及川香菜(スポ4=宮城・古川学園)の放った打球が、コートの外に落ちる。鳴り響く試合終了のホイッスル。待ち焦がれた歓喜の1勝は、またしてもあと一歩のところで幻に終わった――。宇都宮大との一戦はフルセットまでもつれる激しい展開に。スパイクの応酬に打ち勝つことはできず、セットカウント2-3(21-25、30-32、26-24、25-21、13-15)で惜敗。開幕3連敗という厳しい現実を突きつけられた。
「相手がどこであろうと、春リーグの9試合のうちの1試合」(平山璃菜主将、スポ4=東京・文京学院大女)。平常心を保ち試合に臨んだ早大であったが、1部に昇格したばかりの宇都宮大を前に意識せずにはいられなかった。勝利への焦りは第1セットから露呈する。初スタメンのルーキー富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女)が得点を量産し試合の主導権を握りながらも、追いつかれた終盤でサーブレシーブのミスを連発。手痛い失セットを喫した。第2セット、相手の徹底されたレフト攻撃を止めることができない。ことごとくブロックの間を抜かれ、両チーム30点を超える緊迫のラリー戦を落とす。それでも、諦める者はただ一人としていなかった。
ルーキー富澤の鋭い攻撃
第3、4セットではセンター線の攻撃が機能する。森佳央理(スポ2=群馬・高崎女)のクイックと佐藤夢菜(文4=埼玉・狭山ヶ丘)の移動攻撃で流れを引き寄せると、粘り強いレシーブも光りセット連取に成功した。熱気に満ちた、応援団や観客、ベンチメンバーからの大声援。「みんなついてるよ、みんな応援してくれてるよ」。最終セットを前に、平山はそんな言葉で仲間を鼓舞した。するとこのセット、ここまで苦しんでいた平山が積極的にスパイクを打ち相手コートを脅かす。各選手に疲れが見られる中、チームを一身に背負い戦う主将の姿は頼もしかった。しかし、思いは届かず。最後は及川のスパイクミスで15点目を受け渡し、約3時間の死闘に終止符が打たれた。
主将の意地を見せた平山のスパイク
この日特に活躍が目立ったのは、初のフル出場を「若さでなんとか乗り切った」と振り返る富澤。チームにとってプラス要素ではあるものの、下級生に頼ってばかりではいられない。苦しい場面で4年生が存在感を発揮することができれば、おのずと結果はついてくるはずだ。あまりにも遠すぎる1部での1勝。それを手にした日、努力は報われ、雪辱は果たされる。その日を信じ、残る6戦を戦い抜く。
(記事 川浪康太郎、写真 鎌田理沙、喜田村廉人)
セットカウント | ||||
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早大 | 2 |
21-25 30-32 26-24 25-21 13-15 | 3 | 宇都宮大 |
スタメン | ||||
レフト 及川香菜(スポ4=宮城・古川学園) レフト 富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女) センター 佐藤夢菜(文4=埼玉・狭山ヶ丘) センター 森佳央理(スポ2=群馬・高崎女) ライト 平山璃菜(スポ4=東京・文京学院大女) セッター 芹澤友希(スポ3=茨城・土浦日大) リベロ 中川知香(スポ3=神奈川・橘) |
コメント
平山璃菜主将(スポ4=東京・文京学院大女)
――きょうの相手は1部に昇格したばかりの宇都宮大でしたが、意識した部分はありますか
2部から上がってきたチームではあったのですが、自分たちは1部では下位のチームだし挑戦者という気持ちを忘れずに、相手がどこであろうと春リーグの9試合の内の1試合だということで臨みました。ですが、相手も絶対に落とせない試合だったと思うし、この試合を落としたのは大きいです。
――第1セットは序盤リードしながら落としてしまいました
監督からも言われたのですが、どこか勝たなければいけないと力が入ってしまいました。後輩は自分たちの仕事を全うしてくれている中で4年生が最後決め切れないというところが課題だと思います。
――第2セットはジュースまでもつれる激しい展開となりましたが、振り返って
普段の練習でジュースを想定した練習をしていないということもあるのですが、あそこを取り切れれば勝てただろうし、あの競った場面で自分たちが取り切れないというのは課題だと思います。
――その後フルセットとなり、第5セットはどんな心境で戦っていましたか
3、4を取って流れは自分たちに来ていたし、15点という中で出だしが大事だという意識で臨んで応援団もあれだけ応援してくれていたので、「みんなついてるよ、みんな応援してくれてるよ」という話をして臨みました。
――第5セットで打数が増えましたが、そのあたりはいかがですか
やはり最後は4年生が決めるしかないと思っていたのですが、最後呼びきれませんでした。レフトの及川(香菜、スポ4=宮城・古川学園)を含め4年生が決めなければというところだと思います。
――最後まで相手のレフトを止めることができませんでしたが、その点については
相手はセンター線がほとんどなくてレフト、レフトという単調な攻撃でしたが、それに対して修正するのが遅かったです。4、5セット目でようやくブロックでワンタッチを取れるようになったのですがレシーブが上がらず、最後までレフトにやられてしまったという印象です。
――高校の後輩でもある富澤結花選手(スポ1=東京・文京学院大女)の活躍はどう感じていますか
本当に頑張ってくれていると思います。いい意味で遠慮がなく自分のプレーを全うしてくれるし、声も出してくれるし、チームを活気づけてくれていると感じています。
――次の試合への意気込みを聞かせてください
次の試合は一週間空くので、この一週間でもう一度自分たちを見つめ直して残りの6戦をしっかり戦い切れるように前を向いて頑張りたいと思います。
佐藤夢菜(文4=埼玉・狭山ヶ丘)
――きょうの試合を振り返って
2セット取れたっていうのはチームとしても個人的にもよかったと思うのですが、やはり4年生として自分が何ができたかっていうと、チームのためにできたことは少なかったかなと思います。やはり私は技術的なこととかがうまいタイプではなくて、周りに結構助けてもらってる部分が多いです。それはもちろん改善していかなければいけないし、その中で声を出すだとか、誰よりもチームを盛り上げるだとか、そういうところがまだまだ足りていないと思いました。
――ブロックの調子が良さそうでしたがそれについては
ブロックポイントが出たのは良かったのですが、それまでの過程が良くなかったです。やっぱり自分がいくらブロックできたとしても、後ろがやりやすいブロックでなければ意味がありません。相手のレフトに何本も決められてしまったのは私の責任なので、やはりそこはしっかりと練習でやっていきたいと思います。
――相手のレフト攻撃への対応については
レフト攻撃は私が全然対応できなくて、チームの約束事を決めたとしてもそれに対応することができずに何点も取られてしまったので、そこは課題だと思います。
――移動攻撃が何本か決まっていましたがそれについては
今まで攻撃の課題としてセッターに合わせてもらってずっと取り組んでたことなので、それが今までの試合よりも決められたということは、すごい良かったと思います。
――今後への意気込みは
4年生としてチームを引っ張る立場にあるので、声で引っ張るとか、気持ちで引っ張るというのはもちろんですが、プレーでも引っ張れる選手になれるようにしっかり練習に取り組んでいきたいと思います。
富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女)
――きょうの試合を振り返って
勝ちたい試合でした。ストレートの3-0で負けなくて良かったとも思うのですが、やはりきょうの試合はちゃんとストレートで勝ちたかったし、チームに課題が残った試合なのではないかと思います。
――課題というと具体的には
個人的には最後決められる力がチームにないと思います。なのでそこをちゃんと決められるように頑張りたいです。
――富澤選手はスターティングメンバーに選ばれたのは今試合が初めてですが
頑張ろう、という感じでした。
――きょうはフル出場、そしてきのうに続く連戦で疲労もかなりあったと思います
相手のチームも含め、コートに入っている選手の中で私が1番若いので、とにかく1番動いて頑張らなくてはいけないと思っていました。なのですごい疲れはあったと思いますが、若さでなんとか乗り切ったという感じです。
――今回の試合は早大がリードして、それに追い付かれないように逃げるといった、いつもと違う展開でしたが
先に得点を入れた時でも、やはり連続失点して相手に追いつかれるという場面が本当に目立ったと思います。そこもチームとの課題だと思います。もっと連続失点をなくすことができる試合展開がしたいです。
――逃げ切らなければいけない場面で、他の選手に焦りなどは見られましたか
すごくあったと思います。
――それを感じた瞬間は
やはり2本3本やられた時に、1本じゃ決まらないのに1本で決めようという気持ちがみんなありました。それで焦って決まらない、空回りした部分がたくさんあったと思います。
――富澤選手はスパイクレシーブをよくされていましたが
相手に動かされたというか、そういうことがたくさんあったと思うので、もう少しちゃんと見極めて、レシーブを頑張りたいと思います。
――フルセットになることが決まり、第5セットが始まる前の心境は
(第5セットは)15点までというのを、試合やっている中で「あ、そうだったんだ」と思ってスタートを頑張らなければと思ったのですが、スタートが弱いな、という感じです。
――次の試合に向けての意気込みを
平日練習を頑張るということをチームで話していたので、まず次の試合までの平日練習をしっかり頑張りたいです。ちゃんと今度は勝てるように、フルセットでもしっかり勝ちにつなげられるように頑張りたいです。