【連載】春季リーグ戦開幕特集『進』 第10回 河原右京主将

野球

 昨年度の悔しさを胸に、頂を目指して突き進む早大野球部。その先頭に立って部員をまとめ上げるのが、河原右京主将(スポ4=大阪桐蔭)だ。主将として、最高学年として、どのような思いを抱いて毎日の練習に励んでいるのか。3月上旬に行われた沖縄キャンプ、これまでのオープン戦の振り返りと、今季への意気込みを伺った。

※この取材は4月4日に行われたものです。

「チームを引っぱっていく」

主将としての自覚を語る河原

――きょうはどのような練習を

きょうは全体的に、守備もバッティングも、走り込みもある程度やりましたね。

――開幕が近づいてくると練習量も増えてくるのでしょうか

そうですね。再来週から試合が始まるので、今週は身体を追い込む期間として、走り込みなども多くなっています。

――開幕の前までにこのようなチームにしていたいという目標は

チームの状況はそこまで悪くないです。オープン戦もミスはありますが、思ったより自分たちのやりたい野球をできているので。それを継続できればと思います。

――沖縄ではどのようなことに重点を置いて練習していましたか

東京では寒くて実戦がなかなかできていなかったので、暖かいところに行ってより多く実戦をやって、経験を積もうということでやっていました。

――沖縄でのオープン戦は2勝1敗でした

新チームになっての初めての試合で、ミスもありましたし、いろいろと課題が見つかりました。でも、自分が思っていた以上に試合の内容は良いので、そういう意味での不安はあまりありませんでした。

――髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)が就任して初のキャンプでしたが、昨年までと変わった点はありましたか

練習自体は変わりなかったです。

――最終学年として、主将としてどのような心構えでキャンプを迎えましたか

昨年までは先輩についていくという気持ちが大きかったのですが、ことしは最高学年として主将として、チームを引っぱっていくという気持ちでやっていました。

――沖縄でお話を伺った際にも、「主将としての自覚が出てきた」とおっしゃっていましたが、練習中や試合中に主将として心がけていることは

常に声を出すことと、下級生のアドバイスですね。あとは、自分がミスをしても態度には出さないようにしています。自分が表情や態度に出せば、周りもそういうのを見ていると思うので、去年よりも意識してやっています。

――キャンプを経てチームが成長した点は

守りにしても打撃にしても、確実性と粘り強さが向上したと思います。

――個人として、ご自身で成長した点は

打撃において、今までは自分のスイングができないことが多かったのですが、ことしに入ってからは自分が思ったようなスイングができていると感じています。

――キャンプやオープン戦でも、スイングを確認していらっしゃる姿が印象的でした

そうです、自分のスイングをするために、ですね。

――その後は同大との定期戦でした。移動が続きましたが疲れはありませんでしたか

みんな疲れはあったと思うのですが、同大との試合も勝てましたし、内容としても悪くなかったので。疲れがある中で、みんな頑張ってくれたと思います。

――高校の同期の方とも久々の再会でした

そうですね。わくわくしていました。(試合後の)交流会でもずっと話していましたね。

――2週間にわたる遠征を終えての感想は

最高学年として迎えるキャンプで、今まで以上に思い入れは強かったですね。自分たちでやってやろうという気持ちで(遠征に)入ったので、その分いつもより疲れたかなというところもありました。

――東伏見に帰ってきてからのオープン戦では11戦5勝4敗2分という結果です

大学生相手には負けていないと思うのですが、社会人相手で相手のレベルが高くなると、自分たちの細かいミスが目立ってきてしまいましたね。強い相手の時こそバントミスや走塁のミスが目立つので、そこをなくして突き詰めていかないと勝てないなと思います。

――後半のJR東日本戦では社会人を相手に逆転勝ちを飾りました

接戦で、1点を争うゲームだったので。そういう試合ではバントや走塁でのミスが致命傷になってくるのですが、JR東日本戦のときはそこを粘れて勝つことができたので、良かったと思います。

――いままでのオープン戦の中で、リーグ戦でもこういう試合がしたいという好感触だった試合は

そのJR東日本の試合ですね。守って守って、みんなで粘った結果が最後の逆転なので。監督もああいう野球をやっていこうとおっしゃっていて、自分たちとしても理想の試合でした。

――JR東日本とは明後日の社会人対抗戦でも対戦されますが、再戦に向けどのように臨みたいですか

リーグ戦前の最後の試合ですし、前回も勝ったので。今回負けたら、前回勝ったのがたまたまだと思われてしまいますよね。なんとしても勝って、勢いをつけたいですね。

――ご自身は6試合で指名打者として出場し、2試合は代打での出場となりました。振り返っていかがでしょうか

いまは出られなくてチームに迷惑をかけてしまっていて、打撃の方で貢献しようと思っています。ずっとオープン戦では好調だったのですが、ここ最近少し落ちているかなと思うので、リーグ戦までにそこを修正していきたいです。

――代打では必要とされるときに安打を放つという勝負強さを見せています。主将としての自覚がもたらすものでしょうか

それはありますね。責任感が出てきていて。自分の一打はチームに影響を及ぼすものだと思うので、一打席一打席、大事にして入っています。

――前回お話を伺った際、好機では初球から振っていくとおっしゃっていましたが、その気持ちはいまも変わりませんか

そうですね、甘い球が来たらどんどん振っていくというスタンスなので、チャンスの時こそ初球から甘い球を狙っていくというのが基本的な姿勢です。

――チームの雰囲気は良いとおっしゃっていましたが

そうですね。試合の中でも、声を出していこうというモットーでやっています。ミスが出たときこそ、みんなで盛り上げていこうと。雰囲気自体は良いと思います。

――オープン戦ではベンチからの声掛けが目立ちました

4年生を中心にみんな声を出していると思います。下級生に関しても、グラウンドの中では学年関係なく、みんなで指摘し合いながらやっていこうと言っているので。少しは遠慮しているかもしれませんが、自分たちは「遠慮するなよ」と言っています。

――試合や練習が続く毎日ですが、息抜きになさっていることはありますか

試合が続いて疲れているので、ゆっくり部屋でゴロゴロすることですかね。

「監督を胴上げしたい」

昨季はリーグ6位の打率を記録した

――オープン戦をあらかた終えてのチームとしての収穫は

細かいミスを最初よりも減らすことができていることですかね。最初は試合が終わった後、ミーティングで挙げきれないほどミスがありました。それをできるだけ毎試合少なくしていこうとやってきて、今では試合後に数えるほどしかミスがないので、さらにその穴を埋めるようにしていきたいですね。新チーム発足直後よりも、そこはだいぶ良くなったなと思います。

――逆に、まだ修正が必要な課題は

同じことになりますが、少なくなってきたとはいえ、ミスがあることですね。最後の細かいミスが勝敗を決めることになるので、そこは突き詰めてきて行きたいですね。ミス自体は減ってきているのですが、試合の中で勝敗に直結するミスが見られることがあるので。重要な局面でのミスに気をつけたいですね。

――ご自身個人としての収穫としては

バッティングフォームが固まってきたことですね。いままでは少し不調だとすぐに変えていたのですが、新年度から取り組んできたことが最近実を結んでいるので、そこは収穫かなと思います。

――警戒している相手は

毎年ですが、明大ですね。毎年良い選手が揃っていて、いつも勝ち越せていないので。ことしはなんとしても勝ちたいですね。

――選手でいうとどなたでしょうか

髙山(俊選手、明大4年)、上原(健太選手、明大4年)ですかね。ことし注目されている選手もたくさんいるので、そういう選手を攻略しないと勝てないと思うので。チーム全員で攻略したいと思います。

――今季の目標は

チームとしては、もう優勝するだけです。東京六大学リーグで優勝するのはもちろんのこと、日本一になって監督を胴上げしたいですね。個人の目標は首位打者とベストナインを取ることです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 芦沢仁美)

◆河原右京(かわはら・うきょう)

1993(平5)年11月4日生まれ。173センチ、76キロ。大阪桐蔭高出身。スポーツ科学部4年。内野手。右投左打。これまでレギュラー経験を持たない4年生の活躍も目立った春季オープン戦。同期の選手が力を伸ばしているのは河原主将にとっても大変嬉しいそうで、「最終学年としての意地を見せたい」と一言。仲間の活躍が、多忙な主将を支えているようです