【特集】アナリスト対談 後編

男子バレーボール

 データを重宝している早大にとってアナリストは欠かせない存在だ。アナリストが取ったデータを基に戦略を練っている。試合期は寝る間を惜しんでデータを分析することがあるが、コートに立ち活躍することはなく、なかなかスポットが当たることはない。チームを陰で支えるアナリストの仕事とはーー。小室麻由(政経3=埼玉・早大本庄)、赤坂樹里(人2=東京・成蹊)、杉内凛(スポ1=千葉・芝浦工大柏)、大坊咲葵(スポ1=岩手・盛岡第三)に話を伺った。今回は後編をお送りする。

※この取材は8月17日に行われたものです。

「自分が前進していると感じられるときがすごく楽しい」(赤坂)

アナリストの仕事の醍醐味について話す赤坂

――アナリストのお仕事をされていて楽しかったことや、そのエピソードをお聞きしたいです

小室 最近なのですが、6月のオープン戦(春季関東大学オープン戦)の東海大戦は結構印象深いです。というのも、今年の4月から(3年生の)私がメインのアナリストとしてやらせていただいていました。本来であれば4年生のアナリストが引っ張っていく状況で、自分は(4年生たちと)同期じゃないので、4月と5月は正直どこまで4年生との話し合いに介入したらいいか分かりませんでした。いろいろとやり方を模索している中で、オープン戦が1回中止になって。6月に再開されて、初戦が順天堂大でした。(けがなどで)メンバーがそろってなかったのですが、自分たちがやることをやっていなくて負けた試合だったんですよね。上(アナリスト席)から見ていてこうじゃないかなとか思ったことはたくさんあったのに、それをちゃんと下(フロアにいるスタッフ)に伝えられなくて。それが自分の中で悔しかったんです。次の日の東海大学戦は、全選手のデータ、例えばここのコースのスパイクが多いなとか、もちろん普段から把握していますが、本当に全部叩き込みました。今この選手が崩れているからここを狙うといいかもとか、セット終盤はクイックないよとか。それもあらかじめ今まで出してなかったデータとして出していたのですが、それがちゃんとはまりました。結果的に負けましたが、自分の中では本当に頭フル回転させてやった試合だったんです。もちろん今までもそうでしたが、あそこまで考えてすぐ喋ってすぐ打ってみたいなことは初めてでした。それくらいやって初めて、今までの先輩方がここまで思いをかけてアナリストをやっていたんだなって気づいたんです。実際に私の意見が試合ですぐに反映されたり、選手たちがデータを大切にしてくれたりしたのがすごくうれしくて。もっと頑張らなきゃと思ったし、これだけやったら楽しいんだ、じゃあ次はこうしようというのを見つけられたのが東海戦でしたね。結果は負けでしたが、私に限らずみんな何かしら変わった試合だったんじゃないかなと思います。

――小室さんはアナリストを率いる立場でもあり、4年生とともにチームを率いる立場ってとても大変ですね

小室 4月は超キャパオーバーしていました(笑)。4年生にアナリストの方がいない中、3年生の自分が4年生にどこまで介入していいのか分からなくて難しかったです。4年生には、自分が1年生の頃からかわいがってもらっているので、今は考えすぎずに積極的に意見するように心がけています。同期には気兼ねなく言える関係なので、同期に聞いたりしてデータを考えたりしていました。それで改善されてきましたが、アナリストの統括に関してはもう少し自分ができることはあると思うので、そこは私の次の課題として頑張っていきたいと思います。

――アナリストの統括とは

小室 私が1年生のとき、あまり介入されずに自分のペースでやってきました。でもそれが全員にとって良いのかと言われると、それぞれのやり方はあると思うんですよね。もう少しアナリスト統括についてもう少し考えた方がいいのかなと思いつつ、1年生や(赤坂)樹里のやり方も聞きつつやらないといけないなと。私がコミュニケーションを取りきれていないのかなというのが反省点ですね。

赤坂 私がアナリストのお仕事をしていて楽しかったことは二つあって、一つ目が(小室)麻由さんと一緒にもともと出していたミーティング用の資料の一部をちょっと、本当に小さいことなのですが色を変えてみようという話になったんです。その色合いをどうするかなどを考えているときがすごく楽しくて。去年一年間ずっと同じものを使ってきたものを変える、伝統を残しつつ新しいものを加えられるっていう、その瞬間に自分が携われているのがすごく楽しくて。結果的に、その資料をちょっと変えたいんですっていうのを松井監督(泰二、平3人卒=千葉・八千代)に言って許可いただいて。選手に提示する資料が色だけですが変わったというのが、まず一つ目の楽しかったなと思ったことです。二つ目は、試合のデータを取るにあたって打ち込むコードがあって、最低限打ち込むものはあるのですが、プラスアルファはアナリストの技量にかかっているというか、どれくらい練習するかによってプラスアルファのコードの打てる量が変わってくるんです。それを一個増やすために練習するのですが、練習しているときがめっちゃ楽しくて。「あ、ちょっとできるようになっている」みたいな。昨日は全然できなかったけど、今日は昨日よりも1ラリー分コードを入れる余裕ができている…めっちゃ楽しいってなるんです。二つに共通しているのは、自分が前進していると感じられるときがすごく楽しいなって思いますね。

大坊 私も二つあります。まず一つ目なのですが、入ったばっかりで何もわからない状態でミーティングがあって。最初の頃は資料の見方すら全く分からなくて、先輩たちが喋っているのも理解できなかったんです。だけど何カ月かして自分が資料を作る立場になったときに、やっと資料の意味が分かりました。例えばクイックが少ないなとか、ここの大学はこのスパイクが少ないんだな、というふうにやっと自分の中で分析できるようになって、初めて(資料について)理解できるようになったのがすごく楽しいなって思いました。もう一つは、1カ月か2カ月前くらいに初めてリアルタイムで(データを)打つ方法を教えてもらったときです。私がテレビや動画で見ていたアナリストの人たちはこうしてやっているんだなっていうのを初めて知ったときが、自分のやりたかったことに近づいた一歩だなって思ってすごく楽しいなと思いました。

杉内 私もデータバレーでちゃんとプレーを分析するためのコードを打つ練習ができるようになって、ちょっとずつ成長してきているのが手に取って分かるところがやっていて楽しいなと思います。もう一つは今まで自分がバレーを観ていたときは、ボールを頑張って追って、点を取った、取られたしか見られなかったんです。だけど早稲田に入って、松井先生がよく仰っていますが、ボールは1つしかなくて触れる選手も1人しかいないけど、コートの中には12人いて他の人たちの動きが重要っていうのを聞いたんですね。それもあっていろいろな選手の動きを動画とかで見返して、同じプレーを何回も見返したりしながら、一人一人見ていったときに、この選手がなぜこの動きをしているのかがわかったりとか、逆にこの選手が今一歩いらない動きをしたなっていうことを見られるようになってきたのがすごく楽しいなって思います。

――反対にアナリストのお仕事の中で大変なことや、難しいと感じることはありますか

小室 早稲田のバレー部のアナリストのシステム上、基本的に一番上の人が早稲田の試合(のデータ)を打つのに加えて、いろいろ他にデータを出してみたり、映像を出してみたりしています。今年だったら二番目のポジションの樹里が他の対戦相手とか他大学の入力をしつつ、資料の確認やベーシックなものにプラスアルファした中級の資料を樹里がいつも作ってくれています。1年生が基本的な資料作りをしたり、入力の練習をしたりしていて、(試合での)入力もこれから始めていくところです。こういう役割がある程度あって、そう考えたときに私がやらなきゃいけないことは、もちろんアナリストチームの統括もそうだし、早稲田の(データの)入力とか正確なデータをリアルタイムでどれだけ打てるかも求められますが、新しいデータを作り出すことも求められます。これがすごく難しいなと思っています。

――アナリストの中でも役割分担されているのですね。新しいデータを作り出すのはとても難しそうです

小室 そうですね。いろいろやってみたうえで見つけたことがあって、オープン戦のときもいつも出しているものをちょっと変えてみようとか、この時のデータだけ出してみようとか、それ以外にもいろいろあって。本当に試行錯誤なんですよね。だから自分の中でこうかなと思って出したものが、そんなに重要ではなかったことももちろんありますし(笑)。逆に全然考えてなかったところからポンって出てきたりもするのですが…。(そうしたものを見つけるためには)普段から視野を広く持っていなきゃいけないものだとは思うので、まだまだ私の力不足だなと思いますが、やっぱりちょっと難しいですね。新しく数値化するにもすごく手間がかかるというか結構面倒くさいんですよ。こまごましているのですごく集中力のいる作業だし、じゃあそこで終わりにするのか、そこからデータをグラフにするのか、いや逆に画像にしたほうがいいんじゃないかとか、これは映像がいいんじゃないかとか(笑)。いろいろあるので何で見せるかっていうのも難しいし。見せるにあたってのエビデンス作り、何となくこうだと思うから見せようじゃなくて、ちゃんとした(出す根拠のある)データとして出さなきゃいけない。データとして出して初めてどうやって見せるかを考えるっていう二段階あって。それが難しいなと思います。もちろんそれがアナリストの楽しさでもあると思いますが、楽しいと思えるときもありつつ、型にはまらなくて苦戦しているのが最近は多いです(笑)。

赤坂 これも二つあります。一つ目に自分が難しかったと思うのが、昨年の(1年生のとき)全日本インカレ(全日本大学選手権)のときです。初めて自分が試合を担当して入力するっていう作業をしつつ、対戦相手の資料を出し、かつその日あった早稲田の試合の資料を出すという、自分のタスクが複数ある状況になったんです。(データを)打ったものを後で見返して修正していましたが、作った資料を印刷もしなきゃいけなくて夜中に印刷していたら、4年生の先輩から間違いがあったと連絡が来て。半分まで印刷したのに! って(笑)。でもその資料を作った自分が悪いから、睡眠時間を削らないといけなくなって。資料を作る正確性と体力とスピードとかを全部両立させなきゃいけなくて。だけど次の日は自分が試合会場に行ったら何をしなきゃいけないかっていうのを前日に一回予習しないと動けないからとか考えたり…。やらないといけないことがたくさんあるけど、(コロナ禍の影響で)4年生の試合がない中でやっと全日本インカレという公式戦に臨むことができて、4年生にちゃんと悔いなく引退してもらいたいと思ったので、それを全部実現しなきゃいけないなと。とても大変でした。学年が上がって基本的な仕事を全部1年生がやってくれるようになって、アナリストのチームは麻由さんが引っ張ってくれている状態なんですね。自分はもちろん1年生の指導とかもありますが、これをやらなきゃいけないっていう役割が1年生のときと比べたらそこまでなくて。1年生の指導や、出さなきゃいけない資料もありますし、試合のデータ入力しますが、それ以外に自分ができることがまだ見つかっていなくて模索中です。それを見つけるのが難しいなと最近思います。

大坊 麻由さんとか樹里さんみたいに本当に大変だったということは、まだ入って半年もたってないのでそんなに経験していませんが、入りたての頃は生活リズムを作るのが大変でした。結構アナリストの仕事は練習が終わった後にやらなきゃいけないことが多いので、勉強と部活の両立ができなかったり、体調を崩したりとかいろいろあったのが大変だったなって思います。あとはバレーの経験がなかったので細かいルールとか用語をあまり理解できていなくて、先輩がミーティングで言っていることを教えてくださったこともあまり分からないときがありました。同期に聞いて解決できましたが、最初の入りたての頃はやっぱりチームに慣れることが大変でした。

杉内 最近はちょっとずつ慣れてきましたが、1、2カ月くらい前は、資料を作る1年生の仕事に全然慣れていませんでした。その資料を基に選手が次の日のプレーを考えたりするという資料の重みをちゃんと分かっていなくて、いろいろな人に迷惑をかけてしまったのがすごくつらかったです。その作業に慣れてきたら今度はそれこそデータバレーとか、とにかくいっぱい次の課題が出てくるような部活なので、それを一個一個こなして、しかも順序だててやっていくのが大変だなと思います。

「昨年の全日本インカレ決勝でアナリストのデータが生きた」(小室)

――小室さんには伺いましたが、アナリストの経験が生きた印象的な試合はありますか

小室 2つあって1つ目は昨年の秋の代替大会(秋季関東大学リーグ戦代替大会)です。私はアナリストのセカンドポジションでした。出さないといけないデータは1年生の頃は多いけど、2年生になったら少なくなります。自分で考えなきゃと知識がないながらに思っていて、対戦相手の駒澤大の映像を見たときに「こうじゃないかな」と引っかかったところがありました。それをデータ化してみたら、本当にそうだったみたいな。先輩に見せたら4年生の話し合いで共有してくれました。今までは出さないといけないデータがあって、それを見て「なるほどな」と思うことがあっても、それが事務的な作業でしかありませんでした。自分で考えてデータを出してみたらはまったというのはとても印象深かったです。もう1つは去年の全日本インカレの決勝です。その試合は対戦相手の日体大には強力なエースの髙橋藍選手がいて、そこを止めるのか他を防ぐのかという話を4年生と話し合っていました。いろいろデータを出している中で「(髙橋選手は)このコースが多いから(守備は)この配置(フォーメーション)にしよう」みたいな話が松井先生からありました。それで本当に髙橋選手が一発目そこに打ってきたんですよ。フォーメーションを変えていたからちゃんと上げられました。松井先生が「1本目が決まらなかったら、得意じゃないコースにどんどん広がっていく」とおっしゃっていました。そのために松井先生はたくさん映像を見てたくさん考えて試合に来られているので、私たちのデータだけで貢献したわけではありませんが、そこにちゃんと具体的な数値で貢献できたのはすごいなと思いました。松井先生からも「アナリストがデータを出してくれたから」というお言葉を頂けて、こんなに目に見えるかたちで貢献できて良かったなと思いました。

赤坂 1年生の頃から自分の仕事をこなすということに精一杯で、特定の試合に思い入れがあるわけではありませんが。去年1年間アナリストの基本の資料作りや印刷や通信の準備とか、そういう土台となる仕事をしていていました。全日本インカレで優勝した瞬間を見たときは、自分もその優勝の0.5%くらいは役に立てているのかなと実感できました。2年生になって同期や後輩が「このデータ出せますか」と聞いてくれたときは、去年1年間やってきた経験があるからこそ、頼ってくれるんだなと。自分が今までやってきたことは間違っていなかったんだなと思いました。春季オープン戦のときに早稲田とは違う会場に一人で(他大学の)データを取りに行くという話を同期にしたときに、何も考えずに言ったと思いますが「いつもありがとうね」と言ってくれました。涙が出そうになるくらい本当にうれしくて。他会場に一人でデータを取りに行くことがすごく不安でしたし、2年生に上がってからうまくいかないことの方が多かったので、その何気ない一言だけで全部報われた気がしました。

――アナリストの仕事でデータを取る以外の仕事はありますか

赤坂 アナリストである前に一部員なので、必要であれば練習や試合でボール私なボール拾いはします。1年生は特にですが、2年生の私がすることもありますし、3年生の麻由さんがすることもあります。ただ毎日パソコンに向かっているというよりは、練習に関わる機会は多いと思います。

――アナリストとして選手とコミュニケーションをとるうえで大切にしていることはありますか

小室 相手の考えを否定しないというのが絶対条件だと思います。やっぱり選手はプレーしているからこその感覚はあると思うので。もし仮に考え方が違っても前向きにとらえて「そういう考え方もあるんだな」と考えるようにしています。また、どれだけデータを出すのに時間がかかっても、ちゃんと見やすいかたちで出すというのは、絶対必要なことでみんなの共通認識だと思います。他にあるとするならば、スタッフだから言えることがあると思います。選手同士だったら言いにくいことがあるかもしれないから、一人で抱え込んだりしないように普段から真剣な話は真剣にできるようにしていたいなと。些細なことでも真面目な話だったら聞くようにしています。また、これは私個人のモットーなのですが、素でいることですかね。最初の頃は同期との関係を築くことが難しかったんですよ。私の代は男子がすごく多いし、個性派ぞろいだし(笑)。私は人見知りだしどうしようみたいな。だけど「アナリストの仕事が大変な中で1年生の仕事を手伝ってくれてありがとう」とか「きつかったら言ってね」と、大変なときに分かって声をかけてくれる人がいました。猫を被って強がっていたりするのではなくて、ちゃんと言い合える関係性って大事だなと思っていて。私は一回しんどくなったときに、ボロ泣きしながら同期に「助けてほしい」みたいなことを言ったことがあって(笑)。そのときにみんなが肩を叩いて「大丈夫?」「気づけなくてごめん」みたいな。そこから協力してくれるようになったので、やっぱり素直に言うことは、この部活をやっていく中で大事だなと思います。

赤坂 私は自分から話しかけに行ったりするタイプなのですが、単にみんなとしゃべるのが楽しいからというのはもちろんありますが、自分たちが出したデータを見るのは選手だったりするので、(データを)見てくれる人のことをちゃんと知らないといけないなと思っていて。なので、学年関係なく話しかけに行くようにしています。

大坊 私はデータに関して選手と話すときは、ただ数字だけを見て発言したくないなと思っています。例えばビデオを見ていて「この選手は何らかの自分の意志があってプレーした結果ミスをしたんだな」というのを気づけるので、ただデータを見て意見を言うだけでなく、選手の気持ちも大切にしています。私はもともと人見知りで同期ともあまり話せなくて、ずっと(杉内)凛とばかり話していました。一度1年生だけのミーティングで話したときに、話している人が限られているという状況になりました。思っていることはちゃんとあるので、それを人に伝えないといけないなと思って。メンタルケアをしているかどうかは分かりませんが、積極的に意見を言ったり相談を乗ったりするようになりました。

杉内 選手と話すときはアナリストとしてというよりかは、1年生として話すことが多いです。(大坊)咲葵も言っていたように、今の1年生で意見を言える人が少ないという中で、もっと伝えていかないといけないとなったときに、いい意味で傲慢になって言わないとバレー部の1年生として回っていかないなと思いました。選手に気を遣うようにはしていますが、ただそれだけではうまくいかないので、言うことはちゃんと言うように接しています。

「秋季リーグは4年生のために頑張ろう」(大坊)

秋季リーグ戦の意気込みを話す大坊

――早稲田のアナリストで良かったと思うところはありますか

小室 アナリストというより、早稲田のバレー部というくくりになりますが、ここでなければできない経験をたくさんさせていただきました。周りはバレーボールでここまでやってきた人たちが中心なわけじゃないですか。そういう人たちと一緒にいる中で、今までになかった環境で過ごすことができました。こんなに一つのことを考えて毎日過ごす濃い時間は、今までの人生で本当に初めてだったので、人として成長したかなと思います。もちろん社会で求められる最低限のスキルは、絶対ここでは習得できる環境になっています。それに加えて、自分の良いところや人の良いところって何だろうって深く考えさせられるのではなくて、目に見えてしまう。自分の良いところも悪いところも。他の人の良いところも悪いところも。だからそれも踏まえて自分なりの解決方法も考えることができるし、何においても深いなと思います。一つのことや全体のことを見るにしても。毎日勉強させてもらえますね。周りは自分の考えをしっかり持っていて、相手に意見できる優しさを持ちつつ、ちゃんと気遣いできるという人ばかりで。そういう人たちに囲まれて何度も心救われた経験をしてきました。自分は支える立場ではありますが、みんなに支えてもらっているな、濃い時間を過ごせているなというのは、バレー部に入って良かったと思うことです。選手がアナリストの仕事量の多さを気遣ってくれたりするので、そういう面ではアナリストだからこそ、そう感じられているのかなと思います。

赤坂 この部活は同じ方向を向いている人が集まっていて、バレーに本気で向き合っている人たちがいるなと。私は高校まで自分より熱量を持ってバレーに向き合っている人の方が少なかったのですが、大学に入ってからは自分よりもバレーに本気で取り組んでいる人がたくさんいて。みんなが同じ方向を向いているという環境なのですが、一人一人自分なりの価値観を持っていて。一人一人が何かしらの軸を持っていて、そこに触れられるのが良いなと思いました。また、見返りを求めてアナリストをやっているわけではないですが、選手とスタッフを完全に切り離して考えるのではなく、データを大事にしてくれてちゃんと「ありがとう」と言ってくれるのはすごくうれしいなと思います。私はバレー部のみんなが本当に大好きで。人生の中で人のことをそんなに好きと思えることがないと思うので、そう思わせてくれるバレー部の人たちの人間性に触れられるのは自分にとって良いことだなと思います。

大坊 バレー部に入ってから知りましたが、すごく上下関係がしっかりしている部活で。挨拶や礼儀などバレーだけでなくて、人間性も鍛えられる環境なのですごくありがたいなと思いました。

杉内 いろんな意味で頭がいいなと感じていて。早稲田に入るには(勉強ができる)頭の良さも必要ですが、スポーツ推薦の人は今まで厳しい環境の中で育ってきた人たちなので、入部当初は人間的なレベルの高さを突きつけられました。その中にいるからこそ、自分も良い人間になりたいなと思うことが多いし、もっといろんなことを学びたいと思える環境にいられるので、入って良かったなと思います。

――最後に秋季関東大学リーグ戦に向けての意気込みをお願いします

小室  ここまでちゃんとした試合がなかなかされず、去年からだんだん試合がなくなってきて。あると思っていたものが突然中止されるというのが日常になっているので、チームの勝利のためにというのはそうなのですが、選手たちにはやっぱりバレーを楽しんでほしいです。楽しいと思える瞬間には勝利は付きものだと思うし、データがカチッとはまったときも楽しいし。配信にはなりますが、観客の皆さんにも楽しんでもらうために、データという観点からチームに貢献したいと思っています。もちろん勝ちたい気持ちはありますが、そこにこだわりすぎてやるべきことを見失ったりしまったり緊張してこわばってしまったりというのでは、違うと思います。威圧的な関係性ではなくて、データを分析していて楽しいなと思える環境にしていかないといけないなと思います。また、試合が今までなくなってきた中でもチームのためにたくさん考えてきてくださった4年生に良い思いをしてもらいたいです。いい意味で自己主張しつつ謙虚に、チームに貢献していきたいと思います。

赤坂 学年が上がってから周りの人に支えてもらったり迷惑をかけたりすることが多くて。逆にこれまで自分はお返しができていないので、まず秋季リーグは助けてくださった方々に、自分は何ができるのかを考えて恩返しできる場にしたいです。麻由さんもおっしゃっていたように、勝ちたい気持ちはありますが、楽しめる環境を作るお手伝いができたらいいなと思います。

大坊 今活動していて、自分はアナリストとしてというよりかは、1年生としている方が多いので、1年生の立場で頑張りたいことなのですが。前に1年生でミーティングをしていたときに、4年生のために頑張ろうという話をしていて。すごく優しくて、自分たちがミスをしてもただ怒るのではなく、どうして1年生は練習環境を整える仕事が与えられているのかということも教えてくれて、感謝しています。チームの目標は日本一なのですが、自分たちが日本一の1年生にならないといけないなという話をしていました。練習環境を整えるという仕事もチームが日本一になるためには必要なので、まずは練習できることに感謝しながら、チームに貢献できることを考えて行動したいと思います。

杉内 春季オープン戦では周りの目が気になって、怒られないようにすごくおびえて固まってしまいました。4年生の方針としては、怒られないためにやるというよりは、のびのびしながら活動してほしいと言われました。自分の仕事をしっかりこなしつつ、もっとのびのびやっていきたいなと思います。のびのびやってこそ、マニュアルの外に抜け出せるというか、プラスアルファで物事を見られるようになるかなと思うので、それを心がけて秋季リーグに臨みたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 西山綾乃、合田海都、新井沙奈)

苦しいことがありながらもアナリストの仕事を楽しんでいるようでした!

◆小室麻由(こむろ・まゆ)(※写真右下)

2000(平12)年9月24日生まれ。165センチ。埼玉・早大本庄出身。政治経済部3年。アナリストチームを率いる小室さん。仕事が丁寧で面倒見が良く、後輩から慕われているそうです!

◆赤坂樹里(あかさか・じゅり)(※写真右上)

2001(平13)年11月23日生まれ。164センチ。東京・成蹊出身。人間科学部2年。学年関係なく自分から話しかけに行き、架け橋のような存在になっているという赤坂さん。コミュニケーション能力があってうらやましいとの声がアナリスト陣から上がっていました!

◆杉内凛(すぎうち・りん)(※写真左上)

2002(平14)年6月30日生まれ。169センチ。千葉・芝浦工大柏出身。スポーツ科学部1年。1年生の中ではお母さん的な存在だと言われている杉内さん。ズボンの裾上げなどをやっているそうです!

◆大坊咲葵(だいぼう・さき)(※写真左下)

2002(平14)年10月23日生まれ。151センチ。岩手・盛岡第三出身。スポーツ科学部1年。もともとは物静かな性格で同期との関係を築くのが難しかったという大坊さん。今ではチームメートの相談にも乗ったりしています!

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