『春の神宮』が戻ってくる 連覇に向け好スタートを/東大戦展望

野球

 長い冬が明け、ついに球春がやってくる。東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)が今週末、有観客にて開幕。前回王者として迎える早大は、東大、立大、法大、明大、慶大の順で計10試合戦うことが決まっている。今春も昨秋に引き続き、2回戦総当たり、各10試合のポイント制で賜杯を争う。勝ちは1、引き分けは0.5、負けは0とし、合計ポイントが最も多いチームが優勝。従来の2戦先勝による勝ち点制は採用しないため、一つの負けが優勝争いに大きくかかわってくる。

 

 早大が開幕戦で迎える相手は、現在引き分けを挟み56連敗中の東大。確実に2連勝して流れに乗りたいところだが、簡単にはいかないだろう。1回戦での先発が予想される井澤駿介(3年)は、制球力の光る好投手だ。昨春リーグ戦デビューを果たすと、秋は5試合に先発。リーグ5番目に多い29回1/3を投げ防御率4.60と、安定感のある投球を見せた。今月2日に行われた社会人対抗戦(対東芝)では、5回を投げて3安打無失点と、格上相手にも実力を発揮した。左腕では小宗創(4年)が抜けている。昨秋は井澤が完投した明大2回戦以外の9試合に登板。左サイドハンドの変則型で、緩急の効いた投球が持ち味だ。左打者の多い早大打線だけに、苦戦することも予想される。

 

東大エース井澤

 

 打線は主将の大音周平(4年)が核になるか。昨季までは捕手を務めていたが、今年は打力を生かすために三塁手にコンバート。クリーンナップを担うだろう。4番に入ることが予想される井上慶秀(4年)は2浪で一橋大に入学後、東大を再受験した苦労人。今オフには肉体改造に着手し、101キロだった体重を96キロまで減量した。ここまでリーグ戦での長打はないものの、そのパワーは大きな脅威となりうる。他にも安田拓光(4年)や宮﨑湧(3年)、中井徹哉(3年)など打力のある野手が並ぶ。

 

井上慶のパワーには要警戒だ

 

 一方の早大は、充実のラインナップで東大を迎え撃つ。二枚看板として期待がかかる徳山壮磨(スポ4=大阪桐蔭)、西垣雅矢(スポ4=兵庫・報徳学園)はここまで順調な調整を見せている。救援陣では山下拓馬(法4=埼玉・早大本庄)が抑えを務め、小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)も絶大の信頼を置いている。他にも森田直哉(スポ4=早稲田佐賀)、リーグ戦登板こそないものの今春のオープン戦では多くの登板機会を得ている原功征(スポ3=滋賀・彦根東)、加藤孝太郎(人2=茨城・下妻一)らが控える。経験を積ませるという意味でも今カードで登板させておきたいところだ。

 

 そのためにも序盤で複数得点を奪い、試合を優位に進めたい早大。その打線だが、抜け目なく充実していると言えるだろう。鈴木萌斗(スポ4=栃木・作新学院)、中川卓也(スポ3=大阪桐蔭)の1、2番はチャンスメイクに優れ、一気に流れをつくることができる。蛭間拓哉(スポ3=埼玉・浦和学院)、岩本久重副将(スポ4=大阪桐蔭)の3、4番は破壊力抜群。丸山壮史主将(スポ4=広島・広陵)は勝負強い打撃が持ち味で、昨秋はリーグ最多タイの10打点を記録している。序盤から畳み掛け、一気に主導権を握りたい。

 

今季から早大の正捕手番号『6』を背負う岩本副将

 

 小宮山監督は今季の意気込みとして連覇を掲げるとともに、「リーグ戦8週間を無事に終えるということがやっぱり一番大きなこと」と話した。新型コロナウイルスの第4波がやってくるとも囁かれる中、2か月にわたり行われる春季リーグ戦。1万人という制限こそあるものの、飲食をする場合もあるだけに球場でクラスターが発生する可能性もある。東京六大学野球連盟の「観戦されるお客様へのお願い」(下記にリンクあり)を遵守し、2年ぶりの『春の神宮』を堪能しよう。

 

(記事・写真 山崎航平)

 

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