【連載】早慶定期戦直前特集 第1回 秋重若菜主将×榎本莉英主将

女子バレーボール

 第87回早慶バレーボール定期戦(早慶戦)が7月1日に開催される。早慶定期戦直前対談第1回は、両校女子バレーボール部主将秋重若菜主将(スポ3=大阪・金蘭会)と榎本莉英主将(慶大)の二人。春季リーグ戦の振り返りから二人のプライベート、主将としての早慶戦への決意を語った。

※この取材は6月4日にオンラインで行われたものです。

プライベートについて

笑顔でプライベートについて語る秋重主将

――自己紹介をお願いします

榎本 慶應義塾体育会バレーボール部女子主将の榎本莉英と申します。ポジションはオポジットです。よろしくお願いします。

秋重 早稲田大学女子バレーボール部主将、3年の秋重若菜です。ポジションはアウトサイドヒッターです。よろしくお願いします。

――バレーボール歴と最近のマイブームは

榎本 私は小学校4年生からバレーボールをやっていて、今13年目に入ったところです。マイブームは、家に帰ってきて部活の後で疲れていても、宅トレをして筋肉をさらに痛めつけてパワーアップできるようにしていることです。

秋重 私は小学校2年生からです。何年か分からないですけど今までずっとバレーボールをやっています。マイブームはスラムダンクです。ちょっと他の競技なんですけど(笑)。

――お二人ともキャンパスのお気に入りの場所はありますか

秋重 いっぱいお気に入りあるんですけど、東伏見キャンパスの駅の前辺りに「伏見団子」という団子があるんですよ。伏見団子めちゃめちゃおいしくて、授業で結構伏見(東伏見キャンパス)に行くんですけど、行ったら絶対食べるのでもし伏見とか近く行くなら絶対買った方がいいと思います!美味しい!スポーツ科学部に通ってる部員はみんな知ってるし、あと他部活もめっちゃ行っていて結構人気の団子屋さんです。

榎本 日吉キャンパスの近くにあるカレー屋さんによく同期と行っていて、チーズナンがおいしいのでそこがおすすめです。

――去年の主将の金子選手も同企画の対談でお話しされていましたが、一緒に行かれたことありますか

榎本 あ、そうですね。金子主将とも行ったことがあるかと思います。多分同じお店を思い浮かべているかと思います。

――この際にお互いに聞いてみたいこと

榎本 (秋重選手が)主将になられたのがいつだか分からないのですが、3年生でなられたというのを聞いた時に驚きました。大変なこともあるかと思うのですが、4年生に対してはどんなふうに連携を取っていらっしゃるのかなというのが聞きたいです。

秋重 4年生がめっちゃ優しくて、連携の部分はちょっと最近課題だったので私も難しかったんですけど、春リーグが終わってから結果もあまり良くなかったのでもっと4年生に頼ろうということで、3・4年生でミーティングする機会を増やしました。そこで結構学年のギャップをなくせるように、なんでもいい会話とか練習のこととかを話す時間を多くして連携を取ってます。

榎本 なるほど。話を聞く限りですが連携がうまくいってるんじゃないかな、と。これからも3年生で大変かと思いますが、頑張ってください。

秋重 ありがとうございます!私からは、どうして慶応に行ったのかということを聞きたいです。

榎本 私はそんなにバレーボールだけ、というふうには人生を送ってこなくて。皆さんもそうかと思うのですが、それよりかは結構勉強の方に力を入れていて。それで受験の結果が慶應という形です。でもずっとバレーボールは続けてきて、サークルに入るか体育会で本気でやるかで、体育会に入ったという感じです。先に大学を決めてそれは勉強の面で決めたという経緯になります。

秋重 え、一般受験ですか?

榎本 あ、私は指定校推薦で、成績で入ったという感じなので一般の人よりは及ばないんですけど。

秋重 え、何学部ですか。

榎本 法学部の政治学科です。

秋重 法学部!授業と両立大変じゃないですか?

榎本 あ、そんなことないですね。

秋重 いや、ほんとにすごいです。ほんとに尊敬してます。

榎本 全然です。もうこちらこそです。尊敬してます。

――秋重さんは、早稲田大学を選んだきっかけを教えてください

秋重 私は大学でバレーだけをやるという選択肢もあったのですけど、勉強にも本腰入れてチャレンジしたいというのと、早稲田大学は上に向かって戦っていく相手なので下から這い上がっていくチームを強くしたいと思って早稲田大学に入りました。

――授業との両立はいかがですか

秋重 正直、なんとか耐えてるみたいなところはあります(笑)。そんなに難しくないと思うんですけど授業は。ちょっとなんか、まあ耐えてます(笑)。

――オフの日の過ごし方は

榎本 私はアニメが好きで『鬼滅の刃』が今「刀鍛冶の里編」をやっているので、それをひたすら見たり、あとは家にずっといるのが苦痛なので、お買い物しなくてもショッピングに出かけて歩くようにしています。

秋重 私は食べるのがめっちゃ好きなので、ほんとにオフの日は絶対どこか美味しい…美味しくなくてもいっぱい食べ放題行ってます。週1食べ放題!最近は結構焼肉のヘビーユーザーですね。

――今まで行った食べ放題でお気に入りは

秋重 個人的にいっぱい食べられたなっていうのは、クレープ食べ放題。あれは結構自分でも自信ありますね。めっちゃ美味しかったです!多めに盛って10個いきました!

――チームメイトとの交流はありますか

榎本 私はプライベートでもグルメとか食べに行くってなった時もチームメイトと行きます。あとは旅行にチームメイトと行くこともあるような部活です。

秋重 結構めっちゃ仲いいです。午前練とかあるんですけど、午前練の日は絶対に…絶対じゃない。嘘ついた。すいません(笑)。午前練の日はお昼ご飯をよく一緒に食べたり、流れでちょっと新宿行こうぜーとか、どこか行こうみたいなノリについてきてくれる同期です。後輩もめっちゃ可愛いし、後輩連れてどっか行ったりとかも結構します。

――それは早稲田のチームが元からそういった感じですか

秋重 学年によって仲の良さとかは違うと思うんですけど、私たちは同学年が3人しかいないので3人でご飯に行く回数も多いです。後輩ともめっちゃ仲がいいので、後輩とも同期とかともご飯行ったりとかは多いと思います。

――お2人ともストレス発散方法などはありますか

榎本 私は本当に何も考えないでずっと寝てることがストレスの発散方法です。

秋重 私はあんまりストレスを感じたことはないので、ストレスを感じちゃっている時は多分食べてると思います。

――あまりストレスはたまらない方ですか

榎本 私は大変だったことがあった時にストレスとして受けとめないようにしていて、そう受けとめることでよりストレスと感じることが増えてしまうと思うので、感じないようにしていますね。

秋重 私もあまりストレスだなって思うことはなくて、後で振り返って「あれストレスやったんやな」という感じなので。ま、ストレスが溜まってたら美味しいもの食べて忘れちゃおうという感じです。

バレーボールについて

――バレーボールを始めたきっかけ

榎本 私がバレーボールを始めたきっかけは、母と姉がバレーボールをやっていてその背中を見てやろうと思ったことです。きっかけというか、もう環境からバレーボールをやる流れでやり始めたのがきっかけです。

秋重 私は多分友達に誘われて始めました。ちょっとやめそうになったんですけど、無理やり続けさせられて、今も続けています。

――バレーボールの魅力は

秋重 バレーボールの魅力はなんやろ。ちょっと待ってください(笑)

榎本 バレーボールはネットを介していて、相手と体がぶつかるような接触がないスポーツは結構珍しいのかなと思っていて。だからこそチームの中でどういうふうに思い合ってボールをつなぐかといったところが魅力だと思っています。

秋重 私も榎本さんと同じです(笑)。

――高校と比べて

榎本 特に主将・最高学年になって改めて感じたことは、高校の時も主将をやっていたのですが先生が練習試合を組んでくれたりメニューを考えてくれたりしていて、(高校では)その中でチームをまとめることだけに集中できていました。一方で、大学バレーでは学生主体というのがすごく色濃く出ていると思います。チームをまとめることプラス、チーム自体の運営といった組織的なことも大切になってくるのがやりがいでもあり大変にも感じるところというのが大学バレーかなと思います。

秋重 榎本さんと少し、というか結構かぶるんですけど、学生自主なのでチーム運営とかも部活のなかであるというのは大学に入ってから知れたし学べました。もちろんバレーの質とかも大きく違うんですけど、やっぱりそこのチーム運営とか学生が主体でやるというところは、大学と高校の大きく違ったところだなと実感してます。

――チーム運営というのは具体的にどんなことですか

秋重 例えば、私たちは練習試合の手配・試合のエントリー・ メンバー編成・練習のメニューとかチーム運営を全部、スタッフじゃなくて主務・主将・副将が回すといった感じのことをやっています。そこは高校では体験できなかったところだなと思います。

春季リーグについて

鋭いスパイクを打つ秋重主将

――春季リーグで一番印象に残っている試合は

榎本 私の中で印象に残った試合は学芸大学との一戦です。先日行われたのですが、理由としては、自分たちの中で良いプレーが出せていても、本当にちょっと気の緩んだもったいないミスで相手に圧倒されてしまった点がすごく見えた試合でした。その日から練習の中での部員の意識が変わって、もっと互いに指摘し合うような声が増えたり、練習の1分1分を大切にするという気持ちが、部員全員で底上げできるような試合だったので、負けて悔しい思いではあったのですが、チームの成長には必要な試合だったかなと思っています。

秋重 印象に残ってる試合は神奈川大学さんとの一戦です。今季は2部(リーグ)で最下位という結果になってしまったんですけど、1勝できたのが神奈川大戦で、やっぱり一番楽しくバレーできてたな、という。勝ちにこだわるのも大切ですけど、やっぱりちょっと負けてた中で(この試合は)めっちゃ全員が楽しく戦えてて笑顔も増えてて、(コート)外も中も一番フレッシュにできてました。「あ、なんかみんないい顔してるな」と試合の中で思えたので、私の中ですごい印象に残っています。

――春季リーグの総括をお願いします

榎本 私たちは今結構苦しい状況にあります。チームの中でけががちょっと多くてなかなかチームのベストの形で臨んでいる春季リーグではないです。結果がついてこない中でも、私たちの中で一戦一戦やっていて「成長しているな」と毎週感じています。今すごく苦しい我慢時ではあるのですが、春季リーグだけでなく早慶戦でも、秋季リーグにつながるように一戦一戦大切に戦っていきたいなと思っています。

秋重 春季リーグは思うような結果が出ずに、本当にいっぱいチームの課題が見つかった大会でした。ただ、「悔しい」と多分チーム全員が思えたことがまず1つ大きな糧です。かつ今のチームの現状を全員が知れて、次にステップアップしていける良い経験になったので、この気持ちを東日本インカレとか秋季リーグにぶつけられたらと思います。

――春季リーグで戦う中で、チームとしてここが成長できたなというポイントは

榎本 成長したなと思うところは「つなぎ」のところで、そこが早稲田さんのつなぎに勝ててるかちょっと分からないんですけど。現状として、(チーム内に)バコバコ決められるようなスパイカーがいない中での戦い方としては、粘り強くレシーブをするというところに春季リーグ戦でさらに磨きがかかっていると感じていて、そこが強みでもあります。チームの課題としては、逆にそのつないだ1点がもったいなくならないように、ミスを少なくすることであったり、スパイクの攻撃力を上げるといったところです。一つ春季リーグ戦で得たポイントとしては、つなぎがもっと磨かれたのかなと思っています。

秋重 私たちはサーブと、つなぎもそうなんですけど、レシーブの意識が変わったなと思います。技術はまだまだなんですけど、それに対する全員の意識レベルがめっちゃぐんって上がった気がしています。サーブがチームの強みなので、そこをもっと鍛えたいという気持ち・意識や、ブロックフォローとかディグをもうちょっと強化していきたいという現実的に結果で負けてしまった悔しさからの意識の向上が、すごい一番変わったところだなと思います。

早慶戦について

――昨年の対戦で、お互いに抱かれた印象はありますか

榎本 早稲田さんのプレーを見ていて、一緒に私もコートの中で戦っていて、全然力及ばずなんですが、1つ尊敬というか、すごいなと感じたところが、役割分担がしっかりされているなと。去年は中澤さん(恵、令5スポ卒)がいらっしゃって、秋重さんとのスパイクが威力としてはすごく目立っていて、だけどその他の周りの方々も2人に決めさせるようにレシーブをつないで、セッターも一生懸命トスを上げて、役割分担がしっかりされているからこそ、チームが崩れていないというのが印象的で、見習うことしかないなと感じました。

秋重 慶應義塾大学さんは、なんかめっちゃ粘るなと思いました。 あんまりチームとしては、1年生の早慶戦と去年の早慶戦の2回しか戦ったことがないんですけど、めちゃめちゃレシーブうまくて、「うわ。上げてくる」って思いました。

――お互いにチームとしてここは負けないぞという点は

榎本 負けないぞといったところは本当に、プレーの技術的なところではまだまだ見習えるというか、吸収できるところがたくさんあるなと思ってるので、技術的なところではないのですが、結構、私たちの代の特色として、15人がすごく会話しているチームであるということです。部員が全員で15人なのですが、それはコート内外関係なく、毎回の練習で1人1人が思ったことを、全員に聞くわけではないのですが、下級生も発言できるようにミーティングを設けています。その中で誰の意見でも上げられるようなチームなので、試合中でも、例えばほんとにタイム中であったり、セット間でもコートの外から見てくれている子がすごくアドバイスしてくれていて、その15人の頭脳プレーでできているというのが、私たちの強みというか負けないぞというふうに思いたいところです。

秋重 え、めちゃめちゃかっこよくないですか?!。「15人の頭脳プレー」ちょっと感動しちゃいました。

榎本 あ、ほんとですか。

秋重 かっこいいです。すいません。かっこいい。早稲田はそんなパワーワードはないんですけど、なんやろうな、やっぱり一生懸命さですかね。早稲田は 一生懸命頑張るというのがモットーだし、選手の体の核に絶対一生懸命というのがあると思うので、もう最後まで食らいつくとか、めっちゃ声出すとか、ちょっと当たり前なんですけど、そこはどのチームよりも一番一生懸命やってるんじゃないかなって。そこは負けないと思います。

――早慶戦のキーマンは(自身も含めて)どなただとお考えになりますか

榎本 慶応のキーマンは私が考えるに、リベロの3年生の石田莉子という選手かなというふうに思っています。3年生ながらチームの盛り上げというか声の大きな部分を担っている選手です。彼女の一戦一戦に懸ける思いが強くて、それこそ早慶戦に対する思いも強いので、打倒早稲田のため、私たちが15人で一つになるためにも、リベロの気迫あふれるレシーブや粘り強さといったところに注目していただきたいです。

秋重 私の推すキーマンは1年生の帰国子女の末木絵莉華(国教1=米国・アカデミーフォーパフォーミングアーツ)という子なんですけど、9月入学でまだバレー始めて1年も経ってないんですけど、多分早慶戦で初めて公式戦で出られる機会があると思うので、その子が入ってきてサーブ入るか入らないかは別として、入ったときにチームが大盛り上がりするしレシーブいっぱい上げたらすごい「うわー」って盛り上がると思うので、その点ではキーを担っているかなと思います。

――最後に早慶戦への意気込みをお願いします

榎本 そうですね、最後の早慶戦になるので今まで私は運よく4年連続でコートの中で戦えることにまず感謝して。その最後の集大成として日吉の方で完全有観客で行われるので、今まで支えて下さった方々に恩返しできるようなプレーをみせるといったところがまず自分の個人としての意気込みです。あとは早稲田の方に勝てるように私たちがこれまでの15人の頭脳プレーを思い切り発揮できるように、チームの主将としてまとめていきたいなと思っています。

秋重 私は3年生とか関係なく、やっぱり4年生にとっては最後の早慶戦で気持ちよく勝って終わってほしいので、悔いのないように全員が堂々とプレーできるような環境を作りたいです。また、1年生とかも普段出てない選手が出られるすごいいい機会を設けてくださったと思うので、全員が楽しく気持ちよく戦える大会にしたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 早稲田スポーツ新聞会 帖佐梨帆/慶応スポーツ新聞会 五関優太)                        

ZOOM越しにハートを作る両校主将

◆秋重若菜(あきしげ・わかな)(※写真右)

2002(平14)年10月23日生まれ。170センチ。大阪・金蘭会高出身。 スポーツ科学部3年。現在バレーボールを授業でも履修している秋重選手。普段はトスを打つ側の選手ですが授業では安定したトスを上げているそうです!

◆榎本莉英(えのもと・りえ)

2001(平13)年12月20日生まれ。162センチ。東京・青山高出身。 法学部4年。部員思いの榎本選手。バレンタインの日には名前入りのクッキーを部員全員に配っているそうです!