5月8日の江戸川大戦で勝利を収め、見事2部全勝優勝を達成した早大は、入れ替え戦に臨んだ。相手は昨シーズンに1部昇格を果たした桜美林大。拮抗(きっこう)した展開が続くも、早大らしくない惜しいミスが度重なり、あと一歩及ばず。どれも僅差でセットを落とし、セットカウント3-0(20-25、21-25、22-25)でストレート負けを喫した。
第1セットは山下日和副将(社4=千葉・市船橋)のスパイクで幕を開けた。続く山下のサーブから、いきなり神庭有花(先理4=埼玉・市浦和)のブロックポイントが飛び出し幸先の良いスタートを切ったように見えた。しかしここからなかなかブレークできない展開が続く。秋重若菜(スポ2=大阪・金蘭会)がインナーにクロススパイクを決め5-3。点差を広げたいところだが、ブロックの後ろ、レシーバー陣の真ん中に軟打を落とされる。テクニカルタイムアウト明け、相手セッターのツーアタックで13-14。秋重の攻撃力と山﨑葵(社1=岡山・就実)の守備力が光ったが、ダブルドリブルを取られたところから相手の強サーバーに押し切られ、20-25で先取された。
スパイクを打つ中澤主将
第2セットは序盤から、中澤と秋重の柔軟な攻撃に勢いづく。やわらかい球筋のスパイクをレシーバーの間に打ったり、ブロックを使ってアウトを取ったりなどして連続得点に成功。山崎もディグで攻撃陣を後押しした。6-3となって相手はたまらずタイムアウト。相手アタックミスが2本あり9-4とした。このままの勢いでセットを取り返したいところだったが、止めたボールがブロッカーとネットの間に入ってしまう「すいこみ」などブロックのミスが相次ぎ再び先行を許す。柴田羽乃香(商3=東京・お茶の水女大付)の緩めのスパイクがサイドラインに沿って一直線、エンド際のナイスコースに決まって16-17。「思いっきりやれ」と監督の声が飛び、柴田に代わって神戸彩有(文講3=長野・松本県ケ丘)がコートへ。レシーブで貢献するも、逆転できずクロススパイクを打ち込まれ、21-25でこのセットも落とした。
後がない第3セット、早大はローテーションを2つ回して臨んだ。いきなりの長いラリーで間に落とされる。次のプレーで再びダブルドリブルを取られ良くない流れに傾きかけたが、神庭がブロックで窮地を救う。以降両者一歩も引かずサイドアウトを取り合う展開となったが、ダブルドリブルやタッチネットといったミスがあり、相手の4連続得点を許して15-18。山下が1枚でパワフルなスパイカーを止め19-20とするが、相手の勢いの方が上だった。追い上げてはいたものの、自チームのミスが響いて22-25で試合を終えた。
セット間に話し合う選手たち
全勝の勢いそのままに、1部との壁を突破したかった早大。本来ならば5月中に終わっていたはずの入れ替え戦が延期となって1カ月近くの間が空き、主将の中澤が不在の時期と重なってしまったのは不運であった。しかし監督も中澤も口をそろえていうように、技術的な差というよりは、気持ちの差が命運を分けた。すぐ次週にも開幕する東日本インカレでは、1部の大学とも対戦する。ここで格上との試合に慣れ、1部を意識した練習を積んでいき、秋の昇格に向けじっくりと鍛錬する季節が始まる。
(記事 五十嵐香音、写真 平林幹太氏)
セットカウント | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 0 | 20-25 21-25 22−25 |
3 | 桜美林大 |
スタメン | ||||
レフト 中澤恵主将(スポ4=大阪・金蘭会) レフト 柴田羽乃香(商3=東京・お茶の水女大付) センター 山下日和副将(社4=千葉・市船橋) センター 神庭有花(先理4=埼玉・市浦和) ライト 秋重若菜(スポ2=大阪・金蘭会) セッター 南里和(商2=東京・女子学院) リベロ 山﨑葵(社1=岡山・就実) |
コメント
馬場泰光監督(平8人卒=京都・洛南)
――前回の江戸川戦から一か月近く空いてしまいましたが、選手たちの様子はいかがでしたか
リーグが終わった当初はいつ入れ替え戦があるかもわからない状態だったし、いつ来ても良いように準備はしていました。そうしているうちに主将の中澤が教育実習で大阪の方へ行きましたが、不在の二週間を山下がしっかりカバーして。週末に中澤が帰ってきて今日を迎えたということなので。学生はいつでも戦えるように準備できることを準備できていたと思います。
――監督自身は本日円陣に参加されていたり、熱い声掛けが見られたりしましたが、どのような気持ちで試合に臨みましたか
やはり学生がこの入れ替え戦の場を作ってくれたので。そこに自分も後押しできるようなことが何かできたら、何か今までと違うことができたらいいなという思いと、後はこの準備期間、卒業生が手伝いに来てくれていたというのがあります。その子たちは2020年度のコロナの時に4年生だった子たちです。リーグ戦や入れ替え戦とか全てなくなってしまったちょうどその代の子たちが、今回入れ替え戦に向けて手伝いに来てくれたという思いがあったので。OGのためにも、何か変わって気持ちを伝えられたらなと思いでいました。
――結果的には負けてしまいましたが、今日の試合を振り返っていかがですか
もちろん課題もいっぱいあるし、たりないこともあるし、正直やり切ったかと言われると、まだまだできたことはたくさんあったと思いますけど、1年生の子たちがちらほらチームに参加し始めたのが3月だったんですね。それからたくさん人数をかかえてやってきたことをふまえると、結果は望むものは得られなかったけれども、学生一人一人は立派な成長を遂げてくれたと感じています。
――具体的には今日の敗因や見つかった課題はどのようなことですか
今年の目標は『突破』ということでやってきましたけども、やはり今日は僅差で突破できないということがありましたし、そこが大きな課題です。それは技術だけじゃなくて、気持ちとか、つながりとか、一人一人の個の強さというものをもっと出していかないと、『突破』という目標までには届かなかったのかなと思います。
――気持ちの部分が強いということですか
そうですね。技術的には、もちろんもっともっと活躍してもらわなければいけないメンバーもいますけど、一般生で入っている柴田とかは本当にいいプレーをしてくれたと思います。
――東日本インカレが控えていますが、どのような準備をしていきますか
まだ何も考えていないですね(笑)。まあ今日が終わってからということなので。でも、日々やることも目標も変わらないし。東日本でまた1部リーグのチームと対戦できるチャンスもあるので、そこでどこまで通用するのか調整者としてやるべきことは変わらないので、1部に上がるという思いは叶いませんでしたが、ここで変にピリオドを打つのではなくて、しっかり継続して準備していきたいと思います。
中澤恵主将(スポ4=大阪・金蘭会)
――調整が難しい中で試合に臨まれましたがいかがですか
自分個人のプレーの調整は、母校に戻ってからも後輩たちや監督にも協力してもらって、結構ゲーム練習とかも量を積めていたので、体の状態とかプレーの質はよかったと思います。でもやっぱり自分が抜けたことで、チーム全体の練習ができる機会が減ってしまったり、自分がまとめてきたチームを離れてみんなが迷ってしまったり、不安な要素を増やしてしまって、申し訳なかったというところがあって。副将の山下に頼んだ分負担が大きくなってしまったので、教育実習を入れてしまってる申し訳なさだったりとかが大きかったです。離れていた分、自分の言葉はみんなに響かないと思っているので、自分はプレーで、山下は声掛けとか姿でという部分で役割分担して試合に臨んだんですけど、やっぱり結果がついてこなかった分足りなかったなと思います。夏合宿などに取り組んで、秋リーグに向けて頑張っていきたいなと思います。
――今日の試合の敗因は
このリーグ戦を通しての目標というか、特に入れ替え戦に向けての目標を立てた時に、『突破』というメインスローガンとともに粘り強さだとか、全員のまとまった勢いというのを意識して試合に臨んだんですけれども、やっぱりそこが一番足りなかったと感じています。特にプレーでいうとセッターのドリブルとか、ネットタッチ、ブロックのすいこみという部分は、個人的なミスなので。そこが出てしまうと、バレーボールのリズムや駆け引きをする上で、相手に余裕を与えてしまうので。そこをもっとつぶしていかないと、1部に上がることもできないし、上がっても戦っていくことは難しいと思うので、そこが1部でやってきたチームと私たちの差だと思います。秋は2部で勝つということで満足せずに、1部で戦う意識で厳しくやっていかなければならないと思いました。
――東日本インカレに向けて意気込みをお願いします
中央大学とは練習試合もやらせてもらってて、粘り強いチームでもあるので、粘り負けせずに秋重と山下と自分の攻撃力を生かして勝つことがまず目標です。そのあと筑波大は、すごく高さのあるチームになるので、真っ向勝負というか、頭を使わないでただ強く打つのではなくて、コースの広さやちょっとした粘り強さというところをしっかり出して相手が嫌だなと思うようにして、気持の部分で絶対に負けないように、相手に向かっていきたいなと思います。