【連載】春季リーグ戦開幕特集『進』 第8回 吉永健太朗

野球

 復活を期待されながらも、右肘の故障などに見舞われ試練の一年を過ごした吉永健太朗(スポ4=東京・日大三)。今季はオープン戦で起用される機会も増え、無四球の好投を見せるなど復活の兆しが見え始めている。ラストイヤーのこの春、どんな思いを抱えながら日々練習に取り組んでいるのか。その思いをうかがった。

※この取材は4月4日に行われたものです。

考えすぎないこと

にこやかに語る吉永

――きょうはどのような練習をしていましたか

 きょうはフィールディングやバントの練習をやったりと、実戦を意識した練習を少しやりました。

――実戦を意識した練習は多いのでしょうか

 いえ、(自分が打者として)実戦で打席に入ったのは初めてです。

――重点的に取り組んでいるメニューは

 やはりいままでフォームが課題だったので、シャドーピッチングなどを重点的にやっています。

――今季から新体制となりますが、高橋広新監督(昭52教卒=愛媛・西条)はどのような方ですか

 野球をすごくよく知っている方だなと思います。

――具体的に言うと

 技術的なところで言えば、けん制の仕方であったりルールの知識であったり、自分たちが分からないようなことを知っているので勉強になります。

――ご自身が受けたアドバイスで印象に残っていることは

 けん制ですね。あまり詳しくは言えないのですが(笑)。けん制のやり方を教えてもらってから、みんなが刺せるようになっています。

――河原右京主将(スポ4=大阪桐蔭)はどのような主将でしょうか

 そんなに口数が多いわけではないのですが、先頭に立ってチームを引っ張っていく存在ですね。

――ではここまでオープン戦を終えてご自身の調子はいかがでしょうか

 あまり実力がなかったのですが、ここ最近だいぶよくなってきているので、このまま上手くリーグ戦に入れればいいなと思います。

――現時点での仕上がりに点数をつけるとしたら

 70か80点ぐらいです。

――順調ですね。それはどのような理由でしょうか

 シンカーをしっかり投げられるようになってきたということと、いままでストライクをとるために腕の振りを落としていたりしていたのですが、ちゃんと腕を振ってコントロールできるようになってきている点です。高さも意識して投げられるようになって、ゴロも増えてきましたし、そのようなところは良いかなと思っています。

――シンカーを投げることでどのような投球をしていきたいですか

 シンカーをバッターの頭に残るようなボールにしていけば、自分も投げやすくなると思うので、そこは意識してやっています。

――JR東日本とのオープン戦では無四球の好投でした。振り返っていかがですか

 腕も結構振れていてその中で四死球がなかったというのが、いままでの中ではすごく良い結果だと思います。

――オープン戦全体を通して四死球がたったの5つという内容に関してはどのようにお考えですか

 いつも(四死球を)出そうと思って出しているわけではないのですが、やはり四死球の数は調子がよくなってきていることにもつながると思うので、これからも意識したいです。

――奪三振もオープン戦を通じて23個でした

 三振の数はそんなに意識していないのですが、腕を振った結果がそうなったのでリーグ戦でもしっかり同じような投球ができればいいと思います。

――一方、ご自身の調子がよくない時はどのような時と分析していますか

 やはり課題であるフォームが安定しないときは、ストライクが入らなくて取りに行って打たれるということがあるので、そこはよくない点ですね。

――出場機会も多かったオープン戦ですが、全体を振り返って

 ムラが結構あるので、そこをリーグ戦にはしっかり修正して臨んでいきたいです。

――今後の改善点はなにかありますか

 フォームが変わることはいいのですが、変わった時にどう修正するかがやはり課題です。あとはそんなに考えないことですね。考えすぎていままで良くなかったので。

――どのように気持ちを切り替えるのでしょうか

 考えないようにすることを考えています(笑)。結局は投げるときは、相手と勝負しなきゃいけないので。自分のことだけ考えていても勝負はできないと思うので考えすぎないようにしています。

優勝への思い

今季のオープン戦ではたびたび好投を見せた

――リーグ戦まであと少しですが、チームの雰囲気はいかがですか

 茂木(栄五郎、文構4=神奈川・桐蔭学園)の離脱など心配なところもあるのですが、丸子(達也、スポ4=広島・広陵)などの調子が良いので、雰囲気は良いと思います。

――開幕が近づくにつれ気持ちの変化はありますか

 正直緊張はそんなにしていないのですが、やはり最後の一年で春が勝負なので、しっかり投げられるようにと思っています。ドラフトの評価にもなるので、春に頑張らないと厳しいですね。

――ご自身のチームでの役割はどのようにお考えですか

 やはり先発というのが一番なのですが、竹内(諒、スポ3=三重・松阪)、大竹(耕太郎、スポ2=熊本・済々黌)も調子がいいのでどういう場面で投げるかは分からないです。どこで投げるとしてもしっかり結果を出すことがチームの勝利につながると思うので、任されたところはしっかり投げられるように準備していきたいです。

――理想の投球のイメージは

 ストレートと変化球とでしっかり緩急を使って、バッターが自分のスイングをできないような投球ができれば、守備も守りやすいと思うのでそのような投球をしていきたいです。

――プロ入りへの思いも大きいですか

 3年生で結果が出なくて、この春が本当に最後の勝負だと思うので、しっかり結果を出してプロに行くということを目標としてやっています。

――相手打者で意識する選手はいますか

 特にはいないですね。これまで自分があまり調子がよくなかったので、調子がよければ抑えられるだろうと思っています。

――早大投手陣で特に意識する選手はいらっしゃいますか

 やはり先発争いがあるのでそこは意識していますね。

――オフの日にみなさんで遊びに行ったりもするのでしょうか

 仲はいいですけど、それはあまりないです(笑)。

――最上級生となって後輩との関わりで変化はありましたか

 特に変わりはないですが、やはり自分がちゃんとやらなければ後輩もそういうところを見ていると思うので、そこはしっかりやらないといけないなと思います。

――昨季は春夏ともに惜しくも優勝を逃しました。優勝のためにいまのチームに必要なことは何だとお考えですか

 きょねんより戦力は落ちると言われているのですが、打線がつながればちゃんと点にはなるチームだと思うので、バッターは自分で決めるというよりはまさに『打線』というようにしっかりと線になってつないで、ピッチャーは最小失点で勝っていくということをしなければいけないと思います。そういうところを意識してやっていきたいです。

――リーグ戦まであと少し。いまの率直なお気持ちは

 率直に優勝したいという思いが強いので、優勝するために自分のできることをしっかり考えながらやっていきたいと思います。

――ご自身の具体的な目標は

 先発で勝つ、ということが目標です。

――ことしはどのような一年にしたいですか

 これまで苦しい時期があったからこそ、最後は振り返っていい一年にできたと言えるような一年にしたいです。

――では最後にリーグ戦への意気込みをお願いします

 優勝できるように頑張ります。

――ありがとうございました!

(取材・編集 伊能由佳、吉原もとこ)

◆吉永健太朗(よしなが・けんたろう)

1993(平5)年・10月13日生まれ。182センチ、80キロ。東京・日大三高出身。スポーツ科学部4年。投手。右投右打。実は多趣味だとお話ししてくださった吉永選手。スポーツの他に音楽も好きで、オフでは独学でピアノやギターなどもされるそう。オンとオフの切り替えをしっかりとこなし、練習に勤しんでいる姿、素敵です!