春季オープン戦開幕!初陣を飾るも課題が残る試合に

男子バレーボール

 春季関東大学リーグ戦の開催は延期になったものの、10日から春季関東大学オープン戦(春季オープン戦)が開幕した。大会2日目、早大は東京学芸大を相手に初戦を迎えた。序盤はレフトやセンター線からの速いスパイクに押され1セット目を落とすも、速攻やパイプ等の多彩な攻撃やサーブで応戦。セットカウント3-1(19-25、25-18、25-19、25―22)で初戦は白星を飾った。

 6人が初のスタメン入りを果たし、メンバーをがらりと変えた初陣となった。タッチネットやサーブレシーブのミス等硬さが見られ、序盤からリードを許す。また相手の速い攻撃に対応しきれずスパイクを打ちこまれたり、ブロックアウトを取られたりして点差は徐々に広がった。活気のある声は聞かれず、選手たちからは不安な表情がにじみ出る。アウトサイドヒッターを中心に攻撃を展開するも、最後まで追いつくことができず。19―25で1セット目を落とした。

 

スパイクで得点を量産した山田

 この反省を生かし切り替えて臨んだ2セット目、序盤から早大が主導権を握る。サイドだけでなくセンター線からも攻撃を展開し、ブロックを翻弄(ほんろう)。高さや力強さ、速さなど、それぞれが持つ個性が攻撃で遺憾なく発揮された。さらにこのセットからはサーブが光った。重藤トビアス赳(スポ3=神奈川・荏田)や山田大貴(スポ2=静岡・清水桜が丘)を中心にサーブで得点を重ね、全体で計6本のサービスエースが出た。終始チームは活気のある雰囲気に包まれ、2セット目は25―18で勝利した。

 3セット目も早大の勢いは止まらず。センター線からの速いクイックやパイプなどの多彩な攻撃でリードを広げる。後半にはセッターの佐藤玲(社3=東京・早実)が躍動。身長175センチと小柄ではあるが連続してブロックで得点した。さらに20-13の場面では相手陣地に落ちそうになったボールをすかさずフォロー。相手の意表をつきミスを誘った。最後まで早大ペースで進み25-19で連取した。4セット目は互いに攻撃の手を緩めず、試合の行方が読めない展開に。レフトやセンター線から速いスパイクが打ちこまれたが、リベロの荒尾怜音(スポ2=熊本・鎮西)がファインプレーを連発し簡単には点を与えず。終盤は相手のサーブミスや反則などで得点し、25-22で初陣を飾った。

 

サービスエースを決める重藤

 昨年からメンバーを大きく入れ替えて臨んだこの試合。勝利したものの、チーム全体でミスの多さが浮き彫りとなった。「弱い。その一言」と松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)は話す。ただ技術的に弱いのではなく、練習の詰めの甘さが出たのだという。この日のスタメンは8人中6人がU18アジアユース選手権の日本代表メンバーに選出されており、個々のポテンシャルは言うまでもなく高い。だがブロックが揃わなかったりサーブレシーブでお見合いをして取れなかったりと、練習の時点で防げるミスを多発してしまった。バラバラになっている最強の『個』をうまく掛け合わせることが今後のカギとなるだろう。

(記事・写真 西山綾乃)

セットカウント
早大 19-25
25-18
25-19
25-22
東京学芸大
スタメン
アウトサイドヒッター 重藤トビアス赳(スポ3=神奈川・荏田)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ2=静岡・清水桜が丘)
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ2=熊本・鎮西)
ミドルブロッカー 岩本大吾(スポ3=兵庫・市立尼崎)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ2=東京・駿台学園)
セッター 佐藤玲(社3=東京・早実)
リベロ 荒尾怜音(スポ2=熊本・鎮西)
リベロ 布台駿(社2=東京・早実)
コメント

松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)

――今日の試合を終えられていかがですか

弱い。その一言です。弱いというのは技術的なものではなくて、練習で詰めてやれていなかったんだろうなと言いますか、練習通りやれなかったということですね。この先頑張らないとまずいなと感じた試合でしたね。

――練習で詰めていかないといけない部分に関して、今日の試合のどのようなところで見受けられましたか

やはり基本的な動きですかね。基本的なパスだとかボールの下に入るだとか。そういうところができていませんでした。あとはチームとしてまとまりがありませんでした。

――今日の試合に点数をつけるとすれば、何点だと思われますか

学芸さんは昨日試合をやっていたので、1セット目はあんなものかなと思っていたけども、100点のうちの30点ですかね。50も行かないです。つまり相手にやられているわけじゃなくて、自分たちで慌てているだけなので。そういう部分で全く意識が足りなかったですね。

――逆に今年のチームの強みはどのようなところだと思いますか

去年みたいにトスを上げればほとんど決まるみたいな選手がいないので、やはり1本目のパスから丁寧にならないといけない。それが雑になってしまったらダメなチームなんです。さらに基礎から丁寧にやらないといけないということで、スキルアップを図らないといけないんですよね。今年は去年以上に雑ですね。いい方向に行くべきところがあまり行ってないということですね。

――今日の試合で練習の成果が発揮されたことはありましたか

サーブは良かったですね。

――重藤トビアス赳選手(スポ3=神奈川・荏田)と山田大貴選手(スポ2=静岡・清水桜が丘)がサービスエースを連発していました

頑張っていましたね。もともとサーブは力のある二人だったので、発揮できたのは良かったです。

――次回以降の試合で選手たちに期待したいことは何かありますか

相手がどうではなくて、自分たちで目指してやってきたことがブレないというのが大事だと思います。相手が格上だったら仕方ないと思いますけど。自分たちのやってきたことがブレてしまったりとか、その場しのぎのプレーだとか。ダイナミックなプレーでミスをするのは問題ないけれども、基本から外れたプレーをしているというのがいくつかありますので、その辺を修正してほしいです。

岩本大吾(スポ3=兵庫・市立尼崎)

――今日の試合の感想を教えてください

冬のトレーニング期間に自分たちがやってきたことをちゃんと出しきろうと言っていて。なのに1セット目は悪いところばかりが出てしまって。でも悪いところが全部出たから、ここから全部いいところだけ出していこうと切り替えられました。2、3セット目は雰囲気良く楽しくできたので、良かったなと思います。

――悪いところが全部出たとおっしゃっていましたが、具体的にどのような弱点が見受けられたのですか

4年生がいないチームになって軸になる人がいなかったりとか、ミスをしたときに声を出せる人がいなかったりとか。それがプレーにつながりました。連携ミスとか相手のサービスエースとか、コミュニケーション不足で取れなかったボールが多かったです。

――昨年はメンバー外になっていましたが、やはり悔しかったですか

正直すごく悔しかったです。結局自分のプレースタイルがあまりはっきりしていなくて、同じミドルの村山豪さん(令3スポ卒=現ジェイテクトSTINGS)とかに相談していました。自分はミドルとしてそんなに高い方ではないけど、速いクイックを打てて動けるようになったらやりたいプレーができるんじゃないかとアドバイスをもらいました。それを意識して練習してきて。目に見えるとかではないですけど、静かに闘志を燃やしながらやってきました(笑)。いい意味でこういう形で試合に出られて良かったです。

――冬の間はすごく練習を頑張ってきたのですか

冬はそういうシーズンなのでみんな頑張っていると思いますが、同じことをやっていても試合には出られないと思ったので、自分なりに必要だと思うことをピックアップして練習をしてきたのがだいぶん大きかったです。

――今回スタメンに入れて改めてどう思いましたか

気にしなくていいと言われているものの、やはり早稲田を背負っていて外からの注目度があると思っていて。今まで偉大な先輩たちが残してきたものを僕が失敗して終わったとなったらそれは上の先輩たちにも申し訳ないので、早稲田の名に懸けて頑張ってやっています。

――サーブを変えられましたよね

ジャンプサーブに変えました。ボールがモルテンに変わってスピードがという話を監督ともしていて、ボールの特性に合わせてジャンプサーブで。自分はパワーで押し切るタイプではないので、ミスを少なく相手の嫌なところに打てる、かつ最低限のスピードやコースは意識していました。ですがまだ精度は高くないので、これからもっと練習していきたいと思います。

――次の試合に向けて意気込みをお願いします

メンバーに関してはまだまだ分かりませんが、1試合目を勝つことができて良かったです。でも相手チームは早稲田を倒しにやってくると思うので、その分受け身にならず自分たちの雰囲気を作って、楽しくやっていきたいと思います。

佐藤玲(社3=東京・早実)

――今日の試合の感想を教えてください

1セット目取られたのは自分のせいで。僅差になったのもセッターとして使えるところを使えなかったり、スパイカーを楽にさせてあげられなかったりしたのが、自分の中で課題が残る試合だったなと思っています。

――1セット目を振り返っていかがですか

自分がもっとクイックを使えば良かったなと思います。クイックはミスをしたわけでもないし止められたわけでもないのに、そこでクイックではなくサイドに打たせてしまって。また、キャッチやつなぎのミスが出て、1セット目を取られてしまいました。2セット目につながる負け方をしようとコート内で出ていたので、2セット目のために1セット目にどのような組み立てを終盤していくかというのを自分なりに考えてやっていました。

――ガッツのあるナイスプレーも出ました

2本目は基本セッターの責任ですし、スパイカーに気持ちよく打ってもらいたいです。やはり主役はスパイカーでセッターは日の当たらないポジションなのですが、そういう地道なことをやっていって、3本目に打つ人が輝ければなと思っています。意識して頑張っていたわけではないですしやって当然という感じですね。

――2セット目はチームの雰囲気が良かったように感じました

最初から元気を出して楽しくやっていこうと決めていました。でも1セット目は自分たちの良さが出ていないという話になって。声もあまり出ていなくて、楽しくないよねって。2セット目からは切り替えて元気出せました。

――去年はメンバー外になっていましたが、やはり悔しかったですか

悔しかったと言ったら悔しかったです。同期にも達宣(大塚、スポ3=京都・洛南)とかみんな代表を経験している人たちで、一つ上も二つ上の先輩もそうですし。基本的に自分とは存在する場所が違うというか。結構上にいる人たちで、そこで仕方ないという気持ちが入部したときにはあって。でもできない人でもできないなりにそういう人たちに食らいついていかないといけないし。そうやって代表だけのチームじゃないというのを示せたらいいなと。代表で選ばれるのはすごいことですしかっこいいし憧れますが、早稲田は代表だけのチームじゃないので。違う環境の人たちが集まって力を合わせて毎年日本一を取っているので。(自分のように)背が低くても代表じゃなくても、強いチームでちゃんと戦えるということを示せたらいいなと思います。

――次の試合に向けて意気込みをお願いします

次の試合は序盤からクイックを通したいです。クイックにブロックが付いてきたらサイドに展開したりパイプを使ったりしたいです。今日はクイックを一本も止められなかったので、終盤はパイプやサイドの数を減らしてどんどんクイックを使いました。それを継続したいです。次は向かってくるチームでサーブを押し込んでくるので、乱れてきたときに一呼吸置けるセカンドボールを供給できるように意識して頑張っていきたいと思います。

山田大貴(スポ2=静岡・清水桜が丘)

――今日の試合の感想をお願いします

試合を通して、課題がたくさん見えました。自分自身今回が初めてのスタメン起用ということで、自分にできることが何か考えました。先輩方からも言われて、チームに勢いをつけるために、声を出したり、オポジットというポジションでたくさん点を取るということを意識しました。ですがそれもまだ自分の満足のいく結果ではなくて、チームが勢いに乗れない場面がすごく多かったです。また来週もオープン戦はあるので、そこを修正してやっていければと思います。

――スタメン起用はいつ決まったのですか

固定したメンバーというのはなかなかずっと決まっていなくて、ポジション争いをしていました。いつでしたかね、2・3週間ほど前から自分がリーグ戦でスタメンとして出るんだろうなと分かりました。そのため、ここからリーグ戦が始まるんだなというのは意識してやってきました。

――サーブを多く決めている印象でした

たまたまです。重藤さんの方が強いサーブを打っていました。

――やはりサーブは冬に重点的に練習してきましたか

この前までなかなかサーブが安定していなくて、良い打ち方がないかというのを模索していました。達宣さん(大塚、スポ3=京都・洛南)とかのサーブを見て、サーブトスが大事だという話なども聞いていました。試行錯誤して、ちょうど3日前ぐらいに良い感覚をつかむことができて、今日は調子が良かったので嬉しかったですね。

――サーブは大塚選手たちに教わることもあるのですね

そうですね。自分のようにコートの左側からサーブを打つ人は少ないので、その分トスから慎重にやらないといけないというのは達宣さんから言われていました。まだ満足はいっていないですが、そこを意識するようになりましたね。

――次の試合に向けて意気込みをお願いします

最初にも言ったのですが、色々な面でチームに勢いをもたらすことができればと思います。まずは今日よりもスパイクでたくさん点を取り、効果的なサーブを打ちます。また、今日満足のいかなかったブロックやレシーブでいい結果が残せれば他のサイドが決めてくれると思うので、守備の面でも活躍できればと思います。