全2回にわたってお届けする注目ルーキー特集。初回には飯塚脩人(スポーツ科学部入学予定=千葉・習志野)と野村健太(スポーツ科学部入学予定=山梨学院)が登場する。飯塚は昨年のセンバツで、チームを準優勝へと導いた速球派右腕。U18日本代表では日本の守護神として大車輪の活躍を見せた。一方の野村は、高校通算53本塁打を誇る右の大砲。『早稲田のデスパイネ』としてアーチを量産することが期待される。いずれは早大を担うであろう若武者2人に、今後の展望を伺った。
※この取材は2月10日に行われたものです。
「打者に負けない気迫で」(飯塚)
質問に答える飯塚
――プロ野球と大学野球という選択肢があった中で、大学を選んだ理由を教えてください
飯塚 プロと大学という2つの選択肢があったと思うのですが、自分は、夢と言うとおかしいのですが、高校の時から大学で野球をやりたいと思っていました。最終的にはプロに行きたいのですが、大学の4年間で技術とメンタル面をさらに向上させてからプロに行きたいなと思っています。そのためにこの伝統ある早稲田大学を選びました。
野村 自分は高校からプロ野球という道も考えたのですが、自分の実力が足りないというか、もう一回最初から、一から野球を勉強し直していくということで、監督さんと自分で話し合って、早稲田大学に進学することにしました。もう一回野球を勉強しようというふうに思いました。
――お2人とも高校時代に実績を残されていたので、いろいろな大学から声が掛かったと思います。その中から早大を選んだ理由は何ですか
飯塚 自分は六大学で野球がやりたくて、その中で一番注目されている早稲田大学でプレーしたいなと思ったからです。
――野村選手はいかがでしょうか
野村 自分は、飯塚と一緒で、六大学野球で野球をしてみたいというのと、先輩の瀧澤さん(虎太朗副将、スポ3=山梨学院)がすごく活躍していて、自分もそういう選手になりたいと思ったので、それで決めました。
――瀧澤選手とは高校時代の学年は被っていないですが、交流などはありましたか
野村 高校の時はなかったですけど、大学に入って練習に参加してからは、結構話はしています。
――何かアドバイスをもらいましたか
野村 焦らずにじっくり頑張れというふうな話はしました。
――東京六大学野球にはどのようなイメージをお持ちですか
飯塚 いろいろなリーグがありますけど、その中でも別格というか、注目度が他のリーグとは違うと思います。一つでも上のレベルでプレーをしたいと思ってこの六大学野球を目指しました。
野村 いろいろなリーグがあると思いますけど、『花の六大学』というところで、自分もそこにいいなと思ったので、六大学の方に進みました。
――高校野球を引退してから、大学野球を見据えてどのような部分に力を入れて練習してきましたか
飯塚 高校生の頃は、体型は普通だったと思うのですが、大学生の体を見たりすると、全然体の芯の太さだったり、体の部分部分の太さとか大きさが違うので、まず体重を増やすところから始めました。
――きょう初めてお会いして、テレビで見た印象よりも大きく感じたのですが、高校野球が終わって意識的に増やしたと
飯塚 増やしたというか、増えたというのが正しい感じです。
――野村選手はいかがですか
野村 自分はバッティングが売りの人なので、大学に入って練習をスタートして、少しでも(いい)スタートダッシュが切れるように、しっかり木製(バット)で練習してきました。
――大学野球と高校野球で一番違いを感じるところというのはどのようなところでしょうか
飯塚 投手からしても打者からしても、木製(バット)というのが一番違うところだと思います。高校野球は金属なので、少し振り遅れたり、詰まったりしても飛んでいく部分はあるのですが、木製はうまく捉えないと飛んでいかないので、投手としては投げやすいと思いますし、コースコースを丁寧に突いていくような投球ができればいいなと思います。
野村 大きな違いは投手のキレや変化球のキレだと思います。もうすぐ実戦が始まるので、そこでしっかりと慣れて、置いていかれないようにしたいです。
――ここ数日大学の練習に参加してみて、一番レベルの違いを感じる部分はどこですか
飯塚 高校の時はやらされている練習みたいな感じで、隙があれば手を抜いてしまうというか、楽な方に流れていってしまいがちでした。でも、自分はまだ投手しか見ていないので(部全体のことは)分からないのですが、早稲田大学の投手陣は誰一人として手を抜かないで、全員がストイックで、うまくなるために小さいことから細かいことから気にしてやっているので、高校と大学は全然違うなと思いました。
野村 大学生と一緒にやらせてもらって、守備とか掛け声だったり、活気という部分で高校と比べて大きな違いがあるなと思いました。
――では飯塚選手への質問に移ります。まず、ご自身の持ち味は何だと考えていますか
飯塚 自分の持ち味は全力投球だと思っています。打者に負けない気迫で投げることです。
――高校時代の投球を見ていて、真っすぐが武器かと感じたのですが、真っすぐへのこだわりなどはありますか
飯塚 特に球速にはあまりこだわりはないですけど、空振りが取れる真っすぐをこの4年間磨き上げていければいいなと思っています
――高校の時は最速151㌔まで記録したと聞いているのですが、それでもまだ自分の思い描く理想の真っすぐには届いていないのでしょうか
飯塚 プロの選手だったり、大学で活躍している選手の動画とか見ると、球のキレだったり伸びというのが自分とは全く違うので、1歩でも2歩でも追いついていけるように努力していきたいです。
――ちなみに、そういった動画などでよく見る選手はいますか
飯塚 プロ野球選手の三振集だったりを見たりします。
――現時点で飯塚投手が感じている自分の課題というのは何ですか
飯塚 高校の時からそうなのですが、自分は体力面に課題があると思っています。短いイニングだったら全力でいけるのですが、長いイニングになると、最後の方でバテてしまって、最初と比べ物にならないくらい威力は衰えてしまうので、高校生の時にできなかった体力面の強化というのを頑張っていきたいと思います。
――課題克服のために現在取り組んでいることは何かありますか
飯塚 今は練習がキツくて、付いていくことで精一杯なのですが、これから練習に慣れて、自主練とかの時間が取れるようになってから考えたいです。
――これから春季オープン戦を経て公式戦に突入していきますが、今年目指すポジションはどこですか
飯塚 特に希望はないですけど、任されたところを完璧にこなせればいいなと思ってます。
――ご自身で、自分の先発適正・リリーフ適正はどのように考えていますか
飯塚 それは全然(向いているのは)リリーフなのですが、どっちもできるようにしていきたいと思っています。
――理想の投手像はどのような投手ですか
飯塚 真っすぐで空振りが取れるピッチャーですけど、真っすぐは調子とかもあると思うので、真っすぐの調子が悪くても、変化球だったり投球術などを用いて打者を抑えられる投手だったら何でも自分はいいと思っています。
――同級生の清水大成選手(スポーツ科学部入学予定=大阪・履正社)から刺激を受けることはありますか
飯塚 甲子園優勝投手なので、自分よりも格上だと思っているので、負けないようにって言ったら清水(大成)に失礼かもしれないですけど、これから間違いなくライバルになると思っているので、負けないように頑張っていきたいです。
――続いて野村選手に伺いたいと思います。自分の一番の持ち味はどういったところだと思いますか
野村 長打力が持ち味だと思っています。
――甲子園でも1試合2本塁打を記録していますが、本塁打へのこだわりはありますか
野村 ホームランを狙って打っているのではなくて、センター方向に低い打球を打つということの延長線上でホームランを打つことを意識しています。
――木製バットへの対応についていかがですか
野村 金属と違って芯の部分が小さいので、金属では力でもっていけたのですが、木製になると打ち方とかが違ってくると先輩とかから聞きました。先輩のものをしっかり吸収して早く慣れられればいいかなと思っています。
――現段階での課題はどのような点だと思いますか
野村 自分は体が大きいので、キレという部分で他の選手と違うなと思います。もう少しキレを良くしたいと思います。
――守備や走塁へはどちらかというと苦手意識があるのですか
野村 バッティングよりかは少し苦手です。
――打撃ではどのようなことを意識していますか
野村 長打力が自分の持ち味なのですが、追い込まれたらしっかり逆方向に打つということを意識して打席に入っています。
――高校時代に小倉清一郎コーチの元、打撃フォームの修正を行ったと伺いました。詳しくお話を聞かせてください
野村 小倉さんが来られる前は、自分は思いっきりテイクバックを大きく取っていて、それで差し込まれるということがありました。小倉さんが来てから、テイクバックを小さくすれば早い球でも振り遅れないということを教えてもらったので、そこからはテイクバックはあまり取らずに、最短でインパクトに持っていくことを意識して練習しています。
――それは今後も継続していきますか
野村 はい。続けています。
――現在はどのような点に重点を置いて練習していますか
野村 しっかりとピッチャーを想像してティーをしたりすることを欠かさずに少しずつやっています。
――少し話題は変わりますが、お二人がお互いを初めて知ったのはいつ頃ですか
野村 自分は(1年前の)センバツの時です。
――対戦経験はありますか
飯塚 ないです。
――では、直接話したのは大学の練習に合流してからということでしょうか
飯塚 入試とかそういうところでは話していました。
――高校野球での三年間をざっくり振り返っていかがでしたか
飯塚 自分は内容の濃い三年間だったかなと思っています。
野村 自分も充実した三年間を過ごせたと思います。
――一番思い出に残っている試合は何ですか
飯塚 自分は最後の(夏の甲子園2回戦の)鶴岡東戦です。負けた試合の方が印象に残っています。同じバッターにホームランを2本打たれてしまったりだとか、情けない散々なピッチングをしてしまったので、悪い意味で印象に残っています。
――反対にいい意味で印象に残っている試合はありますか
飯塚 やっぱり(高3の千葉大会準決勝の)木更津総合戦です。木更津総合にここ5年間くらい、いいようにやられていたので、自分のピッチング自体はあまり良くなかったのですが、チームとしてベストゲームだったのではないかなと思います。
――野村選手はいかがですか
野村 (高3の)夏の甲子園の熊本工業戦が一番印象に残っています。最後サヨナラホームランで負けたのが印象に残っています。
――熊田任洋選手(スポーツ科学部入学予定=愛知・東邦)、清水大成選手との交流はありましたか
飯塚 特に…。(熊田とは)ジャパンのときは話しましたけど、主にピッチャーと野手で分かれていたので、あまり深く関わるようなことはなかったですね。
――大学での一人暮らしはいかがですか
飯塚 自分は一人暮らしは初めてなので、全部一人でやらないといけないので大変です。
野村 自分は高校から寮だったので、環境が変わっただけでそこまで苦ではないです。
――大学で勉強したいことや野球以外で興味のあることはありますか
飯塚 自分はスポーツ科学部なので、体に関することが学べると思っています。けが予防だったり、どうやったら球が速くなるかとか、体の使い方や筋肉の名前などは野球につながってくると思うので、そういうことにはすごく興味があります。
野村 自分もスポーツ科学部でやらせていただくのですが、自分はトレーナーコースで勉強していくので、けがの原因であったり、それをどうやって治していくかということだったり、ストレッチのやり方などを色々学びたいです。この4年間の野球生活をけがなく体調管理をしっかりして過ごせたらいいなと思います。
「『探究心』を持って」(野村)
質問に答える野村
――東京六大学の中で対戦したい選手はいますか
野村 自分が1年の時の3年生のピッチャーが立教大学にいるので、その方と対戦できたらいいなと思っています。
飯塚 意識しているわけではないのですが、ジャパンで一緒だった立教の池田(陽佑、智弁和歌山高卒業予定)とは投げ合ってみたいなと思います。
――投手同士の交流はあったのですね
飯塚 そうですね。すごく仲良くなりました。
――長い視点で見た際の野球人生の目標は何ですか
飯塚 やっぱりここで4年間頑張って、プロ野球選手になりたいです。60才まで野球ができるわけではなく、どんなに長くても40才手前くらいで終わってしまうと思うので、そのあとの人生にこの早稲田大学で培ったことをつなげて、セカンドキャリアみたいなのに役立てられればいいかなと思います。
野村 プロ野球に行くか行かないかは4年間次第ですが、4年間しっかり野球して、しっかり結果を出せるように練習して、(プロに)行けたら早稲田大学というプライドをもってプロでも一生懸命野球をしたいと思います。
――大学野球での目標は何ですか
飯塚 最近は優勝がないと聞いたので、自分の力でというのはおかしいですけど、優勝に貢献できるように、日本一に貢献できるように、チームの力になれればいいなと思っています。
野村 練習の中でも先輩方が日本一と口にして練習しているので、日本一に自分も少しでも貢献できたらいいなと思っています。
――個人での目標はありますか
野村 ホームラン記録とか打撃の記録は塗り替えたいと思っています。
――通算最多本塁打記録は高橋由伸氏(平10慶大卒)の23本となりますが
野村 高い目標もですが、まずは一本打つことを目標としてそこからどんどん上げていければと思います。
――最後に今年の目標をお願いします
飯塚 自分はこの1年間でベンチに入って、一試合でも多く公式戦で登板できればいいなと思っています。
野村 自分も早いうちにベンチに入って試合に出られるようになって、しっかり探究心を持って先輩方のいいところを吸収してやっていけたらいいなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 望月清香、吉田昭太)
神宮の舞台で輝きを放つ日が待ち遠しいですね!
◆飯塚脩人(いいづか・しゅうと)(※写真右)
2002(平14)年3月20日生まれ。177センチ。85キロ。千葉・習志野高出身。スポーツ科学部入学予定。投手。右投左打。U18W杯5位、第91回選抜高等学校野球大会準優勝、全国高等学校野球選手権大会出場
◆野村健太(のむら・けんた)
2001(平13)年8月27日生まれ。180センチ。97キロ。山梨学院高出身。スポーツ科学部入学予定。外野手。右投右打。選抜高等学校野球大会・全国高等学校野球選手権大会出場