強さと粘りを見せつけた!8連勝で黒鷲旗へ挑む

男子バレーボール

 8連勝が懸かる今日の早大の相手は中大。石川祐希や大竹壱青などが抜けたものの、サーブで攻める強豪校であることに変わりはない。第1、2セットは早大ペースで試合を優位に進めるも、第3セット終盤で早大のレシーブ陣形が乱れて逆転を許す苦しい展開に。あと1点で勝負が決するという場面でも、「これが普通だから、焦る必要はない」という声掛けで、早大は猛攻を見せる。セットカウント3-0(25-18、25-21、32-30)のストレート勝ちで春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)8連勝。黒鷲旗(黒鷲旗全日本選抜)に弾みをつける結果となった。

 第1セット開始直後に武藤鉄也(スポ3=東京・東亜学園)のブロックでブレイクに成功。その後も武藤や小林光輝副将(スポ4=長野・創造学園)のサービスエースや宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)のキレのあるスパイクでブレイクを重ね、一時9点差をつけるなど終始中大を寄せ付けずにセットを獲得。続く第2セットも同様に少しずつリードを広げていき、このセットも25点目をきっちり決めきる。このままストレートで勝ち切りたい第3セット。1、2セット同様拮抗した展開を見せるが、9-9で迎えた小林のサーブがエンドラインぎりぎりでインの判定。2本目のサーブも相手を崩してスパイクミスを誘い、11-9と早大が1歩前に。2点差のまま試合は進み、1、2セット同様にこのまま早大がセットをとるかと思われたが、中大も黙っていない。終盤から中大のブロックとレシーブのポジションがはまり、リベロの柳田主将を中心にセッターにボールを返して連続得点を重ねる。逆転を許したところで早大は連続でタイムアウトを要求して流れを取り戻そうとするも、中大の勢いは止まらず4連続失点。19-23と終盤で手痛い4点差をつけられてしまう。このままサイドアウトが続けばセットを落としてしまうかと思われた。

藤中主将のレシーブから何度も攻撃を繋いだ

 しかし、ここで覇者ワセダの強さが光った。まず鵜野のスパイクで20-23とすると、ピンチサーバーとして宮下諒大(社4=東京・早実)をコートに送り出す。「起爆剤になれたら」という宮下の言葉どおり、相手を崩すサーブを放った。チャンスボールが早大のコートへ返ってくると、セッター経験のある宮下がトスを上げたのは、同じ早実出身で中学からの付き合いの鵜野幸也(スポ4=東京・早実)の頭上だった。見事にストレートコースを打ち破り、全日本高等学校選手権(春高)を想起させる展開に会場が湧く。続けざまに村山豪(スポ2=東京・駿台学園)のダイレクトアタックでラリーを制して22-23とすると盛り上がりは最高潮に。次のラリーでは惜しくもスパイクが拾えず相手にセットポイントを握られるが、すかさずサイドアウトをとって23-24。ここで相手にスパイクを決められればセットを取られてしまうという危機を救ったのは、今大会で好調の村山のブロック。きっちり相手のコースをシャットアウトし、24-24。ついにデュースへと持ち込んだ。中大が先にセットポイントを握るかたちで、一進一退の攻撃が続く。流れが変わったのは藤中優斗主将(スポ4=山口・宇部商)のスパイク。ブロックアウトで27-27とすると、続いて中大のスパイクを藤中、武藤がブロック。セットポイントを握った。あと1点がなかなか決まらず歯がゆい展開が続くも、粘り強くレシーブ、最後は中大のスパイクがアウトの判定。32-30。激闘を制し、見事なストレート勝利を飾った。

サーブで中大の攻撃の幅を狭めた鵜野

 デュースにもつれこんだセットの獲得率は100パーセント、落としたセットは初戦の1つだけ。ここまでの8試合『覇者』としての強さを存分に見せつけてきた。4点差をつけられても、連続失点をしても、「普通は焦るところだが、『これが普通』『焦る必要はない』という声掛けがコートの中でも外でもあった」という藤中主将の言葉からも、その強さを伺うことができる。あすからの黒鷲旗では格上との3連戦。ここまで連勝を積み重ね、確実に強くなってきた早大が格上相手に立ち向かう姿に期待したい。

(記事・写真 松谷果林)

 

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セットカウント
早大 25-18
25-21
32-30
中大
スタメン
レフト 藤中優斗(スポ4=山口・宇部商)
レフト 鵜野幸也(スポ4=東京・早実)
センター 武藤鉄也(スポ3=東京・東亜学園)
センター 村山豪(スポ2=東京・駿台学園)
ライト 宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)
セッター 小林光輝(スポ4=長野・創造学園)
リベロ 堀江友裕(スポ3=和歌山・開智)
コメント

藤中優斗主将(スポ4=山口・宇部商)

――きょうの試合を振り返って

相手がサーブで攻めてくることは分かっていました。序盤はサーブで攻めてくるのに耐えて、ファーストブレイクをしっかり切れていたのですが、3セット目の終盤くらいから、攻め込まれて自分たちが勝手に崩れちゃうという展開だったのでそこが少し課題かなと感じました。

――1、2セット目は作戦などがうまくはまったということだったのでしょうか

相手のスパイクコースに対してブロックとレシーブの関係ができていたことと、相手のミスに助けられた部分が少し多かったかなと思います。

――3セット目の終盤に4点差をつけられた時に焦りなどはありましたか

今まで順調に、国士館大戦での1セット以外は全部リードする展開で、逆にリードされていてもすぐに追いつくことができるというような内容でした。きょうの中大戦では4点差つけられた時は実際焦るところなのかもしれませんが、コート内でも外でも「これが普通だから」「焦る必要はない」という声掛けがコートの中でも外でもしっかりできていたので、4点差つけられても焦らず戦えたのかなと思います。

――春季リーグ戦を通してデュースの試合は全て勝ち切れていますが、勝因は何だとお考えですか

きょねんは2点差で取られる試合が多くて。僕らの中で2点差で取られてしまうセットを、「これだけ取られたんだ」ということを年間通して記録してみんなで共有しています。今年セットを取れている理由はよく分かりませんが、思い切ってできているのが要因のひとつかなと思います。

――あすから格上の相手と対戦する黒鷲旗(黒鷲旗全日本選抜)に向けて

みんな意識とかは共有できていると思いますが、格上相手なので思い切ってやることと、ケガ人が多く5連戦ということもあるので、体調面も無理をせずにいきたいです。思い切ってぶつかっていくことでたくさん課題が見つかると思うので、頑張っていきたいと思います。

宮下諒大(社4=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

最初はミーティングで話していた通りの結果がしっかり出ていたのですが、相手の調子が上がってきた選手1人への対応が遅れてしまいました。中盤苦しい展開になってしまいましたが、試合のなかで対応できたことは1つ良かったのではないかと思います。もう少し早く対応できれば、とも少し感じました。

――第3セットの終盤でピンチサーバーとして呼ばれた時はどのようなお気持ちですか

もう責任重大だなと。緊張はしたのですが、自分はコートの雰囲気を変えられる人間になれればと思ってずっとやってきました。起爆剤じゃないですが、コートの雰囲気をいい方向に変えることができて良かったです。

――サーブのあとは鵜野選手(幸也、スポ4=東京・早実)にトスを上げるシーンも見られました

ずっと今までセッターでやってきたのですが、大学に入ってセッターを全然やっていませんでした。あのように、中学の時から一緒にやってきた選手にトスを上げて、決めてもらえたのは素直にうれしかったです。

――ピンチサーバーとしてコートに入られているときはどのような声をかけたのでしょうか

人によって全然違うんですけど。例えば駿介(中村、スポ2=大阪・大塚)が入っている時は、結構緊張していたので、それを和らげてあげたりだとか。あとは自分がどのようなサーブを打つかとか、戦術的なことも少し話しました。藤中(優斗主将、スポ4=山口・宇部商)とかも声を逆にかけてくれるので、雰囲気をよくするための声を大事にしていました。

――あすからの黒鷲旗(黒鷲旗全日本選抜)に向けて何か意気込みはありますか

リーグ戦(春季関東大学リーグ戦)でもそうなんですが、受け身にならずに、相手がどうであれ自分たちが攻めるというチャレンジ精神を持ちたいです。企業さんと試合をすることができるので、胸を借りるつもりで試合ができればなと思っています。

宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)

――きょうの試合を振り返って

とりあえずきょうの中大戦がリーグの中でも山場だったので、勝ててほっとしています。

――序盤はミススパイクも何度か見られましたが

そんなに自分の中では調子が悪いなという感じはないですし、アップからしっかりできたので特に気にしてはないです。

――第3セットで、中大に4点差をつけられた時はどのようなことを考えながらプレーされていましたか

とにかく焦らずに徐々に差を詰めていけたらと思ってプレーしていました。

――デュースになってからはたくさんトスも上がっていました

迷わず、思いっきりということを意識して打てたので、その点は良かったかなと思います。

――あすからの黒鷲旗に向けて

相手は格上なので、チャレンジャー精神を持って思い切りよく相手にぶつかっていけたらと思っています。