ついに全国の舞台へ!戦いの幕が開く

野球

 いよいよ全日本大学選手権が開幕。この日、東京・明治神宮会館では開会式が行われ、出場全校の主将と選手が一堂に会した。昼過ぎからは髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)の記者会見も行われ、多くの取材陣からの注目を浴びた。早大は10日に初戦を迎え、立命館大と東海大北海道キャンパスの勝者と対戦する。


開会式にて挨拶する河原右京主将(スポ4=大阪桐蔭)


コメント

髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)

――全日本大学選手権への出場を決めて、率直なお気持ちはどうでしょうか

基本的には六大学(リーグ戦)は対抗戦ですから、早慶戦に勝つのが目標だったし、優勝もできたし嬉しいですね。ただ大学選手権というのも64回という歴史がある。その中で、(リーグ優勝回数トップタイの)法大は8回優勝していて、なぜ早大は4回なのか。秋と春であるから一概には言えませんが、半分だけというのは少ないだろうと感じました。特にいまの4年生は1年の頃に優勝しているから、4年間で2回優勝したら史上初になるから、それを目指してやって行こうと思っていますね。4年間で2回優勝ができる、それをできるのは野球部100年の中でお前らだけだと(笑)。

――祝勝会の場面でも、リーグ優勝で満足せずに日本一と口にする選手の姿がありましたね

正月に最初に言ったこともあったし、そういう意識を持ってくれていますね。彼らが自発的に言ったことでした。監督就任の時には言ったけど、それから言ったわけではないので、それをあの場で選手たちが言ってくれたことは嬉しかったですね。

――リーグ優勝、早慶戦の勝利は目標でありながら、あくまで通過点だったと

その三つ全て取って完了ということですね。(ここまでで既に)上出来ですけどね(笑)。

――リーグ戦前の下馬評ではあまり高くない評価を受けていましたね

いや、4位と言われていたんですよ(笑)。Bクラスは困るよなと選手たちに言ったんですよ。せめてAクラスじゃないと、と。

――大学選手権では勢いに乗って優勝までという評価もされていると思いますが

組み合わせは厳しいよね。最初からシードでね、びっくりしましたよ。トーナメント表を真剣に見てみると、何て大学が揃っている組み合わせなのだろうと(笑)。

――かなり厳しい戦いになりますか

リーグ戦を『一戦必勝』でやって来たけど厳しいね。

――リーグ戦とは具体的に戦い方も変わってくると思いますが

リーグ戦の最多は3日間で3戦ですね。今回は5日間で4戦なので、そんなに変わることもないかなと思うし、高校野球だと5日間で4試合。エース一人だと難しいけど、先発要員で2枚、3枚いるじゃないですか。例えば大竹(耕太郎、スポ2=熊本・済々黌)をはじめ、投手に関してはそんなに不安視はしてないですね。野手の疲れも5日間で中一日空いて、そんなに負担にはならないのではないかなと思います。

――打撃の面でリーグ戦からの流れで選手が調子を落とさないということが大事ですか

我々はリーグ戦からの蓄積疲労が取れてないですよね。この間の日曜日に終わったわけですからね。その後3日ほどオフにしましたけど、完全に疲れを取り切っているとは思えないしね。

――そういった部分でも気持ちの切り替えだったり入れ直すということが重要ではないですか

やっぱりコンディション的には早大の場合はちょっと厳しいかなという部分がありますね。ベストではないかな。

――早慶戦2回戦の先発は小島和哉選手(スポ1=埼玉・浦和学院)でしたが、今大会を意識しての起用ですか

そんな余裕はない(笑)。僕らも一戦必勝で臨んでますから、あの時点で誰が一番有効かなというのと。やはり大学の場合はストッパーがいるじゃないですか。大竹を使って3戦目も使える、と、では2戦目を誰にするか。吉野(和也、社3=新潟・日本文理)か小島かということになるでしょ。吉野和が先に投げるというよりは小島が先に投げて吉野和が締めた方が良いかと思っていて。今回だって、先発を決めるのには相手の打線や状況を見ないといけないですからね。

――竹内諒選手(スポ3=三重・松阪)も候補にいたと思いますが、ベストは小島投手だったと

そういう意見もあったんですよ。竹内は休んでいて状態も良いと。ただ、第1戦をあれだけ良いかたちで勝てたから、第2戦で試すようなことはできなかった。優勝したからといって、第2戦で勝たないといけない、と。竹内がもし調子が悪くて先行されたら、慶大だって必死だからね。そんな巻き返しはできないということで、先発させませんでした。

――打線のほうでの不安はありますか

リーグ戦ではあれだけ好調に打ってましたけど、あまりベストコンディションではないですよね。道端(俊輔、スポ4=智弁和歌山)も慢性疲労がたまっているね。やっぱり道端や丸子(達也、スポ4=広島・広陵)はいままでの経験がないじゃないですか。茂木(栄五郎、文構4=神奈川・桐蔭学園)とか重信(慎之介副将、教4=東京・早実)とか河原右京(主将、スポ4=大阪桐蔭)は経験があるから2ヶ月の戦い方がわかっていると思うのですが。道端は捕手だし、負担も大きかったですしね。今季は投手が良かったと言われているけど、もちろんその通りに投げた大竹らの功績も大きいですが、なにより大きかったのが道端のリードですよ。洞察力とか周囲を見る目もありますしね。それだけ神経すり減らしていると思うから心身共に疲れていると思いますね。

――『道端ノート』が話題にもなりましたね

高校時代から元々そういう捕手だったらしいんだけど、試合に出られなかったからね。高校時代に甲子園5回出たときのことを思い出して、やれてるんじゃないかなと。だからそれだけ疲れがあると思いますね。

――捕手出身の監督だからこその経験を生かして、道端選手にアドバイスされたりはしますか

それは就任当初からしてきました。バッテリーが弱いと言われていて、実際見たときに捕手が弱い、と。だから1月から捕手に対しては付きっきりでした。ほとんど最初のころはブルペンしか入っていませんね。いまみたいに打撃を見るようになったのはキャンプ前ぐらいで、1月、2月の寒い間はずっと捕手を見てましたよ。見てただけですけどね(笑)。道端はその期待にすごく応えてくれましたよね。元々そういう力があったのだと思いますけどね。意識の問題じゃないですか。

――リーグ戦よりもさらに凝縮された5日間になると思いますが

ロースコアでの接戦をやってきたので、トーナメントをやる上では選手たちには役立っていると思いますよ。終盤は点を取っているけど、試合序盤、中盤はロースコアで推移するものが多かったですからね。特に明大戦は全てロースコアで、その経験は役立つんじゃないですか。楽勝で勝ち上がってくるとプレッシャーを感じやすくなるけど、そうならないような良い経験をしてきたと思いますよ。

――全大学から勝ち点を取ったリーグ戦では、一見して圧勝に見えますが

法大の森田選手(が先発)の試合は2ー0で負けていたわけですね。ベンチは負けだったのに、振り逃げから勝ってしまうわけだからね。東大戦でもそうですね。私も初めてだし選手も開幕直後だったから、先制されたらベンチはガチガチやったね。結果的には勝ってますけど、そういう試合もあったし、立大戦も接戦続きで、そういう経験は良い経験をしていると思いますよ。負けそうだった3試合をものにしているからね。立大戦、法大の森田選手の試合、明大のサヨナラで勝った試合。この3試合は負けてもおかしくないような試合ですよ。それを勝ったわけですから、その粘り強さはトーナメントにも生きてくると思いますね。