夢の球宴!早大勢も存在感発揮

野球
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二王子マウンテンズ
藤塚浜オーシャンズ

 各大学のスターが一堂に会する夢の祭典、東京六大学オールスターゲーム。ことしは新潟・新発田市にて、明大・慶大・早大からなる『藤塚浜オーシャンズ』、立大・法大・東大からなる『二王子マウンテンズ』が火花を散らした。早大からは地元・新潟出身の吉野和也(社4=新潟・日本文理)をはじめ8人が選出される。試合は両チーム譲らず3-3の引き分けに終わったが、選手たちが試合の随所で好プレーを披露。会場いっぱいに集まった大勢のファン、そして地元の野球少年たちを魅了した。

 六大学を代表する投手として、地元・新潟に凱旋(がいせん)した吉野和。藤塚浜オーシャンズの先発を任されたが、初回に相手クリーンアップに3連打を浴びるなど3回2失点という内容で降板した。失点については「残念だった」と振り返ったものの、「お世話になった方々がたくさん来てくれました」と、地元でのプレーに充実感を示した。また、4回には竹内諒(スポ4=三重・松阪)が球宴のマウンドへ。2つの安打こそ許したが、最後は併殺で締め1回無失点とまとめた。好投手ぞろいのチームの中で、吉野和、竹内ともに存在感を発揮。3週間後に迫った東京六大学秋季リーグ戦の開幕に向け、順調な調整ぶりをアピールした。

故郷・新潟で先発を任された吉野和

 一方の野手陣では、初選出2人組の活躍が光った。『1番・中堅手』として出場した八木健太郎(スポ3=東京・早実)は、初回に田村伊知郎(立大4年)の直球を捉え右翼線へ二塁打を放つ。4回にも中前へ運び3打数2安打。「良い結果が出て良かった」と、1番打者としての役割を十分に果たした。また、途中出場の江間拳人(教4=東京・早実)も躍動。代走として出場すると、6回には一時勝ち越しとなる本塁を踏む。二塁手としては堅実な守備を見せ、打撃では8回に一塁強襲安打を放った。定位置奪取に向け、走攻守全面でアピールに成功した江間。「自分が出るとなった時に結果を出せるように頑張ろうと思っています」(江間)。リーグ戦ではどのような姿を見せてくれるのだろうか。

2安打を放った八木。中澤彰太副将(スポ4=静岡)に代わって突然の出場であったが、見事に役割を果たした

 普段は敵同士として賜杯を争う各校の選手も、この日ばかりは真剣勝負の中にも笑顔が見られた。交流を通じ、他大の選手から互いに学んだことも多いだろう。また、選手たちの全力プレーは、ファンはもちろん観戦に訪れた野球少年たちにも夢と感動を与えたに違いない。多くのかけがえのない財産を残し、夢の球宴は幕を閉じた。

(記事 中丸卓己、写真 加藤耀、中村朋子)

コメント

石井一成主将(スポ4=栃木・作新学院)

――2回目の東京六大学オールスターゲームですが、いかがでしたか

率直に楽しかったですね。いろいろな大学から選手が来ていたので、楽しくプレーできました。

――普段よりも勝ち負けに固執することなくプレーできたと思います

やるからには勝ちたかったですが、点も取れましたし、協力してプレーできたと思います。

――チームの雰囲気はいかがでしたか

とてもいい雰囲気でできたと思います。

――昨日も安部磯雄記念野球場でオープン戦がありました。疲れもあると思いますが、いかがですか

きょうは少ししか出ていないので、(自分の力は)出し切れたと思います。

――急造のチームでの試合で、サインプレーや連携は大変な部分があったと思います

サインはなしでやりました。連携は声を掛けながらやったのでしっかりできました。

――きょうは東京六大学リーグの選手と久々に対戦しました

まだまだやらなければいけないことがたくさんあるなと思ったというのが感想ですね。

――具体的に何をやっていきたいですか

確実性もないですし、他の大学の方が力を持っているなと感じたので、まだまだ練習すべきだと思います。

――そのことは早大の他の選手も見て感じたことなのでしょうか

それは自分自身のプレーを見ての感想です。

――交代後はベンチでどのようなことをしていましたか

声を出したり、グローブを渡しに行ったりしていました。

――あすは地元の子供たちへの野球教室です

楽しみですね。教えられることはしっかり教えてあげたいと思います。

江間拳人(教4=東京・早実)

――オールスターの舞台でプレーをしてみた感想はいかがですか

自分は元々来る予定ではなかったですけど、楽しもうと思ってプレーすることができました。

――他大の選手と一緒にプレーをしてみていかがでしたか

リーグ戦はあまり出ていませんが、リーグ戦でも意外と通用するのではないかなと思いましたね。

――2打席ともに2死で打順が回ってきましたが、それぞれどのような意識で打席に立ちましたか

最初の打席は次につなぐという意識で、2打席目はなんとか塁に出ようと思っていました。走れとも言われていましたけど、きつかったです(笑)。

――8回には二遊間での連携プレーがありましたが、事前に何か練習はされていたのですか

練習はしていないです。特に問題なくできました。

――夏季オープン戦では二塁のポジションに複数の選手が出場されている状況ですが、日々どのようにアピールをしていますか

誰が出るか分からないような状況なので、自分が出るとなった時に結果を出せるように頑張ろうと思っています。

――他の選手と比べてご自身のアピールポイントは何かありますか

犠打ですかね。確実に犠打を決めることと、盛り上げることくらいです。

――これからも夏季オープン戦が続いていきますが、最後に今後の抱負をお願いします

(東京六大学春季リーグ戦は)5位で終わってしまったので、なんとか最後、優勝できるように頑張りたいと思います。

木田大貴(商4=愛知・成章)

――初めてのオールスターゲームでしたが、選ばれた時の気持ちはいかがでしたか

初めて選ばれたので、本当単純にうれしかったです

――6回には初安打もありました。その時の気持ちを教えてください

前の打席はチャンスで凡退してしまったので、どうにかして打ちたいと思っていたので、うまく打てて良かったです。

――打った球の球種は何でしたか

おそらくストレートです。

――狙っていた球種などはありましたか

ストレートを打ち崩したいと思っていました。その通りいって良かったです。

――守備の機会にも恵まれましたが、振り返っていかがですか

数回打球が飛んできましたが、緊張することもなく、普段通りの守りができたと思います。

――他大の選手との交流はありましたか

ベンチで試合前なども話したりもしましたし、コミュニケーション以外にもやはり良い選手がそろっているので、そういう意味でも良い勉強になったと思います。

――同じチームで戦ってみて、何か学んだことはありましたか

他のチームはベンチでの雰囲気もにぎやかで、野球を楽しんでやっているなと思いました。ワセダにはない雰囲気だったので、それも楽しかったです。

――このあと新潟で何か予定はありますか

特に無いですね(笑)。

立花玲央(人4=千葉英和)

――初のオールスターゲーム出場でしたが、選ばれた時はどういった気持ちでしたか

高校時代には選抜チームに選ばれるような経験がなかったので、自分がどこまでできるのかという気持ちでワクワクしていました。

――今回は他大学の選手たちとのチーム編成でしたが、交流などありましたか

試合前はあまり知り合いがいなくて話すことはかったのですが、試合が進むにつれ会話できたので良かったです。また、周りのレベルが高いので、プレーなどから得たものは多かったです。

――きょうはチーム内では唯一のフル出場ということでしたが、自らの打席を振り返っていかがですか

毎打席、リーグ戦で投げてくるであろう投手と対戦することができたのでいい経験になりました。

――きょうの試合、定位置の一塁ではなく指名打者での出場でしたが

肘を痛めてしまっていて急きょ指名打者に変更してもらいました。守備に就かずに打席だけ立つというのには少し違和感があって、試合に入りづらかったですけど自分なりに緊張感をもって臨めたかなと思います。

吉野和也(社4=新潟・日本文理)

――オールスターゲーム出場は2度目の吉野和選手ですが、きょうの感想をお願いします

地元の新潟で、レベルの高い仲間たちと一緒にやっているという姿を見せられたので良かったと思います。

――地元ということで、知り合いの方などはいらっしゃっていたのですか

結構家からは遠いので、そんなには来ていないのですが…(笑)。高校の先生や中学の先生など、お世話になった方々がたくさん来てくれました。

――ベンチでも楽しそうな姿が見られました

そうですね。オランダの選抜(ハーレムベースボールウィーク2016)に行ったので、みんな結構仲良くて。本当に良い雰囲気で試合できました。

――特に警戒していた打者はいらっしゃいますか

金子凌也(法大)はやはりオランダでも打っていましたし、首位打者も取っているので。1打席目は打たれたのですが、2打席目は真っすぐで勝負して抑えられたので良かったです。

――きょうのご自身の成績について

点を取られたのは残念だったのですが、オールスターを楽しみながらしっかりやれました。

――投球の調子自体はいかがですか

春よりはだいぶ良いので、秋に向けてまた頑張ります。

――東京六大学秋季リーグ戦に向けて一言お願いします

春リーグ(春季リーグ戦)は5位と悔しい結果でしたので、秋はワセダが優勝できるように一生懸命頑張ります。応援していただきたいです。

竹内諒(スポ4=三重・松阪)

――きょうはいかがでしたか

投球自体は悪くなかったのですが、真ん中のコースに集まってしまったので打たれたのかなと感じています。

――まず、東京六大学リーグの選抜選手に選ばれたことについてはどのように受け止めていますか

やはり東京六大学の代表ということで、すごくうれしかったです。それに恥じないようなプレーをしようと思いましたし、今後のリーグ戦でも恥じないようなプレーをしていこうと思いました。

――同じ早大の吉野和也投手(社4=新潟・日本文理)の後を受けての登板となりましたが

吉野が良い投球をしていたので、しっかりとその流れを引き継げるようにとあの場面では意識していました。中継ぎでの登板でしたが、リーグ戦でも自分が先発しない試合では十分に考えられる状況なので、その練習だと思ってマウンドへ向かいました。

――1イニングで打者4人という普段よりも短い登板となりましたが、その内容には満足していますか

満足はしていませんが、結果的に0で抑えられたのは良かったです。

――先頭の2人には直球を捉えられ安打を許しましたが、直球を捉えられたことに動揺はありましたか

いえ、それは全くなかったですね。打たれることはあるのでそこでは仕方ないと思っていますし、打たれて見つかった課題は今後の練習の中でリーグ戦までに突き詰めていくだけです。

――その後の1死一、二塁の場面では緩い変化球を効果的に使っていましたね

そうですね。緩い球を使うことで打者のタイミングを外すこともできますし、カウントを稼ぐ意味でもとても有効になるので、そういったことには普段から取り組んでいました。それが結果として出せたので良かったと思います。

――三振を取ることにこだわりはありますか

きょうは特にありませんでした。

――リーグ戦でもそうですか

そうですね。勝つことが第一です。

――登板前には明大の牛島将太捕手(4年)に投球を受けてもらい、また慶大の須藤隆成捕手(4年)ともコミュニケーションを交わす場面も見られましたが

普段から親交はあるので、他校の捕手だからといってやりにくいということはなかったですね。試合でも(同じ早大の)吉見(健太郎捕手、教3=東京・早実)だからと意識したことは特になく、いつも通りの投球ができたと思います。

――降板後は明大の柳裕也投手(4年)や、同じ早大の吉野和投手などとブルペン近くで会話をされていたようですが

二人に限らず他大の良い投手が多く集まっているので、少しでも何か盗めないかなということですね。それと、リーグ戦以来で顔を合わせる選手もいたので、久しぶりに話した選手もいました。

――藤塚浜オーシャンズ(早大、明大、慶大の連合チーム)の一員として共に戦った慶大の岩見雅紀選手(3年)に対しては、とかくベンチ内外から大きな歓声が飛んでいましたが

そうですね(笑)。まあ、あんな感じで試合前の練習でもチームで盛り上がっていました(笑)。

――リーグ戦とはまた違う和やかなムードがあったと思いますが、自身でも楽しめましたか

そうですね。とても楽しめました。

――最後に、東京六大学秋季リーグ戦に向けての意気込みをお願いします

最後のシーズンなのでやはり優勝はしたいですね。チームを勝たせる投球をすることで、その結果で自分の今後が決まってくると思うので、やるべきことをしてしっかり準備をすることに努めます。

――具体的な目標はありますか

『最優秀防御率』のタイトルですね。

――やはり変わりませんね

そうですね。点を取られないことが投手として良いことだと思うので、その証拠として『最優秀防御率』のタイトルがついてくると思っています。

八木健太郎(スポ3=東京・早実)

――いつものリーグ戦とは違う今大会の雰囲気はいかがでしたか

初めてオールスターに来ましたが、応援もあって楽しくできました。リーグ戦とは違いますが、打席に入れば集中してやりました。

――初打席目から二塁打を放つ活躍でした

最初は1番センターというスタメンでびっくりしましたが、出るからにはしっかりと結果を残さなきゃなと。良い結果が出て良かったと思います。

――2安打打たれましたが、それぞれの球種は

両方ともストレートでした。

――積極的に打とうという気持ちだったのでしょうか

そうですね。

――中堅での守りは久しぶりだったと思いますが、守備の方ははいかがでしたか

そうですね、久しぶりでした。高校の時にやっていたので、あまり苦ではなかったですね。

――今大会、突然の出場だったと思いますが

来たからには結果を残さなければいけないので、落ち着いてやりました。

――他大の選手との交流はありましたか

そうですね、ありました。高校や中学のチームメイトがいたので、懐かしい話をしたりしました。

――あすには野球教室などもあると思いますが、これからの新潟での予定は

おそらくこれから先輩たちとお食事したりすると思います。新潟楽しんできます。

吉見健太郎(教3=東京・早実)

――初めてのオールスターゲームお疲れ様でした。いかがでしたか

周りがすごい人たちばかりで、恐縮というか、常に縮こまって気を使った感じでした(笑)。

――選出された際のお気持ちは

自分はあまり結果出してないので…。選んで頂いたのはすごくうれしいんですけれど。キャッチャーが毎年全員(各大学から一人は)選ばれるので、それで選ばれたのかなっていうのはありますけど、来年とかはしっかり結果残して出られたらなと思います。

――他大捕手が4年生からの選出である中、吉野和也投手(社4=新潟・日本文理)と一緒に先発出場となりました。どのような経緯で決まったのでしょうか

ワセダのピッチャーの時はワセダのキャッチャーがやるので、そういう流れです。

――今回のチームメイトにはベストナインなど実績のある捕手もいました。他大の選手から学んだことなどは

打撃など、スイングの速さもそうですし、自分との違いはすごく感じたので。守備のキャッチングの良さだったり、送球の速さだったり、先輩方から(このオールスターゲームは)見習いたい機会になりました。

――今回組んだ相手が吉野和投手と竹内諒投手(スポ4=三重・松阪)と、どちらも早大投手でした。両投手の投球内容についてはいかがでしたか

竹内さんはゼロに抑えられたので良かったと思うのですが、和也さん(吉野)が新潟の地元なのでゼロに抑えられたら良かったですが、点を取られてしまって。そこが後悔しています。抑えられるようにリードしてあげられれば良かったなという思いです。

――ご自身の打席は1打席のみでしたが、振り返ってみていかがですか

思い切り振ろうと思っていたので。田村さん(伊知郎、立大4年)は真っすぐがすごくいいピッチャーなので、それは絶対来ると思っていたので、その真っすぐを振れたのは良かったんですけど。結果的にはレフトフライでしたが、いい感じに捉えられたのでいい思い出にはなりました。

――シーズン途中の『お祭り』のような位置にある今大会でしたが、どのようにシーズンに繋げていきたいですか

きょう先輩方から見習ったことをしっかりリーグ戦にも生かしたいですし、先輩方の「こうすればいいのかな」というのも少しは考えられたので、攻略法などを生かしていきたいです。