都留文科大に敗戦するも2位で秋季リーグ戦を終え、入れ替え戦に駒を進めた

女子バレーボール

 9月15日から一ヶ月半に渡り激戦が繰り広げられてきた秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)もついに最終日。幾多のアクシデントに見舞われながらも優勝戦線に食らい付いてきた早大は、首位都留文科大と対峙した。勝者が優勝ということもあり、多くの観客に囲まれた一戦。第1セットから早大は富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院大女)と中澤恵(スポ1=大阪・金蘭会)の両エースにボールを集め、それを全員でフォローをするかたちで試合を進めた。しかしそこにはレベルの高い都留文科大が立ちはだかる。ことごとくスパイクを拾われると、逆にバリエーション豊富な攻撃で得点を重ねられた。第2セット、第3セットは競り合う展開となったが土壇場で相手に一枚上手を行かれ、セットカウント0-3(18-25、27-29、23-25)でストレート負けを喫した。

 「勝とう」「笑顔でやろう」と富澤が円陣で声を掛け始まった第1セットであったが、自陣のミスから始まると相手にブレイクを重ねられ、5-10と大きくリードを奪われてしまう。それでも、富澤と中澤にボールを集め5連続得点ですぐさま同点に追い付くと、セット中盤は互角に戦っていた。しかし、両エースのスパイクが相手ディフェンス陣に拾われ始めると、徐々に早大のリズムが崩れていく。14-15から5連続得点を奪われ再び大きなリードを許すと、自陣でのミスも重なり大差でこのセットを落とした。気持ちを切り替えたい第2セット。序盤は競り合う展開が続いた。その中でも、セッター橋本美久(社2=福島・郡山女大附)はマークが厳しい富澤と中澤以外にも、吉内文(スポ3=山口)や井上裕利惠(スポ3=岡山・就実)を効果的に使い、相手ブロッカーに的を絞らせない。すると、12-13の場面で均衡が崩れる。富澤、井上、中澤の5連続得点で17-13とリードを奪ったのだ。その5点は、井上や河治えみり(社3=北海道・旭川実業)を中心としたディフェンス陣がスパイクを拾い、中澤と富澤が得点を決める。全員で取ったその得点の先には笑顔があふれている。今秋つくり上げた『早稲田らしいバレー』が体現されていた。そのリードを保ち、24-21とセットポイントを獲得しそのままこのセットを奪うかと思われた。しかし、息を吹き返した相手の前にリズムを崩すとサービスエースで同点にされジュースに持ち込まれてしまう。立て直したい早大であったが、一度崩れたリズムは簡単には戻らず、相手にブロックアウトを取られこのセットも奪われた。

主将としてチームを引っ張った富澤

 後がなくなった第3セットは、富澤のフェイントでこの試合初めて1点目を奪った。その後も中澤のサービスエースなどで着実に得点を奪い、拮抗(きっこう)した展開の中で逆転は許さなかった。しかし、10-8から相手に4連続得点を奪われ逆転されると、植松知里(文構3=香川・高松第一)のブロックアウトなどで応戦するもさらに連続得点を重ねられ、11-15と一気に点差を4点にされてしまう。意地を見せたい早大は富澤のバックアタックを含む4連続得点で同点に追いついたが、自陣のミスで流れを断ち切ってしまうと、4連続失点で17-21と再度逆転を許した。富澤のスパイクや中澤のブロックで何とか24-23と1点差にまで詰め寄るも、最後は相手のスパイクポイントで試合終了。この瞬間、秋季リーグ戦を2位で終えることが決まった。

秋季リーグ戦では苦しみながらも最後まで得点を稼いだ中澤

 「価値のある2位」。馬場泰光監督(平8人卒=京都・洛南)が試合後に語った言葉だが、これは今回の結果を的確に表現している。昨季ブロック賞を獲得した齋藤友里(社2=千葉・敬愛学園)が留学で抜け、春につくり上げたチームを一新しなければならなかった。それにも関わらず、夏休みにけが人が続出。さらには、大会期間中も主力選手が相次いで離脱。決して万全の体制とは言えなかった。そんな中、アクシデントに見舞われるごとに柔軟にメンバーを入れ替え戦い抜いた。これは、全員で勝利をつかむ『早稲田らしいバレー』を体現できたとも言えるだろう。このような逆境の中でつかみ取った2位は『合格点』に十分に値する。しかし、まだ『満点』ではない。『満点』は、もちろん『1部昇格』ただ一つだ。笑顔満点の『早稲田らしいバレー』で『満点』の結果をつかみ取ってもらいたいものだ。

(記事 友野開登、写真 橋口遼太郎、橋本和奏)

セットカウント
早大 18-25
27-29
23-25

都留文科大
スタメン
レフト 吉内文(スポ3=山口)
レフト 井上裕利惠(スポ3=岡山・就実)
センター 富澤結花(スポ4=東京・文京学院大女)
センター 中澤恵(スポ1=大阪・金蘭会)
ライト 植松知里(文構3=香川・高松第一)
セッター 橋本美久(社2=福島・郡山女大附)
リベロ 河治えみり(社3=北海道・旭川実業)
最終結果

2位 7勝3敗

試合後笑顔で対応してくれる選手たち

個人賞

ベストスコアラー賞 富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院大女)

サーブレシーブ賞 井上裕利惠(スポ3=岡山・就実)

敢闘選手賞 富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院大女)

賞を受賞した2人。左から井上、富澤。

コメント

馬場泰光監督(平8人卒=京都・洛南)

――リーグ戦はきょうで終了となりましたがリーグ戦を振り返っていかがでしたか

春から斎藤(友里、社2=千葉・敬愛学園)が留学で抜けて、そこからチームをゼロから作り直してずっとやってきた訳ですが、開幕前に利根川(智緩、スポ4=埼玉・星野)、村山(果菜、社3=東京・国際)、河治(えみり、社3=北海道・旭川実業)がけがで離脱して、夏やってきたことが開幕からどうしようかという厳しいところから始まりました。そこから植松(知里、文構3、香川・高松第一)が怪我をしたり中澤の体調不良があったり、最後は山下(日和、社1=千葉・市船橋)の怪我があって。その中でなんとか2位で終えられたというのは4年生の力かなと思っていますので、優勝できなくて残念でしたがすごく価値のある2位だったと振り返っています。

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

きょうは相手に徹底的に拾われて、ウチの方からミスをしてしまいましたが、我々が戦える戦い方というのは精一杯できたかなと思います。コートに立ったメンバー、それから立てなかったメンバーも含めて全員で戦い抜けたというふうに思っています。

――1セット目、相手に切り返される展開、ラリーも続いた中で点差が広がって落としてしまいました。1セット目を振り返ってください

ウチは打つ場所は決まっていますし、そこで相手にうまく対応されてそれを乗り越えられなかったというのは力不足でした。

――2セット目は終始リードした状態で試合が進みました。1セット目が終わった際にどのように声がけをしていたのですか

ここまで来たのは学生の力ですし、私は特に何か言うこともなく、学生に任せました。2セット目負けたのは僕のタイムアウトが1点遅くなってしまったので終盤3点差の部分でタイムアウトを取ってあげれば2セット目は取れたのかなと反省しています。本当にこれは学生に対してすごく申し訳ない事をしたなというふうに思っています。

――都留文科大学は選手層も厚く、色々な事をやってくるチームでした

本当に素晴らしいチームです。我々は1セットも取ることができなかったので、本当に素晴らしいチームでした。そのチームの胸を借りて我々も一緒に成長できたと思っています。

――3セット目は少し変化を加えた部分もありましたが、ここも選手に任せてという所だったのですか

富澤(結花主将、スポ4=東京・文京学院)が中心でやっていますので、早稲田の4年生、主将として素晴らしい姿を見せてくれましたし、ベンチでは高木(万莉子主務、政経4=東京・東洋英和)がしっかりマネジメントしてましたし、サブコートでは飯田(友美副将、商4=長野・諏訪清陵)がしっかり声をかけていたし、それから外からにはなりましたが利根川がアナリストの立場でコーチに指示を出してくれたので、本当に素晴らしい4年生の活躍だったと思います。

――リーグ戦の中で怪我人も出て流動的になった部分もありました。チームの編成についてはどのように考えていましたか

ウチは元々、山下がいる時から富澤と中澤(恵、スポ1=大阪・金蘭会)と山下で得点を稼ぐやり方でやってきたのでそこは変えないでローテーションだけ組み直すということでしたし、2人に打たせるためにはレセプションがあったりつなぎがあったりということなので、全員でやった結果だったというふううれしいに思います。

――入れ替え戦に向けて一言お願いします

もうやれる事は限られていてきょうの戦い方しかないので、それがどこまで通用するのか、こちらからミスをしないように精一杯戦い抜きたいと思います。

富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院大女)

――リーグ戦を終えられて率直な感想を聞かせてください

けががあったり病気があったりすごい苦しい状況ではありましたが、みんなの力が1つになった試合も多くて結果的に2位にもなれたし入れ替え戦にも進めたので良かったなと思います。

――きょうの試合はいかがでしたか

スパイクを打っても打っても決まらなくて強いなというのを感じました。また、勝ちたいなという思いはありましたが1番大事なのは来週だなという気持ちもあって、もう少しこう戦おうという明確な目標があればきょうの戦い方が変わったかなという反省も出ました。

――試合前の円陣ではどのような言葉を掛けられましたか

あれはいつもその時思ったことを言っているんですよ(笑)。でも、「勝とう」とか「笑顔でやろう」とかを言ったと思います。

――きょうのご自身のプレーはいかがでしたか

ちょっとトスと合わなくてスパイクも決まらず気持ちも切れそうになりましたが、次の入れ替え戦の相手はもっと厳しくマークを付いてくるだろうしもっと決まらない展開も多くなると思うので、その時にどうするのかを工夫しないといけないと反省しています。

――ベストスコアラー賞を取られましたが、その点についてはいかがですか

本当にびっくりしました。素直に「あ、うれしい」と思いました(笑)。

――入れ替え戦へ向けて一言お願いします

1週間しかないので調整するのが難しいとは思いますが1日1日を大切にして、この1週間勝利に向けて対策立てたり気持ちを上げたりやらなければいけないことはいっぱいあるので、1つ1つ集中して丁寧にやっていきたいと思います。

井上裕利惠(スポ3=岡山・就実)

――リーグ戦を終えた率直な感想を教えてください

優勝するのが目標だったんですけどそれが最後負けてしまったのですごく悔しいんですけど、入れ替え戦の切符は取れたので来週は絶対勝つという気持ちで臨んでいきたいと思います。

――きょうの試合を振り返っていただけますか

きょうの試合は相手の喜ぶ声だったり勢いだったりにやられてしまった部分があったので、そうなった場面でも自分たちは打つ人が限られているので、もう少し周りがブロックフォローをしてもっと粘り強いバレーができたら良かったかなと思います。

――きょうはスパイクが何本か決まっていましたが、攻撃に参加しようという気持ちはありましたか

どうしても結花さん(富澤、スポ4=東京・文京学院大女)とめぐ(中澤恵、スポ1=大阪・金蘭会)に2枚最初からついてしまっていたので、タイムの時とかも監督とかコーチとかが前半はもっと救っていけという話があったので自分にしっかり呼んで上がってきたら打ち切ろうと思っていました。

――ご自身の守備を振り返っていかがですか

この秋からレフトバックに入ってやっているんですけどまだまだ拾いきれていない部分が多かったので、この1週間その練習をして入れ替え戦では絶対クロスを落とさないように頑張りたいと思います。

――サーブレシーブ賞を受賞されましたが、それについてはいかがですか

うれしいです。サーブレシーブの調子がいいと全体的な調子も上がってくるという大事な自分の中のプレーなので、そのプレーで賞を取れたのはすごくうれしいなと思います。

――入れ替え戦に向けての意気込みをお願いします

入れ替え戦絶対勝って一部に上がって4年生への恩返しができるように頑張りたいと思います。

中澤恵(スポ1=大阪・金蘭会)

――リーグ戦を終えてみて率直な感想をお願いします

全体的にいうと途中で自分が体調を壊してしまって周りに助けられた部分もありました。春とポジション的に変わった部分が多くてそれに対応するのが少し遅くて前半苦しんでしまったのが後半に自分たちの足を引っ張ってしまったなと思います。リーグ戦は終わってもまだ入替戦があるので一週間詰めていきたいです。

――きょうの試合を振り返っていただけますか

都留文科大学のレシーブ力であったり全員が攻撃できるようなバレーボールをしてくる中で自分たちのプレーが限られてしまう苦しい場面で自分がミスしてしまうことやいらないミスが出てしまいました。なのでそこも詰めていけるようにすることやセルフコントロール、自分の気持ちを自分でコントロールできるメンタルを持たないとチームの一点がほしい時に決められる人にはならないと思うのでそこは練習でどうにかすることではないと思うのでそういうところを高めていけるようにしたいです。

――入替戦に向けて意気込みをお願いします

自分がもし1部だったらということを考えた時に2部のチームの勢いとか嫌だなと思ったりするので2部として失う物がない中で思いっきり戦っていくことが大事だと思うのでビビらずしっかり自分の出せる部分を出して勝ちにこだわっていきたいと思います。