上級生が結びつける『個』 専大を破り開幕2連勝!

男子バレーボール

 先週ついに開幕した春季関東大学オープン戦(春季オープン戦)。早大は2戦目を迎え、専大と対戦した。初戦は試合の入り方に課題が残ったが、今日はその部分をクリア。試合後半は途中出場の選手らが雰囲気をつくり、流れに乗った時の強さを見せつける。セットカウント3―1(25−20、21−25、25―20、25−17)で勝利を収め、今後の試合に弾みをつけた。

 今日もスターティングメンバーには2、3年生らが多く名を連ねた。しかし初戦の第1セットと同じ轍は踏まず、幸先の良いスタートを切る。水町泰杜(スポ2=熊本・鎮西)がクロスに鋭いスパイクを打ち込み、伊藤吏玖(スポ2=東京・駿台学園)が2本のサービスエース。5―1と先行すると、流れに乗り切れない相手に3度しかブレイクを許さず、25−20でセットを先取した。しかし、第2セットは5―2から4本のブロックで8―12と引き離される。早大も堅牢な3枚ブロックで応戦し、後半18―19と追いすがるが、終盤に踏ん張り切れなかった。サービスエースやバックアタックと、相手に良い形での3連続得点を許し21―25で、セットカウントを1−1とされる。

 

途中出場し試合の流れを変えた吉田主将

 流れを変えたい第3セットにコートに入ったのは、今年チームを率いる吉田悠眞主将(スポ4=京都・洛南)。「下級生がやりやすい環境をつくるだけ」と、まだ大学バレーの経験が少ない面々に積極的に声をかけた。自身も巧みにブロックアウトを奪うと、それに呼応するように山田大貴(スポ2=静岡・清水桜が丘)がストレートに豪快なスパイク。11―9の場面では荒尾怜音(スポ2=熊本・鎮西)の丁寧なレセプションから、それまで少なかった速攻を伊藤が決めた。吉田主将の声がけでフレッシュな力が躍動し、このセットを25―20で奪い返す。

 

クイックを打つ伊藤

 第4セットは前半、水町を中心に実に6連続で得点し14―5とリードを奪う。コートに残った吉田主将が雰囲気をつくり、要所でダイナミックなプレーが飛び出した。この試合もサーブがよく走った山田がエースを決めるとスコアは19―9。勝ち切りたい22―16の場面では、芳賀雄治 (商3=山形南)がピンチサーバーとして出場。「自分が出ることによって雰囲気を盛り上げられるように」という言葉通りに声を張り上げた。最後の得点は途中出場の秋間直人(スポ3=愛知・桜台)がクイックで決め、25−17。セットカウント3―1で、春季オープン戦開幕2連勝を決めた。

 今季の早大は、現時点で背番号の大きい選手らが主軸を担う若いチーム。だからこそ、その屋台骨を支える上級生の役割は大きい。今日の試合では吉田主将を中心にチームが勢い付き、力強い『個』がかみ合った時の強さの片りんが見られた。明日以降も続く春季オープン戦、そしてリーグ戦。チームとして結びつき、成長していく早大から目が離せない。

(記事 平林幹太、写真 西山綾乃)

 

セットカウント
早大 25-20
21-25
25-20
25-17
専修大
スタメン
アウトサイドヒッター 重藤トビアス赳(スポ3=神奈川・荏田)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ2=静岡・清水桜が丘)
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ2=熊本・鎮西)
ミドルブロッカー 岩本大吾(スポ3=兵庫・市立尼崎)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ2=東京・駿台学園)
セッター 佐藤玲(社3=東京・早実)
リベロ 荒尾怜音(スポ2=熊本・鎮西)
コメント

吉田悠眞主将(スポ4=京都・洛南)

――3セット目から出場されましたが、起用の理由について教えてください

下級生主体のチームになっていて。負ける実力ではありませんでしたが、自分たちで雰囲気をつくっていけなくてチームの柱となる人がいませんでした。攻撃力が上がるわけではありませんが、試して入れてみようという監督の意図があったのだと思います。

――吉田主将が入ってからチームの雰囲気が良くなりましたね

僕にできることって下級生がやりやすい環境を作るだけなので。僕自身がすごく得点を決めるというわけではないので、下級生が自分のプレーに集中してバレーを楽しめたらいいなと思っていて。やるべきことを明確に指示をしてあげるということで、他の人たちも指示を出しやすいような環境を作ることを意識していました。

――どのような指示を出していましたか

ブロックだったら誰がどこを重点的に止めに行ってとか、クイックは軽くして別の人をちゃんとマークしてとか。レセプションとかだったら後衛の選手にサーブが集まっていて、相手はパイプを打たせないようにしていました。でもサーブがとても強いというわけではなかったので、狙われている選手がわざと前に出て前の方にサーブを集めて後ろは怜音(荒尾、スポ2=熊本・鎮西)に取らせる方がパイプも使えるので、そういう指示を出していました。ちょっと自分が言うだけで後輩がアドバイスを求めてくれるので、チームが良くなるきっかけ作りみたいなのはできるのかなと思いました。

――それだけでとてもチームの状況が変わるのですね

この春からセッターとしてスタメンで出ている玲(佐藤、社3=東京・早実)には「今上げたトスそこで合ってるよ」とか、否定せずにプラスになる言葉をどんどんかけてあげることで、トスも安定してきました。それは結構自分でも驚いているんですけど。それを継続してやっていきたいと思います。

――専修大の特徴を教えてください

クイックがそんなに多くないチームで、あとはクロスにスパイクが集まってきていました。そこを重点的にやっていこうという話になりましたが、1、2セット目は玲が自信持てなくてクイックを使えなくて、サイドの展開になってブロックでタッチを取られてしまいました。そこは自信持ってクイックを使っても大丈夫と言ったら、トスが良くなりました。あとは、相手のスパイクに関してはクロス勝負していた部分があったのですが、ブロックの下りとかブロックを抑える位置が甘かったというのがありました。まだまだミーティングで話したことを実行する力はあるのに、プレー中にいっぱいいっぱいになってしまって、頭から抜けているのかなというのは感じました。一回一回プレー前にそこを整理させてあげるというのをこれからやって、明日の試合ではミーティングで話し合ったことを序盤から出せるようにやっていきたいと思います。

――次回の試合に向けて意気込みをお願いします

明日は中大戦なのですが、映像を見ていてもサイド3人が完成度が高くて決定率の高いチームだと思います。そこの3人をいかに抑えるかというのが課題になってくると思います。あと、自分たちでつぶれていってしまうということがあるので、そういう面でいかに自分たちの良さが出せるかがカギになると思うので、その二点さえ抑えれば大丈夫かなとは思います。明日は出られるか分かりませんが、外からでも中からでも自分のやることは同じなので、指示を出したりチームの雰囲気を良くしたりしたいなと思います。

 

芳賀雄治 (商3=山形南)

――今日の試合の感想を教えてください

自分はスタートで出る選手ではないと思っているのですが、スタート出ている人たちは静かな選手が多いので、自分が出ることによって雰囲気を盛り上げられるように意識していました。4セット目に出たときには盛り上げられたなと思いました。

――オープン戦からピンチサーバーとしての出場が増えましたが、サーブの練習をたくさんしてきたのですか

3月にジャンプサーブに変えてから比較的サーブにこだわるようにはしていて。練習の前にトスアップの練習をしたり、サーブ練習のときの一本目からいいサーブを打てるようにずっと練習してきました。

――ピンチサーバーとして試合に出たいという気持ちがあって、サーブの練習をずっとされてきたのですか

そうなのですが、僕の最終的な目的はサーブで試合に出場することではなくて、スタメンでスパイクをたくさん決めることが目標です。その延長線上でサーブに磨きをかけようと思って練習していました。目的はピンチサーバーで出ることではありませんが、今のチーム状況では自分のスパイクや守備では力不足なところがあるので。サーブで出場する機会があれば、サーブに力を入れようかなと考えています。

――今はサーブで試合に出ていますが、今後はどのような役割で試合に出たいと思っていますか

僕は他の選手に比べて高さがある選手ではなくて。ブロックの上からボールを叩くとか、水町泰杜(スポ2=熊本・鎮西)みたいにブロックの横から打ってかわすような選手ではなくて。どちらかと言うと吉田主将みたいな守備をメインにしている選手だと思っているので、入ったときにはサーブレシーブでリズムを作って。僕たちはトータルディフェンスをコンセプトに置いているのですが、ブロックのいないところにしっかり入って。自分は筋トレを大事にしてきていて体は結構強い方なので。試合ではレセプションとディグで貢献できる選手になりたいです。

――筋トレは冬の間頑張ってきたのですか

僕たちは冬の間、筋肥大比を上げるトレーニングをしていて。去年も同じようなことをやっていましたが、体が大きくなったと感じなくて。その原因が食生活にあると分かりました。トレーニングと食生活は密接に関係していると思うので、トレーニングをしながら何を摂取すればいいのかを考えました。タンパク質とか五大栄養素をしっかり摂らなければいけないのですが、僕はタンパク質を練習後に意識的に摂るようにしました。今までは補食で野菜ジュースを飲んでいたところを、プロテインに変えてとか、間食でサラダチキンを食べたりと意識することで、みんなから体が大きくなったと言われるようになりました。

――それはやはりプレーに影響は出てくるのですか

大分パワーがつきました。ブロックに当てた飛ばすしたりと、自分の良さは高さよりパワーだと思っています。サーブのスピードとかも監督から速くなったと言われますし、コーチからも良くなっていると言われたので、成果は出ているなと思います。でもまだまだ納得はしていません。水町、山田(大貴、スポ2=静岡・清水桜が丘)のようなスパイクのような相手が反応できないスピードでサーブを打ちたいという気持ちがあるので。そこまで筋トレも足りていませんしジャンプもできないので、そういうところも頑張っていきたいです。

――次の試合に向けて意気込みをお願いします

明日は中大戦ということで組織力のあるチームなので、スタートでは出られないかもしれませんが、サーブで出たら点を取って流れを変えて、チームに貢献したいです。

 

伊藤吏玖(スポ2=東京・駿台学園)

――試合に出ての感想を教えてください

大学に入ってスタメンとして出場したのはこれで2回目なので、自分としてはまだまだ試合の動きが体に染み付いていません。練習と違う動きだということを頭で理解しきれていないので、まだ動きが悪かったり考え方が固かったりという感じです。セッターの心情をくみ取ってブロックを飛んだり、点差を考えてサーブを入れにいったり、そういった実践での戦い方がまだまだできていないと感じます。

――今日はサービスを多く決められていました

最初の方だけですね。

――サーブは多く練習してきたのですか

サーブは自分としては一番自信を持っているので、練習は多くしてきました。

――今日のブロックはどうでしたか

良いところもあったのですが、まだ悪いところの方が目につきます。

――具体的にどのようなところが悪いと感じますか

ブロックが流れたり回ったりしてしまうことが、ミスにつながっていると思います。また、先ほども言ったように、相手のデータに基づいてブロックを飛ぶという部分です。データからすると、基本的にクイックを薄めに考えるべきでしたがあまりできませんでした。相手がAパスを入れたとき、クイックの可能性を捨てきれませんでした。

――クイックはどうでしたか

万全の状態で入れた時は決まっていたと思います。ですがパスが悪かった時やBクイックの時にミスが出てしまったので、精度を上げていきたいと思います。

――佐藤選手とのコンビネーションはどうですか

玲さんとは練習の時に多く話し合っていますが、まだ悪くはないけど良くもないという感じです。まだ全然、自分の入りのタイミングだったりが不安定です。そのせいで迷惑をかけてしまっています。

――次につなげたいことは何ですか

サーブがよく走ればゲーム展開は楽になるので、サーブは攻めつつミスしないように、精度を上げていきたいです。また、実践という場でもデータを頭の中に入れて、相手に対応したブロックがしたいです。最後にクイックについては、どんなパスでもしっかり打てる体勢で入って、セッターやチームを楽にしたいです。