虎の子の1点を守り抜き、定期戦白星!

野球
TEAM
早 大
同 大
(早)○早川、柴田、徳山、藤井寛―小藤
◇(二塁打)小藤

 早大野球部初代部長・安部磯雄氏が同大出身であることに開催の由来がある早同定期戦。6回目を数える今年、琵琶湖のそばに位置する滋賀・皇子山球場には多くの地元ファンが詰め掛けた。時折小雨が降り気温も2桁を下回る中、試合は緊迫した投手戦となった。

 早大先発は、『新エース』の呼び声高い早川隆久(スポ3=千葉・木更津総合)。エース左腕のみがつけることを許される背番号『18』を身にまとい、まっさらな先発のマウンドに上がった。すると初回から2つの三振を奪うなどエンジン全開。2回は2死一、三塁のピンチを招くが、ここでギアを一つ上げ、9番打者を威力ある直球で空振り三振に切って取る。その後もチェンジアップや横の変化球を効果的に織り交ぜ、凡打の山を築いていく早川。同大打線に的を絞らせず、5回を無失点にまとめ上げた。しかし、早大打線も相手先発を打ちあぐねる。初回を三者凡退に打ち取られると、その後もなかなか得点圏に走者を進められず。先発両投手の好投が続いた。

今年は『18』を背負う早川

 なんとか早川を援護したい打線は5回。先頭・檜村篤史副将(スポ4=千葉・木更津総合)がバットを折られながらも、相手遊撃手の失策で出塁する。次打者は二飛に倒れるが、7番・小藤翼副将(スポ4=東京・日大三)が右翼へ特大の二塁打を放ちチャンスメーク。この日初めて得点圏に走者を置いた。そして続く打席には、パンチ力が売りの指名打者・岩本久重(スポ2=大阪桐蔭)。変化球主体の配球で早々に追い込まれるが、4球目だった。外角寄りの球を思い切りたたくと、打球は弾丸ライナーと化し右方向へ。白球は相手右翼手のグラブへと収まったが、三塁走者がスタートを切るのには十分の距離だった。檜村が本塁へ生還し、流れるような攻撃で1点を先制した。そしてさらに次打者の山野聖起(法4=岡山・金光学園)が初球を中前にはじき返す。二塁走者・小藤は一気に本塁を陥れようとしたが、ここはクロスプレーに阻まれた。この回の得点は1にとどまった。

先制の犠飛を放つ岩本

 追加点を奪って主導権を握りたい早大だったが、その後は再び苦戦をしいられる。6回以降、毎回走者を出すものの二塁ベースを踏むことができなかった。それでもこの日は投手陣が奮闘。6回から早川の後を託された柴田迅(社3=東京・早大学院)は、持ち前の力強い直球でねじ伏せ2回を無失点。その後も徳山壮磨(スポ2=大阪桐蔭)、藤井寛之(法4=福岡・東筑)とそれぞれタイプの異なる投手を繰り出し相手打線を翻弄(ほんろう)。5回に奪った1点を4投手の完封リレーで守り抜き、敵地での定期戦を制した。

 この試合、早大の得点はわずか1。もの足りなさは残ったが、敵失により生まれたワンチャンスをものにし、流れるように先制した5回の攻撃は理想形ではないだろうか。今年、小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)が掲げるのは『基本に忠実な野球』。「相手より1点でも多く取り、味方の得点より1点でも少なく抑える」。先制にこそ成功したもののなかなか打線が流れに乗れない中、投手陣が踏ん張り勝ち切る。まさに目指している野球を体現したのだ。

 一方、オープン戦期間は目先の勝利だけが全てではない。「(選手起用は)何パターンも用意している」と以前語っていた小宮山監督だが、この日も多くの選手が試合に出場した。その中で結果を出す者、必死に食らい付きながらもなかなか結果に結び付けることができない者と各人各様だが、チーム内で良い相乗効果になっていることは間違いないだろう。例えば、し烈な二塁手争いの渦中にいる丸山壮史(スポ2=広島・広陵)はこの日途中出場すると右前打を放ち、1打席で結果を残した。他の二塁手のライバルたちは刺激になったに違いない。春季オープン戦は残すところ15試合。東京六大学春季リーグ戦までの残り1カ月、ベンチ入り25人の枠を懸けた争いは、さらに激しさを増す。

試合前には両校の主将によるペナント交換が行われるなど、親交はさらに深まった

(記事、写真 石﨑開)

※記事中の学年は新年度のものです。

 

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