【特集】『コロナ禍で問う 今の大学バレーの在り方は?』第1回 吉田悠眞主将

男子バレーボール

 1回目の今日は吉田悠眞主将(スポ4=京都・洛南)。現在のチームの状態や練習の様子について伺った。

※この取材は6月18日に行われたものです。

今は苦しい時期だが成長段階

春季オープン戦に出場する吉田主将

――今のチームの調子はいかがですか

相変わらず大変ですね(笑)。調子の悪い人たちがちらほら出ています。メンバーも考えないといけません。ここが踏ん張り時だと思っています。苦しい状況ですが部として成長するための段階だと思っているので、そこはプラスに捉えて取り組んでいきたいと思います。

――春季関東大学オープン戦(春季オープン戦)がなくなってチームはどんな雰囲気でしたか

緊急事態宣言が出て先延ばしになってということで、なかなかモチベーションが保てなくて。練習をしていても惰性になってしまうことがありました。そこで松井先生(泰二監督、平3人卒=千葉・八千代)からも毎日同じ練習をしていても惰性になってしまうのは仕方ないからと言われ、先生にも協力していただきました。代表(ユニバーシアード男子日本代表)でも監督をやっているので、代表でやっている練習を提案してくれました。普段とは違う練習をしてなるべくモチベーションが落ちないように、気の抜けた練習にならないようには注意してやってきました。

――モチベーションを保つのが難しいという場面で、キャプテンとして意識していたことはありましたか

僕自身はモチベーションが落ちるということはありませんでしたが、どうしても落ちてしまうのは仕方ないと思います。最終的な目標が全日本インカレ(全日本大学選手権)優勝なので、そこから逆算して目標を置いていました。今はレセプションアタックを鍛えています。試合はありませんが、解決すべき課題も自分たちのやるべきことも変わりません。目標を置いて自分たちが解決しなければならないことを各自が考えてやるということで、モチベーションを保たせるようにしていました。

――モチベーションを保つのが難しいメンバーに声を掛けたりアドバイスをしたりしたことはありましたか

モチベーションが落ちているかどうかは目に見えて分かるものではないですね。落ちているけど頑張っている選手もいると思います。だから特に変わったことはしていませんが、組織として全日本インカレ優勝という目標に向けて取り組んでいるから、モチベーションを高く保って練習に取り組んでほしいということは言いました。

――大会のない期間、どのようなところに力を入れて練習してきましたか

大会はありませんでしたが、練習試合はできました。練習試合で出た課題に関しては、去年1年間もあまり大会がなくて、下級生がプレーでの状況判断ができていないということで。その状況判断を養うために複合練習を取り入れて、試合がない分をカバーするようにしていました。

――複合練習とは何ですか

1日の練習でまず課題を決めました。例えば「今日はレセプションアタックを鍛える日」と決めて、サーブレシーブから強化していきました。最初は個人技から入り、その後は3人でレセプションでどう関係性を作るかというのを話し合ってもらいます。その後はゲームを行います。そこで想定外のことが起こったりするので、最善の選択ができるようにということで、状況判断の練習をするようにしてきました。

――ボール練習以外に、体づくりに関してはいかがですか

ウェートトレーニングに関してはずっと鍛錬期のトレーニングなので、結構ハードなものが多かったです。水曜日にサーキットを行っているのですが、サーキットの内容もハードなものになったので、みんな悲鳴を上げています(笑)。でもみんなトレーニングが大好きなので、鍛錬期になっていることに文句を言う人はそんなにいないですね。むしろバレーボールに対するモチベーションが下がっている分、ウェートトレーニングに逆にモチベーションが上がっている選手が多いですね。全体として測定の数値は上げっていますね。

――サーキットでは何をするのですか

ウェートトレーニングだったらおもりを使いますが、ウェートトレーニングとバレーボールの間のトレーニングで、ウェートトレーニングとバレーボールの基礎的な動きを組み合わせたようなトレーニングです。続けてメニューをこなしていって休憩がないので、結構ハードですね。

――それはウェートトレーニングのコーチにメニューを組んでもらうのですか

そうですね。組んでもらっています。

――感染拡大が収まらない中で大変だとは思いますが、体調管理に関してはいかがですか

管理栄養士の方がいらっしゃるのですが、年に2~3回ほど食事調査をしていただいています。選手がどのような食事をしているかというのを見てもらいます。足りていないものを一人一人にアドバイスしてくださるので、食事に対する意識は上がっていると思います。そういったところから免疫が高くなっているので、感染しないというのがあると思います。感染対策に関しては他の大学とは大して変わりません。

――4年生に関していえば、感染拡大で1年半も思うように活動できていません。この状況をどのように受け止めていますか

バレー部としての活動ができていないことは悲しいことで、コロナが無かったらなと思うことは結構あります。でもその分下級生とも話したり遊んだりする機会が増えて、コロナで大会がなくなったことで得られることもありました。大会に出たい気持ちはもちろんありますが、バレー部で過ごす時間が好きです。なのであまり悲観的にはなっていません。

――吉田主将は本格的にバレーボールをするのは大学が最後とおっしゃっていました。大会への未練に関してはいかがですか

そこはあります。それこそ僕が今バレーをやっている目的は自分の人生を豊かにするためと捉えています。大会がなくても人間性を高める目的があって練習をしています。それは自分の人生を豊かにするのにもつながってくると思います。大会がなくて結果が出ないことに対する未練はありますが、得られるものは大会があってもなくても変わらないので、自分の人生を豊かにするという点に関しては未練はありません。

――来週から春季オープン戦が再開します。チームとしての意気込みを聞かせてください

調子の悪いメンバーが出てしまってオープン戦のときとメンバーが変わってしまいます。それでも早稲田の「誰が出ても同じプレーができる」というテーマが一つの強みでもあるので、それをチームとして体現したいと思います。勝敗にこだわりすぎず、チームとしてやるべきことを徹底してやっていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 西山綾乃)

◆吉田悠眞主将(よしだ・ゆうま)

1999(平11)年5月23日生まれ。176センチ。京都・洛南出身。スポーツ科学部4年。自分のことよりもチームのことを最優先に考えるという吉田主将。周囲からは「悠眞さんについて行きます」と厚い信頼を寄せられています。誰もが認めるキャプテンシーで、苦しい状況でもチームを引っ張ります!