強敵・東海大を破る! 緊迫した試合を勝ち切った

男子バレーボール

 秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)も最終週に突入した。ここまで全勝中の早大は、日本代表としての活動を終えたOH大塚達宣副将(スポ4=京都・洛南)を加えて、春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)で敗北した東海大と対戦した。大きくリードされたところから最終盤に逆転して第1セットをものにすると、続く第2セットも連取。しかし、第3セットはデュースにもつれこむと、粘り勝てず落としてしまう。東海大に勢いを与えたくない早大は、多彩な攻撃で的を絞らせず第4セットを取り返し、セットカウント3-1(26-24、25-22、25-27、25-21)で勝利。秋季リーグ戦優勝に大手をかけた。

 

 早大は初めから苦しい戦いを強いられることになった。東海大の強力なスパイクとブロックに押され、5-12と大きく離されてしまう。その後は互いに点を取り合う展開となり、なかなか差を縮めることができない。早大は大塚やOH水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)にボールを集め、力のあるスパイクから何とか立て直しを図るが、先に20点に乗ったのは東海大だった。だがここから早大の猛追が始まる。大塚の緩急をつけたスパイクや、途中出場のOP山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)のブロックアウトなどで、8点差から一気に18-21にまで詰め寄った。その後も大塚の連続サービスエースで流れを呼び込むと、難しいボールでもリベロ荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)を中心に拾い続け、相手のミスを誘う。そして水町のスパイクでデュースにつなげ、最後は山田のノータッチエースが飛び出し、26-24と立ち上がりに苦しんだ第1セットを取り切った。

 

バックアタックを打つ水町

 第2セットは第1セットとは打って変わって均衡した試合運びとなった。序盤の早大は特にサーブが光り、MB伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)がサーブで崩してMB秋間直人(スポ4=愛知・桜台)と水町のブロックでシャットアウト。OP重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)もサービスエースを決めるなど得点を重ねた。その後はサイドアウトを取り合う展開がしばらく続いたが、東海大にブレイクされ15-17とリードを許してしまう。ここでチームを救ったのは水町であった。強烈なバックアタックで東海大に追いつくとどんどんギアを上げ、以降ほとんどの得点を水町が挙げていく。早大は少しずつリードを広げていき、25-22でセットを連取した。第3セットも1点を取り合う展開が続く。前半はスパイカー陣が決め切り、要所でブロックポイントもでた。後半に入り、重藤、水町、大塚副将の3連続得点で17-17と同点に。その後は再び水町にボールを集めて得点を重ね、25-24まで持ってはきたものの東海大に3連続ポイントされると、このセットを落とした。

久しぶりにチームに合流した大塚

 第4セットは伊藤の相手レシーバーをはじく速攻で始まった。セッター前田凌吾(スポ1=大阪・清風)のツーアタック、秋間、伊藤のクイック、大塚、重藤のコースをつくスパイクで得点し、抜きつ抜かれつの攻防を繰り広げる。大塚がネットから離れたところから強打でポイントをもぎ取り、21-18とする。東海大のセッター山本龍とMB佐藤駿一郎のコンビによる、高さとパワーのある速攻を何度も決められたが、最後まで流れを渡すことなく、水町のバックアタックがブロックアウトとなり25-21でゲームセット。選手たちが全身で喜びをあらわにする姿が、この試合の厳しさを物語っていた。

 

 チーム一丸となって苦しい戦いを勝ち切った。東海大は早大ブロックを利用した攻撃や、サーブでの揺さぶり、高さのある速攻とブロックなど、様々な方法で攻勢をかけてきた。その中で受け身になることなく、安定したレシーブからつながる多彩な攻撃で、我慢強く自分たちに流れを引き寄せてきた結果がこの勝利だといえるだろう。これから早大は同じく全勝中の中大と雌雄を決する戦いに臨むことになる。しかしあくまで「自分たちがやるべきことをやるだけ」(大塚)と見据えるものが変わることはない。秋季リーグ戦全勝優勝へ、さらにその先に向けて、早大の成長はまだ続いていく。

(記事 新井沙奈、写真 森永芽生、山田彩愛)

 

セットカウント
早大 26-24
25-22
25-27
25ー21
東海大
スタメン
アウトサイドヒッター 大塚達宣副将(スポ4=京都・洛南)
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)
ミドルブロッカー 秋間直人(スポ4=愛知・桜台)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)
オポジット 重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)
セッター 前田凌吾(スポ1=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)
途中出場
山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)
中島明良(法4=京都・洛南)
浅野翼(スポ2=宮城・東北)
岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市尼崎)
 
コメント

OH大塚達副将(スポ4=京都・洛南)

――今日の試合を振り返って

 チームとしては勝ちきれたことが良かったと思います。僕自身としては昨年のインカレ(全日本学生選手権)から早稲田のユニフォームを着て、コートに立つことがなかったので、久しぶりにこのユニフォームを着ての試合は緊張感もありました。自分のやるべきことをしっかりと果たして、チームの勝利のために貢献することができたのかなと思います。

――早稲田での復帰戦となりましたが、状態はいかがでしょうか

 気持ちの面でもプレーの面でもコンディションとしては良かったです。ただずっと試合から離れていたこともあって、体力の消耗は早いだろうなというところがありました。また久しぶりの試合ということで、今までになかった緊張感の中試合をするということで、いつも以上に力が入るだろなと思っていました。足がきつくなるのも想定内ではあったので、その中でペース配分を考えながら試合をやり通すことができたのは良かったと思います。

――セッターとの合わせ方やトータルディフェンスの動き方など、チームとしての動きもうまくいっているのですか

 去年とメンバーもあまり変わっていないので、チームの動きとしては悪くはないと思います。ただセッター(前田凌吾、スポ1=大阪・清風)と合わせるのは初めてだったので、この1週間なるべくコミュニケーションを取ろうと心掛けてきました。その中で徐々に合ってきている部分はありますが、まだ詰められる部分もあります。そこを詰められていけば、今日の試合でももっと楽に勝つことができる展開になっていたのかなと思うので、そこを取り切れるようにチームとして練習していきたいと思います。

――今日はチームでどういったところを意識して行こうという話をしていましたか

 雰囲気や流れが試合にはあると思うので、その流れをしっかりこちらに持っていこうという話をしたかなと思います。

――東海大は粘り強く堅いディフェンスを展開しているなという印象でしたが、攻撃の面で意識したことなどありますか

 僕はそんなに打力があるタイプではないので、自分の中では先ほど言ったペース配分を意識していました。久しぶりでキツくなることはわかっていたので、上げるところは上げる、キープするところはキープするというところがしっかりできていたのかなと思います。取り切れるところが取りきれなかったところも少しあったので、相手がどうこうというよりかは自分たちがという意識でした。

――明日の中大戦への意気込みをお願いします

 明日で秋リーグも最終日になります。とにかく自分たちがやるべきことをやるだけだと思っているので、その準備をしっかりして明日の試合に臨みたいと思います。

 

リベロ荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)

――今日の試合を振り返って

 今日は勝ち負けというよりも、たつさん(大塚達宣)が帰ってきたので、チーム全体として楽しんでやろうという話をしていました。1セット目の序盤、悪い入り方になったのですが、それも想定内だったのでみんな焦らずに、できるとこまでやろうとした結果、セットを取り切ることができたのが勝因になったのかなと思います。

――荒尾選手自身も楽しんでプレーすることはできましたか

 思い切りやりました。今日と明日で終わりなので、ダメだったら仕方ないと割り切って、やってきたことだけ出せればいいかなと思っていました。

――チーム全体として、ディグが良く上がっていた印象でした。今日のチームディフェンスについて評価してください

 フロアディフェンスの面では、僕も調子が良く、みんなも抜け球とかを拾えていたのかなと思います。ただ、ブロックに関してはタッチアウトや吸い込みが目立っていました。自分がブロックをできない分、ブロックの形などをミドルに自分が伝えています。ミドル陣も一生懸命やってくれていて、明日は今日の修正ができていると思うので信じています。ブロッカーがいるから僕たちも(ディグを)上げることができます。今日はブロックの分をフロアが補えていたのかなとおもいます。点数としては全体でみて70点くらいですかね(笑)。

――ディグに関していうと、今日は佐藤駿一郎選手(東海大)をはじめとする相手のクイックを上げられなかったときに、すごく悔しそうにしていた印象でした

 東海大の攻撃パターンをひとつひとつ潰せていたつもりでしたが、佐藤駿一郎さんのクイックだけはなかなか拾えなくて悔しかったです。そこを上げられていれば、東海大にとって「やられた」という印象が強くなったと思うので、そこはもう少し頑張りどころかなと思います。

――チームの雰囲気や攻撃、守備での安定感は試合を経るごとに高まっていると感じますが、今の完成度はいかがですか

 チームとしては平均が上がってきたのかなという印象があります。一つ一つのプレーの精度や、劣勢になった時に立ち向かう姿だとかは、春と秋の2、3週目と比べると良くなってきているのかなというのはなんとなくは感じています。自分たちにミスが出た時に、たつさんがよくおっしゃってるのが「切り替えよう」とか「過去は変えられないから次に集中しよう」とかで、そこをチーム全体としてさらに意識できればもっと詰められるところはあるのかなと思います。

――優勝対決となる中大戦への意気込みを!

 明日こそ楽しんでやりたいです。勝つ準備ももちろん大切ですが、いつも通りの生活を送ってしっかりと楽しめる準備をしたいです。楽しめたら、全部出すことができると思うので、そこを目標にして結果として勝つことができればなと思います。

 

OH水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)

――個人としてチームとして今日試合を振り返って

 個人としては、東海大はブロックが高かったので、落とさずに指先を狙ってスパイクを打とうと思っていました。それが少し上手くいったのがよかったと思います。チームとしては達宜さんが合流してまだ10日も経ってなくて、チームとして不安定な場面もあったのですが、本数重ねるごとにだんだんチームに馴染んでいい形になったかなと思います。

――第2セット終盤でのあの連続得点はご自身で振り返っても調子が良い状態だったのでしょうか

 調子が良いというか、普段通り練習したことをやるということを意識した結果だと思います。指先を意識してブロック板を使って、しっかりブロックアウトを狙う練習をしてきたので、そういうのが上手くつながりました。そこが良かったと思います。

――長いラリーが続いたなかで、焦らずに攻撃できていた印象でしたが、チーム全体で何か話されていたのですか

 先のことを見ずに目先の1点に集中して取ろうという話を全体でしていました。慌てずに目の前の1点をチームとしてとることができたと思います。

――明日の対戦相手、中央大の印象と意気込みをお願いします!

 (中大は)守備も安定していて、サーブなど攻撃力もあるチームです。うちはしっかりサイドアウトを切って、秋に取り組んできたディグ面もしっかり発揮できたらと思います。4年生が最後(のリーグ戦)なので、あまり気負いすぎずに、しっかり攻める気持ちで4年生にいいかたちで終わって貰えるようにしっかり後輩で盛り上げて頑張りたいと思います。