死闘…大竹163球の熱投も、『四冠』達成ならず

野球
TEAM 10 11 12 13 14
亜 大
早 大
(早)●大竹、吉野和-道端
◇(本塁打)丸子2号ソロ(二塁打)石井

 冷たい雨がグラウンドに落ち、選手たちの頬を濡らす。延長14回途中までを1人で投げ、163球の熱投を見せた先発・大竹耕太郎(スポ2=熊本・済々黌)は、その瞬間をベンチから見守るしかなかった。オフホワイトのユニホームが、寒空の下で立ち尽くす。あと一打、あと一球。追い求め続けた『四冠』には、手が届かなかった。

 4回に4番・丸子達也(スポ4=広島・広陵)の特大弾で先制に成功した早大。先発の大竹も、走者を背負いながら要所を抑え、落ち着いてアウトの山を築いていく。「あまり高低は意識せずにコースに思い切り投げた」。決して本調子とは言えない中でも、自分にできることをしっかりと行っていった。しかし7回表、内野安打から走者を許すと好機を広げられ、1死一、三塁の場面。スクイズを外した高めの球を捕手・道端俊輔(スポ4=智弁和歌山)が弾く間に、三塁走者が生還し同点へ追い付かれてしまう。試合は今大会初となる延長戦へと突入した。

 同点に追い付かれてからというもの、8回から13回まで、安打はおろか出塁すら許さない完璧な投球を見せていた大竹。一方、そんなエースを援護したい早大打線は、隙のない相手投手陣の前に勝負強さを発揮できない。最大のチャンスは13回裏。1死から重信慎之介副将(教4=東京・早実)が四球で出塁すると、河原右京主将(スポ4=大阪桐蔭)の右前打の際にエンドランが成功し、1死一、三塁と絶好機を迎える。続く茂木栄五郎(文構4=神奈川・桐蔭学園)が四球を選ぶと、一打サヨナラの場面で丸子が打席に向かう。しかし、引っ掛けた打球は一塁手の前に転がり、痛恨のホームゲッツー。点数にはつなげることができずに、大竹はまた、ひとりマウンドに向かった。

雄たけびを挙げる大竹。エースとして、気迫の投球を続けた

 仲間が追加点を挙げられない中でも、自分が点を取られなければ負けはしない――。孤軍奮闘する大竹の投球数は、いつしか150を超えていた。勝利へ懸ける強い思いと気力だけを原動力に、若きエースは腕を振り続ける。しかし、その疲れは着実にその体に溜まっていた。逆球も目立ち始めた14回、先頭打者に中前打を許すと、その後けん制球が外野へ大きくすっぽ抜け、自らのミスで走者を進めてしまう。次打者は打ち取ったものの、あと1死を残して吉野和也(社3=新潟・日本文理)へとバトンタッチすることとなった。「正直、最後まで投げたかった」。ベンチから状況を見つめるしかなくなった大竹の目の前で、試合は急速に動き出す。吉野和の初球、一塁走者の盗塁と暴投が重なり、2死三塁と再びのピンチを招く。そして重圧がかかる中、4球目はまたも低めにそれ、差し出したミットを弾いた。その間に三走がかえり、勝ち越しを許してしまう。握られた主導権を取り戻せぬまま、裏の早大の攻撃へ。代打・渡辺琢也(教4=東京・早実)のバットが空を切ると、ベンチから飛び出す相手選手たちの前で、エースは肩を落とし涙に暮れた。

東京六大学リーグ史上初『四冠』への夢はついえた

 14回途中、163球。浴びた安打はわずか散発6本で、適時打はついぞ許さず。それでも、大竹の魂の熱投は報われることはなかった。東京六大学連盟史上、これまでどの大学もなし得なかった『四冠』。そのカベはことしの稲穂戦士たちの前にも、やはり高くそびえ立っていたのかもしれない。それでも春秋のリーグ戦、そして春の全日本大学選手権と3度の頂を手中に収めたこのチーム。優勝の瞬間、マウンドにはいつも若きエースがいた。ケガで出遅れた今季も、揺らぐことがなかったその信頼。「4年生のためにと思って頑張ったのですが、結果的に勝てなかったので残念です」。ことしの『四冠』というかたちでは、恩返しはできなかった。その悔しさは、誰より自分が良く知っている。だからこそ、来年も、再来年も、ここに戻ってきてみせる。「(来年は)自分も上級生になるので、いままで引っ張ってもらった分、チームの投手とかを引っ張っていけるような存在になれたら」。きょう流した涙を、いつか振り返ることができるように。大竹の挑戦は、ここから始まる。

(記事 芦沢仁美、写真 谷田部友香、豊田光司)

黄字は打点付き

早大打者成績
打順 守備 名前 10 11 12 13 14
(右) 重信慎之介 .250
 
 

 
   
 
   
 
(二) 河原右京 .167
     

     
  
     
  
(三) 茂木栄五郎 .250
     
  
  
     
  
  
(一) 丸子達也 .182
     
  
  
     
  
  
(遊) 石井一成 .231   
  
  
     
  
     
(捕) 道端俊輔 .167   
  
     
  
     
  
(中) 武居直宏 .167   
  
     
  
     
     
  渡辺琢也 .000                                       
(左) 川原孝太 .000      

     
                    
  藤田恭輔 .000                        
              
  寺本雅弘 .000                                 
     
(投) 大竹耕太郎 .111      
  
     
  
     
  
  吉野和也                                          
早大投手成績
名前
大竹耕太郎 13 2/3 0.79
吉野和也 1/3 0.00
コメント

髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)※囲み取材より一部抜粋

――14回は2死になったら大竹耕太郎選手(スポ2=熊本・済々黌)は代える予定でしたか

相手が右打者でしたからね。バックホームで殺すというのは想定外でしたけどね。2死三塁で右打者の想定でしたけど。

――大竹投手は好投していたと思います

良く投げていたと思います。延長に入ってからも調子良かったですからね。ただ12回ぐらいから逆玉など不安な状態が出てきましたね。疲れでしょうね。

――あと1本というところでしたね

やっぱり13回の裏をつぶしたら、ああいう展開になりますよね。14回はちゃんと先頭が出てね。二塁への悪送球が出て、それからしてもバックホームで良く殺したと思いましたけどね。思わぬ決勝点でした。

――四冠というのはなかなかうまくいかない

そうですね。最後の最後ね。あと1本、あと1点がね。1勝はきびしいですよね。

――この1年で3度の優勝です

これは上出来ですよね。最後は悔しい敗戦ですけど、いまの4年生が非常に頑張ってくれたと思います。

――大竹投手をはじめ、まだ下級生が残りますが来年に向けていい経験を持てたと思います

投手陣は残りますけど、バックがほとんど入れ替わりますからね。ことしの春よりらいねんの春の方が厳しい。

――延長までいくような想定でしたか

延長まで考えなかったけど1点勝負、ロースコアの、点を取られたら代えるような試合で。先攻していましたし、失点もスクイズを完全にやられたようなかたちではないし、大竹の球も低めに来ていたので、1点取られてもまだいけるだろうということで。

――吉野和也選手(社3=新潟・日本文理)への継投は予定通りですか

2死走者三塁で右打者、吉野という想定だったのが、2死走者一塁になって、まぁ右打者だったので。大竹の投球にもばらつきが出てきて、無難に行ったのですが、逆に裏目に出ましたね。

――亜大との差はどこに感じますか

やっばり最後の1点、ワセダが与えた点はミスによるものですよね。そこの差かなと。こういう攻防はミスが出た方が負けですからね。投手も相手はたくさんいるので、取っ替え引っ替え代えられるのでしょうけど。投手はそれなりに力があって。継投すると誰か1人は墓穴掘るんですけど、みんな安定していましたね。

――野手の大半が卒業するかたちですが

下馬評4位とは言いながら、スタメンには経験者がいましたからね。右京(河原主将、スポ4=大阪桐蔭)に重信(慎之介副将、教4=東京・早実)に茂木(栄五郎、文構4=神奈川・桐蔭学園)。みんな経験者ですから。らいねんは経験者が2人しかいない状況で、捕手は丸っきり未経験が来ますのでね。道端(俊輔、スポ4=智弁和歌山)も経験がないと言われていましたが、ベンチには入って、ゲームに出たりしてましたのでね。らいねんはワセダのチームが大きく入れ替わる年になります。開幕の東大戦は非常に心配ですね。東大は逆に残っているじゃないですか。

――石井一成選手(スポ3=栃木・作新学院)や経験のある人が中心になっていく

そうですね。あそこらへんが中心になってもらわないとね。残りの選手たちは未知数ですからね。投手は経験値がありますけど、捕手が代われば同じ投球するかわかりませんからね。捕手はセンスの問題もあるし。道端は1年間良くやってくれましたよ。特に秋なんかは投手陣が悪い中で、リーグ前半は彼の捕手としての存在は大きかったと思いますね。試合を落とさなかったというのは投手が万全でなかっただけにね。

――経験のある投手が捕手を育てていくかたちになりますか

そうですね。らいねんはね。経験のある投手も道端の指示だけで投げていただけかもしれないし、組み立てが自分でできる投手ならいいですけどね。それは投げ出してみないとわからないですから。

――監督1年目で春秋日本一に近かったというのは大きいことだと思いますが

上出来だと思いますが、ここまで来て悔しい負け方ですね。ずっと監督をしてきて、3点差以上なら納得するんですけど、1点で負けるというのは一番悔いが残って、あとあと尾を引くんですよね。

――野球の神様が四冠はお預けということですかね

ということでしょうね。

岩間貴弘主務(法4=東京都市大付)

――四冠まで、あと少しというところでした。ベンチからどのように試合をご覧になっていましたか

ここまで来れたというのは、他の大学生より一番長く野球ができているということなので。最後思いっきり神宮を味わって、そしてチームも勝てるようにと思って見ていました。

――1年間主務としての仕事をなさってきたわけですが、それも一段落ということでしょうか

決算とかこのあともやることはあるのですが、大体のことはこれで終わりましたね。

――終わってみて、どのような1年間でしたか

仕事の面では本当に、大変なことも多かったと思うのですが、同期もすごく助けてくれて。大変なことは大変でしたが、それで落ち込んだり、気に病んだりということはありませんでした。そういう意味では充実したマネージャー生活が送れたかなと思いましたね。

――ワセダの野球部を出る今、どのようなお気持ちでしょうか

OBになるという気持ちはまだわからないですが、ここ2年くらいは知り合いの後輩がいるので。これからも頑張ってほしいなと思いますね。

河原右京主将(スポ4=大阪桐蔭)

――四冠には本当にあと少し、手が届きませんでした。主将としてどのようにご覧になっていましたか

そうですね、打てなくて本当に厳しい試合だったのですが。大竹が粘り強く投げてくれて、守りもミスは少なかったとは思います。ただ最後に集中力が切れたのか、あのようなミスが出てしまって。本当に悔しい負け方でした。

――1年間チームを引っ張ってきて、それが
この試合で終わったわけですが、どのようなお気持ちでしょうか

三冠させていただいて、四冠にもあと一歩のところまで迫ることができて。そこまでチームを押し上げて来れたのは、主将としての役割は果たせたのかなと。少しほっとしています。

――ワセダでの4年間で得たもの、そして1年間チームを率いてきたことで得たものというのは何でしょうか

いままで下級生のときにやってきた野球と、主将として迎えるシーズンとは気持ちの持ちようとしても全然違ったので。下級生の頃は挫折もしましたしうまくいかないことばかりでした。でもラストシーズンは納得いく結果を残すことができました。次のステージでも、この1年間は本当に生きるだろうなと思いました。

――4年間で一番思い出深いシーンは

春のリーグ戦で優勝した時も嬉しかったですが、春の日本一になった時ですかね。

――ずっとプレーを続けてきた神宮球場への思い入れはありますか

ワセダのユニホームをきてやるのも今日が最後だったので、寂しい気持ちはありました。神宮球場にも4年間お世話になったので、きょうはラストの試合だったので寂しい感じがしましたね。

――同期への思いは

もともと自分たちは強くないというところから始まったチームでした。新チームになった時に「ことしは強いチームではないから、死ぬ気でやろう」と声をかけてきて。みんなついてきてくれて、すごく良い同期だったと思います。

――最後に、ワセダの野球部とは、河原主将にとってどのようなものでしょうか

野球だけじゃなくて、人間的にも学んだことはあったので。ここで学んだワセダの伝統は、これから社会に出て行っても生かせることだと思います。一人の人間として成長させてくれた野球部だと思います。

重信慎之介副将(教4=東京・早実)※囲み取材より抜粋

――いまの率直な気持ちを聞かせてください

本当に悔しいです。ただ、ここまで来なければこんなに悔しい思いはしていませんし、高校を含めて7年間ワセダでいい思いをさせてもらいましたし、いい経験をさせてもらいました。

――1番打者として攻めの姿勢を持っているということはいつもおっしゃられていますが、きょうは相手投手の前に難しかったですか

そうですね。思うようには仕事をさせてもらえなかったかなと思います。

――8回、13回と警戒されている中でスタートを切りましたね

そうですね。無心でスタートを切りました。

――8回に盗塁を決められた時はさけんでいましたが、気持ちが入っていましたか

はい。審判の方の両手が横になった時は思わず声が出てしまいました。

――4冠を目指す中で難しさを感じましたか

そうですね。そう簡単には取らせてもらえないですね。

――先輩から「秋に負けたら意味がない」と言われたとおっしゃっていましたが、そな

これで負けて全てが無意味だったとは思わないです。ここまで勝ってこなければこんなに悔しい思いもしませんでしたし、やってきたことは間違いではなかったかなと思います。

――ワセダでの4年間で成長したところはどこですか

具体的にどこというのはないのですが、いろんな方にお会いしましたし、その中で野球もそうですが人間的にもいろんなことを教わったと思います。本当にいい経験をさせてもらったなと思います。

――4年生の代とはどういった代でしたか

言い表すのは難しいですが、本当にいいチームだったなと思います。先発のピッチャー2人は下級生ですし、彼らがいなければここまで来られなかったと本当に思っています。きょうも1点で抑えてくれて延長までいって、再三のチャンスをものにできず、打席にいたのも塁にいたのも4年生ですし、最後決めきれなかったのは4年生の責任なので、本当にここまで粘ってくれて感謝しています。

――4年間で2度日本一になっているすごい代ですが、最後はやっぱり勝ちたかったですか

もちろんそうです。負けることは一度も考えていなかったですし、やるからには勝ちにいっているので勝ちたかったです。

――4冠を達成できなかった要因は何だと思いますか

原因は分からないです。最後はバッテリーエラーでしたが、そこに要因は何もないと思います。簡単には勝たせてもらえないなと思いましたし、僕はこれで野球が終わるわけではないので、悔しい思いをここでして、次のステージで生かせていけたらいいなと思います。

――改めて4年間を振り返っていかがですか

本当にいい思いをさせてもらいました。出会ったいろんな方や、ワセダに通わせてくれた両親に本当に感謝したいです。

丸子達也(スポ4=広島・広陵)

―本塁打について

打ったのはスライダーですが、変化球を多く投げているなというのを前の打席で思っていました。甘かったので打ったら飛んでいったという感じです。打った瞬間に入ったと思いました。

――四冠にかける思いは強かったと思いますが、どのような思いできょうの試合に臨まれましたか

接戦になるというのは分かっていました。チャンスを大切に、ものにできるかという気持ちでした。そこで自分が2個ぐらいチャンスを潰しているので、自分が打たなかったので負けたと言っても過言ではないです。気持ちの面で早く打とう早く打とうとして、カウントを悪くしてしまったというかたちが多かったですね。

――13回での打席について

とりあえず安打を打ってやろうと思っていました。インコースの低めのボールをひっかけてしまったというかたちですね。あそこで打てないと意味がないです。

――亜大の印象は

オープン戦で対戦した経験がありました。春のオープン戦は打ち勝って結構点差も開いたのですが、夏のオープン戦は接戦で負けてしまったので、しぶとくやってくるのだろうなと思っていました。

――今季のチームの印象は

1点をどれだけ守るか、というのが秋のチームカラーでした。失策数が少なかったのはプラスでした。

――きょうで大学野球は最後ですが、今後に向けて

まだまだ自分に足りないところがあるのでそういうところは克服して、長所は伸ばしていきたいと思います。

――この四年間を振り返って

自分が入った時に抱いていた四年間のストーリーとは全く違っていて、特に3年までは試合にも出ていなくて代打ばかりでした。ベンチを外れることもありました。今までの野球人生でそういう経験をしたことがなかったので、裏方の役割や控えの気持ちなど、色々な面で学ぶことがありました。

道端俊輔(スポ4=智弁和歌山) ※囲み取材より抜粋

――7回のスクイズのシーンを振り返って

スクイズをされたらワンバウンドで投げるのがチームの決め事でしたが、大竹(耕太郎、スポ2=熊本・済々黌)が上に投げてくれたので、反応が遅れました。ワンバウンドに備えて低めのケアをしていたので。

――14回の失点した場面は

盗塁された時も暴投の時も同じ球で、吉野(和也、社3=新潟・日本文理)は悪くないですが、自分のイメージした球と違ったので追い付けなかったです。

――吉野和投手の調子などは

タイムの時に、大竹が「藤岡(裕大、亜大)までは投げる」と言っていて、その次から吉野と伝達はしていました。藤岡がショートゴロでアウトになったけれど、そこで伝達が通っていなかったんじゃないかと思っています。大竹はマウンドを降りましたが、髙橋監督(広、昭52教卒=愛媛・西条)がバタバタしていて、そこで吉野もあまり準備できていなかったのかなと思います。

――四冠まであと一つというところでしたが

悔しいです。秋季リーグ、法大が明大に勝ってくれたこともあって優勝し、(四冠の)チャンスをいただいたのに、目の前で優勝を見てしまうと、せっかく春は日本一になれたのに、嫌な感じで終わった気がします。悔しいですね、最後…。

――延長13回に最大のチャンスを逃しましたが、流れ的にも良くなかったですか

そうですね。次の回の先頭も必死に1ストライクを取って、2球目に外のボール球を要求しましたが、それが打たれてしまったというのは、流れが向こうに来ているんだなと感じました。それまではショートゴロなどで打ち取れていたのに、ヒットになってしまったので。

――ベンチの雰囲気というのはいかがでしたか

きつかったですね。守りもそうですけど、打てなかったので。亜大の生田勉監督は「一瞬で試合が終わった」と言っていましたが、自分たちとしては長かったです。1点が遠かったので。

――今季はシーズンを通して打てない時期が続きましたが

1試合を3点以内にまとめることを通してやってきて、それは実現することができました。ですが、最後にこういうミスで負けてしまったので。メンタルの問題だと思うので、後輩たちにはこういう試合でも簡単に勝てるようなチームを目指してほしいなと思います。

――捕手としてご自身も責任を感じているのでしょうか

(暴投などの)リスクまで考えて配球できていなかったです。イメージで配球してしまったので、抜けるボールのリスクも考えた上で配球していきたいなと思いました。

――大竹投手も14回途中まで投げましたが、疲れなどはあったのでしょうか

11回ぐらいからは結構逆球も多く、疲れている感じでした。随分と引っ張って頑張ったのですが。

――監督からも継投のサインなどはあったのでしょうか

8回ぐらいからは結構心配されていました。点が欲しかったのですが、投手から打順が始まるケースがあって、それでも行くということで引っ張りましたが、よく投げてくれました。

――亜大の打線の印象は

亜大は監督の生田さんが元捕手ということで、走者を一塁に出したときに結構動いてくるんですよね。捕手の嫌がることをしてくる監督です。亜大は走者が一塁でもプレッシャーがかかってくるので、きつかったです。点は取られていないけれど、ひやひやすることがずっと続いていたので、そんなに打たれていたわけでもありませんが、プレッシャーはずっとかかっていました。最後のランナー一塁からけん制が逸れた時も、盗塁があるかもしれないということで、刺しに行こうとしたところで後ろに抜けてしまいました。

――六大学でプレーしているときとはまた違ったプレッシャーのかけられ方ということですか

そうですね。六大学は足の速い選手が走るイメージですが、亜大はエンドランなどで攻撃を展開してくるケースが多いです。準決勝の上武大戦でもバントの構えからもバットを引いて盗塁をしてきたり、バントのサインでも簡単にバントをさせないなど、神経を今大会はずっと使ってきました。キャッチャーとして、最後の最後でやられた感じですね。

――あらかじめそれらに関する対策は練っていたのでしょうか

けん制を多めにしたり、1ストライクが取れれば2球ボールを使いながら盗塁を刺しに行こうとしていました。でも1回から14回までずっとそれをしてしまったので、偏ってしまいましたね。

――ことし、正捕手としてフルイニング出場されましたが、印象深いシーンを教えてください

最後の秋の早慶戦、優勝を決められたというのは自分の中でかなり印象深いです。

茂木栄五郎(文構4=神奈川・桐蔭学園)

――きょうの試合を振り返って

自分にチャンスで回ってきて、そこで1点を返せなかったというのがそのまま負けにつながってしまったなという感じです。

――四冠に挑んで結果あと一歩及ばなかったわけですが、正直な思いというのは

やはりそんな簡単には四冠はさせてもらえないなということと、1球や1点の重みがすごく分かった試合だったかなと思います。

――試合前のベンチはどのような雰囲気でしたか

泣いても笑っても最後の試合だったので、何が何でも勝って日本一を取るぞという気持ちでみんなやっていました。

――きょうはここまでの2試合と比べて茂木選手に対する相手側の攻めに何か変化など感じるものはありましたか

特にそういったことはなくて、狙った真っ直ぐを仕留められなかったのが打てなかった1番の要因かなと思います。

――最後の試合ということでその点でのプレッシャーなどはありませんでしたか

それは全然なくいつも通りできて、その中でも負けてしまってやはり何かが足らなかったのだなと思います。

――8回の空振り三振の場面は

(最後の球は)フォークだと思うのですけれど、いいところに投げられて三振してしまいました。本当にあそこで(走者を)返したかったなと思うのですけれど。

――意識としてはいつもと変わらず来た球を強く叩くということだったのでしょうか

そうですね、直球にタイミングを合わせて。それで強く振って当たらなかったら仕方ないと思っていたので、仕方なかったですけれど。チームのみんなには申し訳ないなと思います。

――守備ではホームへの送球であったり、好守もあり役割を果たせていたように見えましたが

打てないときこそ引きずらないで守備は守備、打撃は打撃ときちんと分けてこれまでもやってきて、それがああいう形で出せたことはよかったかなと思います。

――三塁を守る中でマウンド上の大竹投手の姿はどのように映りましたか

本当に苦しい場面が多かったのですけれど、自分をぶらさずにしっかりと投げてくれたなと思っています。点を取れなくて本当に申し訳ないです。

――最後の亜大の胴上げはどのような気持ちでご覧になられたのですか

やはり悔しいという気持ちがすごくあって、でも自分たちには何かが足らなかったのだなと改めて思わされました。

――茂木選手自身は足りないものを見つけるのは次のプロの舞台で、ということになりますがどのようにしてそれらを補っていきたいと考えていますか

まずは自分の技術を磨かないといけないなと思うので、常に結果を出せて特に試合を決める場面で回ってきたときに結果が出せるような選手にならなくてはいけないなと思います。そういう選手にならないときょうみたいな悔しい試合をすることになることが分かったので、もっと打ちたい場面で打てるような選手になりたいです。

――後輩たちはこれから来季に向かって足りないものを探していくわけですが、どのように戦っていって欲しいと思いますか

チーム自体が変わるので自分たちのチームはどういうチームなのかということをまずはしっかりと考えて、こういうチームなのだということを決めてたらそこをぶらさずに目の前の試合を一戦必勝で最後まで隙を見せないで勝ちにつなげる負けないチームを作って欲しいなと思っています。

――1年生から試合に出場して3年の際には離脱もありましたが、今この4年間を振り返られるといかがでしたか

今1番感じるのはワセダのユニフォームを着て試合ができたということはすごく光栄な気持ちしかなくて、本当にたくさんのことを教えていただいたなと思います。

大竹耕太郎(スポ2=熊本・済々黌)※囲み取材より抜粋

――試合を振り返って

先発を任せてもらって、4年生のためにと思って頑張ったんですけど、結果的に勝てなかったので残念です。

――14回途中まで投げましたが疲れは

疲れはもちろんあったんですけど、そういうことは言っていられないという気持ちで最後まで投げました。

――8回から13回までは完ぺきに抑えました

コンスタントに良い球を放れていたかなと思います。

――中盤の苦しい場面で意識していたことはありますか

どのコースに投げるにしても腕を振るということが大事で、カウントを取りにいく場面で腕が緩まないように気を付けていました。

――4年生はどんな先輩でしたか

実力は素晴らしいものがあって、自分がケガをした時とかも親身に接していただいて、とても思い入れの深い先輩たちです。

――今大会を振り返って

組み合わせとしては(日程的に)有利な場所に入っていて、そういうなかでも亜細亜大学に負けたので、やはり練習の詰めの甘さというか、最後のゲッツーもそうなんですけど、そういうものがまだあるんじゃないかなと思います。投手も野手も相手よりどうにかしようという気持ちが足りてなかったと思うので、来年以降さらにチームとしては実力が落ちるんですけど、そういうところで練習をしていきたいと思います。

――故障から始まった今季でしたが

夏場ほとんど投げずにリーグ戦に入ったんですけど。やはりスクイズで外して1点を取られた場面とか、足りないなと思いました。

――足りないというのは

もちろん球のキレとかそういうところもなんですけど、メンタル的にもまだ。0点で抑えられた試合だと思うので、あそこで1点取られたのがいまの自分の実力かなと思います。

――交代してからはどのような気持ちで試合を見ていましたか

やはりあそこまで投げたので正直最後まで投げたかったという気持ちが強くて、最後まで投げられない、任せてもらえないという状況が悔しかったです。

――この試合を通じて得たこと、強く思ったことはありますか

亜細亜大学とかはオープン戦でも試合をやらせてもらっていて過去自分も投げているんですけど、そういう強いチームでもある程度投げ切ることができれば通用するということは自信にはなりました。まだ大学野球の半分なので、きょうは絶好調というわけではなかったんですけど悪いなりに投げられて、調子が悪いなかでも強いチームを抑えられるという自信は、来年、再来年に向けて生かせるかなと思います。

――絶好調でないなか、どのようなことに気を付けて投げていたのですか

コントロールは良いとは言えなかったんですけど、球自体の走りは、直球をそんなに前に飛ばされることもなかったので。あまり高低は意識せずにコースに思い切り投げるという感じで投げました。

――いまの自分にプラスしたい部分は

やはり詰めの甘さです。そういうところは野球から変えるのではなくて、私生活から気を配りながら。自分も上級生になるので、いままで引っ張ってもらった分、チームの投手とかを引っ張っていけるような存在になれたらと思います。

――改めてこれからどこを目指していくか教えてください

四冠というものを目指してきて最後にあと一歩届かなかったので来年、再来年は達成できるように。点をやらなければチームは負けないので、そういう投手になりたいです。