セッター浅野翼が躍動! 全員バレーで慶大に快勝する

男子バレーボール

 秋季関東大学リーグ戦(秋リーグ)で、延期となっていた慶大戦が行われた。第1セットにセッター前田凌吾(スポ2=大阪・清風)が軽い捻挫でアウトしたものの、浅野翼(スポ3=宮城・東北)の懸命なプレーで危なげなくセットを取る。他のメンバーも浅野を支えるべく奮起。各々が役割を果たし、セットカウント3―0(25-18、25-9、25-15)で快勝した。

 松本喜輝(慶大)のサービスエースで幕を開けたものの、久々にスタートから出場したMB麻野堅斗(スポ1=京都・東山)のブロックやクイックですぐに追いつく。その後はOH水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)の鋭いクロススパイクや、OH山田大貴のバックアタックを中心に得点を重ね、相手の2回目のタイムアウト明けで16-8と突き放す。終盤、早大の攻撃の生命線である前田が捻挫でコートを離れ、浅野が途中出場。普段合わせていたわけではなかったとのことだが、OH畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)や水町にバックアタックをセット。また、リベロ荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)のディグから、浅野がアンダーハンドで山田にセットし、5連続得点目となる23点を得た。山田のライトからのバックアタックで25-18。

サーブを打つ浅野

 第2セット以降も引き続き、浅野がセッターを務めゲームメイクした。相手のストレートスパイクがブロックを抜けた先で、山田がディグすると、パイプ攻撃につなげる完璧な流れで13-6。中盤以降は、長らく水町のサーブが続いた。浅野を援護すべく奮起した面々の活躍で、なんと10連続得点。4本のブロックポイントが出るなど、守備にも隙がなかった。25-9と圧倒的なスコアでこのセットも連取する。

喜ぶ選手たち

 第3セットも、早大の勢いは止まらない。水町のサイドライン上へのサービスエースで4―2。また、ラリーが続きながらもMB伊藤吏玖(スポ4=東京・駿台学園)のクイックが綺麗に決まり、大きくガッツポーズ。中盤は山田が躍動した。サーブレシーブし、自分で決めて8-6。後衛に下がると、強力なサーブを叩き込み、サーブアンドブロックを演出した。慶大の粘りのプレーでラリーが長く続く展開もあったが、なんとか上がったディグを、浅野が走っていって倒れ込みながらバックトス。水町がレフトから決めて16-10とした。また、ファーストタッチが浅野となった際にはアンダーハンドでバックアタックにセット。水町がツーで決めきるなど、魅力的なトス回しでメンバーのボルテージも最高潮に。24―15の場面では、安食浩士(スポ1=宮城・東北)、菅原啓(教1=山形南)がワンポイントで出場。遅れ気味に出た菅原の手が、相手のバックアタックをシャットアウトし、決勝点とした。

 「本当に助かりました」と言葉をこぼした前田。1年生のときから正セッターを務めてきた彼がもしも、コートを離れることになったらどうなるのか。漠然とした不安が、ずっと前田自身にも、他の選手にも、そして私たちにもあったのではないだろうか。今回、突如出場することになりながらもプレッシャーに負けず、約2セット半をゲームメイクしきった浅野の存在は、部の不安を解消する光となったことだろう。それが全日本大学選手権(インカレ)直前に見えたことが、この試合の大きな収穫だ。さらには畑が抜けながらも、選手を入れ替えて全員の力で勝ちきった。個々が自分の役割を徹底して果たし、誰が出ても強い早大から今後も目が離せない。

(記事 五十嵐香音、写真 井口瞳、星野有哉)

セットカウント
早大 25-18
25-9
25-15
慶大
スタメン
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ4=熊本・鎮西)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ4=東京・駿台学園)
ミドルブロッカー 麻野堅斗(スポ1=京都・東山)
オポジット 畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)
セッター 前田凌吾(スポ2=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)
途中出場
布台駿(社4=東京・早実)
浅野翼(スポ3=宮城・東北)
安食浩士(スポ1=宮城・東北)
佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園)
菅原啓(教1=山形南)
布台聖(スポ1=東京・駿台学園)
コメント

浅野翼(スポ3=宮城・東北)

――いきなり出ることになったときはどのように感じましたか

 常にセッター思考で、タブレットを見ながら「こういう風に使えばいけるな」とか考えながら見てはいたので、「こうしていく」というイメージは自分の中でできていたのですが、それを体現できるのかと言われたら、最初は緊張もしましたし、迷いもありました。でも、松井監督も4年生も声をかけてくださって、自分ができる最善のことをすればチームが動いてくれるという状況でした。最初、1セット目はそんな感じで入ったのですが、2、3セット目はもっと指示出して、自分が中心的に、冷静にしっかりトスを上げていくということを意識していけたかなと思います。

――出場し、最初からバックアタックにセットされていたと思いますが、普段から合わせることはあったのですか

 いや、もう基本的に今のチームはABで分かれているので。基本的には合わせていないのですが、ポテンシャル高いので、ここら辺って上げておけば打ってくれるような方々なので。そんなに心配はしていなかったです。

――4年生を中心に、ギアが一段上がっていたような気がしたのですが、感じましたか

 やはり自分が入って、より一層チームが組織として固まらないとという意識があって、そういうところでギアが上がったかなと思います。

――トス回しをする上で意識していたこと

 とりあえずトスを振るというよりは、まずはスパイカーが打ちやすいトスを目指す、あげるということが最優先です。その次にトスを振って、単調にならないように相手を惑わす、早稲田としての攻撃を組み立てるということを意識しました。

――慶大もかなりつないできてラリーが長くなる中でも、クイックやバックアタックといった攻撃も選択されていました。今日の自分のセットアップは振り返ってみていかがですか

 やはりまだまだトスは不安定なところがあって、ラリーになるとバタついてしまうことが多かったので、自分でも課題として潰しながら、とにかくまずやることを単純化したいです。あまり考えすぎずに、ラリー中になっても、まずは高く上げるとか、スパイカーが打てるトスを上げるということを意識してやっていきたいです。

――クイックという面でいうと、伊藤選手とはかなり合っていたように見受けられました。一方で、麻野選手はいきなりだと難しさもあるのでしょうか

 そうですね。やはり左利きだし身長も高いし、凌吾も結構苦戦していて。セッター同士こうした方がいいんじゃないかとしゃべってはいるんですけど、(麻野が)合流したばかりなので、そこの密度はまだ薄いのかなと思います。

――今回の試合の収穫は

 今まではリーグを通してブロックが数値的に良くなくて、ミスが多かったんですけど、松井監督がブロックとラリーはとにかくものにするように意識しろとおっしゃっていたので、ギアが上がった分今日は点数にできていたのかなと思います。最後に入った啓もそうですけど、ブロックを意識してできていた点は収穫なのかなと。

――今回のように長時間出場されたこともなかったかと思いますが、突如出て、いけたということはチームにとっても大きいですよね

 そうですね。もっと緊張するかと思ったんですけど、そんなに緊張もせずできたのでよかったかなと。凌吾の立場もあるし、いろんなところで支えて自分のできることを増やして、精度を高めていければなと思います。

――秋の目標

 チームとしてはまず秋リーグでも1位を取るということしつつ、4年生はこれで最後のリーグ戦になるので。自分も上級生として、来年は自分が何をするべきかということを踏まえながら1戦1戦乗り切って、いい課題を出していい練習をできるように。全カレにいい形で持っていけるようにしたいです。

菅原啓(教1=山形南)

――最後の得点は菅原選手のブロックポイントでしたが、振り返っていかがでしたか

 自分はライト側のブロックで入って、基本的にはレフト(側のスパイカー)を見るということでした。相手のバックライトに対して3枚飛ぶか迷ったのですが、ワンポイントブロッカーとして入ったので「これは3枚いくべきだな」と思って飛びました。少し遅れたのですが、ブロックで結果止まったのでよかったなと思います。

――ブロックで飛ぶタイミングが少し遅れたというのは意図的なものだったのでしょうか

 普通に遅れました。レフトを第一にというので見てたので、そこで少しバックライトに対して遅れてしまいました。

――この秋のリーグ戦ではワンポイントでの出場が多いと思いますが、どういった目標で臨まれていますか

 できれば今日みたいにシャットできればいいのですが、やっぱりブロックにつく優先順位などをしっかり自分の中でベンチにいる時から相手を見て考えて、ワンタッチを取れるように頑張りたいと思います。