念願の勝ち星には手が届かなかった。秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)、初戦の相手は春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)で2位の東海大。試合開始後は早大ペースであったが、1セット目の中盤でエース・及川香菜(スポ4=宮城・古川学園)がプレー中のけがで途中退場を余儀なくされる。窮地に立たされるも、チームプレーで第1セットを死守。しかし第2セットを奪われると試合の主導権は東海大に移り、その後は勝機を見出せないまま試合終了。ゲームカウント3-1(27-25、22-25、17-25、13-25)で秋季リーグ戦は黒星発進となった。
秋季リーグ戦の初戦の相手は強豪・東海大とあっただけに、早大の気合は十分であった。試合開始後はブロック・レシーブの関係、そして強烈なスパイクが機能し互角の戦いを見せる。しかし第1セット15-15、及川が16点目となるスパイクを相手コートに叩き込んだ時、事故が起こってしまう。及川はひざを抱え、立ち上がることが出できなくなってしまったのだ。エースがいなくなるという危機的状況に対し、チームの心は一つに。「やるしかない」。すると森佳央理(スポ2=群馬・高崎女)を中心として加納茉未副将(社4=北海道・札幌大谷)、富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女)の多彩な攻撃が光る。また守備でも中川知香(スポ3=神奈川・橘)が確実にボールを拾い、デュースの末第1セットを制した。
森のスパイクを中心に攻撃を組み立てた
続く第2セットも早大の勢いは変わらない。シーソーゲームで6-6まで進めると3連続得点を許してしまうが、その後も粘りの姿勢を見せる。及川のポジションに入った浅野泉里(文2=岐阜)がチームの動きに合い始め、また加納、佐藤夢菜(文4=埼玉・狭山ヶ丘)の高身長ブロックが効果を発揮し、17-17の同点にまで追いつく。しかしその後は自分たちの反則や、セッターとアタッカーのタイミングが合わない場面が見受けられ、また相手のサーブに対応し切ることができず、第2セットは明け渡すこととなった。続く第3セットからは完全に試合の流れを東海大に持って行かれてしまう。今試合比較的多くのボールを集められた森がスパイクを決めるも、早大側のミスが重なり差を縮めることができない。第3セットを失った後も嫌な流れは変えられず、終盤は7連続失点を許し第4セットも落としてしまい、試合は終了した。
加納・佐藤のブロックが威力を発揮した
エースの及川、また今試合を欠場していた平山璃菜主将(スポ4=東京・文京学院大女)がいない状況で1セットを獲得したのは早大の成長の表れである。しかし、このようなメンバー構成は今後も続くかも分らない。「やるしかない」――秋季リーグ戦が始まったいま、残された選手にはきょう以上の活躍が求められる。次戦の相手は春季リーグ戦で早大が白星を挙げた青学大。危機的状況ではあるが、ここでチームの地力を見せ、勝利することが大切になってくる。
(記事 鎌田理沙、写真 越智万里子、藤原映乃)
セットカウント | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 1 |
27-25 22-25 17-25 13-25 | 3 | 東海大 |
スタメン | ||||
レフト 及川香菜(スポ4=宮城・古川学園) レフト 富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女) センター 佐藤夢菜(文4=埼玉・狭山ヶ丘) センター 森佳央理(スポ2=群馬・高崎女) ライト 加納茉未(社4=北海道・札幌大谷) セッター 芹澤友希(スポ3=茨城・土浦日大) リベロ 中川知香(スポ3=神奈川・橘) |
コメント
加納茉未(社4=北海道・札幌大谷)
――開幕戦ということで、チームの状況は
誰が出てもどういう状況でも、やることは1つだと思っていたので、良い状況で(試合に)入ることが出できたと思います。チームの士気も上がって盛り上がっていました。
――加納選手はスタメン出場でしたが、お気持ちは
とにかくチームのために、自分にできることを精いっぱいやろうという気持ちでした。
――加納選手はたびたび、16番の飯田友美(商1=長野・諏訪清陵)と交代していましたが、それはどのような意図でしょうか
レフトのスパイカーを前衛に上げて、レシーブは堅実な3枚で確実に上げることで攻撃につなげる意図が一番大きいと思います。
――チームの状況は良かったところで、及川香菜選手(スポ4=宮城・古川学園)が第1セットの途中で、けがで退場しました
彼女は1年生のころからコートに立ってきて、思いも強いですしエースとして頑張ってきてくれていたので、けがで抜けてしまうのは私も悔しかったです。ですがそれだけ彼女が背負ってきたものを無駄にしてはいけないと思って、切り替えてやろうとチームに言いました。
――及川選手が抜けてしまった第1セットの途中から第2セットまで、早大はかなりいい流れで試合を進めていました
キャプテンも、エースもコートにいないという状況でも、1人1人がもう1つずつ頑張ろうということを意識できて、良い雰囲気でできたと思います。
――対照的に第3セットからは東海大に押されてしまう場面が増えてきてしまいましたが、それはなぜでしょうか
私自身もそうだったのですが、大事なところでのサーブミスでいまいち流れをつかみきれなかったです。私たちの武器はサーブで攻め、ブロックでワンタッチを取り、流れを作ることだと思うのですが、それが3セット以降上手く機能しなかったので、そこが敗因だと思います。
――早大のブロックとレシーブはいかがでしたか
やはり流れの良かった1,2セットはブロックとレシーブの関係というのがはっきりできていたと思うのですが、流れを持って行かれてしまった3,4セット目は一歩ずつずれてしまっていたり、ブロックを前に出すことやレシーブをもう1本粘るなど今までできていたことが上手く出できていませんでした。それが原因で受け身になってしまっていたと思います。
――歯車がかみ合っていない場面も見受けられましたが、焦りなどはありましたか
相手に対応されてきて、限られたメンバーでやるしかないということだったのですが、その中で自分たちがやらなければいけないことができない状況を上手く立て直すことができなかったのだと思います。
――ではあしたの青学大戦に向けて意気込みを
初戦は負けてしまったのですが、東海大学に1セット取れたというのはこの夏積み上げてきたことが成果として出てきた証拠だと思うので、そこは自信に変えて、自分たちの流れを引き寄せられるようなプレーをしたいです。
芹澤友希(スポ3=茨城・土浦日大)
ーーまず、開幕戦でしたがいかがでしたか
4年生にとって秋リーグ(秋季関東大学女子リーグ戦)は最後だしチームでやるリーグ戦も最後なので本当に緊張したんですけど勝ちに行こうという気持ちできょうは臨みました。
ーーきょうの試合ではアクシデントもありました
正直に言うとすごく驚いていてこれからどうしようという不安もあるんですけど、これまで夏の合宿やトレーニングなどに一緒に取り組んできた仲間と全員で勝ち抜くという気持ちは変わりません。そういったアクシデントのあった先輩のためにも勝ち抜きたいと思いました。
ーーご自身のトスワークはいかがでしたか
やってないメンバーでやる状態で森(佳央理、スポ3=群馬・高崎女)や富澤(結花、スポ1=東京・文京学院大女)が頑張ってくれたので、そこにトスを集めてどうにかしてでも1点でも多くとろうという気持ちでいました。
ーー森選手にボールが集まっていましたが、それは作戦通りということでしょうか
森も調子が良かったし、自分たちにとっても森がエースという状況なのでそこでなんとか(失点を)切ろうと思って託しました。
ーー3セット目くらいからアタッカーとトスのタイミングが合わないなという場面も見られましたが
自分自身、いろいろあってあっぷあっぷになってしまって緊張してしまって、途中自分のトスが悪かったのでそこは修正して合わせて行きたいと思います。
ーー1セット目2セット目、しっかり攻めていて、チームの雰囲気も良かったと思います
アクシデントがあって、でも勝ちに行こうという全員の気持ちがコートに表れたのかなという試合でした。
ーー3セット4セット目は東海大の強さが光っていたと思いますがいかがでしたか
1点でも多くという気持ちはあったんですけど歯車が合わなかったりというところがあったのでもう一度そこを見直してあしたに向けて頑張りたいと思います。
ーー青学大戦はどう戦っていきたいですか
自分たちは人数が少なく限られているので、そこで崩れることなく自分たちが夏にやって来たことを発揮できれば良いなと思います。しっかり1本目をあげるとか、コンビから早い展開を作るなどの積み重ねてきたことを出していきたいと思います。
森佳央理(スポ2=群馬・高崎女)
ーー秋季関東大学女子リーグ戦が開幕しましたがいかがでしたか
開幕戦ということでみんな意気込んで気合いも入って試合に臨んだんですけどアクシデントもあって。でもその分ではないけれどすごい団結して戦えたんじゃないかなと思います。
ーー夏休みの間はどのような事を練習されましたか
やはりセンターの決定力がそんなにない事が課題で、またブロックも課題だったので、最後に決めきる練習と、ブロックの練習と、5セット戦い抜く体力をつけるために走り込みなどをしました。
ーーきょうの東海大戦にはどのような対策で臨みましたか
相手のビデオを観て相手の打ってくるコースなどを事前に観て臨んだんですけど、やはり試合になると相手も同じようにはやって来ないし、こちらも連続失点を取られると気持ち的にも攻められなくなってしまう場面が多かったので、そこは今後のリーグ戦の課題になるかなと思います。
ーー1セット目2セット目は食らいついて良い試合をしていましたが
4年生の及川さん(香菜、スポ4=宮城・古川学園)がけがをしてしまって、全員がコートの中でももうやってやるしかないという気持ちだったと思うのでそこがプレーに出たのではないかと思います。
ーー3セット目、4セット目は東海大に離されてしまう場面がありましたが考えられる原因などはありますか
相手のサーブがすごく攻めていて、粘って粘ってレシーブ上げてくれているんですけど最後に決めきれないという部分と、長い連続失点を切った後のサーブミスが目立っていたところだと思います。
ーー森選手自身、中心となって得点を決めていましたが
アタッカーが1枚けがしてしまったなかで、レシーブする人、打つ人という役割が分担されてたと思うんですよ。リベロは集中して上げてアタッカーは決めきる、アタッカーも少ないですし。そういうのもあって自分の役割が明確になっていたし、やってやるしかないという感じでした。
ーーブロックとレシーブの関係が良く粘り強いゲームを展開できていたと思いますが、それも役割が分担できていたからでしょうか
夏にブロックが課題になってブロックの練習、ブロックとレシーブの兼ね合いなどを中心的にやって来たのでそのような練習が成果として出たのかなと思いました。
ーー雰囲気は全体的にいかがでしたか
雰囲気はすごく良いと思います。応援も一丸となってサポートしてくれる子も全員1つになって戦えているかなと思いました。
ーー最後にあすの青学大戦に向けて意気込みをお願いします
リーグ戦の中でも何個が勝たなくてはいけない試合があると思うので、あしたはその一戦だと思うし相手も絶対その気持ちでいると思うので、その気持ちに負けないくらいのガッツを見せてプレーしたいと思います。