をしたいと言って自分が補佐されている側なので。本当に申し訳ないという気持ちが強いのですが、残りの3か月ぐらいで何とか3人の力になれたらなというふうには思っているので、ここからですね。まだまだ頑張りたいなと思っています。
――学生コーチのやりがいとはどこにあると感じていますか
清水 自分がやりがいに感じる部分は選手を前向きにするというのが自分の中での役割だと言ったと思うのですが、やはり自分があいつをもっとやる気にさせてもっと上手くなってほしいとアプローチした選手がすごく良くなってきている。一夏超えて成長している姿を肌で感じていて、すごいそういう人たちが試合で結果を出したり練習の中で上に上がったりをしているのを見た時にすごくうれしいなと思います。残り数カ月ですけど、できるだけのことは伝えて、自分がいなくなっても一人でやっていけるようになってもらうというのが今の目標であるので、選手の成長を見た時にすごくやりがいを感じます。
澤田 単純なことなのですが、ノックお願いしますやバッピお願いしますと言われてやってありがとうございましたと言われるのがすごくうれしいです。そんなことであれば自分はいくらでもするのになと思っているので、ありがとうございますと言ってくれるのがすごくうれしいのと、野球の話を相談してきてくれるというのが自分にとってはやりがいというか、この中で自分が一番最近まで選手をやっていた人間なので、澤田さんどういう意識でやっていましたかなどを聞いてくれると、自分の下手くそなりの経験を話そうかなと思っているので、自分を頼ってくれる選手がいることはすごくうれしいなと思っています。
――高校までの野球人生を振り返っていかがですか
清水 自分は左利きなのですが、肩が強かったので、小学校の時は捕手をやっていました。投げるのにはずっと自信があったのですが、中学2年の冬にイップスになってしまいまして、一番投げるのが得意だったのが、全く投げられないようになってしまいました。これは打撃を頑張るしかないと考え、外野手に専念して打撃を磨きました。高校は早稲田摂陵というところでありがたいことに主将をやらせてもらって、外野手で4番を打たせてもらったのですが、夏大会は2回戦負けてしまいました。そうして大学に入ってイップスと格闘しながら打撃にこだわりを持ってやってきた感じです。
澤田 小学校、中学校では主将をやってきて、高校でも副主将という役職に就かせてもらって、自分が高校3年の時は県のベスト4までいったのですが、大学に来て改めて思うにはまだまだ考えが甘かったなといま振り返ると思います。多分不可能なのですが、大学4年間でやってきたこの気持ちで小中高、野球をやっていたらプロ行けるよね(笑)
清水 もっと上手くはなってると思う。
澤田 少なくとももっと上には行けたはずなので、後悔ではないですけど、それを考えると大学に入って全国の野球が上手い人たちと野球をやれてすごく幸せ者だったと思っていますね。
――そういった野球への意識の高さはどこで育まれていると考えていますか
清水 2つ感じることがあって、まず1つ目は練習量です。みんなすごい練習するんですよ。日付をまたいで練習してましたし自分が2年生の時とか練習ができる環境があるのが前提ですごく練習するというのが1つ目としてあって、質の部分でいったら今まで高校野球をやっている中でそんな強いチームではないので、すごい知識やトレーニング、考え方とか持っている選手が同級生や後輩にもいっぱいいるわけですよ。そういった環境の中でいろいろ新たな知識を取り入れながら自分には何が足りていないのかをすごい考える時間が増えたんですよね。だから、量と質という両方の面において、自分はすごい早稲田に入ってレベルの高いなと感じています。
澤田 シンプルにみんな野球が上手いですし、高校は強豪でやってきたということもあり、そういう意識の高さはあるのですが、自分が感じるのは、やはり高校まではチームにもよると思うのですが、どちらかというと監督、コーチの指示を受けてやる野球が高校野球では中心だと思うのですが、大学に来て改めて感じたのはみんな考えてやっているなと。大学野球は選手主体の野球とよく言われるのですが、本当にその通りだと思っていて、それぞれが考えを持った中でやってもちろんけんかや意見のぶつかり合いもあるのですが、その中でこうしようぜ、ああしようぜと言いながらその学生の中でぶつかって解決してというのを繰り返しているのはすごく大学野球っぽいなと感じます。多分高校までであれば例えば自分たちがぶつかったとしても監督がこうだと言えば多分終わりだったと思うのですが、大学野球であればもちろん首脳陣の方がこうだとおっしゃられても自分たちこうだと思いますと言うことも少なからずあるので、そういった意見を出し合える環境はすごくいいなと感じます。
早大野球部での印象深い出来事とは・・・
――清水さんにとって、これまでの早大野球部での活動の中で一番の思い出は何でしょうか
清水 ぱっと思い浮かんだのは2つあって、1つ目が自分が選手最後の日ですね。日曜日の最後の紅白戦で自分は幕を閉じたのですが、その時に、岩本や丸山は午前で練習が終わっていたのですが、わざわざ残ってくれて学年の全員が試合を見守ってくれました。自分は試合に集中していたので、なんで帰らないんだろうかと見ていた部分はあるのですが、何も言わなくてもそうはそういう日だろと言うことで集まってくれていたというのがあって、この学年ってそれくらい仲間を思える学年なので、それはすごくうれしくて思い出として残っています。2つ目は1年生の時ですね。台風があって落ち葉がグランド一面が広がっていて、1年生の頃はグランドに落ち葉があったら失礼というか、汚いので貸し出せないないということで全部取らないといけないんですよ。土日2日連続で朝の4時に集合して全員で「#4時から落ち葉」と言いながら落ち葉拾いをしたのが思い出に残っています。
澤田 伝説の、、(笑)
清水 そうですね、あれは伝説です(笑)
清水 今はその2つかなと思いました。
澤田 いろいろあるんですけど、一番の思い出と言われたら昨年の優勝ですかね。すごいうれしかったというか、自分たちの1個上の先輩方が優勝して、あの時の4年生の団結力はすごかったですね。本当に野球の技術で勝ったというよりは、チーム力で勝ったと思っています。それまではチーム力といっても限界があるだろと自分の中で思っていたのですが、本当にやってしまうんだという思って、うれしいとかじゃなくてすごいものを見たなと。ずっと自分たちが4年生になったから去年の4年生のようになりたいなと思っているので、その姿というのを自分は一番優勝残っています。
清水 4学年全員泣いてたもんね。
澤田 4学年泣くなんてなかなかないよね。本当にいいチームだったよ。
――そういった昨年の4年生のチーム力の根底にあったものは何だと感じましたか
清水 自分が思うのは、早稲田で4年間一緒に苦楽を共に乗り越えてきた、技術面だけではなくて学年が上がって立場が分かれて試合に出れないなど、そういう思いを乗り越えてチームのために、バラバラだった思いが全てチームのために、早稲田のために一つになったことがあれだけのチーム力を生み出したのではないかと思います。
澤田 本当に清水の言った通りだと思います。有名な言葉を借りるなら『one for all』という言葉を体現したチームでしたし、一人はみんなのためにという自己犠牲の気持ちが強い方たちだったので、3年生以下はそれを見てて感じましたし、本当にこの人たちのために頑張ろうと心の底から思える存在だったので、人間性とかそういったところがよかったのかなと思います。
――澤田さんは昨季、リーグ戦にスタメン出場し初安打も放ちました。目標であった神宮の舞台はいかがでしたか
澤田 正直、緊張しすぎてあまり覚えていないのですが、初めて神宮で野球をしたのはフレッシュリーグの時だったのですが、あの時とは全く違った雰囲気で、緊張をする中でワクワクという気持ちも強かったですし、もう少し余裕を持ってできればよかったのかなと思いますが、夢のような時間でしたし、いい経験をさせてもらいました。
――ここからは秋のシーズンに向けて伺っていこうと思うのですが、まず清水学生コーチにお聞きします。現在外野手争いが熾烈ですが、その状況をどのように見ていますか
清水 争いが激しくなる分には悪いことはないので、誰が出ても結果が出せるというのはすごく強みだと思うし、いろいろなタイプの強みを持った個性あふれる選手が多いので、そういった面ではいろいろな戦い方、勝ち方ができると思うので、そこはすごくいいのかなと思って見ています。
――先日、占部新人監督から松木選手の成長がすごいというお話を伺いました。清水学生コーチは松木選手の成長についてどう感じていますか
清水 今の外野手の中では一番成長したのではないかと思うぐらい、元々守備は上手かったのですが、打撃は丸山と一緒に打ったりして取り組んでいたので、そういった部分で結果が出ているので、後輩にいい部分を残していけるのは早稲田のいいところだと思うので、そういった面ですごく評価しているというか、すごいなと思います。
――今季のチームの印象を教えてください
清水 乗っていけたら乗っていけるんですよ。調子がよければみんな流れよくいけるのですが、その分、流れが悪い時にズルズルいってしまうという傾向があって、春負けた要因も相手に主導権を握られるとそのままズルズルいってしまうのは学年のカラーの影響もあったと思います。ただ、夏はそこをチームとして改善して結果が残せていると思うので、仲がいい分、そういう流されるところはなると思います。
――そういった改善は占部新人監督や丸山主将が先頭に立って行うのですか
清水 今年の夏のオープン戦で取り入れた目標が3つあって、点数を取った後の回に0点で抑えること、点数を取られた後の回に絶対に点を返すこと。あとは後半に絶対に2点を取ることを掲げて、何が生まれたかというと絶対にズルズルいかないように節目でしっかり切ることを意識してほとんど1点差の競った試合だと思うのですが、しっかりそこで勝ち切れているというのはそういった意識がいいふうに発揮できてからであると思います。
――澤田さんは今年のチームをどう見ていますか
澤田 メンツだけ見たら徳山(壮磨、スポ4=大阪桐蔭)、西垣(雅矢、スポ4=兵庫・報徳学園)が1年から投げており、他のメンツを見ても下級生から試合に出ている選手ばかりなので、すごく頼もしいなというのは感じます。余裕を感じるというか、覚悟も決まっている感じがして特に秋に向けてはそういうのが夏のオープン戦でも見られるので、そこは頼もしいと思っているのですが、清水が言ったように空気に流されやすいというのがこのチームの弱点であるので、そこを何とか打開できる選手が出てくれば、もっといいチームになると思います。
――悪い空気を打開してくれる選手の話がありましたが、お二人はチームの流れを変えるくれる選手やキーマンはだれだと感じていますか
清水 せーので言ってみる?、せーの、
清水 鈴木萌斗!
澤田 小野(元気、人4=千葉・芝浦工大柏)!
一同 (笑)
清水 あいつは絶対流れを変えてくれると思うんですよ。
澤田 小野は変えてくれるね。
清水 キーマンというフレーズを出したら萌斗だね。
澤田 試合でキーマンは確実に鈴木萌斗だと思います。一番打者としてあいつが出ればチームに勢いがつくし、打線は本当にあいつ次第だと言っても過言ではないです。でも、空気で言ったら小野はある。
――それは小野選手の人柄によるものでしょうか
清水 そうですね。キャラもそうなんですけど、積み上げてきた努力があいつにはあるので、早稲田の一番の良さはそういった浪人生や一般の生徒が活躍するところだと思うので、あいつは4年間誰にも負けないくらい努力をしてきているので、そういった面であいつが苦しい状況で一本出せばチームの流れも一気に変わるのではないかと思っています。
澤田 オープン戦で打ったら、誰よりもみんな盛り上がるもんね。
――先程、流れを変える選手を上げてもらいましたが、伸びていると感じる選手はいますか
澤田 松木や小野は伸びていると感じます。あとは翔(福本翔、社4=東京・早実)ですかね。
清水 俺も思った。元々実力はあったけど、こんな打つとはとは思っていなかった。
澤田 春はケガでいなかったこともあるのですが、この夏の期間を通していい選手であることを再確認しました。
――それは福本選手の練習のすごさを見てのことでしょうか
清水 そうですね。占部ファミリーというのをご存じだと思うのですが、、
澤田 もういい。その話は(笑)。
清水 でも、占部ファミリーの誰かが毎試合打つんですよ。
澤田 誰か打つよね。
清水 必ず打つので、。成長で言ったら占部ファミリーかな。
澤田 外野陣もすごいよね。
清水 外野陣もすごい。あと投手も頑張っているし。
澤田 雅矢がすごい。あと徳山も
清水 徳山もいいし、投手すごいと思うな。
澤田 夏のオープン戦で勝てているのは投手2人が頑張っているのが大きいので、1年生から投げているだけあって貫録を感じます。
清水 後ろもいいしな
――先発の2人が春と比べて何が違うと感じますか
清水 覚悟かなと思います。春は何とか勝てるだろうとみんな思っていて、それでとことん勝てなかったので、自分たちが早稲田のエースなんだというのを自覚している結果が球速にも現れていると思いますし、内容でもとにかく勝ちにこだわる投球を感じるので、自分の成長というよりかは早稲田のために投げていると感じるので、そこの差かなと思います。
澤田 引っ張っているし、2人で高め合って切磋琢磨しています。春は2人とも俺が何とかしないとというのがあって、野手陣がふがいなかったせいでそこで空回りさせてしまったのは申し訳ないので、あと2人は普通に投げてくれれば抑えてくれると思うので、自分の投球を信じてやってほしいです
――打撃面では春季リーグ戦を振り返っていかがですか
清水 打線が線ではなかったなというのが一番の印象で、早稲田の典型的なパターンなんですけど、個の力でやっているのが好機に一本出ない原因だと思っていますし、春終わってから力を入れているのは自己犠牲の気持ちで進塁打、バントを駆使して、打てなくても点が入るのが野球というのを合言葉にしてきました。
澤田 清水が言った通りで、春と今ではアウトのなり方が全然違って、春は単調な打撃が続いたと思うのですが、夏のオープン戦では粘ったり、捉えてアウトになっていることがおおく、簡単にフライを上げたり打ち損じが少なくなっているので、振り込みが効いていて、打席が余裕が出てきたと感じます。
――そういった自己犠牲の精神は練習から意識しているのですか
清水 シート打撃でも9人で1点を取ることを意識してとにかに走者を進めることを意識したり、打撃練習では一球一球で打つ場所を決めたりして意識の部分から変わっています。それでその意識がかたちになっていると思います。
清水大翔学生コーチ「最善を尽くすしかない」
――4年生にとって最後のシーズンが始まります。心境はいかがですか
清水 不思議と終わりという感じはなくて、今できる最善のことを早稲田の野球部に残してきたことが結果に表れると思うので、結果がどうであれ最善を尽くすしかないと思っています。
澤田 自分に関しては今まではリーグ戦の前はそわそわしながら待っていたのですが、いまは一日を必死に練習したら来週法政戦にあるという感覚なので、リーグ戦がどうとかよりは自分のできることをやっていく感じですね。選手は緊張などもあると思うのですが、今までのように一日一日を大事に過ごせば結果はついてくると思います。
――4年生のメンバーへのメッセージはありますか
澤田 この4年間、家族よりも一緒にいたので、特に改めて言うことはないですね。残り3カ月だけどまだまだよろしくという感じですかね。ありがとうというのはまだ早いかなと感じます。
清水 やっぱり自分はこの学年のみんなが大好きですと書いといてください。それだけで十分です。
――これからの意気込みをお願いします
清水 一球の勝負だと思うので、その日一刹那の間に自分がどうしたらいいのか後悔がないようにやっていくしかないと思うので、一分一秒も惜しまずにやっていきたいと思います。
澤田 4年生には占部、清水、須永、3年生には冨永(直宏学生コーチ、文3=東京・国学院久我山)、横山(優斗投手コーチ、社3=東京・早実)という学生コーチがいて、自分たちが試合をできるわけではないので、選手たちの活躍を願うことしかできないのですが、やはり優勝するにはメンバーだけではなくチーム160人全員が一つになることが大事だと思うので、チームが一つになるためにメンバーに選ばれなかった選手にも本気で優勝を目指してチームのために考えてほしいので、自分たちがその姿勢を見せて、自然とチームが一つになれるような方向に導くサポートをしていくだけだと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 足立優大)
◆澤田健太朗(さわだ・けんたろう)
2000(平12)年1月7日生まれ。183センチ。福井・高志高出身。文学部4年。学生コーチ。
◆清水大翔(しみず・ひろと)
1999(平11)年12月27日生まれ。174センチ。大阪・早稲田摂陵高出身。スポーツ科学部4年。学生コーチ。