昨年の東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)では、リリーフと先発の両方を務め、規定投球回には満たなかったものの防御率1.13と早大投手陣を支えた西垣雅矢(スポ4=兵庫・報徳)。今春は2年時の春季リーグ戦ぶりに第2先発を担うことが期待されている。これまでの春季オープン戦では調子の浮き沈みがあり「不安に感じるところがある」という西垣だが、登板する中で新たに発見したことが。「自分が登板する試合は全て勝ちたい」と早大の連覇達成へ気合十分な西垣に、今の思いを伺った。
※この取材は3月26日にオンラインにて行われたものです。
「基本に戻る」
笑顔で取材に答える西垣
――開幕が迫ってきましたが、現在の心境はいかがですか
まだまだ不安なところがたくさんあるので、それをリーグ戦前までに潰していきたいと思います。
――不安な部分があると仰っていましたが、今の調子は何割くらいでしょうか
6割くらいですね。
――どういったところが不安点なのでしょうか
オープン戦で、いい時と悪い時の差がはっきりしていて、そこが先発として試合をつくっていく上では改善していかなければならないところだと思います。悪い時も悪い時なりのピッチングをすることが必要だと思いますが、そういったことができていないのでまだまだだと思います。
――オープン戦についてお聞きしていきます。Honda戦、亜細亜大戦では5回無失点という結果だったのに対し、立正大戦、青学大戦では多くの失点を許しました。良かった試合と悪かった試合でどのような部分が違ったのでしょうか
一番は自分が思う通りにボールをコントロールできていないところだと思います。自分が思ったところに投げられたら自分のペースで試合がつくれるのですが、どうしてもカウントが悪くなってしまうとストライクを取りにいかざるを得なくなるので、そこで甘い球を打たれてしまうことが多くなると思います。ボールをコントロールする力というのが、その日の調子の良し悪しを決める一番の要因だと思います。
――良かった試合での他の要因はありますか
一番はコントロールが良かったということですが、他にはテンポよく投げることができていたことですね。ストライクが入るのでテンポが良くなるという。コントロールとテンポが良い時は大体思いどおりに投げられていると思います。
――亜細亜大戦ではストレートの伸びがよかったように見えたのですが、西垣選手自身はどう思われていますか
いや、まだまだです(笑)。ストレートに関しては1年の春からずっと強化したいと思っていて、毎回取材の際にも言っていますね。やはり(自分は)変化球が得意と周りからは思われていると思うのですが、いいストレートがあってこその変化球なので、野球をしている限りストレートにはこだわっていかなければならないと思っています。
――一方、立正大戦や青学大戦を振り返っていかがですか
コントロールが悪く、思いどおりに投げられませんでした。フォアボールが増えて、甘い球も増えて、と悪循環でした。やはり思ったところに投げられるという自信を持たないとうまくいかないなと実感した試合でした。
――コントロールが悪くなってしまう要因はどういったものがあるのですか
一つはもっといい球を投げたい、とフォームを試していくうちにずれたりすることもありますし、あとは対バッターに集中できていないことが多いかなと思っています。自分のことだけに精一杯になってしまって。戦っているのは打者なのですが、立正大戦や青学大戦では、自分と戦っているような状態になってしまっていました。
――オープン戦で、ご自身以外の他の投手たちについてはどのような印象を持っていますか
リーグ戦を経験していない選手たちがたくさん出場していますが、やはり課題は自分と同じで、フォアボールが多いことと、ボールをコントロールできていないことですね。課題はある一方、原(功征、スポ3=滋賀・彦根東)や加藤(孝太郎、人2=茨城・下妻一)は試合を積んで安定してきていると思うので、そこはとてもいい面だと思います。
――オープン戦では森田直哉選手(スポ4=早稲田佐賀)も先発を務められていますが、西垣選手から見てどんな選手ですか
森田は三振を取るというよりは打たせて取るという選手だと思います。調子が良い時はテンポよく抑えているなという印象です。
――打線についてはどう思われていますか
打線については、打てない時はしょうがないと思いますが、徐々に良い攻撃ができているのではないかと思っています。
――春季オープン戦をこなしていく中で、発見したことやリーグ戦でも生かせるなと感じたことはありましたか
テンポというか、リズムが大事だということを改めて知ることができました。守りやすいのもテンポやコントロールがいい投手だと思いますし、試合をつくらなければならない先発を任されるということで、そこは大事にしていきたいです。テンポを大事にする、というのは当たり前だと思いますが、それを忘れていたといいますか、今まで気にしていなかったので、基本に戻るというつもりでこれから意識していくつもりです。
――今シーズンは主にリリーフではなく先発としての登板となりますが、意識する部分は違ってくるのでしょうか
リリーフと先発は違うという話は以前の対談でもしたと思うのですが、ボールをコントロールするという点では同じだと思うので、役割は異なってもやるべきことは一緒だと思っています。
――前回の対談で、短いイニングではなく、長いイニングを投げられるように全体的にレベルアップしたいと仰っていましたが、具体的にどんな取り組みをされたのですか
長いイニングを投げるために一番大切なのは体力だと思うので、この冬は例年より走り込んだり、球数を増やして投げ込みを行ったりしました。また緩急を使うために、カーブやチェンジアップを使えるように練習しました。
――長いイニングを投げられるようにするという目標はどの程度達成できていると思いますか
まだオープン戦では5回までしか投げていないので、その先投げられるかどうかはわからないのですが、投げる体力はついていると思います。
――何回まで投げたいといった目標はありますか
自分が投げる試合は最後まで投げたいと思っています。
――身体づくりだったり投球フォームの型を変えたりしましたか
トレーニングは今までやってきたことを継続して行っています。チーム全体で出されているトレーニングメニューをしっかりこなして、個人的にはウエイトトレーニングを中心に行っています。
――オープン戦などでトレーニングの取り組みの成果を感じた瞬間はありましたか
そうですね、まだオープン戦なのでないですね。リーグ戦の緊張感の中でどれだけ長いイニングを投げることができるのかが肝になると思うので、やってきたことが正しかったかどうかがわかるのはリーグ戦が始まってからかなと思います。
――先発を任されるのは2年生の春季リーグ以来だと思いますが、毎週先発として投げる上で気をつけたい点はありますか
リーグ戦は2か月くらいあるので、まずはけがをしないでリーグ戦を終えることが大切だと思います。リーグ戦を乗り越えるためのトレーニングはもちろんですが、やはりコンディショニング、ケアの部分もしっかり行っていきたいです。
――西垣選手なりのコンディションの整え方はありますか
早く寝ることです。11時半くらいに寝るようにしています。
「自分が登板する試合は全て勝ちたい」
春季オープン戦・亜細亜大戦で好投した西垣
――今シーズン意識する数字はどういったものですか
自分が登板する試合は全て勝ちたいので、5勝が目標です。
――初戦の相手は東大ですが、何か印象はありますか
気を抜いたら足元をすくわれる相手だと思うので、自分たちが地に足をつけて戦うことが大切だと思います。
――今季のカードでキーになる試合はどこだと思われますか
全部のカードが大事だと思います。ですが特に最後の早慶戦は必ず勝たなければならない相手ですね。
――最高学年としてチームの中で求められる役割は何だと思われますか
ピッチングでチームを勝たせる投球をすることです。それがチームが優勝するために必要なことだと思いますし、本当にまずはピッチングで貢献したいです。
――今シーズンのチームの目標は何ですか
日本一です。
――個人的な目標はいかがでしょうか
チームの優勝に貢献することです。
――最後に意気込みをお願いします
連覇がかかっているのは早稲田だけなので、しっかり連覇できるように最善の準備をしてリーグ戦に挑めるように頑張ります。
――ありがとうございました!
(取材・編集 倉持七海)
◆西垣雅矢(にしがき・まさや)
1999(平11)年6月21日生まれのB型。184センチ、86キロ。報徳学園高出身。スポーツ科学部4年。投手。右投左打。「自分が登板する試合は全て勝ちたい」と意気込みを語ってくれた西垣選手。先発として長いイニングを投げられるように、冬の期間は例年よりも走り込みや投げ込みを行ったそうです。神宮で躍動する西垣選手の姿がとても楽しみです!