【連載】春季リーグ戦開幕前特集『勝利への渇望』 第2回 早川隆久

野球

 昨年ルーキーながら投手陣の主力として大きな期待を受け、春秋通じて東京六大学リーグ戦(リーグ戦)に15試合登板した早川隆久(スポ2=千葉・木更津総合)。しかし残した成績は到底満足のいくものではなかった。真価が問われる今季は春先の対外試合から好調ぶりを見せており、その仕上がりには捕手陣からも太鼓判が押されている。先発、抑えとフル回転が予想される左腕の胸中に迫った。

※この取材は3月31日に行われたものです。

真価を見せる時

不本意な成績に終わった1年目の雪辱に燃える早川

――開幕まであと2週間少しですが、今のお気持ちはいかがですか

 沖縄から来てあっという間だなというのは感じてて、ちょっと調整がうまくいってるのか、いま迷走中なのでちょっと不安ですけど、あした社会人対抗戦があって先発させてもらうのでそこでしっかり確認したいなというのはあります。

――1年目の去年とことしで春季リーグ戦を迎える気持ちに違いはありますか

 そうですね、やっぱり経験をしてるのでどういう感覚かというのも分かりますし、1年経ってどれぐらい自分が変わったのかというのも感じられるので楽しみというふうに感じますね。

――2年目ということで打者の特徴もある程度分かっていると思いますが、その点でも違いはありますか

 開幕カードが立教で中軸が残ってるので、しっかりその中軸にどう立ち向かっていくかというのは自分の中でも考えてるので、そういう面では楽しみかなというのは感じてます。

――あした先発されるということですが、髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)から起用法に関して何か言われたことはありますか

 いや特に言われてないんですけど、いつも通りの感じで投げればいいのかなというのはあります。

――チームの雰囲気は去年の開幕前と比べていかがですか

 やっぱり必死さというか、そういうのは感じられています。こっからもう一段階追い上げないとリーグ優勝は遠いのかなというのはあるので、追い込める部分はたくさんあると思うので、しっかりミスというか隙がないようにしていければなというのはあります。

――春季オープン戦でのご自身の調子はどのように感じていらっしゃいますか

 イニングはそんな多く投げてないですけど、失点もそんなに多くないですし、三振も取りたい場面で取れてるので、そういう面では去年のこの時期のオープン戦に比べてだいぶいいのかなというのは感じてます。

――以前意識しているとおっしゃっていた低めへの制球はいかがでしょうか

 低めに決まってる分、ホームランというのはまだ打たれてませんし、そういう面では成長したのかなというのは感じてます。

――新しく取り組んでいたり、割合を増やした球種は何かありますか

 やっぱり真っすぐとスライダーで組み立ててる感じはあるので、真っすぐとスライダーでこの春もしっかり組み立てて、後半になったら違う球種を混ぜつつというのを目指してやっていこうかなという感じです。

――先発するときと救援をするときで、投げる球種の割合は変えたりしていますか

 先発もやっぱり最初は真っすぐで飛ばしていくので、まあ中盤になれば変化球も混ぜていくんですけど、中継ぎという場面では真っすぐでどんどん押して変化狙ってるなと思ったら変化球投げるぐらいで、まああんまり変わりはないですね。

――冬は少し体調を崩されていた時期もあったと伺いましたが、現在は体調面で不安はないですか

 そうですね、もうあんまり季節の変わり目とかあっても体調崩さないように万全の状態でいれるので、体調面に関しては万全でいけるかなと思います。故障とかもなく、順調にきてるのでそういう面ではいいかなと思います。

――沖縄キャンプはことしで2回目となりましたが、振り返ってみていかがでしたか

 去年に比べて走る量も多いですし、雨の日数も少なくてオフもなかったので、そういう面では追い込んだ沖縄キャンプだったかなというのはあって、身体的にもまだちょっと疲れが残ってるかなというのはあります。

――体力面での向上というのは感じていますか

 そうですね。あんまりバテることもなくしっかり投げれてるので、そういう面では本当に走り込んできて良かったなというのは感じてます。

――調整というのは、救援投手としての調整をしてきましたか

 あんまり関係なく走って、悪い状態でもいい状態でもいつでも投げれるようにということで、中継ぎでいくよと言われた日は普通にランニングして試合に臨みますし、いろいろと準備はしてきたなと思っています。

――理想とするのは打たせて取る投球とおっしゃっていましたが、春季オープン戦では三振も多く取れていました。救援のときは三振を狙ったりすることもありますか

 そうですね。救援となるとやっぱりピンチのときは多いので、三振を欲しいところで出されてるんだというのはしっかり自覚しながら投げてるので三振を狙って取ることが多いんですけど、先発はやっぱり球数を少なくして打たせて取るピッチングを重視してやっていければなと思います。

――今のご自身のスタイルとして、速球派の投手か、変化球投手か、どちらかといえばどちらだと思いますか

 どっちだろうな(笑)。自分的には速球派なのかなというのは感じてて、真っすぐでも結構社会人でも通用してますし、大学の選手にもしっかり空振りを取れるような真っすぐにもなってるのでそういう面では速球派なのかなというのはここ最近投げてて感じます。

――社会人の打者と対戦してみて、何か見えてきた課題はありますか

 やっぱり甘い高めのボールは打たれますし、変化球も甘かったら打たれますし、後半になるにつれてたぶんそういう球が多くなってくると思うので、自分的にはそういう球を減らすために今は課題に取り組んでるという感じですかね。

――球を受ける正捕手がまだ決まっていないという状況ですが、それについてはどう思いますか

 自分は基本もう小藤さん(翼、スポ3=東京・日大三)に安定してるんですけど、小藤さんって自分が固定してしまうと代打とかもいろいろと組み合わせることができないので、自分的にはいろんなキャッチャーと組むようには、ここ最近はしてます。

――小藤選手は早川選手にとって捕手としてどういった面がいいのでしょうか

 まあ投げやすいというのもありますし、話しやすいというのもありますし、学年が近い分言いたいことも言えますし、そういう面では信頼というか意思疎通がちゃんとできてるキャッチャーなのかなというのはあります。

――新入生の岩本久重選手(スポ1=大阪桐蔭)も試合に出場されていますが、組んでみて印象はいかがですか

 早同定期戦のとき初めて組みましたけど、配球的にも大学生に近い配球ですし、そういう面では組んでて楽しいというのもあるんですけど、まだあんまり組んだことがないという面でちょっと不安要素が多いかなというのはあります。

――コミュニケーションを取ったりはしていますか

 そうですね、岩本とは学部も一緒でいま科目登録期間なので、そういう話とかいろいろしてますね。

――徳山壮磨投手(スポ1=大阪桐蔭)がことしご自身と同じように1年生からリーグ戦のマウンドに上がると思います。去年ご自身は1年生ということで責任を感じた部分もあったとおっしゃっていましたが、何かアドバイスはされましたか

 緊張するというのは前々から言ってあるので、きっと彼もそれを想定しての練習もしてると思うので、そこは自分の経験をしっかり話して、あいつにはあとはもうマウンドで堂々と投げてもらうだけだなと思います。

――ご自身は、去年感じたような勝たなくてはいけないというプレッシャーみたいなものは克服できていますか

 いま自分がどの立ち位置にいるかっていうのも正直分からないので、それが分かり次第いろいろな気持ちの準備が必要なのかなというのはあります。

――ここまでの春季オープン戦では大学生相手にはほとんど打たれていないと思いますが、自信にはなっていますか

 自信にはなってますけど、やっぱりどうせ目指すなら社会人にも打たれたくないなという欲もあるので、社会人を抑えられれば、(社会人には)上のレベルはもっといるので。そういう面では大学生相手に抑えたどうこうというよりは、アマチュアを抑えていいピッチャーというふうに自分では思ってるので、まあ自信には少しずつはなってるのかなと思います。

――先日の鷺宮製作所戦では失点を許しましたが、対戦してみていかがでしたか

 レベルが高いというか、自分が準備不足だったというのもあって。その後しっかり二者連続見逃し三振とかも取れてるので、準備というのをしっかり怠らずにやればリーグ戦もいい結果が後々ついてくるのかなと感じます。

――投手陣としてもあの試合は被安打20と打たれましたが、何か話し合ったことはありますか

 クリーンヒットというのがあんまり多くはなかったので、課題はたくさん見つかりましたけど、そんなに落ち込まずにやっていけばいいんじゃないかというのを小島さん(和哉主将、スポ4=埼玉・浦和学院)からも言われてるので。打たれたとしてもそんなクリーンじゃないから、芯で捕らえられてない分、大学生はもっと力が落ちるんだから内野ゴロとかになるんじゃない、という楽観的な考えになったのでそういう面では良かったなと思います。

――ご自身も含めて投手陣全体としては今、出来はどうだと思いますか

 特に中継ぎ陣は失点が少ないときもあれば、多いときもあればというふうに波が結構激しいんですけど、それをしっかり調整して持っていければ安心して先発陣も投げれると思いますし、これからの調整がいかに大事かっていうのがたぶん分かると思います。

――同級生で活躍している今西拓弥選手(スポ2=広島・広陵)や柴田迅選手(社2=東京・早大学院)の活躍は刺激になりますか

 刺激になりますし、自分的にも二人には頑張ってもらいたいなというのはあるので。柴田に関しては高校では投げてますけど、大学では初めての神宮のマウンドなので緊張すると思うんですけど、自分らしい投球をしてくれればいいかなというのはあります。

――以前アンケートで柴田選手の速球がいいと書かれていたと思いますが、柴田選手を見ていていかがですか

 やっぱりスピンも効いてますし、きょうの試合(Honda戦)とかもしっかり三振とか取れてますし、真っすぐがなかなか当たらないんじゃないかなという感覚もあるので自分がもしバッターだったら嫌だなというのはあるので、柴田を選びました。

――ことしから道方康友投手コーチ(昭53教卒=大阪・箕面自由学園)が加わりましたが、何か言われて印象に残っている言葉はありますか

 投げ込めっていうふうにしか、自分はあまり言われないので(笑)。

――球数は去年よりだいぶ投げていますか

 そうですね、結構道方さんに言われてる通り、投げ込まないとまずいと思ってるので、投げ込みはちゃんとしてます。

――冬は1カ月で2000球というノルマがありましたが、今は何かノルマなどはありますか

 ノルマは特にないんですけど、自分は3連投できるようにというふうに道方コーチにも言われてるので、そういうのを目指してブルペンに入る回数も増やしていますし、そういうのを考えてしっかりやってます。

「完全優勝というのは目標にやっていかないと駄目」

春先の対外試合では直球、変化球共に圧巻の威力を見せつけた

――ではリーグ戦のお話に移っていきます。対戦相手の組み合わせを見てどのように思いましたか

 初戦が立教ということで、スタートダッシュがどういうふうにいくかなというのはありますけど、立教のカードというより初戦をどう取るかというのがポイントになってくると思うので、そういう面では初戦を大事にやっていこうかなというのはあります。

――立大打線の印象はいかがですか

 粘り強いという印象があるので、自分も根気強くしっかり食らい付いていかないとフォアボールとかで無駄なランナーを出したくないので、粘り強く戦っていければなというのはあります。

――今季のチームのキーマンは誰になると思いますか

 クリーンアップを打つ吉澤(一翔、スポ2=大阪桐蔭)、加藤さん(雅樹、社3=東京・早実)、福岡さん(スポ3=埼玉・川越東)が特にメインになると思います。その前の1、2番がどれだけ打てるかっていうのも必要なんですけど、やっぱりクリーンアップがどう得点圏で返せるのかという、キーポイントはその3人かなと自分は思っています。

――ことしの早川選手の注目してもらいたいポイントはどこでしょうか

 『準備力』という、ブルペンにどれぐらいのタイミングで入るのかというのをただただ注目してもらえればいいかなと(笑)。技術面に関してはそんな注目してもらうようなセールスポイントはないので。準備力とか、そういう面を見てもらえればいいと思います。

――目標とする成績は

 自分の目標ではないですけど、やっぱり完全優勝というのは目標にやっていかないと駄目だと思うので、完全優勝を目標にやっていければなと思います。

――個人としてはいかがでしょうか

 個人としてはリーグ戦通算成績が1勝3敗なので、とりあえず負け越してるのでちょうどトントンに並べるようにあと2勝はしたいなというのはあります(笑)。

――最後にリーグ戦への意気込みをお願いします

 去年のふがいない成績からどう変わったかは自分も楽しみなんですけど、今のチームだったら粘り強くできると思うので。粘り強い練習も根気強い練習もしてきていると思うので、個々が自分の役割をしっかり果たせばチームとして、束として戦っていけると思うので、束となって相手にぶつかっていければなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 皆川真仁)

捨て身で相手にぶつかっていく、との思いから『突破力』と書いてくださいました!

◆早川隆久(はやかわ・たかひさ)

1998(平10)年7月6日生まれ。180センチ、73キロ。千葉・木更津総合高出身。スポーツ科学部2年。投手。左投左打。対談前日に開幕したプロ野球。地元ということでパ・リーグでは千葉ロッテマリーンズ(ロッテ)、セ・リーグでは憧れの前田健太投手(ロサンゼルス・ドジャース)が在籍していたということで広島東洋カープ(カープ)を応援しているという早川選手。昨年カープは優勝しましたが、ロッテは最下位に終わりました。ことしはワセダの王座奪還とともに、ロッテの優勝も味わえるといいですね!