見識深めるロサンゼルスキャンプ

野球

※この取材は現地時間3月2日に行われたものです。

 4年に1度のロサンゼルスキャンプ。本場・米国にて野球への見識を深め、春季リーグ戦に向けさらなる成長を期す選手たちにとって絶好の機会だ。早大は8日間の滞在で、MLBアーバンユースアカデミーでの練習や現地の大学との試合を行う。この日も午前中ドジャースタジアムの見学をするなど、米国の野球や文化を学ぶことを目的に、内容の濃い日々を過ごしている。

ノックで軽快な動きを見せた中村主将

 キャンプ3日目、前日の悪天候の影響でドジャースタジアムでの練習は中止となり、室内練習場に移って練習が行われた。野手陣はまず、ノックで守備の基本動作を確認。逆シングルでの捕球を多めに行う中村奨吾主将(スポ4=奈良・天理)や、捕ってからの動作を意識して受ける川原孝太(文構3=静岡・掛川西)など、各自が課題を持って練習に臨む姿が見られた。その後はケージを使っての打撃練習。こちらも緩い球に対し、それぞれが課題に取り組む。その中で岡村猛監督(昭53二文卒=佐賀西)から直接指導を受け、内角の球を強く叩く吉澤翔吾(スポ4=東京・日大三)、広角に力強い打球を飛ばす中澤彰太(スポ2=静岡)からは冬の練習の成果が感じられた。

中澤彰に熱のこもった指導をする岡村監督

 投手陣も、フォームや変化球の確認に余念がない。最終学年に懸ける有原航平(スポ4=広島・広陵)、安達公亮(スポ4=埼玉・早大本庄)、髙梨雄平(スポ4=埼玉・川越東)がブルペンに入り、精力的に投球練習を行った。特にエースの有原は緩急織り交ぜ40球ほどを投げ込み、小宮山悟特別コーチ(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)から現時点で「何の問題もない」との評価を受けるなど、調整の順調さをうかがわせた。

 3日間の練習を経て、キャンプも中盤へ。翌日から米国の大学とのオープン戦が続く。貴重な経験を積める、またとない機会だ。「自分たちにできることを、やってきたことを精一杯やりたい」と語る中村。走攻守において全くの別物である『ベースボール』を相手に、この冬基本に徹底してきた緻密な早大の野球を見せつけたいところだ。

(記事 伊藤広真、写真 荒巻美奈)

※記事中の学年は新年度のものです。

コメント

小宮山悟特別コーチ(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)

――ロサンゼルスキャンプの目的はどのようなものでしょうか

基本的に野球のトレーニングというよりも見聞を広げるということの方が大きいですかね。毎年行けるものでもなく、4年に1度ということなので、そんなに数多く経験できることではないので。彼らがいろいろなことを思い描きアメリカに来てますから、それを見て確かめるということが重要なのかなと。

――有原航平選手(スポ4=広島・広陵)にはどのようなことをお話になっていたのですか

アドバイスはしてないです。任せっきりでやらせています。

――有原選手を見ていてどう感じましたか

もう何の問題もないですね。

――あすから現地の大学との試合となりますが、チームとしてどのようなことを試していきたいですか

それは選手たちが個人個人で課題を持って望むものなので、こちらから一切注文をつけるつもりもないです。日本のチームと米国のチームは根本的に野球が違いますが、そこで相手に合わせてどうこうする必要もないですから、貴重な経験をしてもらえればということだけですね。

直原大典新人監督(人4=高知・土佐)

――きょうでロサンゼルスキャンプ3日目となりますが、ここまでいかがですか

雨であまり練習ができていなくてあしたの試合が少し心配なんですけど、選手たちはいろいろアメリカがどういうところか考えながら(練習を)やってくれているというのは感じています。

――日本と違いを感じる点は

施設もアミューズメントパークみたいで戸惑いもあるのですが、選手たちも自分たちが何をしなければいけないというのをしっかり理解しながらやってくれているので、そんなに練習量を確保できていませんが大丈夫かなと思っています。

――普段は学生コーチとしてどのようなお仕事をされているのですか

監督とメニューを決めたりすることが仕事なので、選手の体調を考えながらどのような練習が一番いいのかというのを考えています。でもことしのチームは監督さんが「しんどいところからどれだけ頑張れるか」とよく言われるので、そこで選手たちがしんどい練習で逃げそうになったときに「もう一度頑張ろう」という声を掛けています。そのようなメニューをこなすことでもう少し踏ん張れるということを試合でできるのではないかということを自分は信じてやっています。それが合っているかどうかは分かりませんが、選手たちがそれを結果として残してくれたらいいなということで、選手たちのケアなどいろいろな面を考えながらやっています。

――「しんどいところからどれだけ頑張れるか」というのはことしのチームの目標でもあるのですか

そうですね。泥臭さというか、きょねんはあっさり負けてしまった試合も多かったので。そういうところで逆転できたり、もう一踏ん張りができるというのはしんどいことを日頃からやっていないと難しいと思うので、そういうことをいろいろスタッフなり監督さんなり含めて話し合っています。

――ロサンゼルスキャンプでの狙いは

監督さんからは「アメリカを知りましょう」ということと「野球を知りましょう」という大まかなことしか言われていないのですが、いままで日本だったら同じ環境でできたかもしれないですけど、米国という自分たちの知らないところでどういう野球ができるかというか。違った環境でも自分たちがやるべきことは変わらない、その中で自分たちがやるべきことをできるかということに狙いはあると思います。

――「アメリカを知りましょう」というのは文化的な側面も含むのでしょうか

文化もそうですし食べ物もそうなのですが、野球やその環境などそういう面が一番大きいのかなと思います。

――楽しむという要素が大きいですね

楽しみながらもいろいろ吸収できたらいいのではないかと思います。

――きょねん打撃陣はあまり打てなくて得点力不足に悩みましたが、ことし新しいシーズンに向けて強化しているところは

おそらく技術だと正直どこのチームも差はないと思うので、自分が一番大切にしたい部分は精神の「しんどいところから頑張る」というところですね。(他大学と比べて)劣っているとは思わないので、実力がそう変わらない中でしんどいところで一本打てるか、本当にピンチの場面でその1球に集中できるかというところは精神面だと思うので、そこを監督さん含めて全員で徹底したいと思います。

――きょうの練習におけるしんどい部分というのは

正直きょうの練習はあまりないのですが、米国で時差とか食事とかいろいろ違う中でしんどい部分もありながら練習をしているので、そういう面では覚悟できているのかなと思います。

――普段から中村奨吾主将(スポ4=奈良・天理)と一緒に練習されているそうですが、何か気を遣っていることはありますか

特にないのですが、自分ができることといえば中村に「いつもとここが違うよ」というようなアドバイスであったり、そのような打撃投手などしかできないと思います。できるだけ中村とは毎日(練習を)しているので「いつもと違うな」と思ったらちょっとどこを変えたのかをいろいろ聞いて、いまはこうしているからここ見てほしいなどと言われたら見るとかそういうことは気を遣っています。ですが、中村はしっかりやってくれているので自分からこうしてほしいなどというのはないです。

――きょうのノックでは何を意識しましたか

あまり距離もとれなかったので、どういう形で捕球して送球までにつなげているかというところ、足の運びなどを主に見ていました。

――最後に新シーズンに向けての意気込みをお願いします

自分たちは2年生のときに日本一を達成していて、あの日本一の喜びを自分たちの代でもう一度パレードもできたらいいなと思いますし、いままで先輩方が達成できなかったグランドスラムを達成して、歴史に名を残したいです。

中村奨吾主将(スポ4=奈良・天理)

――連日雨が降る中で渡米後どのように過ごされていますか

観光に行ったり、(早大野球部関係者の)墓参に行きました。練習の方では雨の影響で2時間ずつと限られている中で、制約はなく自分たちで考えてアップから取り組んでいます。バッティングをしたい者はバッティングをして、守備したい者は守備をするといった感じに自分たちの課題とする練習を限られた時間の中ですが、できていると思います。

――時差ぼけの影響はありませんか

自分はキャンプ前にシカゴに訪問していたので、ある程度影響なくキャンプに来れましたが、食に関しては各自に任されていて、こちらの食べ物は高カロリーで少し苦しんでいます。

――これまでは全て室内を使用されているそうですが、設備はいかがですか

日本と違って広く使って何か一つのことをするというより、バッティングに特化しているような施設が多いので自然とバッティング中心の練習になっています。

――直原新人監督と共に打撃されていました

いつもの東伏見での練習と同じかたちで練習に取り組みました。

――打撃練習でも打つ体勢を変えて打ったりと試しながらの様子でした

いつもやっていることなのですが、こっち(米国)に来てから勝手も変わってくるのでなるべく日本と同じ感覚でやっています。

――こちらで特別変わったことをされたりはしていますか

それは特にないですね。あまりホテルでやることもないので早く寝て体調を整えるようにしています。

――あすからは現地の大学生とのオープン戦が3試合予定されています

練習を思うようにできていないのですが、その中で自分たちにできることを、やってきたことを精一杯やりたいと思います。

――試合を通しての狙いはありますか

自分たちの思うようにいかない状況も少なくないと思うので、意識して想定外のことに対応できるような力を付けていければと思っています。

――強い相手に対する対応力というようなものでしょうか

強いというのもそうですが、やはり日本の大学生とは戦術面なども違うと思うので、そういうことにも対応していきたいと思います。

有原航平(スポ4=広島・広陵)

――ロサンゼルスキャンプの目的を教えてください

アメリカの選手たちはやはりパワーもあってスピードもあってレベルが高いと思うので、自分のいまのレベルがどれくらいなのかというのを試したいと思います。

――ドジャースタジアムで練習することができませんでしたが

練習できなかったのは残念でしたが、見学はさせてもらっていろいろなものが見ることができ、経験できました。すごくいいところだったので(練習を)やりたいなという気持ちはあったのですが、あすから試合となるのでしっかり調整したいと思います。

――屋外ではどのようなことをしていたのですか

長めの距離をダッシュしたり遠投をしたりしてました。

――投げ込みはどうでしたか

ボールもアメリカのもので、ブルペンも少し違うので、投げ込みというか調整のような感じでやりました。

――全力で投げ込むということではなかったんですね

そうですね。7、8割くらいで。

――コースの投げ分けをしているように見えましたが、どんなことを意識してやりましたか

ボールが滑るので、コントロールを意識して投げました。

――仕上がりはどうですか

だいぶ仕上がっているのですが、いますぐリーグ戦という訳にもいかない状態なので、しっかり調整していきたいです。

――あすから現地の大学との試合になりますが、試したいことや狙いというのはありますか

やはり真っ直ぐでどれくらい抑えられるかというのを試したいと思います。

中澤彰太(スポ2=静岡)

――ロサンゼルスキャンプにはどんな気持ちで臨まれていますか

初めての海外ということで楽しみという気持ちもあったのですが、野球の発祥の地で日本の野球以外のアメリカのベースボールなどについて学びたいなという思いで来ました。

――きょうの練習を振り返って

自主練習のようなかたちになりましたが、自分のやりたい練習をすることができたのでよかったです。

――「やりたいこと」とは具体的に何だったのですか

(米国入りしてから)雨が続いていてボールをあまり触れていなかったので、ノックを多くやりたいと思っていました。

――あすからオープン戦が始まりますが、意気込みはいかがですか

ワセダらしい野球ができるように、きょうの夜からしっかり準備していきたいと思います。

――オープン戦での個人的な目標はありますか

全打席出塁したいと思います!