【連載】春季リーグ戦開幕前特集『anew』 第3回 野村健太

野球

 昨年の東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)では、1年生ながら全試合にスタメン出場し、ベストナインも獲得した野村健太(スポ2=山梨学院)。今季は早大打線を引っ張る活躍が期待される。そんな野村に、オフシーズンの取り組みから大学での1年間、そして開幕間近となった春季リーグ戦へ向けて伺った。

※この取材は3月27日にオンラインにて行われたものです。

50点

オンライン取材に答える野村

――オフシーズンの振り返りから始めたいと思います。現在に至るまでの満足度は、どれほどになりますか

 50点ほどですね。

――その理由にはどんなことがありますか

 あまり調子が上がらず、今までやってきたことは間違いではいないと思うのですが、もう一度見つめ直す必要があります。春季リーグ戦開幕まで2週間ほどですが、自分個人の課題で消化しきれてない部分があるので、50点です。

――――秋季リーグ戦では主に右翼手での出場でしたが、最近のオープン戦では左翼手での出場が多いと伺いました。この2つのポジションで、何か違いを感じていますか

 それは特に感じないです。高校の時にも左翼手をしていたので、それほど苦ではないです。

――オープン戦に関してでは、今のところなかなか安打が生まれていませんが、調子のいい時と比べて異なる点はありますか

 投手とのタイミングの取り方が一番違っていると思います。

――打撃の調子を取り戻すために、現在はどのようなことに取り組まれていますか

 投手とのタイミングがずれ、差し込まれぎみで打ちにいっているので、始動を早くすることやバッティングの無駄な動きをなくして、真っすぐの強いボールに振り負けないように練習しています。

――一方で、オフシーズンではどんな練習をされてきましたか

 守備、走塁、バッティングの反復練習を地道にやりました。毎日同じことで飽きてしまいそうですが、こういった練習を突き詰めないと勝てないので、気合を入れて練習しています。

――様々な練習の中でも、特に自分にとって効果があると感じた練習はありましたか

 ティーバッティングをする時に、斜めからボールを投げてもらっていたのですが、正面にネットを置き正面からボールを投げてもらう形に変更して練習をしています。こうすることで、変な癖をつけることなく、試合で実際に来る角度からのボールを打ち、自分の形にするという練習をしています。

――前回の対談でご一緒した蛭間選手とは、どのような練習をされてきましたか

 寮生活で一緒にいることが多いのですが、組んで練習をすることも多いです。練習後の自主練も一緒に取り組み、お互いにバッティングを見て感じたことを伝えています。本当に頼もしい先輩です。

栗田勇雅もよろしくお願いします!

2日に行われたJFE東日本戦で左翼線二塁打を放つ野村

――では、ここからは1年間の大学生活についても伺っていきます。コロナ禍ということもあり想像と違った1年間だったと思いますが、いかがでしたか

 オンライン授業であった点が非常に助かりました。キャンパスに行くための時間が省かれたことが大きかったです。

――たくさんのことがあったと思いますが、この1年間は楽しかったですか

 はい!同期にも恵まれて、おかげさまで楽しく過ごさせてもらっています。

――野村選手は1年目から早スポによる取材も多かったと思いますが、早スポの取材にも慣れてきましたか

 話すことが得意ではないのですが、最初よりは慣れてきたと思います(笑)。

――野球に関して高校と大学で大きく違うと感じる点は、ありますか

 金属バットと木製バットの違いもありますが、自分が一番違うと大学に入って感じた点は、直球のキレです。同じ140㌔のボールでも、高校生と比べて大学生投手が投げるボールの方が、キレがあり、スピンがかかっています。木製バットで捉えきれないようなボールを投げてくるので、対応することが難しかったです。

――表現しづらいことかもしれませんが、キレのあるボールとは打席ではどのように感じるのですか

 そうですね、伸びてくると言いますか、ミットに吸い込まれるようなボールです。

――ありがとうございます。野球に関して伺いましたが、生活面において高校と大きく異なるなと感じた点はありますか

 学習の面で、高校では決められた時間割に従うだけでしたが、大学の学習では自分で時間割を作れることが大きな違いだと思います。これによって練習やリハビリにも十分に時間をあてられ、より有効に時間を使えたのでよかったと思います。

――昨年主な形態であったオンライン授業には苦労しましたか

 国語があまりできないので・・・。毎回のレポート課題が大変でした。

――この1年間を共にされてきた同期の中から、注目選手を紹介していただけますか

 生沼弥真人(教2=東京・早実)が最近調子を上げてきていて、オープン戦にも出場しているのですが、チャンスで打てるバッティングが魅力的です。春季リーグ戦に出場すると思うので、生沼に注目していただきたいです!

――ありがとうございます。他にここで紹介したい同期はいますか

 茅野真太郎(教2=東京・早実)です。小柄ですが、なんでもできるオールラウンダーです。捕手として入部してきましたが、外野手もできますし、現在は二塁手をしています。バッティングもパンチ力があるので、いい選手です!

――これから取材していく機会が増えていくと思います!続いて、複数の1年生はすでに練習をご一緒されてると伺いました。1年生の代からイチオシ選手を紹介していただけますか

 自分の後輩にあたる栗田勇雅(スポ1=山梨学院)で。栗田は打撃に注目されることが多いですが、肩が強く送球がとても魅力的なので、ここに注目して見ていただけたらと思います。高校からの後輩なので、よろしくお願いします!

――栗田選手とは、高校から親しい間柄ですか

 そうですね。栗田が高校1年生の時から、ずっと一緒に試合に出ていました。

――栗田選手との対談もいつか組むと思います!また2年生になるということで、意識に変化はありますか

 今までは自分たちが一番下の学年で、先輩方がわからないことを教えてくださっていました。先輩方が教えてくださったことを、自分たちも下級生に伝えていき、いい伝統をつくっていきたいと思います。

――先日プロ野球が開幕しました。卒業された早川隆久投手(令3スポ卒=現・東北楽天イーグルス)の活躍が楽しみですよね

 目の前で見てきたすごい方で、人間的にも野球的にも学ばされることが多くありました。プロの舞台でも必ず活躍してくださると思います。

――プロ野球関連での質問となりますが、野村選手にとって憧れの選手はいますか

 目標とする選手に関しては、よく聞かれるのですが、ないですね。他人とは違ったオリジナルな選手になりたいです。

一球入魂

――もうすぐ開幕となる春季リーグ戦に向けて、伺っていきたいと思います。あと2週間ほどですが、開幕までどのように準備をされますか

 調整をすることも大事ですが、まだ課題を克服できていないので、先ほど言った課題をしっかりとつぶして、春季リーグ戦に臨めるように準備したいと思います。

――野村選手には、やはり打撃面での貢献が求められると思いますが、打撃に関して目標はありますか

 春季リーグ戦では、打率3割、本塁打3本を打ちたいと思っています。

――その目標の背景には、どんな思いがありますか

 昨年の秋季リーグ戦では早慶戦前まで、打率が3割を上回っていたのですが、早慶戦では1本も安打が出ず、打率が2割8分ほどまで落ちてしまいました。また本塁打を打てなかったので、春季リーグ戦では自分の打率と本塁打数の記録を超えられるように、このような目標を立てました。

――打撃の他に、どのような面でチームに貢献したいですか

 走塁で貢献したいです。自分が一塁ランナーにいても、盗んでこないだろうと相手投手は油断していると思うので、その隙をつけるように自ら仕掛けて、チャンスを広げたいと思います。

――では最後に、連覇にむけて意気込みをお願いします

 秋季に優勝できたことで、他の5大学は打倒早大でむかってくると思います。ですが、自分たちが上から見下ろしていくのではなく、下からチャレンジ精神を持ちながら、今年のチーム目標でもある一球入魂で隙を与えずに、次戦につながる内容のいい試合を、積み重ねていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 樋本岳)

◆野村健太(のむら・けんた)

2001(平13)年8月27日生まれ。180センチ。97キロ。山梨学院高出身。スポーツ科学部2年。外野手。右投右打。山梨学院高の後輩でもある栗田選手が入部されたことで、先輩としての自覚も生まれてきた様子の野村選手。春季リーグ戦では複数の本塁打を放ち、早スポの記事に何度も登場してくれることでしょう!