【連載】春季リーグ戦開幕特集『進』 第6回 道端俊輔

野球

 ことし一年、正捕手としての活躍が期待される道端俊輔(スポ4=智弁和歌山)。昨季までは出場機会に恵まれなかったが、冬季練習、そしてオープン戦を通じて着実に成長を遂げている。春季リーグ戦の開幕を目前に控え、闘志に燃える男にいまの思いをうかがった。

※この取材は4月4日に行われたものです。

「チームをけん引する捕手になりたい」

今季の目標を語る道端

――早大入学後から昨季までを振り返るといかがでしたか

 とことんカベにぶち当たりましたね。高校の捕手のレベルと大学の捕手のレベルは全然違っていて。まだ完全には追いつけていないのですが、ここまで来るのに3年間かかってしまいました。

――特に印象に残っている試合はありますか

 2年時の春季リーグ戦の法大戦ですね。2試合で18点取られました。いままで大舞台で大量失点することがなかったので自信を持っていたのですが、あの試合でそこまで甘くないのか、ということは感じました。

――新体制を迎える中で、ご自身の中で意識の変化はありましたか

 ポジションが空いたので、自分が正捕手になるしかないと思い、今まで以上に練習量は増やしましたね。

――正捕手として活躍を期待されていますが、それに対する思いなどはありますか

 監督が変わり、出場機会を多く与えられているので、まずはそこの期待に応えたいというのはありますね。それに加えて、歴代の早大の捕手を見てみるとすごい方々がたくさん居るので、そこに名を連ねたいです。

――道端選手が目標としている捕手はどなたでしょうか

 城島健司さん(元ダイエー、阪神など)です。勝負師といいますか、淡々と冷静にやるよりは、チームをけん引する捕手になりたいですね。

――高橋広新監督(昭52教卒=愛媛・西条)は捕手出身ですが、そのことで何か変わったことはありましたか

 配球面はかなりやりやすくなりましたね。例えば身長が高くてリーチが長い打者の場合、近い球はきつく、逆に遠い球は楽に届くじゃないですか。そういう打者はやはり打ち取れる確率が高いコースで攻めた方がいいよ、といった具合で具体的に指示をくださります。

――打撃面に関して変更点はありましたか

 今までは1打席ごとに指導されていたのですが、ことしは逆に言われる方が少ないですね。比較的自由にやらせてくださるので、個人的にはやりやすいです。

――道端選手から見て、高橋広監督はどのような方ですか

 厳しいのですけど、難しいことは言わないですね。シンプルなこと、基本的なことを徹底的に教えてくださいます。チームのみんなも監督のことを信頼していて、良い雰囲気はできていると思います。

――きょねんとことしのチームではどのような部分が異なりますか

 きょねんの打撃陣はどこからでも点を取れましたので、それと比べるとことしは点を取れないチームになっていますかね。逆に投手陣は昨季様々な経験を積んだので、そこの成長はかなり感じています。

――早大投手陣の現状を客観的に見て、どう思われますか

 きょねんの有原さん(航平、平27スポ卒=現プロ野球・北海道日本ハム)のような絶対的エースはいないのですが、逆に全体的なレベルは高いですね。そういう層の厚さっていうのは長所だと思います。

――カギとなる投手は誰だと思いますか

 難しい質問ですね(笑)。ですが、竹内(諒、スポ3=三重・松阪)と大竹(耕太郎、スポ2=熊本・済々黌)には特に期待しています。やはりゲームメイク能力が他と比べて長けているので。この二人が軸となってくれれば試合はある程度計算できると思います。

――現在の早大捕手陣を客観的に見るといかがですか

 全体的に経験不足ですね。実際の試合に出場していくうちに、例えばリードの組み立て方や場面ごとの勝負の仕方などが分かってくるものなので。

――ご自身のアピールポイントはどこだと思いますか

 バッティングですかね。特に右方向へのバッティングは意識しています。

――逆にご自身のいまの課題はどこですか

 やはり捕手は守らないといけないので、キャッチングやスローイングはこれからの野球人生でもずっと課題となりそうです。そこの部分でもっと自信持てれば、配球面でも変わってくると思います。

――ことしはスターティングメンバーに4年生が多く名を連ねることが予想されますが、それについてはどう思われますか

 4年生がやらないとチームが動かないので、練習から4年生が中心となってやろうという雰囲気はできていますね。

――シーズン後にはプロ野球のドラフト会議も控えていますが、プロへの意識はありますか

 野球をやっている以上はもちろんプロを目指していますが、自分は捕手なので、社会人野球を経由してからでも遅くはないかな、とも思っています。

「暴れます」

その打棒でもチームを勝利に導く

――ここまでのオープン戦を振り返って、チームとして得たものや見えてきた課題はありますか

 早大はなかなかビッグイニングをつくれないので、相手にビッグイニングをつくられちゃうと勝てないですね。逆に失点を少なく抑えていくと、終盤に逆転できたりしました。高橋広監督が来て以降、チームのメンタル面が強化されていて、逆転できるチームになってきたのかな、とは思います。

――個人として、打撃面で見えてきたものはありますか

 フルイニングに出場する中で様々なことを試しています。逆方向へ打つコツはかなりつかめましたね。他には、タイミングを意識しています。多少スイングが悪くても、タイミングが合っていれば球は飛んでいくので。

――守備面やリード面ではいかがですか

 この冬、バッテリーで低めの意識の徹底をしてきましたが、それを実戦の場で試せたことは大きかったですね。あとはいままで投手の意図をくみ取ることができなかったのですが、練習の中で徐々にそういったことが分かってきました。

――オープン戦では社会人相手になかなか盗塁を阻止できない場面も見られましたが

 最初の数試合はなかなか上手くいかなかったですね。ですが試合数を重ねる中で徐々に上手くいってきて、いまはかなり自信を持っています。いままでは走者をアウトにしようと焦っていたのですが、落ち着いてゆっくり投げた方が上手くいくことが実戦の中で分かってきました。

――冬の間は打撃練習よりも守備面の練習を重視したということですか

 全体の練習が終了したあとにも何十球とスローイングをするなど、とにかく毎日練習していましたね。

――オープン戦からは打線の中軸としても期待されていることがうかがえますが

  もともと打撃は嫌いではないのですけど、期待されていると色々考えちゃうのでやり辛いですね(笑)。捕手は打てなくて当たり前みたいな風潮があるので、そういう中でのプレーはやりやすいのですけど。あまり考えずに打撃に集中するようにしたいです。

――リーグ戦では何番を打ちたいですか

 5番が打ちたいですね。自分が捕手をやっている時、左打者がずっと並んでいるとやっぱりやりやすいんですよ。早大は左打者が多いので、右打ちの自分が5番に入ることで打線にアクセントを加えられるのかな、と。

――早大の強みはどこだと思いますか

 やはり投手ですかね。他大に引けをとらない層の厚さは自慢ですね。

――野手陣に関してはいかがですか

 比較的リーグ戦の経験者が多いので、前半は彼らが引っ張ってくれると思います。

――他大で意識している選手はいらっしゃいますか

 明大の坂本誠志郎ですね。絶対に負けたくないです。やるからには六大学で一番の捕手になりたいので。

――ことし最も意識している相手はどこですか

 明大です。やはり勝ちに対する思いが強いので、現在の早大のように負けにくい野球をしてきますね。

――リーグ戦での具体的な目標などはありますか

 バッティングでは打点にこだわりたいですね。10打点くらいはあげたいです。

――リーグ戦で早大が勝っていくために必要なことは何だと思いますか

 気持ちですかね。2連勝できるチームではないと思うので、2勝1敗でもいいからとにかく勝ち点を一つ一つ取っていくという強い気持ちが必要だと思います。冬の練習では走りこみなどで追い込んだので、そういったところで鍛えたメンタルが発揮できれば良い結果になりますね。

――今季のチームとしての目標は

 自分は1年の春季リーグ戦で優勝を経験しましたが、自分たちより下の代は経験していませんよね。なので、下の代に優勝を経験させてあげたいです。それと同時に、高橋広監督にはずっと起用してもらっているので、感謝の気持ちを最高のかたちで表したいですね。最終的には日本一を目指しています。

――個人としての総合目標を教えてください

 六大学で一番の捕手になりたいので、ベストナインは譲りたくないですね。また、バッティングが好きなので、他大の捕手には打率で負けたくないです。それと、他大の捕手たちって既に実績があるので、世間的には自分より上のレベルだという評価を受けているじゃないですか。なので、自分のいまの立ち位置は非常にやりやすいですね。あとは上がるだけなので。もうやるしかないです(笑)。

――最後に、今季の意気込みをお願いします

 『暴れる』ですかね(笑)。捕手が早大のウィークポイントだと言われている状況で自分が活躍できれば、必ずチームの結果も向上しますので。暴れます(笑)。

――ありがとうございました!

(取材・編集 落合修平)

◆道端俊輔(みちばた・しゅんすけ)

1993(平5)年4月24日生まれ。175センチ79キロ。智弁和歌山高出身。スポーツ科学部4年。捕手。右投げ右打ち。六大学ナンバーワン捕手になると語った道端選手。その言葉通り、他大のライバルたちへの思いを特に熱を込めて話してくださいました。高校の同期である慶大・小笠原知弘選手との対決にも注目です!