早慶戦ストレート勝利!笑顔で今年度の試合を終える

男子バレーボール

 第85回早慶定期戦(早慶戦)が開幕された。早大は序盤からサーブやスパイクで慶大守備を乱し、盤石な試合運びを見せる。また、ブロックとレシーブを連携させたトータルディフェンスも奏功し、ブレイクを重ねてリードを保った。セットカウント3-0(25-22、25-19、25-17)でストレート勝利。有終の美を飾り今年度の試合を終えた。

 互いの意地がぶつかり合う伝統の一戦。両者簡単には得点を与えず過去にはフルセットにもつれこむこともあったが、今年は序盤から盤石な試合運びを見せた。岩本大吾主将(スポ3=兵庫・市立尼崎)のBクイックや重藤トビアス赳(スポ3=神奈川・荏田)のサービスエースなどでブレイクし、7-4にリードを広げる。その後はサイドアウトを取り合う展開に。荒尾怜音(スポ2=熊本・鎮西)や大塚達宣副将(スポ3=京都・洛南)らの安定したレセプションからサイドやセンター線から多彩な攻撃を仕掛け、着実に1点をものにした。20点台に入ると、エース・大塚副将の技が光る。厳しくマークされたが、ブロックを利用したスパイクやフェイントで得点。また3枚ブロックの上から叩きつけたスパイクで24-22とした。最後は相手のスパイクミスで25-22となり、第1セットを先取した。

 

サービスエースを決めた重藤

 第2セットからサーブやブロックの効果が出始める。大塚副将がサーブで慶大守備を乱し攻撃でのミスを誘うと、重藤が1枚で相手スパイクをシャットアウト。3-0といい滑り出しを見せた早大はその後もブレイクを重ねる。山田大貴(スポ2=静岡・清水桜が丘)のブロックやスパイク、伊藤吏玖(スポ2=東京・駿台学園)のお見合いを誘うサービスエースで7-1に。ここからさらに早稲田のプレースタイルを発揮する。サーブで崩し、攻撃の的を絞りブロック。ワンタッチを取りボールの速度を緩めたり、打てるコースを限定させリベロの荒尾に拾わせたりするといった、トータルディフェンスで簡単にはボールを落とさず。ブロックでプレッシャーをかけつづけたことで、トスミスやスパイクミスを誘発する場面も見られた。また、山田のサービスエースでどんどん点差を広げ、19-11に。慶大ベンチはタイムアウトを要求したが、最後まで流れを渡すことなく25-19で第2セットを取った。

 第3セットも早大有利の試合展開となった。序盤は一進一退の攻防を繰り広げたが、相手のスパイクミスやネット際での反則で連続得点し、8-5に。タイムアウトを取らせたが、流れを断ち切らせず。セッターの佐藤玲(社3=東京・早実)から展開される多彩な攻撃でブロックを惑わせ、14―6とリードを広げた。だが、小出捺暉主将のスパイクや勝呂亘主務のブロック、永田将吾副将の好守備など慶大4年生の気迫のこもったプレーに圧倒され、18-15と3点差まで詰め寄られた。しかしここで崩されることはなかった。エース・大塚副将のスパイクやブロックで20-15に。さらに早大4年生の活躍も光った。吉田悠眞(スポ4=京都・洛南)の献身的な守備や上條レイモンド(スポ4=千葉・習志野)のクイック、北川諒主務(教4=東京・早実)の声掛けでチームを沸かせた。最後にセッターの仲濱陽介(スポ4=愛知・星城)がトスを上げたのは上條。期待に応えた上條はBクイックを決め、25-17に。ストレート勝利で伝統の一戦を制した。

 

勝利を決めた瞬間

 「しんどい1年だった」(吉田)。代替わりをしてから、プレーで引っ張ってきた昨年度の4年生が抜け、2、3年生がスタメンに名を連ねる若いチームになった。だが、コートには精神的支柱となる存在がいないため、試合で劣勢に立たされたときに脆さが出てしまう。個々のポテンシャルは高くても、うまくかみ合わず勝てない時期が続いた。秋季関東大学リーグ戦以降は3年生が中心となって指揮を執る。悔しい気持ちはあったが、4年生は「チームのためなら」と後輩たちを陰で支えた。今年度の試合を全て終え、「4年生だけでチームを引っ張っていてはだめで、下級生も含めた全員の力が必要だった」と振り返る。

 バレーボールはボールをつながなければならない、必ず仲間の存在が必要になるスポーツだ。どのような選手起用で、どのようなデータや戦術を使えばチームの最大値を引き出せるのか。それぞれがハイレベルな環境でプレーしてきたからこそ持つ『バレー論』といかに折り合いをつけ、納得のいくチーム作りをするのか。それらを考え強い組織を作るためには、リーダーシップを発揮する4年生だけでなく、互いが組織の力を最大化できるよう働きかけるチームワークも大切になる。

 全日本大学選手権や早慶戦では団結し、全員バレーで組織としての強さを見せた早大。最高の笑顔でフィナーレを飾った。

(記事 西山綾乃 写真 山田彩愛、五十嵐香音、西山綾乃)

 

セットカウント
早大 25-22
25-19
25-17
慶大
スタメン
アウトサイドヒッター 大塚達宣(スポ3=京都・洛南)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ2=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 岩本大吾(スポ3=兵庫・市立尼崎)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ2=東京・駿台学園)
オポジット 重藤トビアス赳(スポ3=神奈川・荏田)
セッター 佐藤玲(社3=東京・早実)
リベロ 荒尾怜音(スポ2=熊本・鎮西)
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<集合写真>

1年間お疲れさまでした!

コメント

吉田悠眞(スポ4=京都・洛南)

――今日の試合を振り返っていかがですか

4年生として最後の試合でした。社会人になってバレーボールを続けないので、思い出作りというのもありますが、それよりも下級生に残せるものとか、早稲田でやってきたことを出し切りたいという思いで臨みました。

――1年間振り返っていかがですか

この1年間しんどかったですね。新体制が始まってからチームがなかなかまとまらなくて、頑張ったんですけどそれでもうまく結果が出なくて、結局3年生に助けてもらって合わせました。やっぱり4年生だけ頑張っていてもダメだし、下級生も含めたチーム全員の力が必要だなと改めてこの1年を過ごしてみて感じました。

――久しぶりの試合出てみていかがでしたか

緊張しまくりましたね(笑)。ピンチサーバーで出て、絶対ミスしないようにしようと思ったのにミスしちゃって、やってしまったと。でも、3セット目のラストに松井先生(松井泰二監督、平3人卒=千葉・八千代)が出してくれて、最終的にはコートに今いる4年生が全員出た状態でラスト1点を決められたのでそれだけは本当にうれしかったです。

――3年生に向けて何かメッセージがあればお願いします

3年間本当に助けてもらって立派な学年だなとすごく思います。新体制にちゃんと切り替わってこの1週間見させてもらって、やっぱり3年生がやっていることは間違ってないなと、この1週間を見ただけでもすごく思いましたし、それに対して下級生がどれだけついてこられるかっていうところが大事だと思います。3年生は勝ちたいという思いがすごく強い学年だと思うので、下級生を鼓舞してうまくチームを回せたら絶対大丈夫だと思うので来年も楽しみにしています。

岩本大吾主将(スポ3=兵庫・市立尼崎)

――今日の試合を振り返っていかがですか

今日は久しぶりの有観客で、慶應ホームでの早慶戦ということでいつもとは違った環境の中でプレーしました。4年生と、全員とバレーボールを楽しむことができたのではないかと思います。

――今日の試合内容はすごく良かったと思います

まあ、普通…。(笑) でも、気づいてないところで全日本インカレでの連戦がチームにプラスになっていると思っています。順調に勝つことができたのですが、それがこういう状況でもしっかりみんなが良いプレーを出すことにつながりつつあるというか、来年のチームにもつながってくると思います。一度(ピークをインカレに)持っていって、そのあと(オフで)休んで、また早慶戦に臨むことは難しいことではあったのですが、みんながそこをうまくコントロールできたところが良かったと思います。

――今日の試合はチーム全体的にサーブで崩してブロックで決める場面が印象的でしたが振り返っていかがですか

これは僕の意見ですが、初めての体育館でサーブが打ちにくかったこともあって、一か八かになっていたのかなと感じた部分もありました。ミスも所々ありましたが、少しずつ修正して狙うべきところを狙って、相手の攻撃を絞れていたのかなと思います。年間通してやってきたサーブとそこからの展開は、良かったと思いますし、それは来年も頑張りたいと思います。

――来年のチームでの目標をお願いします

来年はまた違うプレッシャーがかかってくると思いますが、また春リーグまでの3カ月を内容の濃いものにして、人間としてもチームとしても(個人の)スキルのところでももっと成長して、来年の初戦から良いスタートを切れるようにみんなで頑張りたいと思います。

※これまで快く取材に応じていただいた選手、スタッフの皆様に、早稲田スポーツ一同心より感謝申し上げます。