神宮90周年記念!六大学選抜vsヤクルトの奉納試合が実現

野球
  
東京ヤクルト 12
東京六大学選抜
(六大学)星、小島、●澤田、竹内、柳、三木、田村、加藤-小藤、郡司
(二塁打)中山2

 1926年(大15)に竣工(しゅんこう)され、日本野球界と共に歩みを続けてきた神宮球場。その創建90周年を記念し、神宮球場でリーグ戦を行っている東京六大学選抜と、神宮球場をホームとするプロ野球・東京ヤクルトスワローズ(ヤクルト)による奉納試合がこの日行われた。早大からは石井一成主将(スポ4=栃木・作新学院)竹内諒(スポ4=三重・松阪)小島和哉(スポ2=埼玉・浦和学院)小藤翼(スポ1=東京・日大三)の四名が出場メンバーとして選出。「(大学生とは)一段違うなと思いました」と石井が語ったように、試合は1-12でヤクルトが大勝。プロの威厳を見せつけられる試合となったものの、2万人を超す大観衆を前に、両チームの選手たちが華麗なプレーで応えてみせた。

 今季、早大の先発二本柱として奮闘した竹内と小島。プロの打者を相手に両左腕がどのような投球を見せるのか、注目が集まった。2番手としてマウンドに上がった小島は、1安打こそ許したものの次打者を併殺に切って取る。「自分の持ち味を出せた」と、来シーズンに向け自信を深めたマウンドとなった。4回途中から登板した竹内も、プロを相手に強気の投球を披露。「たまたまです」と謙遜したが、川端慎吾、山田哲人(ともにヤクルト)といった日本を代表する好打者も打ち取った。社会人野球の強豪・ホンダ鈴鹿へと進むことが決まっている竹内。ことしはプロ野球ドラフト会議で名前が呼ばれることはなかったが、2年後にはまたプロへの挑戦権を得られる。その2年後に向け、この登板が大きな収穫になっただろう。しかし、ヤクルト打線に計12点を奪われた東京六大学選抜の投手陣。プロ入りを控えた投手たちも多い中で、一足先にプロの洗礼を浴びるかたちとなった。

竹内は流れの悪い中、見事に無失点で切り抜けた

 主将、正捕手として、常にチームの中心で戦ってきた石井と小藤。5番・遊撃手としてフル出場を果たした石井は、初回の守備で三遊間を破りそうな打球をダイビングキャッチ。内野安打にはなったが、華麗な守備で観衆を沸かせる。打っても6回、球の出どころが見づらい左腕・岩橋慶侍(ヤクルト)から、甘い球を右前にきれいに運び1安打。六大学を代表する打者としての意地を見せた。卒業後、今度はプロの選手として第一線での活躍が期待される。ルーキーながら選出された小藤は、安打こそ出なかったものの堂々としたプレーを展開。登板した小島、竹内をリーグ戦同様落ち着いてリードし、ともに無失点に導いた。東京六大学の打線は、プロの投手が投じる威力ある球を前に、なかなか自分の打撃をさせてもらえない。柴田圭輝(法大4年)の適時打で1点こそ返したが、投手陣同様こちらもプロのレベルの高さをまざまざと見せつけられる結果に終わった。

この日1安打を放った石井

 大差のついた試合とはなったが、集まった大観衆は敵味方関係なく、選手たちのプレーに称賛の拍手を送り続けた。また、両チームの応援団によるエール交換も行われるなど、90周年を祝う暖かい雰囲気が終始球場を包んでいた。90年の長い歴史の中で、数々の名場面を生んできた神宮球場。前回の80周年記念奉納試合で法大の選手として本塁打を放った大引啓次(ヤクルト)が、プロとして実に10年越しの本塁打を放つなど、今回の奉納試合でもその名場面は生まれた。懸命にプレーする選手たち、また野球を愛する人たちがいる限り、その歴史は絶えず紡がれていくはずだ。これからも、そしていつまでも、神宮球場は名場面を生み続けていく。

(記事 中丸卓己、写真 加藤耀)

☆早大OB青木宣親、始球式のマウンドへ!

神宮のマウンドに立つ青木

 明治神宮外苑創建90年を記念し、盛大に行われた今回の記念試合。試合前に行われたセレモニーにも豪華な顔ぶれがそろった。始球式に登場したのは、青木宣親(平16人卒=現米大リーグヒューストン・アストロズ)。今は遠いアメリカで活躍を続けているが、かつては早大の選手として、また東京ヤクルトスワローズ(ヤクルト)の選手として神宮を舞台にファンを沸かせていた。

 青木は名前がコールされるとさっそうとスーツ姿で登場。マウンドに立つと、右翼スタンドからはヤクルト時代の応援歌が演奏された。投じた球はもちろんストライク。グラウンドを出る際にも、姿が見えなくなるまで『青木コール』が鳴りやむことはなかった。

(記事 杉田陵也)

東京六大学選抜打者成績
打順 守備 名前
(二) 吉田大成(明4) .333 一ゴ    二ゴ    中安            
  小林満平(法2) .000                      二ゴ   
(中) 下雅意拓哉(東4) .500 空振    右安                  
  打三 沓掛祥和(慶4) .000             中飛       空振   
(右) 佐藤拓也(立4) .000 一直    見振    二ゴ            
  田中和基(立4) .000                      空振   
(一) 山本瑛大(慶4) .500    中安    投ゴ               
  左中 佐藤竜彦(立4) .000                一ゴ         
  田口耕蔵(東3) .000                         三ゴ
(遊) 石井一成(早4) .250    左飛    中飛    右安       左飛
(指) 中山翔太(法2) .750    中2    中2    三併       二安
(左) 大西千洋(法2) .000    空振                     
  打一 柴田圭輝(法4) .667          左安       一ゴ    右安
(捕) 小藤翼(早1) .000    空振    二ゴ               
  郡司裕也(慶1) .000                   遊ゴ    見振
(三) 渡辺佳明(明2) .000       空振                  
  打左 岩見雅紀(慶3) .000             一邪    三ゴ      
東京六大学選抜投手成績
名前
星知弥(明4) 0.00
小島和哉(早2) 0.00
澤田圭佑(立4) 1/3 99.99
竹内諒(早4) 1 2/3 0.00
柳裕也(明4) 9.00
三木豪(東4) 0.00
田村伊知郎(立4) 36.00
加藤拓也(慶4) 9.00
コメント

石井一成主将(スポ4=栃木・作新学院)

――きょうプロの投手と対戦してみてどう感じましたか

レベルが高くて、真っすぐも変化球もキレがありました。(大学生とは)一段違うなと思いました。

――プロ入り前に一足早く対戦できてよかったと思います

そうですね、きょうの対戦は勉強になりましたし、この経験を生かして次に向けてやっていければいいかなと思います。

――テレビなどで見る選手と実際に対戦してみて違いなどは感じましたか

手元で伸びるというか、打席の中でしか分からないキレがプロ野球選手はすごいなと思いました。

――評価されている守備でもきょうは活躍されました。やってみていかがでしたか

プロの打球を受けられたことは大きな収穫でしたし、まだまだなところがあるのでもっと安定して活躍できる選手になりたいです。

――プロの打球はやはり速いですか

そうですね、力がありました。

――まだまだだなと思うところは具体的にどこですか

きょうは1試合ですが、プロになったら毎日試合があるので、コンディションの面だったり、確実性のところだったり、そういうところはまだまだだなと思います。

――プロと対戦してみて驚いたことなどはありますか

驚いたというか、守備でも打撃でも簡単なミスをしないなと思いました。打席でも甘い球をファールにしないで前に飛ばしますし、一球の集中力というのはとても勉強になりました。

――3打席目は右前打となりました。感触はいかがでしたか

打たせてもらったという感じですね。カウント(3-1)も良かったですし、点差も開いていた(6点差)ので。バットが出るところに投げてもらった感じなので、真剣勝負というか、ここぞという場面で打てればいいかなと思います。

――早大の選手として試合をするのはこれで最後となります。あらためて今どのような心境ですか

六大学の雰囲気は好きだったので、ああいう雰囲気の中で(試合が)できないというのは少し寂しい思いもありますが、(きょうのような)こういったプロのまた違う雰囲気でできるので、そこで頑張っていきたいなと思います。

――きょう対戦した相手と肩を並べてプレーすることになります

そうですね、もっと練習をしてパワーをつけないと到底活躍はできないなと感じました。

――きょうの収穫は何ですか

全部ですね。練習も見させてもらって、選手の動きや一つ一つのスイングもそうですし、一球投げるにしてもいろいろなことを感じたので、とても勉強になりました。

――これで大学生として神宮でプレーすることは最後になりますが、この球場にどのような思い入れがありますか

応援に後押しされているなというのは毎試合感じますし、やはり自分一人では野球ができないんだなというのはあらためて感じました。

――早大野球部で学んだことは何ですか

感謝をすることというか、一人では(野球は)できないということを学びました。(この四年間は)たくさんのOBの方に支えてもらったので、技術的なことよりも(自分は)支えてもらっているんだなということを勉強させてもらいました。

竹内諒(スポ4=三重・松阪)

――このメモリアルゲームの選抜メンバーに選ばれたときのお気持ちは

素直にうれしかったです。

――盛り上がる試合となりましたが、球場の雰囲気については

いつものリーグ戦の雰囲気と全く違って、すごく変わった感じがあるので楽しかったです。

――ベンチの雰囲気はいかがでしたか

ベンチもヒットを打ったりいいプレーが出たらみんなで喜んでいたので、雰囲気もすごく良かったと思います。

――4回途中からの登板は予想できていなかったと思いますが

そうですね。準備はできていたのですが。

――緊急登板にも関わらず、1 2/3回を無失点。ご自身の投球内容はいかがでしたか

ストライクとボールがはっきりしていたのですが、腕を振れた分詰まらせることができたと思うので、そこは良かったと思います。

――5回にはヤクルトの中心選手の川端慎吾選手、山田哲人選手も打ち取りましたが

たまたまです。

――早大のユニホームを着ての試合はこれで最後となりましたが

最後の試合だったので悔いのないように投げようと思いました。

――今後の目標についてお聞かせください

社会人野球での2年間をしっかり頑張って、プロに行けるようにしたいです。

小島和哉(スポ2=埼玉・浦和学院)

――特別な舞台の雰囲気はいかがでしたか

1イニングでしたけど、すごく勉強になる試合でした。

――この試合で得られたものは何でしたか

口で言うのも難しいですけど、雰囲気が一番です。

――レギュラークラスの3選手との対戦でしたが、自信にはなりましたか

自分の持ち味を出せたと思います。打たれるなら自分のいい球を投げて打たれた方がいいと思ったので。

――ベンチから見て、プロの選手が投げている球はどのように映りましたか

キレというか、真っすぐだけではなくてもう一球種、二球種でしっかりカウントを取れていて、一段も二段もレベルの高いのが伝わりました。

――特にすごいと思った選手はいらっしゃいましたか

いや、どの選手も全員がプロのレベルだなと感じました。

小藤翼(スポ1=東京・日大三)

――1年生ながらも選抜されたということについていかがですか

周りもレベルが高い人ばかりで、対戦相手もヤクルトというプロのチームということで選んでいただいてすごくうれしかったです。

――始球式では大先輩である青木宣親(平16人卒=現米大リーグヒューストン・アストロズ)さんと握手をされていましたね

偉大な先輩ですし、握手して「頑張って」と言ってくださったのでうれしかったです。

――試合の雰囲気はいかがでしたか

プロ野球ということもあって(六大学リーグとは)違う雰囲気でよかったです。

――プロに進むような他校の投手の球を受けてみて

初めて組むピッチャーばかりなので、いつもと違った配球になっていたとは思うんですけど、しっかり投げてくれたと思います。

――各大学のエース級ピッチャーの球というのはやっぱり違いますか

そうですね。

――この記念試合で次に生かせそうなことは見つかりましたか

そうですね。相手選手はレベルが高いので、コースに決まってもカットされることがあったので、配球をもう少しうまく考えていきたいと思います。