沖縄キャンプレポート

野球

 東條航主将(文構4=神奈川・桐光学園)率いる早大野球部は沖縄・浦添市民球場で春季キャンプを行った。まだ肌寒い東京のグラウンドから離れ、暖かい環境で厳しい練習に取り組む選手たちの様子を取材した。

※取材は3月7日に行ったものです。

投手陣に対し一つ一つ丁寧に指導する小宮山特別コーチ

 一足先に2月27日から沖縄入りした投手陣はこの日の午後、基礎体力の強化を図るメニューに取り組む班とブルペンで投球練習する班に分かれて練習を行った。今季副将に就任し投手陣のリーダーとして期待がかかる横山貴明(スポ4=福島・聖光学院)ら数名は室内練習場へ。場内では等間隔を往復して走り続けるシャトルランや体幹トレーニングで汗を流し、時折苦しそうな表情を浮かべる選手もいた。室内でのメニューを終えると、今度は球場の横にある階段の前へ。3人一組になり選手たちは勢いよく駆け上って行った。下半身の強化、ひいては春季リーグ戦(リーグ戦)で投げる体力をつけるためには欠かせない練習だ。

 一方、ブルペンに目を移すと、小宮山悟特別コーチ(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)が見守る中、3投手が鋭いミット音を鳴らす。特に鈴木健介(教3=東京・早実)はコーチからフォームについての細かい指導を受けつつミットに目がけて投げ込んだ。リーグ戦初登板がかかる今季へ向けキャンプを通して成長を見せられるか。

「捕り込み」終了後に部員に囲まれながら岡村監督(右)と肩を抱き合う東條主将(左)

 野手陣は午前中、シート打撃を行うと、昼は打撃と守備の二手に分かれた。ホームベース付近では主軸打者たちがフリー打撃で快音を鳴らすと、その後ろでバックネット付近に設置されたネットに向かって茂木栄五郎(文構2=神奈川・桐蔭学園)らが力強い打球を放つ。グラウンド脇では今春早大に入学予定の石井一成(栃木・作新学院高)や中村奨吾(スポ3=奈良・天理)が軽いノックを受け、体を慣らした。午後3時前まで行われると、その後大がかりなグラウンド整備が始められる。整備後、きれいな黒土のグラウンド上に現れたのはグラブを手にした野手たち。すると「せっかくキャンプに来たからにはインパクトのある練習をやった方がいいだろう」と岡村猛監督(昭53二文卒=佐賀西)の提案で行うこととなった『捕り込み』というメニューが始まる。30分を1セットとし、各ポジションに一人ずつついた野手に向かって絶え間なく厳しいノックが放たれた。始まる前はユニフォームも白かった選手たちもこのメニューを終えると顔まで真っ黒になった。

 基本的に見える練習も間違いなく選手たちを強くした。それぞれが日々の練習に目的を見出し打ち込む姿が見られた。グランドスラム(春季、秋季リーグ、全日本大学選手権、明治神宮大会)を目標に挙げている今季のワセダ。ただ頂点だけを見据えて走り続ける日々はまだ始まったばかりだ。

(記事 盛岡信太郎、写真 川口真由、高田麻里)

コメント

岡村猛監督(昭53二文卒=佐賀西)

――本日の練習振り返って

天気も良くて、みんな泥んこになっていい練習ができたと思います。

――今回のキャンプは2月末からスタートで、少し早めの沖縄入りでした

できるだけ暖かいところで練習ができるようにしようと投手陣は早めに来てということです。去年はスケジュール的にどうしても遅くせざるを得なかっということがあって、沖縄入りが遅れてしまいました。(東京に)帰ってからオープン戦もたくさん組んであるので早めに来れて良かったです。

―そのオープン戦も例年に比べ試合数が増えていますね

そうですね。リーグ戦までの試合数は5、6試合は多いんじゃないかと思います。

――きょうは非常に追い込んだ練習でしたが、何か理由はありますか

せっかくキャンプやるんだから、何か強烈なインパクトのある練習をやった方がいいだろうということで。こっちに来てまだこういう練習はやったことがなかったと思うので、特別にですね。

――その指示は岡村監督がされたのですか

当初の予定にはなかったのですが、四年生は沖縄来るのがもう最後なので、何か少し沖縄でこれをやったという思い出になるような練習を一つやってみようかということでやりました。

――すでにオープン戦がはじまっていますが、あすへの意気込みをお願いしますか

まだまだいろんな課題が出て来るのだろうと思うんですが、どういうことができて、どういうことができないというのを実践の中で試して確認し、できないことは練習をやっていくと。これまで実践的な練習をやってきて、そういったものがどこまでオープン戦の中でできるか、できないか確認するというオープン戦ですからね。勝った負けたより、ワンプレーワンプレーがどこまでやれるかというのをやりたいなと思いますね。

東條航主将(文構4=神奈川・桐光学園)

――ここまでのキャンプを振り返って

振り返ってみるとあっという間ですけど、1日1日が長く感じられます。全員がひたすら野球に打ち込める充実したキャンプになっていると思います。

――どのようなところに手応えを感じていますか

キャンプ中は全員がホテルで一緒に生活するんですが、それによって一体感が生まれますし、コミュニケーションがうまく取れることが非常に良いなと思います。

――1つ1つの練習、プレイに集中している印象を受けましたが

そうですね、集中してできていると思います。

――チームの雰囲気はどうですか

少し疲れも見えるんですが、疲れているときこそ声を出そうと4年生を中心に元気にやっています。

――ご自身の状態はどうですか

かなり調子が良いので、今すぐにでもリーグ戦が始まっても大丈夫という感じです。

――オープン戦に向けて抱負をお願いします

初戦はもう終えて次が2戦目になるんですが、このチームでどのような試合ができるのか楽しみです。

横山貴明(スポ4=福島・聖光学院)

――きょうの練習を振り返って

とにかくきつかったです。

――午後はシャトルランなど走り込みが中心でした

午前はピッチング中心で午後は走りこむ感じでやっています。本当に暑くて大変な毎日ですが、いつもは下の陸上競技場も使っているのでもっと大変です。

――7日の練習試合には登板していませんが調子は

あした(沖縄電力戦)が先発なので。シートバッティングとかでも調子の良さは感じています。投げ込んでいるので疲れてはいますが、いい感じで投げられそうですね。

――投手陣の調子はいかがですか

有原は調子が良さそうです。吉永は少し外している感じですが、みんな走り込んで投げ込んで疲れているのでそれを考慮すれば問題ないかなと思っています。

――まずはあしたのオープン戦に向けて意気込みを

自分としてもやりたいと思っている先発のチャンスをもらえているので気合い入れて臨みたいです。この前のオープン戦では四球が多かったので、ストライク先行が目標ですね。

吉永健太朗(スポ2=東京・日大三)

――きょうの練習の内容は

午前中は守備練習のあと、シート打撃に登板してブルペンで投げ込みました。午後は走り込みです。

――ここまではどのような練習内容が中心ですか

投げ込みと走り込みです。

――きょねんに続いての沖縄キャンプ参加ですが、何か違いを感じたりはしますか

きょねんは余裕があまりなかったのですが、精神的な意味では疲れなくなりましたね。

――3月5日にも登板があったとのことですが、そちらの出来はいかがでしたか

良くなかったですね。制球が安定しないで、溜めた走者を返してしまう場面が多かったです。ただ、今のは投げ込みの時期でもあるので、しっかり投げてリーグ戦までに改善したいです。

――今後の課題は

制球力とリーグ戦を投げ切るための体力です。そのために一球一球の投げ込みの意味を考えながら練習していきたいです。