【連載】春季リーグ戦開幕前特集『勝利への渇望』 第6回 西岡寿祥

野球

 最上級生として若き内野陣を引っ張るプレーが期待される西岡寿祥(教4=東京・早実)。春季オープン戦は負傷によりわずかな出場機会となったが、この男はチームには欠かせない。自慢の守備と俊足を武器に二塁の定位置争いに挑む西岡に、東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)への意気込みや外からチームを見ての感想を聞いた。

※この取材は3月29日に行われたものです。

「早稲田大学というのは下手なプレーができない」

最上級生としての覚悟を語った西岡

――ご自身の今のけがの状況を聞かせていただいてもよろしいですか

 沖縄キャンプ前にけがをして、手術をせずに自然に治る方向で今までやっているんですけど、投げるのやノックはもう完全にやっていて、打撃だけまだやっていない状況なんですけど、リーグ戦には間に合うかなと思ってやっています。多少痛くてもリーグ戦ではやらないとなと思ってやっています。

――オープン戦に出場せずにいきなりリーグ戦になるという可能性もありますが不安はあったりしますか

 多少不安はありますけど、リーグ戦なんでそんなことも言ってられないですし、とにかくできることをやらないとなという感じです。

――春季オープン戦はここまで外から見ていると思いますが今のチームをどう見ていますか

 勝った負けたで言ったら負けてる方が多いんですけど、去年とかはオープン戦調子が良くてリーグ戦の結果は良くなくて、そういう意味では早い段階で危機感持ってやれているのはいいと思います。しかし自信的な部分で勝っていかないとそういう自信とかもついていかないのでそういうところは不安なのかなと思います。

――二塁手のスタメンを争っている丸山壮史選手(スポ1=広島・広陵)のプレーはどう見ていますか

 1年生ですし甲子園で準優勝してるし上手いなとは思いますけど、少しおかしいかもしれないですけど何も思わないです。自分は今けがをしているのでそれを治す、まずはそこからだと思います。

――今センバツが行われていますが見ていて当時のことを思い出したりしますか

 あんまり見ないですね。

――当時の思い出はあったりしますか

 正直、あまり緊張はしなかったです。甲子園までは自分は打撃に自信があって守備に関しては逆に中学校までは投手しかやったことなかったので不安しかなかったんですが、甲子園でやってみて守備はすごくいいプレーができて、逆に打撃はまだまだ通用しないということが分かりました。甲子園でいいプレーができたのが守備に自信がついたきっかけだったので、僕としては打てなかったですけどいい大会だったなと思います。

――甲子園の雰囲気とリーグ戦を行っている神宮球場の雰囲気で違いとかはありますか

 僕は神宮の方が緊張します。

――どういうところが要因ですか

 僕としては、早稲田大学という存在ははとても重みがあるし、六大学はレベルが高いのでプレーに重みがあります。早稲田大学というのは下手なプレーはできないですし、そういうところだと思います。

「もう一度守備は基本から」

堅実な守備で投手を支える

――昨季の順位についてどう思いますか

 70年ぶりの最下位なので、一言で言ったらありえないです。ありえないと言いながら原因は全て僕らにあると思うので、それを冬にみんなで考えて今までやってきて、最下位じゃなけりゃいいという大学じゃないので、なんとか優勝しないと面目が立たないなと思います。

――昨季の個人の成績はどのようにとらえてますか

 守備から試合に入れてもらって、打撃という機会は少なかったんですけど、スタメンで出て走攻守三つができていい選手だと思うんで、スタメンの機会が少なかったというのは一番の悔しさというか課題だと思います。

――自信があるのは守備だとおっしゃっていましたが、通用したなと思うプレーは守備が多かったですか

 投手が打ち取った打球を普通にさばいてアウトにするのがあって、ファインプレーは後から付いてくるものだと思っていて、アウトにしても危ない取り方したら投手にとっては不安が残るだろうし、打ち取った当たりを難なくさばくということをもっとできるようにやっていきたいです。

――対戦していて印象に残っている選手はいらっしゃいましたか

 ケイオーの郡司君(裕也、3年)は印象に残っています。やっぱりいい打者だなと思いました。

――どういうところがですか

 オール早慶とかでもランナー三塁の場面で2球で追い込まれた後にそこから粘って粘ってしっかり犠飛を打つとか、長打も打てるし、そういうケースに応じた打撃もできるところですね。

――冬の間重点的にやっていたことは

 バットを数振って振る力をつけるということと、ことしは守備ももう一回ゼロからじゃないですけどOBの方から教えていただいた基礎的なことをやっています。

――けがでなかなかプレーはできませんでしたが沖縄キャンプはどのようなものになりましたか

 打撃は何もできなかったので守備と走ることしかやっていません。守備も時間を見つけて監督さんやコーチが最後までノック打ってくださって、土のグラウンドだったのでグラブを下からあげないといけないし、バウンドが細かいので足をもっと細かく動かさないといけないし、そういうのを意識して練習したので守備は多少ですけど上手くなったかなと思います。

――キャンプ中のオフの日などは何かされましたか

 オフは試合が中止になって帰ってきてという時しかなくて、大雨だったんですけど普通に国際通りに行ってブルーシールアイスを食べて帰ってきたぐらいですかね。

――最上級生になって心境に変化はありましたか

 僕は主将とか副主将とかではないので、任せっきりではないですけど結構自由にやらしてもらってるんで特にはないですね。

――今の4年生は西岡選手から見てどのような学年ですか

 多分僕がうるさいからだと思うんですけど静かな子が多い印象があります。結構みんなおとなしいような気がします。

――二塁手のポジションを争う上でここは負けていないと思うところは何かありますか

 分からないですけど守備と足だと思います。

――高校時代は主に遊撃手だったと思うんですけど今守っている二塁手との違いはありますか

 やり始めは投げるのが逆な動きが多いんで、感覚的に違うなというのがあったんですけど今はもう特にはないです。

今季の抱負

――理想の選手像などはありますか

 古いんですけど西武の石毛(宏典)さんです。守備もめっちゃ上手いし、打撃もいいし、やっぱり走れるという走攻守三拍子そろった選手がかっこいいです。

――新チームで自分の果たしていきたい役割などはありますか

 オープン戦見てて内野がやっぱり下級生ばかりなので投手が一人になってるなとか思う部分はあるので、積極的に少し多いくらいでも声をかけてあげて視野が狭くならないように。外野との連携とかもそうですし、どうしてもバッテリーは孤立してしまうことが多いので声をかけて捕手にも色々セカンドから言って声でチームを助けたいです。

――目標とする数字はありますか

 高いほうがいいので、守備無失策は当たり前。盗塁も打率にもよるんですけど一番二番争えるくらいやりたいなと。打率もやっぱり4割近くくらい打ちたいなと思います。

――今季の抱負を聞かせてもらってもよろしいですか

 まずはチームが勝たないといけないというのと、個人としても最後の年なので数字というよりも大事なところで目に見えないかたちでもチームの流れを変えるようなプレーができればいいなと思います。さっき言ったようなことが全部できたら問題ないんですけど、そんな簡単にはいかないですけど理想はそうですね。

――ありがとうございました!

(取材・編集 藤本壮汰)

熱いプレーでチームを盛り上げてください!

◆西岡寿祥(にしおか・ひさよし)

1996(平8)年6月27日生まれ。173センチ、75キロ。東京・早実高出身。教育学部4年。内野手。右投右打。質問のひとつひとつに丁寧に答えてくださった西岡選手。けがの状況は心配ですがリーグ戦は問題ないとのこと。多少痛くてもリーグ戦はやらなきゃいけないと語る姿に、ラストイヤーにかける思いの強さを感じました。