フルセット、そしてデュースの末に筑波大に辛勝! 全勝を守り、最終戦へ

男子バレーボール

 秋季関東大学リーグ戦(秋リーグ)第9戦は筑波大と対戦した。昨年の全日本大学選手権が思い出されるような緊張感ある戦いとなった。フルセットにもつれ込み、エース対決となるも、わずかな差で早大に軍配。セットカウント3―2(25―19、18―25、25―15、22-25、17-15)で勝利を収め、全勝を守り最終戦へ臨む。

 第1セットは、序盤から一気に早大が主導権を握り、攻撃の糸口をつかませないまま取りきった。MB伊藤吏玖副将(スポ4=東京・駿台学園)とセッター前田凌吾(スポ2=大阪・清風)によるブロックやOP畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)のサービスエースなどで10―6と先行する。終盤にかけては、相手のレシーブが乱れ、トスが低くなったバックアタックを3枚でブロック。リリーフサーバーの安食浩士の渾身の一打が、サイドライン際いっぱいに叩き込まれセットポイントとした。その後3連続得点を許したが、MB麻野堅斗(スポ1=京都・東山)のクイックでセットを先取した。かわって第2セットは、終始リードされる展開が続いた。ブロックアウトで点を重ねられ、逆に早大は中盤に2連続被ブロックを受ける。サーブやアタックのミスも多かった。流れを変えるために入った布台駿(社4=東京・早実)の二段トスから、OH水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)が決めきり13-21。しかしブレイクができず、18―25でこのセットを落とす。

布台駿の二段トス

 続くセットは、再び早大優位な試合運びとなった。畑が序盤から好調で、インナーのクロスやストレートなどきわどいコースにスパイクを打ち込んでいく。中盤、前田の1枚ブロックがあり10―5。続くプレーでも、OH山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)のエンドライン際へのサービスエースがあり、チームはさらに勢いに乗った。リベロ荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)が後ろに倒れ込みながらもナイスパスを見せると、水町がバックアタックで19-13。この水町が終盤2連続で牧大晃をブロックし、良い流れでこのセットを取り返した。

 第4セットは、畑の2本のブロックポイントなどで連続得点していており、前田が非常に良いつなぎのプレーを見せていたラリーでネッチの判定があり、同点に追いつかれた。以降、拮抗(きっこう)した展開が続いた。一歩先に抜けたのは筑波大であったが、早大側のアタックやサーブのミスの得点も多かった。わずかな狂いがチームに良くない流れをもたらし、このセットを献上した。 最終セットも、まさに「一進一退」。序盤は水町にトスが集まり、確実に得点していく。相手も牧にボールを集め、なかなか止めることができない。中盤には早大が3連続被ブロックで得点され、9―9の同点となる。デュースにもつれ込んだものの、終盤は再び水町の決定力が光り、最後に2連続で勝利をもぎ取った。

水町のバックアタック

 再びのフルセットとなったこの戦い。選手たちも、昨年の全日本選手権(インカレ)準決勝を思い浮かべていたようだ。「同じことはしないように、後輩に同じ思いをさせないように」(水町)。この思いの力で、最後の2点を取ったと言える。この最終セットに至るまで、もちろん全員が力を尽くし、素晴らしいプレーを見せてくれたからこその勝利であることは確実だ。ただ、勝負所に決めきる水町の力は頼もしいけれども、それ一本になってしまえば、昨年のようなことが起こらないとは言い切れない。秋リーグはいよいよ次が最終戦。2位・日体大が相手で、再び苦しい場面もあるだろうが、支えてくれる枝があともう1本、2本出てくること期待したい。早稲田のバレーをすべて出し切り、気持ちよく秋リーグを終わらせたいところだ。

(記事 五十嵐香音、写真 町田知穂、芦刈れい)

セットカウント
早大 25-19
18-25
25-15
22-25
17-15
筑波大
スタメン
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ4=熊本・鎮西)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ4=東京・駿台学園)
ミドルブロッカー 麻野堅斗(スポ1=京都・東山)
オポジット 畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)
セッター 前田凌吾(スポ2=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)
途中出場
布台駿(社4=東京・早実)
浅野翼(スポ3=宮城・東北)
安食浩士(スポ1=宮城・東北)
佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園)
菅原啓(教1=山形南)
布台聖(スポ1=東京・駿台学園)
コメント

水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)

――先週の天皇杯はチームでどのような評価でしたか

 リーグ戦の間に入るというところで今日と明日に向けてチームづくりをするというところです。でも堅斗(麻野、スポ1=京都・東山)と大貴(山田、スポ4=静岡・清水桜が丘)がいなかったのでチーム2人抜けてしまったんですけど、やることは変わらず、自分たちがやることっていうのを明確にしてやろうという風に話をしました。

――今日の試合を振り返ってチームとしてはどうでしたか

 2セット目と4セット目に相手に先行されてしまって結局追いつけない展開になってしまったので、やはり劣勢の時にチームとして引いてしまうことがあるので、明日は本当にリーグ最終戦になるのでチーム全員で向かっていきたいと思います。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

 終盤、大事な場面でハイセットボールとか、二段トスを打ち切ることができていなかったので明日も最後はトスが集まってくると思うので、しっかりコースと、どんな時でも冷静に打ち切れることができればいいと思います

――第3セットには牧選手(牧大晃・筑波大)を連続ブロックしていました。一方チームとしては結構苦戦している印象を受けたのですが、牧選手をブロックする上での決まりや意識していたことはありましたか

 彼の一番得意な場所からクロスが強いので位置取りだけ間違えないように。あとはまっすぐ出して後ろが拾えるようにというところです。たまたま止まりましたけど、考えているのは位置取りと手の出し方だけですね。

――エース勝負なら負けない、と山田選手が以前に言っていました。第5セットの大事な立ち上がりや、終盤は水町選手にボールが託されていましたが、振り返ってみていかがですか

 去年のインカレ(全日本学生選手権)の準決勝で筑波大に当たって、5セット目に僕が被ブロを続けてやられて逆転負けっていうことがあったので、同じことはしないように、後輩に同じ思いをさせないように。僕が頑張ること、そこが僕の役割だと思うのでそれができたのは良かったなと思います。

――最終戦に向けて意気込みをお願いします

 4年間やってきて、最後のリーグ戦ということで募る思いっていうのもあるので、まずは4年生が団結して、本当にいい同期だと思うので、みんなのいいところを出して最後まで戦っていけるようにできたらいいなと思います。

畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)

――先週の天皇杯を振り返って

 いつも攻撃の主体となっている大貴さんがいなくて、もっと自分がトスを呼んでやっていかないといけないな、と思ってやっていました。

――今日の試合をチームとして振り返って

 相手もとても強いいいチームだったので、いつも通りのプレーができなくて焦る場面もありましたが、しっかりと勝ち切ることができてよかったと思います。

――ご自身のプレーについて、結構試合の中でも波がありましたが、いい所と悪い所教えてください

 3セット目では自分のいいところが出せたと思います。ただ、それ以降は所々で気が抜けたプレーがありました。トスが上がってきても、「絶対に決めてやる」という感じではなく、「どうしよう、どっちに打とうかな」って迷って打ってしまっていたので、それを無くしていきたいです。

――第4セットでは連続ブロックがありましたが、的が絞れていたのですか

 そうですね。松井先生からの指示で、トスが集まっているレフトを1本目に止められたので、「次はバックアタックだな」って3番をマークして止められたという感じです。

――明日のリーグ最終戦に向けて意気込みをお願いします

 明日まで最終戦で、優勝が懸かっている試合ですけど、いつも通りのプレーで適度な緊張を持ってやっていきたいです。