トーナメント進出を逃すも富士通に勝利! 収穫の多い一戦に

男子バレーボール

 黒鷲旗全日本男女選抜(黒鷲旗)は予選リーグ最終戦を迎えた。既に1敗している早大が決勝トーナメントに進むためには、今日の富士通カワサキレッドスピリッツ(富士通)戦での勝利が絶対条件である。第1セット序盤はサイドアウトを取り合う展開となるが、徐々に点差をつけられ最大で5点ビハインドとなる。しかし、相手のミスもあり終盤で逆転に成功。そのまま25-23で第1セットを奪った。第2セットは打って変わって、終始リードする盤石の試合運びを見せた。そして25-19で第2セットも連取し、ストレート勝ちを収めた。他チームの結果により惜しくも決勝トーナメント進出を逃したものの、収穫と成長への糧を得た3日間となった。

 

 試合は互いに点を取り合うかたちで始まった。先にブレイクして均衡を破ったのは、富士通。早大は追いかける展開となった。ここで前回の試合で合わなかったクイック攻撃を岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市立尼崎)が決め、立て直しを図る。しかし「みんな固くなりすぎていて思いどおりにいかなかった」(重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田))と相手にブロックアウトなどで得点され、さらに引き離されてしまう。一時は8-13と5点のリードを許すことになったが、ここから早大が追い上げをみせる。セッター前田凌吾(スポ1=大阪・清風)のバックトスから重藤がスパイクを豪快に叩き込んで9点目をあげると、山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)のブロックでこの試合初めての連続得点に成功した。後半は山田のサーブで相手を崩し、3枚ブロックで仕留めるなど、早大らしいかたちを作って点差を縮めていく。相手のスパイクミスで逆転に成功した早大。そのまま水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)がサービスエースを決め、先に20点に到達する。それ以降はサイドアタッカーにボールを集め、最後は相手のスパイクがアウトに。25-23で第1セットを先取した。

 

 

バックトスを上げる前田

 

 第1セットの勢いのまま第2セットは始まった。「第2セット以降やっと修正できた」(伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園))という言葉通り、開始から早大がブロックを立て続けに決める。しかし相手もブロックで反撃し、同点に追いつかれるとサイドアウトを取り合うかたちとなった。ここで水町がサーブレシーブから前田のトスを受け、スパイクを相手コートにねじ込む。早大はこれを契機に3連続得点し、11-7で一気に点差を広げた。以降も伊藤と重藤の2枚ブロックや水町のサービスエースなどで得点を重ね6点差をつけ、14-8とする。ここからお互いにサーブミスが相次ぎ、早大はブロックを利用されて相手に得点される場面も何度か見受けられた。しかしここでもサイドアタッカーにボールを集め、重藤のブロックの間を抜くスパイクや、水町のフェイント、山田のバックアタックなど多彩な攻撃で相手にブレイクさせなかった。大きく点差を縮められることなく終盤まで試合を進め、最後は山田がブロックアウトを決め、試合終了。25-19で重要な一戦を制した。

 

 

ブロックする重藤(手前)、伊藤(真ん中)、山田

 

 今日の早大は修正力の高さとミスをしても崩れない安定感をみせた。JTサンダーズ広島がパナソニックパンサーズに勝利したことで、結果的に決勝トーナメント進出とはならなかったが、多くの収穫を得たといえる。前回のパナソニック戦では自分たちらしいプレーが発揮できず、辛酸をなめた。今日の試合では課題を残しながらではあるものの、選手一人一人がミスをチームとして補い合い、勝利という結果につなげることができた。高いレベルの闘いの中得た学びを今後生かすことができれば、『自分たちらしいバレー』をかたちにすることができるだろう。この経験を経てどのような成長曲線を描いていくのか、これからの姿から目が離せない。

 

(記事 新井沙奈、写真 山田彩愛)

 

 

セットカウント
早大 25-23
25-19
富士通カワサキレッドスピリッツ
スタメン
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市立尼崎)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)
オポジット 重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)
セッター 前田凌吾(スポ1=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)
 
コメント

重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 今日は勝たないと決勝トーナメント進出が遠のくので、第1セットはみんな固くなりすぎていて思いどおりにいかなかったです。そこからみんなで声をかけあって、中盤から立て直せたのが良かったかなと思います。

――後輩への声かけは意識してされていましたか

 そうですね。昨日松井先生(松井泰ニ、平3人卒=千葉・八千代)からそこへの指導をいただきました。声をかけていこうということになったので、はじめはできない部分もありましたが、途中からできるようになってムードが良くなっていったのかなと思います。

――サーブの調子が上がらないように感じましたが

 1本目はいい感じに決まったのですが、2本目、3本目にミスをしてしまって、どうしようかなと思っていました。大貴(山田大貴、スポ3=静岡・清水桜が丘)の調子があまり良くなかったので、次サーブの大貴に伸び伸びと(サーブを)打たせるためにキープして打ちました。

――スパイク良く決まってましたね、前田選手とのコンビネーションを振り返っていただけますか

 ここ2日間の試合をみて、トスをどうして欲しいかを凌吾(前田凌吾、スポ1・大阪・清風)に伝えました。凌吾がそこを修正してくれて、そしたら良い感じになりました。

 

伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 結構最悪でしたね。スタートからミスばかりしてしまいました。僕はクイックがたくさん決まるような選手ではないので、ブロックを頑張りたいのですが、ブロックでもミスばかり出してしまって。感触的には最悪でした。

――最悪と振り返る中でも勝ち切れた要因は

 チームとしてはサイドが頑張ってくれるチームです。1セット目の山場でサイドが崩れずに連続得点をして、ゲームをとれたことが大きかったのかなと思います。

――昨日は合わなかったクイックですが、今日のクイックの感触はいかがでしたか

 昨日はセッターの試合の感触があまり良くなくて(クイックが)合わなくて。今日も若干クイックのタイミングが合わなかったのと、そこで僕が決め切ることができなくて。凌吾(前田)に対しても申し訳ないなと思います。

――サーブについてはいかがでしたか

 昨日からサーブミスが多かったので、しっかりと入れにいきながら、崩すことをイメージしていました。そんなに攻めたサーブではないので大きく崩せはしないのですが、上手くコースを狙って打てるように意識しました。

――第2セットではブロックが機能したように感じましたが

 2セット目でやっと相手の早い攻撃に対しても、追わずに真っ直ぐ(手を)出して、しっかり当てて球が落ちるようにということをイメージしました。第2セット以降やっと修正できたなという感じです。

――特に意識したことは

 スパイカーを見て追ってしまうと、その分形が崩れてミスになってしまうので、追わずにネットに対して真っ直ぐ出すようなイメージで飛ぶようにはしていました。

 

 

山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 本当にみんながカバーしてくれて、仲間に感謝です。

――具体的にどういう部分で苦しみましたか

 自分の持ち味である高さのあるスパイクを1セット目の序盤から何本もブロックされてしまいました。黒鷲旗が始まってからこんなにブロックをされたことが初めてで。どこに打とうかなと戸惑ったのと焦ってしまいました。

――昨日はサーブレシーブに苦しまれていましたが、今日のレセプションを振り返っていただけますか

 上に行けば行くほど大人の方を相手にするほど、たくさん(サーブ)で狙われてしまいます。今日はレセプションが乱れた時に上手く切り替えられず、スパイクに影響が出てしまいました。レセプションが乱れても、上手く自分の中でリズムを作れるように頑張らないといけないなと感じました。

――今日のプレーに点数をつけるなら

 50点ぐらいですかね。挙げたらキリがないのですが、1セット目から上手く自分のプレーを出すことができなかったことで50点マイナスです。