慶大戦展望

野球

 東京六大学野球連盟結成90周年を迎えた今シーズン。節目となった秋季リーグ戦も華の早慶戦でクライマックスを迎える。大混戦の中、優勝の可能性が残されたのは3校。早大は勝ち点を取れば春秋連覇が決まる。慶大は連勝で明大との優勝決定戦に、2勝1敗の場合は明大の優勝となる。

 早大投手陣の中心となるのが小島和哉(スポ1=埼玉・浦和学院)。現在チームで唯一規定投球回数に達しており、強気な投球で試合をつくる役割が求められる。キーマンとなるのは大竹耕太郎(スポ2=熊本・済々黌)か。春は日本一の立役者となったが、今季はケガで出遅れ、復帰後のマウンドも安定感を欠く場面があった。完全復活で再びチームを栄冠へと導けるか。総力戦が予想されるこのカード。中継ぎながらチームトップの3勝を挙げている北濱竣介(人2=石川・金沢桜丘)や最後の早慶戦となる吉永健太朗(スポ4=東京・日大三)などブルペン総動員で慶大打線を封じたい。

ここまで先発として存在感を発揮している小島は、慶大打線を抑え込めるか

 リーグ戦序盤は苦しんだ打撃陣も徐々に調子を上げている。打線をけん引する重信慎之介副将(教4=東京・早実)は、ここまで打率は4割超えでリーグトップ。先日のドラフト会議では読売から2位指名を受け、今最も勢いのある選手だ。同じくドラフト指名を受けた茂木栄五郎(文構4=神奈川・桐蔭学園)はチームトップの10打点を挙げている。プロ入りを決めた2人をはじめ、先発野手8人の内4年生が6人を占める。最上級生の打棒で勝利をつかみ取れるか。

 3季ぶりの賜杯奪還へ1敗も許されない慶大。大学球界屈指の破壊力を誇る打線が持ち味だ。チームがここまで放った18本塁打は、法大の持つ20本というリーグ記録に迫っている。その中心が横尾俊建主将(4年)と谷田成吾(4年)。2人で10本塁打、26打点を稼いでいる。投手陣を支えるのは今季中継ぎに回っている加藤拓也(3年)。現在防御率リーグトップと抜群の安定感を誇る。先発投手に不安要素を残すが、三宮舜(4年)や加嶋宏毅(4年)らのサウスポーが左打者の多い早大打線を最少失点に抑えるべく立ちはだかる。最後に加藤拓につなぐのが必勝パターンとなるだろう。

得点するごとに大きく盛り上がる慶大ベンチの雰囲気も脅威だ

 一度は消滅した自力優勝の可能性は再び復活し、賜杯は手の届く位置にある。髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)が就任前に掲げた目標は『早慶戦での勝利、リーグ戦の優勝、そして大学日本一』。そのすべてを成し遂げた春に続き、秋もそのチャンスが見えてきた。記念すべきリーグ戦の最終章にふさわしい伝統の一戦がまもなく幕を開ける。

(記事 石川諒、写真 杉田陵也、田島光一郎)

東京六大学秋季リーグ戦星取表
明 大 慶 大 早 大 法 大 立 大 東 大 勝ち点 勝率
明 大 ●3-5○3-1○4-3 ○6−4、○3−2 ⚪︎4-1、⚫︎2-8、⚫︎1-2 ●2−4、○4−1、○5−3 ○2−1、○2−0 .692
早 大 ●4−6、●2−3 10/31、11/1 ○8-6○6-4 ○4−2、○3−2 ⚪︎4−2⚪︎4−2 .750
慶 大 ⚪︎5-3⚫︎1-3⚫︎3-4 10/31、11/1 ○9−3、●1−4、○8−5 ⚪︎7−5、︎⚫︎4−5⚪︎4−2︎ ○5−1、○9−3 .636
立 大 ○4−2、●1−4、●3−5 ●5−7○5−4●2−4 ●2−4、●2−3 ●1−9、○3−0、○6−2 ○5-0、○6-3 .462
法 大 ⚫︎1-4、⚪︎8-2、⚪︎2-1 ●3−9、○4−1、●5−8 ●6-8●4-6 ○9−1、●0−3、●2−6 ⚫︎2−5、⚪︎6−4、⚪︎10−1 .429
東 大 ●1−2、●0−2 ●1−5、●3−9 ●2−4●2−4 ○5−2、●4−6、●1−10 ●0-5、●3-6 10 .091