【連載】秋季リーグ戦開幕特集『アゲイン』 第8回 八木健太郎

野球

 1年生から神宮の打席を経験してきた俊足が持ち味の八木健太郎(スポ3=東京・早実)。猛練習を乗り越えて迎えた昨春、初めてレギュラーの座を射止めるも不完全燃焼に終わった。高い潜在能力を発揮し、ワセダの切り込み隊長として飛躍が期待される八木の胸中に迫った。

※この取材は8月26日に行われたものです。

「1番バッターとしての役割をあまり果たせなかった」

――暑い中で練習、試合が続いていますが体調は

 そうですね、しんどいです。暑いので(笑)

――大学3年目となる今春のリーグ戦ではスタメンとして試合に出場しました

 1年秋から少しずつ試合に出させてもらって、2年生でレギュラーを奪取しようと思ったのですが取れなくて、2年生は悔しい一年間となりました。なので、3年生ではレギュラーを取ってチームに貢献しようと思い、たくさん練習して、バットを振って、トレーニングを頑張りました。

――石井一成主将(スポ4=栃木・作新学院)が「八木が一番練習している」と以前おっしゃっていましたが、練習量は多い方なのでしょうか

 みんな練習していると思いますよ(笑)。自分が一番ではないと思いますよ。

――練習の成果を3年春のオープン戦で発揮し、レギュラーの座をつかみ取りました

 そうですね、一打席一打席集中して、レギュラーを取るのに必死になって頑張りました。

――スタメンに名を連ねて迎えた東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)を振り返ってください

 そうですね、打率が2割4分4厘でした。六大学の投手は良い投手ばかりなので、いかに一球で仕留められるかが重要だと学びました。球の質が違うので、たまに来る甘いボールを仕留めないと駄目ですね。一球で仕留める集中力を持つことが重要だと感じました。

――春季リーグ戦では緊張などはありましたか

 初戦の東大戦は1番バッターだったので緊張しましたけど、その後の試合は緊張しませんでした

――チームとしては春季リーグ戦5位という悔しい結果に終わってしまいました。レギュラーとして八木選手自身が感じたことは

 1番バッターとしての役割があまり果たせていなかったかなと感じます。去年の1番だった重信さん(平28教卒=現読売ジャイアンツ)に比べると、1番としての役割が果たせていなかったのかなと。

――八木選手が考える理想の1番打者とは

 まず出塁率を上げることです。そして、隙があったら走れる選手で一番打率の高い選手かなと。

――理想としている1番打者はいますか

 それは特にいないですね。

――春季リーグ戦では優勝の懸からない早慶戦を経験しました

 思った以上に観客がいて、早慶戦は特別なんだなと感じました。応援合戦もすごかったですし、伝統のある早慶戦には鳥肌が立ちました。

「足にはプライドを持っている」

自慢の足で相手を翻弄(ほんろう)する

――春季リーグ戦で自分の実力が通用したと思える部分はありましたか

 走塁は通用したと思います。相手の投手のフォームをうまく盗めました。

――夏季オープン戦でも盗塁成功率10割を残しています

 足は誰にも負けたくないです。プライドを持っています。

――走塁を磨く練習は何かなさっていますか

 特にはしてないです(笑)。でも投手の癖を見たり、足の上げ方の見方について監督さん(髙橋広、昭52教卒=愛媛・西条)と話をしました。

――この夏意識して取り組まれていることは何ですか

 やはり打撃ですね。打率があまり高くないので、打撃練習では逆方向(への打球)を意識しています。

――春季リーグ戦ではチームとしても打率が低調気味でした

 チームとしてこの夏は打撃に力を入れました。個人的には石井さんと自主練習でめちゃめちゃ振りました。

――練習はよく石井主将とされるのですか

 仲がいいです。いろんな話ができます。野球の話もできますし、野球以外の話もできる仲です(笑)。

――秋季リーグ戦に向けてレギュラー争いが続いています

 自分のやるべきことを考えて練習すれば、結果はおのずと付いてくると思います。自分のやるべきことをひたすらにやっています。

――今夏のオープン戦では一時打率が0割台と低迷しました

 0割台いったんですか?そういうところは意識していなかったです。

――しかし、2安打3出塁に加え好守を見せた8月16日の近大戦以降、成績が上向いてきました

 そこから勢いがついたのかな(笑)。焦りはあまりなかったですね。こんなに不調だったらいつかは打てるだろうと考えていました。やるべきことはやってきたので。

――新潟で行われた東京六大学オールスターゲームに中澤彰太副将(スポ4=静岡)の代役として出場されました

 いや、びっくりしましたね(笑)。当日の朝5時に連絡が来ました。前日に体調が悪いと言っていたのですが、中澤さん本人は絶対に行けると言っていたのにもかかわらず、朝の5時くらいに「やべぇ、調子悪い」と言ってきて朝準備したんですよ(笑)。マジかよと(笑)。行くからには結果を残さなければ思い打席に入ったら集中できました。

――3打数2安打という素晴らしい結果を収めました

 いい形でバッティングできました。優秀選手賞をもらってトウモロコシとスイカをいただきました(笑)。

――中澤副将からは何か言われましたか

 ゴメンなと(笑) 。

――東京六大学の中でもトップクラスの選手と野球をしてみていかがでしたか

 いろいろな話をしましたけど、みんな自分を持っていました。自分の理論を持っていて勉強になりました。バッティングではこう考えているんだとか、メンタル面の上でも勉強になりました。オールスターに行っていろいろと勉強になりました。

――特に話をされた選手は

 野球以外も含めていったら明大の柳投手(裕也主将、4年)です。中学校の時同じ代表に選ばれた仲なので、進路の話やプライベートの話をしました。

「一戦必勝で優勝を」

――話をプレーに戻します。八木選手は調子の波が激しい印象がありますが

 オープン戦では波を感じますが、リーグ戦では4打席に1本はヒットが出ていたので、あまり波は感じませんでした。もう少し打率を上げたいですね。3割を目標に頑張りたいです。

――チームの雰囲気は秋季リーグ戦に向けてどうですか

 まだまだこれからですかね。オープン戦でもあまり勝てていないので、まだまだこれからですね。

――チームとしての目標をお願いします

 まずはリーグ戦での優勝です。一戦必勝で勝っていって、結果として優勝したいです。

――ライバルはやはり慶大ですか

 はい。負けたくないですね。おととし、昨年と優勝を懸けた早慶戦をベンチで見ているのでその中で自分たちも試合をやりたいです。

――八木選手の目標をお願いします

 試合に出るからにはチームに貢献したいと思います。エラーをせずに、走塁ミスもなく、打率3割を目指したいです。

――現在3年生でもう少しで最終学年になるという自覚は出てきましたか

 まだないですね(笑)。やるべきことをやるだけです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 山田周史)

自信を持つ『足』はもちろん、この夏磨いた打撃でも存在感を示したい

◆八木健太郎(やぎ・けんたろう)

1994(平6)年6月29日生まれ。176センチ、77キロ。東京・早実高出身。スポーツ科学部3年。外野手。右投右打。走塁だけでなく好守でもチームに貢献したいと語ってくれました。再三発した「やるべきことをやるだけ」という言葉にみなぎる自信と意志の強さを感じました。