1カ月にわたって行われた春季関東大学2部リーグ戦もいよいよ最終戦。リーグ入れ替え戦(入れ替え戦)への1位通過を懸け、松蔭大との白熱した試合が繰り広げられた。早大は先に2セットを先取されるが、第4セットを取り返しフルセットに持ち込む。勢いそのままに最終セットも奪い、セットカウント3-2(27-25、18-25、24-26、25-21、15-9)での勝利。通算成績9勝1敗の2部リーグ1位で、30日に行われる国士舘大との入れ替え戦に臨む。
勝とうが負けようが、入れ替え戦進出は両校ともに決まっている。この試合は、入れ替え戦に1位で臨むか2位で臨むかを決める順位決定戦。しかし、ただの順位決定戦とは思えないような空気が会場には確かに張りつめていた。第1セットは連続得点の取り合いが続き、終盤まで互いになかなか主導権を握れない。23-23の場面で及川香菜(スポ3=宮城・古川学園)の放ったスパイクはアンテナに当たってしまい、セットポイントは松蔭大へ。追い詰められた場面でトスは再び及川に上がる。ここでスパイクを決めジュースとすると、勢いで押し第1セットを先取した。
指揮官の期待にも応え、存分の働きを見せた平山
その後も白熱したラリーが続く。早大はリベロの中川知香(スポ2=神奈川・橘)を中心にスパイクレシーブを上げ攻撃につないだ。アタッカーたちもコートに突き刺す勢いでスパイクを放つが、なかなか床に落ちることはない。まさに意地と意地がぶつかり合い。会場からは、そのワンプレーごとに歓声が上がった。どちらもサイドアタッカーを中心に攻めていくが、早大はエースの唐木沙彩主将(スポ4=千葉・柏井)の調子が上がらず、ポイントを稼げない。徐々に松蔭大に流れが傾き、その後の2セットを立て続けに奪われてしまう。
「自分たちのできることをやり切ってぶつかっていこう」(唐木)。プレーでは思うような結果が出ない分、主将として言葉でチームを鼓舞した。その思いに、及川や平山璃菜(スポ3=東京・文京学院大女)ら後輩アタッカーが奮起。中盤と終盤に連続得点で突き放し、第4セットをものにする。試合は今季初のフルセットへ。しかし、勝利への強い思いを持った選手たちは最後まで集中力を切らさなかった。最終セットではセッター芹澤友希(スポ2=茨城・土浦日大)と平山のコンビがさく裂し、相手を圧倒。最後も平山が決め、待ちに待った歓喜の瞬間が訪れる。2部リーグではあるものの、実に3年ぶりの栄冠に輝いた。
3年ぶりの2部リーグ優勝を決めた!
優勝を決めた選手たちの顔からは、誇らしげな様子も垣間見えた。「自分たちがこれまでやってきたことを出し切れたら勝てる」(唐木)と、この試合で確かな自信を持つことができたからだ。勝負どころで勝ち切れず、春秋どちらも悔しさを味わった昨年度。『結束力』というスローガンを掲げ、勝利を求めて積み重ねてきた努力がついに花を咲かせようとしている。しかし、その花はまだ五分咲き程度に過ぎない。5季ぶりの1部リーグ昇格を決め、必ずや満開の笑顔を咲かせてみせる。
(記事、写真 谷口武)
早大女子バレーボール部
セットカウント | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 3 |
27-25 18-25 24-26 25-21 15-9 | 2 | 松蔭大 |
スタメン | ||||
レフト 唐木沙彩(スポ4=千葉・柏井) レフト 及川香菜(スポ3=宮城・古川学園) センター 佐藤夢菜(文3=埼玉・狭山ヶ丘) センター 関根早由合(スポ4=神奈川・橘) ライト 平山璃菜(スポ3=東京・文京学院大女) セッター 芹澤友希(スポ2=茨城・土浦日大) リベロ 中川知香(スポ2=神奈川・橘) |
最終結果
1位 9勝1敗(予選リーグ:6勝1敗 決勝リーグ:3勝)
※2部リーグの上位2チームが、入れ替え戦に進出できる
※早大は2部リーグ1位のため、入れ替え戦では1部リーグ10位の国士舘大と対戦する
個人賞
優秀選手賞 唐木沙彩主将(スポ4=千葉・柏井)
ブロック賞 関根早由合副将(スポ4=神奈川・橘)
サーブ賞 佐藤夢菜(文3=埼玉・狭山ヶ丘)賞を受賞した3人。左から佐藤、唐木、関根
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コメント
吉田千絵監督(平10教卒=岡山・就実)
――2部リーグ1位通過を決められましたが、いまのお気持ちを教えてください
目標は全勝優勝で、1敗はしてしまいましたが、率直にうれしいです。久しぶりの優勝なので。ですけれども、1部とのリーグ入れ替え戦で勝つことが目標なので、まだこれは通過点だと考えています。
――もう入れ替え戦のことを見据えているということでしょうか
そうですね。あの瞬間はやはりみんなで喜びを共有しましたが、入れ替え戦で勝つことが第一なので。
――リーグ戦を通じた選手たちの活躍ぶりはいかがでしたか
やはり最初は緊張からか、勝たなくてはいけないとかそういう心理が働いていました。それでうまくプレーがかみ合わないこともありましたが、試合を通して成長している姿がうかがえました。
――吉田監督自身も監督として迎える初めてのリーグ戦だったわけですが
不安とかはありませんでしたね。1年目なのでできることも限られていますし、逆に監督は何もできないので(笑)。学生が中心になってやってくれるので、彼女たちを信用してやるだけです。
――では監督して心掛けたこととしては、選手たちを信用することでしょうか
そうですね。もともと私もバレーボールをやっていましたし、その経験を伝えることが一番だと思っています。
――きょうの試合前に選手たちに伝えたことはありますか
リーグ戦10戦+入れ替え戦1戦の合計11戦を戦い抜くわけですが、あくまで(きょうの試合も)11分の1だということは毎回伝えてきました。
――試合前から両校とも入れ替え戦を決めていたわけですが、試合を振り返っていかがでしたか
松蔭大もやはり強いので、ゲーム展開的に苦しかったです。最後は気持ちで勝てたことが、私たちの勝因なのかなと思っています。
――第2セット途中で唐木沙彩主将(スポ4=千葉・柏井)を下げ、加納茉未選手(社3=北海道・札幌大谷)を起用しましたが、その意図は
(第2セットを)諦めていたわけではありませんが、その後のセットで取り切りたいと考えていました。最終的にフルセットになってしまいましたが。教育実習の関係でいま唐木がチームから離れていてチーム練習ができていない中で、疲労などもあったと思います。唐木を切り替えさせようと思って加納に代えました。
――フルセットにもつれましたが、選手たちに何か声をかけられたりはしましたか
毎回同じことを言っているだけですが、1本目のパスを優しく、セッターもスパイカーに優しいトスを上げなさいということです。それにスパイカーが気持ちで応える、そこに集中してやりなさいとひたすら言いました。
――特に最終セットでは平山璃菜選手(スポ3=東京・文京学院大女)の活躍が光りました
やっとですね。平山には本当に期待しています。センターやライト中心で攻めることがことしのチームのスタイルなのですが、なかなか(平山の)調子が上がっていきませんでした。でも最後の最後で期待に応えてくれて良かったです。
――ブロック賞も1位、2位を早大の選手で占めました。ブロックのチームとしての出来はいかがでしょうか
きょうは良かったです。チームとしてサーブで攻めてブロックで抑えることを練習してきました。リーグ戦の前半はポイントを取るブロックばかりだったのですが、抑えるブロックとワンタッチを取るブロックのメリハリはつけろとは言っていたので、きょうの試合で生かされたと思います。
――サーブもチーム全体で攻める意識が共有されている印象でした
サーブとブロックだけと言っても過言ではないくらい、その二つの練習は一日の中でひたすら練習しました。そこにはチームとして自信があると思います。
――監督として目指すチーム像はどのようなものでしょうか
技術的にはサーブで攻めてブロックで抑える、高さで勝負するチームを目指していきたいと思っています。昨年(のチーム)との違いとしては、勝負どころで団結できるところです。昨年はそれができませんでしたが、ことしは唐木や及川(香菜、スポ3=宮城・古川学園)らが苦しいところで引っ張ってくれます。苦しい場面で他人任せにならず、個々が頑張ることをこの一年を通じてひたすら伝えていきたいなと思っています。
――それが『結束力』ということでしょうか
そうですね。きょねんのスローガンは『つながり』でしたが、楽しいだけでは勝てないことをきょねんは学ばせてもらいました。ことしは楽しくやることも大事ですが、やはり勝つことを第一にやることが、アスリートとして大事なところだと思います。そこはもう本当にうるさく言っています。
――来週の入れ替え戦の相手は国士舘大となりましたが、対策などは練られていますか
2部リーグを通じてもそうでしたが、やはり相手ではなく自分たちのかたちをいかに作るかだと思っています。もちろん相手の情報の分析もしますが、自分たちのバレーができるように、自分たちのスタイルを貫く練習をこの一週間はしていきたいと思っています。
――最後に、入れ替え戦への意気込みをお願いします
絶対1部に昇格します。
唐木沙彩主将(スポ4=千葉・柏井)
――2部リーグ1位通過を決められましたが、率直な感想を教えてください
とてもうれしいの一言です。でも自分たちの目標はまだ先にあるので、(入れ替え戦に)切り替えていこうという気持ちの方がいまは大きいです。
――優秀選手賞も受賞されました
私一人では受賞できなかったと思うし、主将の自分を支えてくれているからこそ受賞できたと思います。普段支えてくれているみんなのためにも、また入れ替え戦で頑張りたいと思います。
――試合はフルセットにまでもつれましたが、振り返っていかがでしたか
どちらにも1位通過で入れ替え戦に行きたいという気持ちがあったので、その気持ちがぶつかり合ったと思います。
――入れ替え戦に進めるとわかっていても、やはり1位と2位では違いますか
いま1部の最下位の国士舘大相手ならチャンスなので、どうしても1位通過で行きたかったです。
――きょうの試合前にチームで話し合ったことはなんでしょうか
自分たちがこれまでやってきたことを出し切れたら勝てるし、出し切れなかったら負けるだけなので、勝つために出し切ろうと話し合いました。
――では出し切れたということでしょうか
はい、出し切れました。
――第1セットは連続得点の奪い合いになりましたが、その場面を振り返っていかがでしたか
最後連続得点取られた時は、勝ち急いでしまったと思います。
――きょうはディグがよく上がっていた印象でした
私たちは、ブロックでしっかり止めてもらって、その抜けたところをディグで拾おうという話でした。最後の方はそのあたりがうまくできたかなと思います。
――チームとしてもブロックが武器なのでしょうか
ブロックには特に力を入れているので、そこは強みです。
――一方でラリーになった際にあまり点に結びつかない場面も多かったと思いますが
試合中は特にそういう意識をしていなかったです。
――先に2セットを奪われてしまいましたが、焦りなどはありましたか
そこまで焦った感じはありませんでした。自分たちのできることをやり切ってぶつかっていこうと、みんなの意思統一がありました。
――最終セットでは平山璃菜選手(スポ3=東京・文京学院大女)を中心に、後輩スパイカーの活躍が光りました
ことしは後輩がメインでコートに入っていますが、きょねんまでに比べると一回り大きくなってくれています。すごくいい活躍をしてもらっています。
――リーグ戦をひとまず終えてみて、チームとしての出来はいかがですか
仲も良いですし、一人一人が何をしなくてはいけないかを考えられているので、このまま行きたいです。
――『結束力』というスローガンに近づきつつありますか
月日を重ねるごとにできていっていると思います。
――リーグ戦を終えて、見つかった課題はありますか
リーグを通して、サーブで攻められたときはいい展開でできていました。逆に攻められなかったときに、自分たちのブロックやディグも機能しないので、サーブを武器にしていかなくてはいけないという課題が見つかりました。あとは、出だしが課題だなとリーグ戦を通して思いました
――入れ替え戦までの一週間で取り組んでいきたいことはそういったことですか
そうですね。
――入れ替え戦の相手は国士舘大となりましたが、どんな印象ですか
ことしはあまりわからないですが、相手どうこうというより自分たちが武器にしているサーブとブロックを出し切るだけです。あとは自分たちがこれまで積み重ねてきたことを出し切ることを一番にやっていきたいです。
――入れ替え戦への意気込みを教えてください
入れ替え戦で勝って、1部に上がることを第一の目標にしてやってきたので、来週はできることを出し切って、一番の笑顔を作りたいと思います。