第4週の法大戦では先勝するも、2回戦で逆転負けを喫し勝ち点1を奪うにとどまった早大。「可能性としては限りなくゼロに近い」(小宮山悟監督、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)と話すように賜杯からは大きく遠ざかる結果となった。ただ、優勝の可能性はわずかであるが残されている。逆転での連覇を成し遂げるために。反撃を期すチームは明大との一戦に挑む。
早大と同様に、負ければ後がない明大の第1先発は竹田祐(4年)が濃厚だ。1年春から登板を続ける経験豊富な右腕は、法大1回戦で9回を投げ切り完投勝利。140キロ台の直球と鋭い変化球を武器に、徐々に調子を上げてきている。続く2回戦の先発は髙橋聖人(4年)が予想される。ここまでの東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)では11イニングを投げ、四死球はわずか1。制球力の良さがうかがえる投手だ。救援陣には東大戦で先発を務めた磯村峻平(4年)、6試合中4試合に登板している石原勇輝(2年)の両左腕が控えており、早大打線を迎え撃つ。
リーグトップのチーム打率を誇る明大打線だが、最も警戒すべきは1番の陶山勇軌(4年)だろう。俊足好打が持ち味のリードオフマンはここまでリーグ2位の打率.429をマーク。さらには6試合で4つの盗塁を決めており、早大投手陣としては特に出塁を許したくない打者だ。加えて、中軸には現時点で3本塁打、8打点をたたき出している篠原翔太(4年)。下位にも現在、打率トップの山田陸人(3年)、法大戦で1年生ながら大学初アーチを放った宗山塁(1年)が座り、隙がない並びとなっている。
慶大1回戦で力投する武田。1回戦での先発が予想される
この強力打線と対峙するのは徳山壮磨(スポ4=大阪桐蔭)、西垣雅矢(スポ4=兵庫・報徳学園)の二枚看板だ。徳山は開幕から苦しい投球が続いたが、法大1回戦では気迫のこもった投球で完封勝利。リーグ戦終盤に向け、復活ののろしを上げた。第2先発の西垣は2巡目以降につかまる場面が見られるものの、多彩な変化球を軸に大きく崩れることはなく、安定感のある投球を見せている。また、ここまでの戦いぶりから山下拓馬(法4=埼玉・早大本庄)以外の救援陣に不安が残るだけに、先発投手2人の躍動が勝負の鍵を握ることとなりそうだ。
一方、打撃陣は戦列を離れていた今井脩斗(スポ4=埼玉・早大本庄)、福本翔(社4=東京・早実)が実戦での復帰を果たした。打撃に定評のある2人の帰還は得点力不足解消の切り札となるか。打線は法大2回戦で負傷交代した蛭間拓哉(スポ3=埼玉・浦和学院)を欠くかたちとなりそうだ。ここまでチームを引っ張る打撃を見せてきた蛭間の不在は痛いが、トップバッターを務める鈴木萌斗(スポ4=栃木・作新学院)が好調なだけに、後に続く中川卓也(スポ3=大阪桐蔭)、岩本久重副将(スポ4=大阪桐蔭)、丸山壮史主将(スポ4=広島・広陵)の一打が勝負の行方を左右することとなる。
法大2回戦の初回、中前打を放つ鈴木萌。開幕から6試合連続安打中だ
明大戦と同日には首位の立大、それを0.5差で追う2位慶大の直接対決が控え、佳境を迎えつつある春季リーグ戦。慶大と立大の結果次第では連覇の道は閉ざされることとなる。それでも、可能性がある以上諦めるわけにはいかない。最終週の早慶戦に望みを託すためにも、『一球入魂』の精神を胸に明大戦で連勝を成し遂げたい。
(記事 足立優大、写真 山崎航平)
東京六大学春季リーグ戦星取表 | |||||||||||
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順位 | 立 大 | 慶 大 | 法 大 | 明 大 | 早 大 | 東 大 | 勝ち点 | 勝 | 負 | 分 | |
1 | 立 大 | ※ | △2-2 ○3-1 |
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○10-3 ○5-4 |
○4-2 ○11-3 |
5.5 | 5 | 0 | 1 | |
2 | 慶 大 | ※ | ●1-2 ○7-1 |
○6-5 ○4-1 |
○7-0 ○11-6 |
5 | 5 | 1 | 0 | ||
3 | 法 大 | △2-2 ●1-3 |
○2-1 ●1-7 |
※ | ●1-3 ○6-2 |
●0-2 ○5-1 |
3.5 | 3 | 4 | 1 | |
4 | 明 大 | ●5-6 ●1-4 |
○3-1 ●2-6 |
※ | ○11-0 ○17-2 |
3 | 3 | 3 | 0 | ||
5 | 早 大 | ●3-10 ●4-5 |
○2-0 ●1-5 |
※ | ○6-5 △0-0 |
2.5 | 2 | 3 | 1 | ||
6 | 東 大 | ●2-4 ●3-11 |
●0-7 ●6-11 |
●0-11 ●2-17 |
●5-6 △1-1 |
※ | 0.5 | 0 | 7 | 1 |