努力が実を結び、悲願の1部昇格を成し遂げる

女子バレーボール

 待ちわびた歓喜の瞬間が訪れた。春季関東大学2部リーグ戦を制した早大。5季ぶりの1部昇格を懸けて、国士舘大との入替戦に臨んだ。今季の早大の特徴であるブロックとサーブが機能すると、ライトの平山璃菜(スポ3=東京・文京学院大女)を中心に得点を重ねる。セットカウント3-0(25-21、25-23、25-21)のストレートで下し、悲願の1部昇格を果たした。

 再びあの場所へ――。選手たちはやや緊張した面持ちで、それでも時折笑顔をのぞかせて公式練習に臨んでいた。この試合を一目見ようと、会場に詰めかけた大勢の観客。応援席が特設され、両校の選手に向けて声援が飛び交う。コートは異様な熱気に包まれていた。「ピーッ」。試合開始を告げる主審の笛。平山がライトからスパイクを放ち、この試合の最初の得点を挙げた。早大は序盤からサーブで相手を崩し、10-4と6点をリードする。しかし、相手の変化に富むフローターサーブに対応できず、5連続失点。点差を縮められ、接戦に持ち込まれてしまう。だが、佐藤夢菜(文3=埼玉・狭山ヶ丘)のサーブで再び主導権を握ると、次第にリードを広げてこのセットを取った。

要所でスパイクを決め、チームに大きく貢献した平山

 第2セットは序盤からスパイクが拾われ、リードを許す展開になる。しかし、佐藤のブロックや相手のミスで点差を縮めると、終盤まで接戦を繰り広げた。平山が要所で強打やフェイント、ブロックを決めると、最後は唐木沙彩主将(スポ4=千葉・柏井)がスパイクを放つ。2セットを連取し、1部昇格に王手をかけた。迎えた第3セット。トスやスパイクでミスが出て、7-12と5点をリードされる。だが、及川香菜(スポ3=宮城・古川学園)がブロックアウトで得点を重ねると、ブロックでプレッシャーをかけて相手スパイカーのミスを誘った。試合は接戦となり、24-21。そして、ついにその瞬間が訪れた。及川がサーブレシーブし、ボールはセッターの芹澤友希(スポ2=茨城・土浦日大)の下へ。早大に関わる全ての人の思いが詰まったトス。託したのはこの日の最初の得点を挙げた平山だった。右腕を振り抜き、ボールがコートに落ちる。その瞬間、選手たちは拳を高く突き上げた。

5季ぶりの1部昇格が決まり、喜ぶ選手たち

 「やっぱりみんなの頑張りがかたちになったという瞬間なので、とてもうれしいです」。吉田千絵監督(平10教卒=岡山・就実)は興奮冷めやまぬ様子で、このように心境を語った。長かったここまでの道のり。昨年は入替戦に進出することすら叶わなかった。しかし、今季は2部リーグ戦優勝、1部昇格を果たし、選手たちの不断の努力が実を結ぶ。苦難のときを経て手にしたこの勝利は、早大女子バレーボール部の歴史においても大きな価値のある一勝と言えるだろう。「1部でも勝てるチームになりたいと思います」(唐木)。『結束力』でさらなる高みへ。

(記事、写真 渡辺新平)

早大女子バレーボール部

セットカウント
早大 25-21
25-23
25-21

国士舘大
スタメン
レフト 唐木沙彩(スポ4=千葉・柏井)
レフト 及川香菜(スポ3=宮城・古川学園)
センター 佐藤夢菜(文3=埼玉・狭山ヶ丘)
センター 関根早由合(スポ4=神奈川・橘)
ライト 平山璃菜(スポ3=東京・文京学院大女)
セッター 芹澤友希(スポ2=茨城・土浦日大)
リベロ 中川知香(スポ2=神奈川・橘)
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コメント

吉田千絵監督(平10教卒=岡山・就実)

――1部昇格が決まりましたが、いまのお気持ちをお聞かせ下さい

うれしいですね。やっぱりみんなの頑張りがかたちになったという瞬間なので、とてもうれしいです。

――きょうはサーブもブロックも良かったと思いますが、振り返ってみていかがですか

前半はサーブで崩せず、逆に相手に崩される展開だったので、途中でタイムの時にもう一度サーブで攻め直そうという指示をしました。その後、うまくサーブで攻めきることができました。やはりブロックがイマイチというか、しっかり押さえるところと拾うところの関係・連携がうまくできていなかったところが今後の課題だと思っています。

――きょうの試合で特に良かった選手は誰でしょうか

みんな頑張ってましたね。それでも、なんだかんだいって平山(璃菜、スポ3=東京・文京学院大女)がライトの良いところで決めてくれたので、セッターとしてもチームとしても助かったポイントだと思います。

――今季のリーグ戦を通じてどのような点が良かったとお考えですか

最初はやはり緊張し、勝たなくてはいけない、1部に上がらなくてはならないという心理が働いてしまって固かったです。それでも、ゲームを積み重ねていくうちに勝負強くなりました。先に走られる展開というのも多々ありましたけど、何とか食いついていこうというところ、個々が強くなったところだと思います。

――今季からレギュラーに定着した芹澤友希選手(スポ2=茨城・土浦日大)についてはいかがですか

いや、まだまだセッターとしては50%くらいだと思っています。ですが、昨年の黒木(麻衣、平27スポ卒=現柏エンゼルクロス)が抜けて、一人新しく入ったというプレッシャーは下級生でもあり相当なものだと思います。そういった面では昇格させたセッターなので自信を持っていいですし、良く頑張ったと思います。

――1部に向けて意気込みをお聞かせください

まだまだ発展途上のチームなので、詰める練習をしていく点というのは多々あります。今後もチャレンジャー精神を持って頑張っていきたいと思います。

唐木沙彩主将(スポ4=千葉・柏井)

――1部昇格おめでとうございます。いまのお気持ちをお聞かせ下さい

ありがとうございます。今はうれしいのですが、実感がなくてほわっとしてる感じです(笑)。

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

押されたところもあったのですが、勝ち切れたというところは良かったと思います。監督にも言われた通りまだまだ詰められるところもあるので、オフ明けにしっかり頑張っていきたいと思います。

――きょうは二段トスが上がる場面が多かったですが、ご自身のスパイクを振り返ってみていかがですか

きょうはとりあえず倒れてもいいから最後まで打とうと思っていたので、全部は決められませんでしたがそこそこだったと思います。

――きょうはサーブもブロックも良かったと思いますが、振り返ってみていかがですか

良かったとは思いますが、リーグを通した中では良かったゲームだとは言えないので、そこはまだまだ修正できるかなと思います。

――今季のリーグ戦を通じてどのような点が良かったとお考えですか

リーグを通して成長するという点が、ことしはすごくできて良かったと思います。

――具体的にはどのような点でしょうか

チームの結束力もリーグで成長できましたし、強みのサーブとブロックも通用するということが分かったのでそこが良かったと思います。

――いまのチームの課題はどのようにお考えですか

サーブで攻めきれなかったときにブロックが機能しなかったり、キャッチで崩れてしまったときに決めきれなかったり、二段を上げられなかったりするところが課題です。

――1部に向けて意気込みをお聞かせください

夏でしっかりとチームを作って、1部でも勝てるチームになりたいと思います。

芹澤友希(スポ2=茨城・土浦日大)

――1部昇格おめでとうございます。いまのお気持ちをお聞かせ下さい

ありがとうございます。まず一つの目標として1部昇格というのをチームとして決めていたので、すごくうれしいです。

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

自分たちの強みであるサーブとブロックが出ていて良かったと思います。ただ、自分に課題があるなと感じた試合でした。

――具体的にはどのような課題でしょうか

大事なところでスパイカーに決めさせるトスを上げられたら良かったのかなと思います。

――今季のリーグ戦を通じ、ご自身のプレーでどのような点が良かったとお考えですか

ライトのコンビというものがリーグ当初に比べて、自信を持って上げられるようになりました。

――今季からレギュラーに定着されましたが、プレッシャーはありましたか

昨年のセッターを追い越せという気持ちでやってきたので、まだまだ足りないところはありますが、自分に自信を持って頑張れました。

――チーム全体としてどのような課題があるとお考えですか

サーブとブロックという話をしましたが、それもまだ詰めていけるところがありますし、決定力の高いコンビを作っていきたいと思います。

――1部に向けて意気込みをお聞かせください

ただ1部に上がるだけではなくて、そこで勝ち切れるようなチームを作っていきたいと思います。